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第七章 反省会
―進展―(4)
しおりを挟む「ミオってば……くすっ」
するとつい緊張が解けたせいなのか、少し悪戯めいた表情を、フウマは見せた。
「……分かったよ、ミオ『お姉ちゃん』」
「ふぇっ!」
いきなりそう呼ばれて、思わず驚いて奇声を出したミオ。
「ふふん、さっき僕をドキドキさせたり年下扱いした、お返しだよ! お望み通り、お姉ちゃんと呼ばせてもらったさ。うん、たまにはこう言うのも、悪くないかな?」
どうやら告白された以上にショックらしく、今度はミオが恥ずかしがり、顔を赤らめた。いつもの彼女らしからぬ、慌てようだ。
「あああっ! 確かに言い出したのは私だけど、言われてみると……ちょっと、照れると言うか、恥ずかしいかも……」
「さっきあんな事を告白しあったばかりの、僕たちの仲だって言うのに、恥ずかしがることはないよ。そうだ! まだG3レースまで二週間あるんだし、その間はお姉ちゃんと呼ぼうかな?
いいよね? ミオお姉ちゃん?」
「ダメだってば! ……やっぱり、恥ずかしいもの。ちゃんと謝るから、ねっ?」
「そんな事言ったって、お姉ちゃんだって、まんざらでもなさそうじゃん。まぁ少しは恥ずかしがっているみたいだけど、そんなミオお姉ちゃんも――とても可愛いよ!」
「!!!」
ミオの赤ら顔が、更に赤くなった。
「フウマ! もう怒ったわよ! そんな恥ずかしい事を言うような口は、こうなんだから!」
そう言うやいなや、ミオは近くのフウマに掴みかかり、彼の頬を両方掴んで横に引っ張った。
「むー! むー!」
何とか逃れようとするフウマだが、どうしようもなかった。言葉を発しようにも、口すらまともに動かせない。
「それは私だって、少しはフウマに『お姉ちゃん』と呼ばれて、嬉しいって感じもあるけど…………恥ずかしいのは恥ずかしいんだからね!
二週間もあるんだったら、テイルウィンドの飛行訓練や調整でもしたらいいじゃない! 私だって機体の調整や、改良だって手伝うから……。それに、私のことを可愛いだなんて、そんな事を言われたら、私……」
ミオは慣れない言葉にもじもじしながら、ついうっかり、フウマの頬を引っ張る力を強めてしまった。
「……むぎゃっ!」
思いっきり強く、フウマは悲鳴を上げる。
「きゃっ! ごめんねフウマ、強くするつもりはなかったの!」
ミオははっとして手を放し、ついやりすぎた事を謝った。
フウマの自業自得とは言え……さっきの雰囲気ははるか彼方に、飛んでいってしまった。
しかしあの時の告白と誓いは、互いの心のうちへと深く刻まれた。
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