テイルウィンド

双子烏丸

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第四章 前哨戦

選手紹介(3)

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〈――以上、マリン・フローライトさんの紹介でした! レースでの活躍も楽しみだわ! 
 そして。三人目のレーサーは、『白の貴公子』こと、シロノ・ルーナ選手!〉
 レイの掛け声とともに、映像は別のレーサーと機体を映し出す。
 三日月型の機体を駆る、銀髪の美青年……、それはフウマが一番良く知っている人物だ。
「……げっ! アイツもかよ!」
 映像にうつるシロノの姿を見ると、フウマはつい気が動転した。
「何だフウマ? もしかして、あの『白の貴公子』を知っているのか?」
 ジョンは、意外そうにそう言った。
「ああ、シロノは僕の、一番のライバルさ。なのに、僕を差し置いてあんな風に……」
 シロノとホワイトムーンについて、司会のレイが解説するのを聞きながら、フウマはやや落ち込んだ様子を見せた。 
「落ち着いて、フウマ。そもそも今回の親善試合では、参加登録していないんだから、紹介されないのは当たり前よ」
 ミオに諫められ、フウマははっと正気に戻った。
「そう言えば……そうだね。ごめん、ついムキになって……」
 そして彼女は、ジョンとフィナにこう話す。
「でもね、二人とも、フウマもシロノに負けないくらいに、凄いレーサーなのよ。この間も、レース試合でシロノと競い合って、同着だったんだから」
「やめてくれよ。あの時は……本当に偶然だったんだから」



 フウマが謙遜する一方、二人の反応は、予想以上に驚いているようだった。
「えっ! それは、本当なの……?」
「へぇ……白の貴公子を相手に同着に持ち込むなんて、相当の実力者だな!」
「……? もしかして、シロノってば、そんなに有名なの?」
 あまりレースそのものには疎い、ミオはフィナに、そんな質問をする。
「はい。シロノ・ルーナは……宇宙レーサーの中でも指折りの、超一流プロレーサーです。それこそ、一般のプロレーサーでも、相手にならないくらいに。そのシロノさんと対等に渡り合えるなんて、フウマさんは……十分に凄いと思います」
「だってさ、フウマ。ちゃんと実力はあるんだから、勝てるチャンスはあるってことよ」
 フウマは、再び映像を眺めた。
「それはもちろん、僕だって……よく分かっている」
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