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第一章 王国編
第6話 幸運の妖精
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クレールはライリーに尋ねた。
「今日はソフィアも一緒に町の視察にゃ? それと珍しい感じがする魂の人がいるにゃ」
「こんにちは。神々しいくらいに綺麗な毛並みの美少女ちゃん。俺はライリーだ」
アリアンヌは言った。
「ああ、この子ね。今は獣人の見た目になっている妖精なんだ」
「この世界には妖精もいるのか? という事はモンスターもいるんだろうなあ。獣人の見た目になっていると言う事は……ああ、猫か。猫の姿にもなれるって事か?」
「なれるにゃ。猫の姿になってやるにゃ。そこの店の串焼き一本にゃ!」
- ボフン! -
「どうかにゃ~ねこだにゃ~。な~う」
どこかで聞いたような効果音の後に本当に猫になったというか、変身したクレールが言った。見せた対価が串焼きなのも何とも言えないなと猫の姿なので餌を与えるように差し出すと
「餌やり気分だにゃ~うまいにゃ~! ……あと百本くれにゃ~! ……冗談にゃ! 串焼きありがとにゃ! うまかったにゃ」
そう言うと、どこかへ走って行った。
「じゃあ、私ももう行くね。あの子は気まぐれだけどいつも、何かに困っている人とか、幸せになる時期が来た人のところに行って幸運をもたらしてるんだ。今日はあなたとまだもう一人くらいいるのかも。じゃあね!」
そう言うと、アリアンヌはクレールの後を追うように去って行った。
「やっぱり可愛い猫ちゃんだね。あの子ね、食い意地が張ってるけど幸運の妖精って言われてるんだ。困った時とかにやってきて可愛さにメロメロになっていると串焼きを食べさせろって言って来るからみんな食べさせるんだけど、その後にすぐに困りごとが解決しちゃうんだ。
まあ、食べさせる事ができなくても解決するから一緒なんだけどね」
「俺が今困っている事と言えばこの世界の通貨を持っていないという事だな。さっきからソフィアに出してもらってばかりなのもなんなので、そこの宝くじ売り場で何枚か買おうと思う。貸してくれないか?」
「いいよ。外れたところで働いてくれたら給料を出すからそこから返してくれてもいいけど、結婚してくれたら……一緒だしね!」
「そうは言ってもいくらあっても困らないのがお金というものなので多ければ多いほどいいだろう……まてよ……ここって自治領か? そうならソフィアの家の金なのか?」
「ううん。この国の宝くじは全て国が売っているものだから宝くじを買った人のお金だよ」
「なら問題ないな。このくじをもらえますか?」
そう言って購入したところ、買った宝くじの抽選が数分後のものを購入したらしく、もう抽選結果が出た。結果は何と、一等の五億円相当の金貨に当選した。ライリーは遠い目をした。
「元の世界では宝くじが当たらないともう将来が不安で不安で生きた心地がしない日もあったのにこっちの世界ではすぐに叶った。さっき来たクレールのおかげかもしれないが、本当にすごいな!」
「すごいでしょ~! クレールって困っている時に本当に必要なものをすぐに用意してくれるんだよね。彼女は分かってしているのか、神様の遣いなのかは分からないけど。これが幸運の妖精って言われている理由だよ」
前の世界で当選していればどんなに良かったことだろうか。これだけの大金があれば仕事もそこそこしかしていなくても生活できていたし、家族も持てたかもしれない。
向こうの世界では家を建てて、可愛い嫁も迎えて子供も生まれて……幸せな家庭を築くためにと一生懸命に働いていた。他の社員は海外旅行とかに行って楽しそうにしていたが、それも我慢していつの日か幸せが来ると思って耐えていた。
しかし、仕事を辞め、その節約して貯めた金は自分のために使う事になった。結婚していて子供もいたらそれこそ大変だったかもしれない。収入源がなくなろうと金は要求され続けるのだから。それでも逆玉とかならよかったかもしれないが、誰からも愛されず、愛が成就する事が無かったと思うと実に虚しい。
ソフィアと出会えて本当に良かった。愛してると言えないのが俺の意気地のなさだが、そこは許してほしいと思う。
俺は向こうの世界では裏切りにばかり遭っていた。合コンで出会った女性、バンドのライブに行った時に出会った女性、友人の友人の女性、そういった女性に連絡先を交換してほしいと言っても交換してくれず、数日後にはみんな違う男と付き合っていた。
どうして俺ばかりこんなに出会いが無いんだ。出会いがあると思えばそれはいつも俺の勘違いだった。体調が悪かった時に短い間に、何度か薬局に薬を受け取りに行っていたときの事だが、薬の説明をしてくれる時にやたらと説明の長い、当時は疲れていたので早めに帰ろうとしても引き留めてくるという美人な店員の人もいた。
誰が渡してくれるのかは毎回、ランダムだが何度行ってもよく当たるし、もしかして俺の事が好きなんだろうかと思っていると、偶然にも違う薬局に行ったら応援で来ていたという時にも当たったので「こないだ、あの店で対応してもらって以来ですね」と言ったら忘れられていた。運命の人かと思ったら単に仕事熱心な人だったという話だ。
散歩をしている時も似たような事があった。毎日のように偶然を装ってすれ違おうとする面白い動きをしている子がいた。多分、面白がっているんだろうと思っていると毎日、挨拶してくるようになった。
ある日、物陰に隠れているところを見た。何をしているんだろうかと、ふと見たら後をつけて来た。あの時はこんな可愛い子にストーキングされるなら悪くないなと思ったのだが、その後もほとんど毎日のように後をつけてはくるのだが、何もしてこないので何がしたいのか分からなかった。
向こうではこんな人生を過ごしていたのでソフィアには悪いが、何かの勘違いだったり後で裏切られたらと思うと確証が得られるまでめったなことは言えない。ソフィアがあまりにも良い女過ぎて余計に怖いというのがある。
その良い感じの女性というのが以前に勤めていた会社に居たのだが、「あなたほど美人の方は他にいませんね」と言った事がある。
すぐにほかの男性と結婚したがその後も昼食とかを一緒に何度も行ったりした。だが、不倫は良くないのでそうならないように気を付けた。自分が結婚した時にされても嫌だし、人を裏切る事も裏切らせる事もしたくない。
こんなのもあった。これまた以前の会社の一つ下の後輩ちゃんだったのだが、偶然にもほどがあるほど不思議な縁があった。俺はその子が来てすぐに転勤になるのだが、しばらくして何かのサークルで知り合ったという男と結婚した。
その数年後に俺の友人の友人の妹という事が判明した。しかもその友人は仕事とも俺の友人とも関係がないのに知り合って友人になった人物である。
これも凄い偶然だと思うのだが、どうして俺と付き合う事にならなかったのか、結婚する事にならなかったのかと思うと残念でならない。縁の無さが異常である事は思春期の頃から思っていたが当時、空に向かって「俺の青春は終わった」とつぶやいていた。
あれが現実化していたのなら自ら終わらせてしまったという事だろう。後悔しかない。ビールを飲みながらそんな虚しい日々を思い出すのだった。
「今日はソフィアも一緒に町の視察にゃ? それと珍しい感じがする魂の人がいるにゃ」
「こんにちは。神々しいくらいに綺麗な毛並みの美少女ちゃん。俺はライリーだ」
アリアンヌは言った。
「ああ、この子ね。今は獣人の見た目になっている妖精なんだ」
「この世界には妖精もいるのか? という事はモンスターもいるんだろうなあ。獣人の見た目になっていると言う事は……ああ、猫か。猫の姿にもなれるって事か?」
「なれるにゃ。猫の姿になってやるにゃ。そこの店の串焼き一本にゃ!」
- ボフン! -
「どうかにゃ~ねこだにゃ~。な~う」
どこかで聞いたような効果音の後に本当に猫になったというか、変身したクレールが言った。見せた対価が串焼きなのも何とも言えないなと猫の姿なので餌を与えるように差し出すと
「餌やり気分だにゃ~うまいにゃ~! ……あと百本くれにゃ~! ……冗談にゃ! 串焼きありがとにゃ! うまかったにゃ」
そう言うと、どこかへ走って行った。
「じゃあ、私ももう行くね。あの子は気まぐれだけどいつも、何かに困っている人とか、幸せになる時期が来た人のところに行って幸運をもたらしてるんだ。今日はあなたとまだもう一人くらいいるのかも。じゃあね!」
そう言うと、アリアンヌはクレールの後を追うように去って行った。
「やっぱり可愛い猫ちゃんだね。あの子ね、食い意地が張ってるけど幸運の妖精って言われてるんだ。困った時とかにやってきて可愛さにメロメロになっていると串焼きを食べさせろって言って来るからみんな食べさせるんだけど、その後にすぐに困りごとが解決しちゃうんだ。
まあ、食べさせる事ができなくても解決するから一緒なんだけどね」
「俺が今困っている事と言えばこの世界の通貨を持っていないという事だな。さっきからソフィアに出してもらってばかりなのもなんなので、そこの宝くじ売り場で何枚か買おうと思う。貸してくれないか?」
「いいよ。外れたところで働いてくれたら給料を出すからそこから返してくれてもいいけど、結婚してくれたら……一緒だしね!」
「そうは言ってもいくらあっても困らないのがお金というものなので多ければ多いほどいいだろう……まてよ……ここって自治領か? そうならソフィアの家の金なのか?」
「ううん。この国の宝くじは全て国が売っているものだから宝くじを買った人のお金だよ」
「なら問題ないな。このくじをもらえますか?」
そう言って購入したところ、買った宝くじの抽選が数分後のものを購入したらしく、もう抽選結果が出た。結果は何と、一等の五億円相当の金貨に当選した。ライリーは遠い目をした。
「元の世界では宝くじが当たらないともう将来が不安で不安で生きた心地がしない日もあったのにこっちの世界ではすぐに叶った。さっき来たクレールのおかげかもしれないが、本当にすごいな!」
「すごいでしょ~! クレールって困っている時に本当に必要なものをすぐに用意してくれるんだよね。彼女は分かってしているのか、神様の遣いなのかは分からないけど。これが幸運の妖精って言われている理由だよ」
前の世界で当選していればどんなに良かったことだろうか。これだけの大金があれば仕事もそこそこしかしていなくても生活できていたし、家族も持てたかもしれない。
向こうの世界では家を建てて、可愛い嫁も迎えて子供も生まれて……幸せな家庭を築くためにと一生懸命に働いていた。他の社員は海外旅行とかに行って楽しそうにしていたが、それも我慢していつの日か幸せが来ると思って耐えていた。
しかし、仕事を辞め、その節約して貯めた金は自分のために使う事になった。結婚していて子供もいたらそれこそ大変だったかもしれない。収入源がなくなろうと金は要求され続けるのだから。それでも逆玉とかならよかったかもしれないが、誰からも愛されず、愛が成就する事が無かったと思うと実に虚しい。
ソフィアと出会えて本当に良かった。愛してると言えないのが俺の意気地のなさだが、そこは許してほしいと思う。
俺は向こうの世界では裏切りにばかり遭っていた。合コンで出会った女性、バンドのライブに行った時に出会った女性、友人の友人の女性、そういった女性に連絡先を交換してほしいと言っても交換してくれず、数日後にはみんな違う男と付き合っていた。
どうして俺ばかりこんなに出会いが無いんだ。出会いがあると思えばそれはいつも俺の勘違いだった。体調が悪かった時に短い間に、何度か薬局に薬を受け取りに行っていたときの事だが、薬の説明をしてくれる時にやたらと説明の長い、当時は疲れていたので早めに帰ろうとしても引き留めてくるという美人な店員の人もいた。
誰が渡してくれるのかは毎回、ランダムだが何度行ってもよく当たるし、もしかして俺の事が好きなんだろうかと思っていると、偶然にも違う薬局に行ったら応援で来ていたという時にも当たったので「こないだ、あの店で対応してもらって以来ですね」と言ったら忘れられていた。運命の人かと思ったら単に仕事熱心な人だったという話だ。
散歩をしている時も似たような事があった。毎日のように偶然を装ってすれ違おうとする面白い動きをしている子がいた。多分、面白がっているんだろうと思っていると毎日、挨拶してくるようになった。
ある日、物陰に隠れているところを見た。何をしているんだろうかと、ふと見たら後をつけて来た。あの時はこんな可愛い子にストーキングされるなら悪くないなと思ったのだが、その後もほとんど毎日のように後をつけてはくるのだが、何もしてこないので何がしたいのか分からなかった。
向こうではこんな人生を過ごしていたのでソフィアには悪いが、何かの勘違いだったり後で裏切られたらと思うと確証が得られるまでめったなことは言えない。ソフィアがあまりにも良い女過ぎて余計に怖いというのがある。
その良い感じの女性というのが以前に勤めていた会社に居たのだが、「あなたほど美人の方は他にいませんね」と言った事がある。
すぐにほかの男性と結婚したがその後も昼食とかを一緒に何度も行ったりした。だが、不倫は良くないのでそうならないように気を付けた。自分が結婚した時にされても嫌だし、人を裏切る事も裏切らせる事もしたくない。
こんなのもあった。これまた以前の会社の一つ下の後輩ちゃんだったのだが、偶然にもほどがあるほど不思議な縁があった。俺はその子が来てすぐに転勤になるのだが、しばらくして何かのサークルで知り合ったという男と結婚した。
その数年後に俺の友人の友人の妹という事が判明した。しかもその友人は仕事とも俺の友人とも関係がないのに知り合って友人になった人物である。
これも凄い偶然だと思うのだが、どうして俺と付き合う事にならなかったのか、結婚する事にならなかったのかと思うと残念でならない。縁の無さが異常である事は思春期の頃から思っていたが当時、空に向かって「俺の青春は終わった」とつぶやいていた。
あれが現実化していたのなら自ら終わらせてしまったという事だろう。後悔しかない。ビールを飲みながらそんな虚しい日々を思い出すのだった。
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