テイルウィンド

双子烏丸

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第十章 Grand Galaxy Grand prix [Action!〕

リベンジマッチ

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 ――――
 ワールウィンド、そしてテイルウィンドはルビーの大気圏を脱出し、宇宙空間に到達した。
 ここから前半戦最後の惑星、エメラルドまでには、再びのアステロイドベルト、小惑星群が立ちふさがる。
「ふっ! リッキー! 双子を破ったことだし……改めて相手しようじゃないか!」
 ようやく、ひと段落した試合。 
 そう、自信たっぷりに勝負を突き付ける、フウマ。
 リッキーは豪快な笑い声を、響かせる。
〈はははっ! それは俺も願ったりだぜ!〉

 
 ……が、途端にその笑みは薄らぐ。
〈と、言いたい所だが……。まだまだ、勝負は終わっていないようだぜ〉
 ディスプレイを見ると、そこには迫りくる機体の姿があった。
 それはアトリ、ヒバリが合体した機体の姿、一機ずつの時に比べ、速度は増している。
 『トゥインクルスター・シスターズ』のフィナとティナ、二人とはまだ、諦めたわけではなかった。
 フウマは少し、苦い表情を見せる。
 あの状態の性能は、彼が身に染みてわかっていた。
 そしてこの先は、小惑星群がある。そこは相手の得意分野だ。
 ――ふっ、まだ相手したりないって訳か。でも、こっちだって大歓迎だよ。あの時の借りを、ここで返してみせる!――
 しかし、だからこそ頑張れるのが、フウマ・オイカゼだ。



 ――――
 ワールウィンド、テイルウィンドに続き、アトリ/ヒバリも小惑星群に突入する。
 そして、やはり得意なフィールドであるのか、アトリ/ヒバリは快進撃し、あっと言う間に距離を詰める。
〈ふっ、やっぱりなかなかやるじゃないかよ、あの双子ちゃんは! 数年後には、俺やフウマよりも凄いレーサーになると思うぜ!〉
「その時には僕だって、もっと進歩してみせるよ。と言うかリッキー、まずは今のこの状況を、打開しないとさ!」
〈ははっ! いいじゃないかフウマ! その感じさ!〉
 アトリ/ヒバリは十分に距離を詰めたのか、機体は分離する。
 

 フィナの乗るアトリ、ティナが駆るヒバリ……。二機は揃って牙をむく。
 鳥には牙なんてありはしないが――この場合は、どうだろうか? 今はフィナとティナが攻勢に出ている。
 二人はターゲットを一人に絞り、先を越そうと試みる。
 そのターゲットとは、フウマのテイルウィンドだ、
〈よう! まさかあれで、終わったと思ったんじゃないだろうな〉
 通信でそう噛みつくのは、ティナ。
 彼女のヒバリは、左方から迫る。
「まさか! それにしても……さっきはよくもやってくれたね」
〈はっ、怒っているのか!〉
「そうではないよ。……まぁ、ちょっとキツかったけどさ。でもあの勝負も、なかなか楽しかったよ! 全力って感じでさ!」
 ティナはハハハと笑う。
〈嬉しいな! そう言ってくれてさ! レースは全力で行くものさ。さっきも……そして、今だってな!〉


 だが、もう一機、フィナのアトリも右方から接近する。
〈私も忘れてもらっては、困りますよ、フウマさん〉
「……フィナもか」
 小惑星の間を飛行しながら、左右から来る二機の機体。――これではいくらテイルウィンドでも、対抗は困難だ。
〈確かに、先ほどは醜態を見せてしまいましたが……、この場所でなら!〉
 ここで、フウマの隙をつき、アトリはテイルウィンドの前へと出ようとする。
〈ナイスだぜ! フィナ!〉
「……まずい!」
 急いでディフェンスしようとするが、一歩間に合わない。
 しかしその瞬間――


〈俺を忘れてもらっては困る!〉
 テイルウィンドの代わりに行く手を遮ったのは、リッキーのワールウィンドだった。
「リッキー!」
〈助太刀に来たぜ! さっきも言っただろ? 二機には二機、二体二だって!
 この機体にも大分慣れた、それなりの機動はワールウィンドは可能だ! 前とは違うんだ!〉
 そう話す彼は、とても頼もしそうに見える。
 以前のシュトラーダならともかく、ワールウィンドはテイルウィンドにはやや劣るものの、やはり同型機、それなりに機動性もある。そしてリッキーも、本来タイプではないらしいが、今はその機動性を使いこなせるようになっていた。
〈ちっ! そう来たかよ! でも……〉
〈コンビネーションなら私たちの得意分野です! 負けませんからね!〉
 フィナ、そしてティナも負けていない。
 四人の勝負は、更に白熱する。
 
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