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第九章 Grand Galaxy Grand prix [Ready?〕
レースの始まり
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――――
〈さぁ、いよいよ始まったわね! 十年に一度の大レース、G3レースが!〉
さすがプロと言うべきか、先ほどの葛藤を感じさせず、司会を始めるレイ。
映されたモニターには、海上都市の滑走路、カタパルトに、何十ものレース機体が並ぶ。
リオンドも、何事もなかったように実況を進める。
〈やはり、参加者は多いからな。G3レースでは特例として、これまでの成績を考え第一陣、第二陣、第三陣、そして最後の第四陣に分けて、出発して行くのだ〉
〈ある種の、ハンデみたいなものね〉
〈その通りだ。……さて、まず第一陣のスタートが、始まろうとしているな〉
上空には一隻の飛行船が浮かび、側面部にはレース開始の合図を示す、スタートシグナルを示すモニターが掛けられている。
未だ明かりの点っていない、三つのランプが示され、カウントダウンが始まるごとに赤くランプが点る。
3……2……1……ゼロ!
赤く点ったランプが、一気に青色に替わった。
それが海上都市に並ぶ、レース機体のスタートの合図。
機体はそのエネルギーのままに次々と飛び立ち、青き空へと羽ばたいた。
そんなスタートの様子を、テイルウィンドのコックピットでフウマとミオは、モニターで眺めていた。
続けて、第二陣のスタート。同じく空に飛び立つ機体の姿が映される。フウマが出るのは、第四陣となる。
「そろそろ、こっちも準備しないとね。第三陣がスタートした後はすぐに、僕の出番だから」
傍にいたミオは、頷く。
「最後の最後まで、機体を見てくれてありがとう。だからこそ僕は、全力でレースに挑めるんだ。……君のおかげさ、まぁ、あまり上手い事は、言えてないないかもだけど」
「ふふっ、どういたしまして。でも、その分レースでは頑張って欲しいな。下手な所を見せたら――承知しないからね?」
フウマは、ニッと笑って見せる。
「当然じゃん! だから応援していてよ。きっと、後悔させないから」
「もちろん、応援するに決まっているでしょ? ……それじゃ、もう降りないと。出発だもんね」
そう言って、ミオは席を立ち、コックピットを出ようとする。
「――頑張ってね、フウマ」
最後に言い残して出ていく彼女を、フウマは見送った。
――――
「……さてと、兄さん、ホワイトムーンの準備は万全だよ。機体のソフトウェアもアップデートしておいたから動かしやすくなったし、制御、機動面も向上した感じだね」
シロノ、そしてアインはホワイトムーンのハッチ近くにいる。
「ふふっ、これでジンジャーブレッドにも、対抗出来るでしょうか?」
「うーん、それでもまだブラッククラッカーには、どうしても及ばないかな。システムも、全然違いすぎるから。……ごめん、兄さん」
謝るアインに、シロノは優しく笑う。
「大丈夫ですよ。後は私に任せて下さい」
「それに、今度のレースは何か怪しいんだ。僕も捜査を手伝ってはいるけど、まだそれについては、よく分からないし。だから兄さん、気をつけて」
「心配要りませんよ。アインはどうか、応援してくださいね。子供達のためにも……勝ってみせます」
ホワイトムーンのハッチを開き、シロノは機体に搭乗する。
コックピットシートに座るシロノ。
そして電源が入り、システム類は稼働が始め、モニター、ディスプレイが作動し、三次元レーダーも輝く。
――いよいよ、本番ですね。フウマにマリン、多くのレーサーに、それにジンジャーブレッド。
今回は特に、全力で頑張らせてもらいますよ――
シロノは一人、前髪を少し弄り、そして微笑んだ。
――――
フウマ一人だけの、コックピットの中。
さっきまでミオがいた分、ちょっとだけ寂しく思えた。
だが――レースでは、その場で頑張るのは、結局一人だ。
ようやく第四陣の、スタートが始まろうとしている。
ここに並ぶのは、彼も含めてG3レースの出場者の中でも、特に実力者ばかり。
フウマがディスプレイを並ぶと、幾つものレース機体の姿が見える。
そこにはホワイトムーンとワールウィンド、スワローに玄武号、さらにはクリムゾンフレイム、アトリ/ヒバリ、そして……ジンジャーブレッドのブラッククラッカーまで、全機この場に揃っている。
全員、強敵揃い。だが誰が勝利するかは、終わらなければ分からない。
少しだけ、目を閉じて、フウマは精神統一を行う。
集中する意識の中、改めて今回のG3レースに対して、思いをはせる。
――いくら大きなレースでも、僕のする事は変わらない。……例えどんな強敵でも、僕は出来る限りの事をするだけさ!――
フウマはゆっくりと目を開き、操縦桿を握る。
出発の合図となる、スタートシグナルのランプが点灯した。
一つ、二つ――そして、三つ目のランプが点灯し、青色へと変わる。レース開始の合図だ!
テイルウィンドは他の数多くの機体とともに、滑走路を滑走。揚力でふわりと機体が浮かび、ブースターを噴かせてテイルウィンドの姿は、惑星サファイアの上空へと昇る。
宇宙最大とも言えるほどの大レース、グランド・ギャラクシー・グランプリレース。多くの思惑と勝利の願いとともに――ついにその幕が上がった!
〈さぁ、いよいよ始まったわね! 十年に一度の大レース、G3レースが!〉
さすがプロと言うべきか、先ほどの葛藤を感じさせず、司会を始めるレイ。
映されたモニターには、海上都市の滑走路、カタパルトに、何十ものレース機体が並ぶ。
リオンドも、何事もなかったように実況を進める。
〈やはり、参加者は多いからな。G3レースでは特例として、これまでの成績を考え第一陣、第二陣、第三陣、そして最後の第四陣に分けて、出発して行くのだ〉
〈ある種の、ハンデみたいなものね〉
〈その通りだ。……さて、まず第一陣のスタートが、始まろうとしているな〉
上空には一隻の飛行船が浮かび、側面部にはレース開始の合図を示す、スタートシグナルを示すモニターが掛けられている。
未だ明かりの点っていない、三つのランプが示され、カウントダウンが始まるごとに赤くランプが点る。
3……2……1……ゼロ!
赤く点ったランプが、一気に青色に替わった。
それが海上都市に並ぶ、レース機体のスタートの合図。
機体はそのエネルギーのままに次々と飛び立ち、青き空へと羽ばたいた。
そんなスタートの様子を、テイルウィンドのコックピットでフウマとミオは、モニターで眺めていた。
続けて、第二陣のスタート。同じく空に飛び立つ機体の姿が映される。フウマが出るのは、第四陣となる。
「そろそろ、こっちも準備しないとね。第三陣がスタートした後はすぐに、僕の出番だから」
傍にいたミオは、頷く。
「最後の最後まで、機体を見てくれてありがとう。だからこそ僕は、全力でレースに挑めるんだ。……君のおかげさ、まぁ、あまり上手い事は、言えてないないかもだけど」
「ふふっ、どういたしまして。でも、その分レースでは頑張って欲しいな。下手な所を見せたら――承知しないからね?」
フウマは、ニッと笑って見せる。
「当然じゃん! だから応援していてよ。きっと、後悔させないから」
「もちろん、応援するに決まっているでしょ? ……それじゃ、もう降りないと。出発だもんね」
そう言って、ミオは席を立ち、コックピットを出ようとする。
「――頑張ってね、フウマ」
最後に言い残して出ていく彼女を、フウマは見送った。
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「……さてと、兄さん、ホワイトムーンの準備は万全だよ。機体のソフトウェアもアップデートしておいたから動かしやすくなったし、制御、機動面も向上した感じだね」
シロノ、そしてアインはホワイトムーンのハッチ近くにいる。
「ふふっ、これでジンジャーブレッドにも、対抗出来るでしょうか?」
「うーん、それでもまだブラッククラッカーには、どうしても及ばないかな。システムも、全然違いすぎるから。……ごめん、兄さん」
謝るアインに、シロノは優しく笑う。
「大丈夫ですよ。後は私に任せて下さい」
「それに、今度のレースは何か怪しいんだ。僕も捜査を手伝ってはいるけど、まだそれについては、よく分からないし。だから兄さん、気をつけて」
「心配要りませんよ。アインはどうか、応援してくださいね。子供達のためにも……勝ってみせます」
ホワイトムーンのハッチを開き、シロノは機体に搭乗する。
コックピットシートに座るシロノ。
そして電源が入り、システム類は稼働が始め、モニター、ディスプレイが作動し、三次元レーダーも輝く。
――いよいよ、本番ですね。フウマにマリン、多くのレーサーに、それにジンジャーブレッド。
今回は特に、全力で頑張らせてもらいますよ――
シロノは一人、前髪を少し弄り、そして微笑んだ。
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フウマ一人だけの、コックピットの中。
さっきまでミオがいた分、ちょっとだけ寂しく思えた。
だが――レースでは、その場で頑張るのは、結局一人だ。
ようやく第四陣の、スタートが始まろうとしている。
ここに並ぶのは、彼も含めてG3レースの出場者の中でも、特に実力者ばかり。
フウマがディスプレイを並ぶと、幾つものレース機体の姿が見える。
そこにはホワイトムーンとワールウィンド、スワローに玄武号、さらにはクリムゾンフレイム、アトリ/ヒバリ、そして……ジンジャーブレッドのブラッククラッカーまで、全機この場に揃っている。
全員、強敵揃い。だが誰が勝利するかは、終わらなければ分からない。
少しだけ、目を閉じて、フウマは精神統一を行う。
集中する意識の中、改めて今回のG3レースに対して、思いをはせる。
――いくら大きなレースでも、僕のする事は変わらない。……例えどんな強敵でも、僕は出来る限りの事をするだけさ!――
フウマはゆっくりと目を開き、操縦桿を握る。
出発の合図となる、スタートシグナルのランプが点灯した。
一つ、二つ――そして、三つ目のランプが点灯し、青色へと変わる。レース開始の合図だ!
テイルウィンドは他の数多くの機体とともに、滑走路を滑走。揚力でふわりと機体が浮かび、ブースターを噴かせてテイルウィンドの姿は、惑星サファイアの上空へと昇る。
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