テイルウィンド

双子烏丸

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第八章 本番へ――

準備完了

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 楽しいパーティーから一夜明け、フウマは部屋で、出発の準備をしていた。
 何しろ数日間は出かけるわけだ、その分の着替えや生活用品等など、持っていくものはそれなりにある。
 G3レースの開催地までは、ここから丸一日かかるらしい。そこまではテイルウィンドに乗って行く、そもそもレース機体と言えど、やはり宇宙船だ。多くの場合はワープ航法も可能で、自力で星から星へと渡ることも、十分に可能だ。
 最も……、でなければ他の船で搬送など、毎回のレースの度にコストがかかりすぎる。
「ねぇフウマ、そろそろ準備出来た?」
 そう言って現れたのは、大きいバックを両手に持った、ミオだった。
 彼女の場合、メカニックとして使う修理用具も入っている。
 そのせいで、バックもそれなりに重いはずだが、ミオは平気で持っている。
「うん、こっちもあと少しで終わるよ。……でも」
 ミオの私服は、例によってパーカーとショートパンツ、相変わらずの少年っぽい恰好、とりわけ彼女は女の子としては背丈も高い方だから、特に男の子っぽく見える。
 ――まぁ、いつもの事と言えば、いつもの事だけど――



「ミオってば、いつもそんな恰好だよね。たまにはさ、もっと女の子っぽい恰好をしたって、いいと思うけどな」
 それこそ昔の小さい頃はともかく、今では女の子みたいな服装なんて、学校の制服以外では見たことすらない。
「ふふっ……もしかして、見てみたい?」
「まぁ、いつものミオだって大好きだけど……たまには、少し、見てみたい……かな」
 ややからかった感じな彼女に、フウマは恥ずかしがりながらも答える。
「だって、この格好の方が動きやすいし、着慣れているもの。フウマだってそうでしょ?」
 確かにフウマの格好も、いつもと変わらない半袖のジャケットと長ズボン、少しだけ小柄な彼にはサイズは合っていないが、それでも着ているのはミオと同じく着慣れているのもあるが…………人並みより小柄で子供っぽいフウマの、精一杯の見栄なのかもしれない。


 しかしミオは軽く微笑んで、こんな事を続ける。
「でも、今回は一着だけ、それっぽい服も持って来たの! 私だってたまには、着てみたかったからね。
 まぁそれは……後でのお楽しみかな? フウマが気に入ってくれれば、いいんだけど」
 ……と、そんな話をしていると、下からリッキーの大声が聞こえて来た。
「フウマ! 準備はまだか! 下ではみんなが待っているんだぜ」
 二人はその声で、はっとする。
「……だそうだね、それじゃあ、そろそろ下に降りようか」
 準備を済ませたフウマ達は、部屋を後にする。
 この自分の部屋とは――――しばらくは見納めだ。
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