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22.セッ久しないと出れないイベントエリア ※
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22.セッ久しないと出れないイベントエリア ※
ジルの唇は想像していたよりもずっと柔らかく、驚くほど熱かった。
「ん……っ、ンァッ……」
何度も繰り返される深いキス。舌が絡み合い、互いの唾液が混ざり合う。
VR特有の五感フィードバックが、僕の理性を容赦なく削って、全身をトロトロに溶かしていった。
鼻孔をくすぐるのは、周囲に咲き誇る花々の甘い香りと、ジルの肌から漂う清潔な……けれど雄々しい匂い。
ジルは唇だけでは飽き足らず、僕の全身にキスを落とした。今までの奥手な態度が何だったのかと思うくらい、執拗にキスマークを残す。
最初はシステムに上手く判定を取ってもらえず、「舌での愛撫」エフェクトが出るだけだったのに、上達の早い彼はすっかり「やり方」をマスターしてしまった。
彼が身動ぐ度、直に伝わるジルの体温に、僕の身体の芯が熱く震える。
これが、誰かと触れ合うということ。
一人の時、道具を使って妄想を膨らませていた時とは比べものにならないほどの情報量が、僕を圧倒した。
「はぁ……っ、ミュラーさん……っ……」
唇が離れた拍子に、銀の糸が引く。
ジルのオッドアイが、熱に浮かされたように僕を射抜いた。
その瞳に映っているのは、頬を真っ赤に染め、期待と恐怖で瞳を潤ませた僕だ。
「……怖いですか?」
「少しね。今でもこんなにドキドキして心臓壊れそうなのに、これ以上って思うと……っ、ア……ッ!」
ジルに乳首を甘噛みされて、堪らず淫らな声が出た。
悔しいっ。ちょっと前は、僕に乳首を舐められて興奮していたのは、ジルの方なのに。
彼に触られているだけで、ドクドクと早鐘を打つ僕の鼓動が、全身を覆っているのかというほど鳴り響く。愚息も涎を垂らしっぱなしだ。
ジルが僕の反応を見て、余計に嬉しそうにするから、尚更悔しい。僕もジルを気持ち良くさせたいのに。
ジルの手は僕の腰を下り、僕がこの日のために一生懸命『拡張』してきた場所へと伸ばされた。
「ぅあ……っ!」
Tバックの細い布越しに、ジルの指先が僕の入り口をなぞる。
ただそれだけのことなのに、腰が跳ねた。
「……すごく、柔らかいですね。ヒクヒクして、俺を誘ってる」
「ッ……、毎日、ジルのこと考えながら……っ、解してたからぁ……っ」
「そんなに煽ることばかり言って……、ミュラーさんは俺を試しているんですか? もう、我慢できませんよ」
ジルの声が低く、肉食獣のような響きを帯びる。
彼はそのまま、僕を優しく花のベッドへと沈め直した。
周囲では、下位精霊たちがキラキラとした鱗粉を僕たちの頭上に降らせている。
本来なら邪魔だと思うところだが、全く嫌な感じはしなかった。
この場所全体が、僕たちの行為を祝福してくれている。もしかしたら、イベント限定のバフやブーストが掛けられているのかもしれない。
ジルも手を止める素振りはなく、僕のTバックを奪い去ると、露わになった秘部に指を滑り込ませた。
「……ひ、あ……っ!」
熱い指先が、直接入り口に触れる。
自分の指とは違う、予測できない動きをする、確かな他人の感覚。
道中で使っていた『保湿保証アナトレ団子EX君』のおかげで、ぐちょぐちょに湿ったままだった僕の中へ、ジルはゆっくりと、まるで壊れ物を扱うような手つきで、指一本を忍び込ませる。
「……っ、ふ、あ……ッ…………」
ゆっくりと、けれど容赦なく僕の内側を押し広げていくジルの指。
ディルドなどで散々慣らしてきたはずなのに、ジルの指が触れる場所は、それとは全く違う感触を伴って疼き出す。
「苦しいですか?」
「……だい、じょうぶ。もっと、……もっと奥まで、ジルの指……いれてっ……」
僕は自分で自分の脚を持って大きく開き、ジルを誘った。
恥ずかしさよりも、はやくジル自身を入れてほしいという欲求が勝っていた。
ジルは僕の言葉に応えるように、指を二本、三本と増やしていく。
くちゅり。
クチュッ、クチュッと水っぽい音が止まない。
精霊の加護なのか、それとも僕たちが高揚しているせいか、僕の中は乾くどころか濡れてゆく。
そして、ジルの指は僕の一番感じてしまう場所を掠めた。
「ひぅ、あぁッ! そこ、イッ、前立腺……っ!」
「ここ、ですか……。すごい、ミュラーさんの中が絡みついてくる」
ジルの指使いは、初心な彼からは想像もつかないほど執拗だった。
普段の控えめな様子が嘘のように、僕を責め立て、快楽のスイッチを的確に叩いていく。
やがて、ジルは指を抜き去った。
内側がぽっかりと空き、安堵か切なさか、ハァッと息が溢れる。
だが、休憩するゆとりは無い。
代わりに、待ち望んでいたものを充てがわれ、僕は息を呑んだ。
「……っ、ミュラーさん……、俺は…………」
ピタリと僕の解された穴に添えられたジルの性器は、しかし、一向に挿入されなかった。
躊躇っている。やり方を知らないわけではないだろうに、踏ん切りがつかない。
「ん…………、…………ジル?」
熱く猛った性器は萎えていない。
それでも、ジルには何か躊躇する理由があるらしい。
察したが、僕にはそれが何か分からなかった。
でも、ジルが何か迷っている。
それだけで、僕が行動するには十分すぎる。
僕はジルの陰茎に手を添えると、導いた。
穴ではなく、僕の会陰部をジルの亀頭で撫でつけさせ、終点は僕の陰茎の上。
重なった陰茎は、比べると一目瞭然だ。
大きさもだが、ジルのは最早、重い。質量が違うのだ。
僕がディルドでシミュレーションしていたものよりも、遥かに太く、脈打つような生命力を感じる圧倒的な雄。
「ジル。僕もね、ジルが好きだよ」
「……っ、それ、は……」
僕は2つの陰茎を一緒に握り込んだ。
僕もキャラメイクの時に欲張ったから、2本だと両手を使っても一杯一杯で、少し笑える。
そう、僕は、ジルにも笑ってほしい。この状況を楽しんでもらいたい。
「こんな緊急事態じゃなくても、僕はジルとならセックスしてみたいって思うよ。でも、穴に入れるだけがセックスじゃないからね?」
「…………ッ……、ぁ、ミュラーさん……っ」
「アハッ……、ほら、最初にマ・ナイタ平野でヤった時は、ジルがこうやってくれたんだよ?」
あの時は、僕は遠慮してお互いのを手コキするだけで済ませてあげていたのに、急に「効率が良い」とか言って、ジルが一緒にチンコを握り合わせて擦るんだもん。
あれは驚いちゃったなぁ。
で、それと同じくらい楽しくて、嬉しかった。
「フフッ。また一緒に射精してみる?」
カウパーでべちょべちょのチンコから、にちゅっと音が鳴る。
ジルも、もっと脳みそ空っぽにして、えっちいことしようよ。
そんな気持ちで、手を使う。
「ッ、ミュラーさん、待って……っ!」
「ええー? ほら、僕ってジルを気持ち良くさせる使命があるからさぁ?」
「話しますっ、さっき挿入れるのを躊躇った理由! 待ってくださいっ、俺、今回の最初はミュラーさんの一番奥で射精するって決めてるんで、本当に待って……!」
ジルの言葉に、僕はピタッと手を止めた。
彼を気持ち良くして楽しませるのは僕の使命だが、それと同時に、童貞の矜持を守るのも僕の務め。
ジルは僕の手に自分の手を重ねると、心の内を打ち明けた。
「現実の話で申し訳ないんですが、俺、初体験が良い思い出じゃなくって……。初めて付き合った女の子に、……その、『大き過ぎて無理。凶器じゃん』って言われて、挿入する前に拒絶されたんです」
それをいまだに引きずっていて、先程も咄嗟に体が躊躇ってしまった。そう絞り出すようなジルの声。
あぁ、それで。
僕が迫った時にはR18を嫌がらない割に、自分からは消極的な理由。それが単なる経験不足ではなく、昔の傷だとは。
「分かっています。『ネオ・ヴァラニア』なら、この程度で致命的なことにはならないって。でも、それでも怖かったんです。ミュラーさんにも拒絶されたら……」
ジルの声は震えていた。
普段RPGをしている時は何でも卒なく熟すクセに、性は一夜目で躓いたままの少年。
僕は思わず身体を起こし、彼の背に両手回して抱きしめた。
「話してくれて、ありがとう。よしよし、大丈夫だよ、辛かったね」
「っ……、あなたは、本当に……ッ」
うんうん、たちが悪いよね。
抱きしめてキスをして慰めながら、それでも下半身を擦り付けるのを止めない。
話は大人しく聞いていた。
でも、「無理に大人の階段を上る必要ないよ」とは言ってあげない。
だって、ジルが望んでいるのは、逃げ続けることじゃないんだから。
「本当はジルも挿入れたいのに、僕を傷付けるのも怖いし、自分が拒絶されるのも怖いんだよね? うーん、解決策はいくつか思い付くなぁ。まず、僕がジルを襲って良いなら即解決。騎乗位させてくれたら一発だよ? そもそも前提が違うから。なんて言ったって、僕は傷付かないし!」
僕の軽口に、ジルの肩の力が抜ける。
緩く僕を抱きしめ返す余裕が出たのは、良い傾向だ。
僕はジルに胡座をかかせ、その上に跨って座った。もうこのままジルの童貞を貰っちゃいたいけれど、ちゃんと待つ。
「あ、あんまり俺を、子供扱いしないでください。……大丈夫です。俺だって出来ますから、俺にやらせてください」
「ンフフッ、じゃあ折衷案だ! 一緒にやろっか、初めての共同作業」
僕は、ジルの足を跨いで膝立ちになった。
そして、困惑するジルの手を取り、僕の臀部を鷲掴みさせる。
「ジルの好きなタイミングで、挿入れてね? 分かるでしょ、ここが僕の入り口」
グイッと広げられた後孔に、ジルの大きなチンコの鈴口をぷちゅぷちゅと接触させた。
「んあっ、……フフッ、エッチな音。ジルは、僕の中で射精せるかなぁ?」
「ッ……、そんなに挑発したら乗りますよ!? 俺だって、ミュラーさんを泣くくらい気持ち良くして善がらせたいって、思ってるんですから……っ」
「あはっ。何それ、めちゃくちゃ楽しみ。ンッ、いつでも良いよ、ジル……っ」
「くっ……、……」
ジルの腰が上がり、亀頭が僕の入り口にクグッとめり込んだが、僕がどれだけアナルを拡張したところで、挿入時の抵抗はヴァキナの比じゃない。
アナルの「自分は入り口じゃなくて排泄器官です」という主張に、ジルは一瞬怯んだ。
こういう時は、力を抜くのではなく、肛門に力を入れると良い。そうすると、盛り上がった菊門は薄らと口を開き、排泄器官のくせに、外からの侵入を簡単に許してしまうだ。
僕は自ら腰を落とした。
気付いたジルが慌てて僕を支えるが、彼の両手は僕のお尻を持っている。
グイッと尻たぶを乱暴にされて、アナルが形を変えた。
「ッ、ア゛……ッ! はっ、……ぁ……、……ジルの先っちょ、入っちゃたね……?」
「ウッ……、ミュラーさん……ッ!」
鍛えに鍛え抜かれた僕のアナルは、痛むどころか、ぎゅうぎゅうとジルのチンポに吸い付いて求愛している。
チンポの届いていない場所の方が、お恵みが無くて寂しいくらいだ。
「ぅあ゛……っ、これが、ジルのおちんぽ……、太ぉっ……! やば、イきそ……っ!」
一息に貫いてほしい。
けれど、ジルがそんなことをする訳はなく、僕が下に体重をかけようとすると、ジルの手は抵抗して僕の体を押し留める。
結果、挿入はゆっくり慎重に、ジリジリと行われた。
そんな焦らしプレイ、僕は練習していないのに。
「あ゛っ! ン゛っ、アアッ、だめぇっ……! ……ぅ、気持ちいいっ! イク……っ、いっちゃう……っ! ~~~~ーーッ…………!!」
カリ首がグポンッとアナルに入り切った瞬間、僕は達した。
A絶頂。おまけに、勃起チンコからどろっとしたトコロテン。
あー……、これ射精レベルも成長したでしょ。
濃いのが出たのに、チンコは全く萎えてない。むしろ、さっきより角度がついていて貪欲だ。
「ハアッ、ぁ、ジル抜かないでぇ……っ! 引かないで、もっとっ……」
「引けるわけないでしょっ! ハッ、何回でもイってください、俺がイかせますからっ……」
僕は、ジルの瞳に宿っていた不安が、剥き出しの情欲で上塗りされたのを見た。
ジルが不安になるように、僕だってジルに嫌われないか少し心配していたのに。ジルってば気付きもしないんだから、笑っちゃう。
淫乱で節操なくて、エッチ中うるさい僕で良いなら、何回でも見せてあげよう。
ジルの大きな手が、僕のお尻から腰へ移動し、がっしりと掴んだ。
「ミュラーさん。入れますよ、全部」
「……ッ、んっ、……入れてっ、……っぁ……!」
ジルが腰を上げるにつれて、僕の腰は下がっていく。
ミチミチと、肉と肉が隙間なく埋まっていくような強烈な圧迫感。
「ーーーーッ、……~~~~っ!」
僕がディルドでせっせと広げてきた場所が、ズププププと摩擦しながら、ジルによって完全に占領されていく。
「あ、ああああああッ! ン゛ッ……はっ、ジル……、ぅ、あ゛……っ、僕の中変わっちゃうっ、ジルの形になるぅ……!」
「……すごい、締まってるっ……。これがミュラーさんの中……、最高だ……」
ついに根元まで埋まった。
僕のお腹は余す所なくジルで埋め尽くされ、彼と接触していない場所はひとつもない。
繋がった。
それでも僕は、まだジルを欲している。
もっと、もっとジルが欲しい。底なしに彼を感じたい。
ジルの顔が近づき、僕達は再び深いキスを交わした。
これで、ジルの初体験は過去じゃなくて、今日になったよね?
挿入に怯えていた彼はもういない。僕に狙いを定めているジルは、性を知ったばかりの少年ではなく、ちゃんと大人の男の顔をしていた。
「……動きます」
「……っ、は、ぅ……、ぁああああッ!!」
ジルが腰を引くと、吸盤のように張り付いていた内壁が激しく摩擦し、ずるりと熱い肉棒が抜けていく。
僕が快感に叫んでもジルは止まらない。間髪入れず、今度は最奥の壁を貫くような勢いで、突き上げた。
「ひぅッ!! ア゛ッ……、んあ゛ぁっ、そこダメッ、壊れちゃうッ!!」
「壊しませんよ。骨の髄まで、ちゃんとミュラーさんを愛しますから……」
ジルの動きに迷いが消えた。
一突きごとに、僕の意識が白く塗りつぶされる。
新しい扉が開いて、スキルがどんどこ生えていそう。
「アナルが好きなんですよね?」
「ア゛ァッ、す、しゅきいぃっ……! ひっ、いぐっ、……またアナルでイっちゃうっ、アナルばっかりぃっ……!」
「良いですよ、ペニスもイって。P感度も上げましょうね?」
「んああっ……、ひ、ぅ、……ア゛ッ……!!」
「よしよし、良い子。ミュラーさん上手いですよ、その調子です。次は…………」
気持ち良すぎて意識が遠のく。
バチ、バチと肉がぶつかり合う音。
ぐぷぐぷと止まない淫らな水音。
全てが朧に聞こえる中で、それでも、ジルの声だけはハッキリと鮮明に響いた。
「一番奥に射精しますから、全部、中で飲み干してくださいね?」
蕩け切った頭で、僕は「はぁい」と返事をする。
周囲に漂う下位精霊の鱗粉が、僕たちの情交に呼応するように激しく輝きを増した。
視界の端に、システムログが高速で流れる。
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+8』
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+10』
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+11』
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+4』
イベント? 脱出条件?
そういえば、そうだった。すっかり忘れていた。
でも、そんなのもうどうだっていい。
今、僕を貫いているものだけが、僕の世界の全てだ。
「ジル、ジル……っ! もっと、もっと奥まで……っ、ジルの好きにしてッ!!」
「っ、ミュラーさんッ……! ~~ーー……ッッ!!」
ジルのストロークがさらに深く、激しくなる。
終始、僕を気にしながらも、容赦なく僕の最奥を蹂躙し、絶頂の向こう側へと引きずり込んでいく。
ドプウゥゥッと注がれる、大量の精液。
脳の芯まで痺れるような快感が駆け抜けた。
「~~ーーッ……、は、……ぁ…………っ……」
「フーッ……、ハッ、…………ミュラーさん、大丈夫ですか?」
「うん、だいじょーぶ……」
快楽に翻弄され過ぎてヘロヘロだけど、全然平気。
疲労感が凄まじく、ジルにしがみついているのも大変で、全体重を預けたら心配されてしまった。
ここはR18-MMORPGだ。リアル以上に鮮明な感覚だが、そう錯覚しているだけで、仮にテクノブレイクしたとしてもバッドステータスがつくだけ。現実の肉体には何の影響もないのだ。大丈夫、イケるイケる。
「ジルも……、……って、ジルはまだまだ元気だね?」
僕の中の質量は変わっておらず、ジルは僕を抱えたまま、抜く気もなさそうだ。
僕の問いに、ジルは照れながら「まだ、ミュラーさんと一緒に居たいんです」と答えた。
「……ぬ、抜いたら、『セックスした』ことにされてしまいますよね?」
「んー……、脱出条件を満たしたからって、すぐにここを立ち去らなくても良いんじゃない?」
遠くでこちらを見守っていた精霊フローラへ目を向けると、彼女は即座に頷いた。気のせいかもしれないが、彼女も肌艶が良くなっている。
「この花園は、『精霊の春祭』の間、条件を満たした方であれば、どなたでも出入りできますのよ。勿論、貴方様がたはもう出ることも出来ますし、この場に留まるのも、ご自由になさって?」
精霊フローラの言葉に、下位精霊たちが飛び回り、『春祭の花弁』を花吹雪のように降らす。
もしかしなくとも、花園でのセックスはイベントアイテム収集の最高効率なんじゃないか?
……って、そんな美味しい話は流石に無いか。
でも、ジルも同じことを考えていたようで。
「あの。ミュラーさんさえ良ければ、イベント周回しませんか……?」
「アハハッ! 良いね、周回。ジルとなら今回のイベントも大歓迎」
「うふふ。では、わたくからも祝福を」
春風が吹き、僕達を花の香りと春の陽気が包み込む。
『バフステータス:花の精霊の加護が発動しました』
『感度上昇・持続力アップ・体力自動回復(小)』
花の精霊の加護。
短時間限定とはいえ、破格の効果だろう。
さらには、今までの疲労も無くなって、全快している。
精霊フローラはパチリとウィンクをすると、「どうぞ励んでくださいませ」と言い残し、花園の奥に咲く、大きな枝垂れ桜の方へと姿を消した。
……僕たちがこの花園を去るのは、もっと先になりそうだ。
ジルの唇は想像していたよりもずっと柔らかく、驚くほど熱かった。
「ん……っ、ンァッ……」
何度も繰り返される深いキス。舌が絡み合い、互いの唾液が混ざり合う。
VR特有の五感フィードバックが、僕の理性を容赦なく削って、全身をトロトロに溶かしていった。
鼻孔をくすぐるのは、周囲に咲き誇る花々の甘い香りと、ジルの肌から漂う清潔な……けれど雄々しい匂い。
ジルは唇だけでは飽き足らず、僕の全身にキスを落とした。今までの奥手な態度が何だったのかと思うくらい、執拗にキスマークを残す。
最初はシステムに上手く判定を取ってもらえず、「舌での愛撫」エフェクトが出るだけだったのに、上達の早い彼はすっかり「やり方」をマスターしてしまった。
彼が身動ぐ度、直に伝わるジルの体温に、僕の身体の芯が熱く震える。
これが、誰かと触れ合うということ。
一人の時、道具を使って妄想を膨らませていた時とは比べものにならないほどの情報量が、僕を圧倒した。
「はぁ……っ、ミュラーさん……っ……」
唇が離れた拍子に、銀の糸が引く。
ジルのオッドアイが、熱に浮かされたように僕を射抜いた。
その瞳に映っているのは、頬を真っ赤に染め、期待と恐怖で瞳を潤ませた僕だ。
「……怖いですか?」
「少しね。今でもこんなにドキドキして心臓壊れそうなのに、これ以上って思うと……っ、ア……ッ!」
ジルに乳首を甘噛みされて、堪らず淫らな声が出た。
悔しいっ。ちょっと前は、僕に乳首を舐められて興奮していたのは、ジルの方なのに。
彼に触られているだけで、ドクドクと早鐘を打つ僕の鼓動が、全身を覆っているのかというほど鳴り響く。愚息も涎を垂らしっぱなしだ。
ジルが僕の反応を見て、余計に嬉しそうにするから、尚更悔しい。僕もジルを気持ち良くさせたいのに。
ジルの手は僕の腰を下り、僕がこの日のために一生懸命『拡張』してきた場所へと伸ばされた。
「ぅあ……っ!」
Tバックの細い布越しに、ジルの指先が僕の入り口をなぞる。
ただそれだけのことなのに、腰が跳ねた。
「……すごく、柔らかいですね。ヒクヒクして、俺を誘ってる」
「ッ……、毎日、ジルのこと考えながら……っ、解してたからぁ……っ」
「そんなに煽ることばかり言って……、ミュラーさんは俺を試しているんですか? もう、我慢できませんよ」
ジルの声が低く、肉食獣のような響きを帯びる。
彼はそのまま、僕を優しく花のベッドへと沈め直した。
周囲では、下位精霊たちがキラキラとした鱗粉を僕たちの頭上に降らせている。
本来なら邪魔だと思うところだが、全く嫌な感じはしなかった。
この場所全体が、僕たちの行為を祝福してくれている。もしかしたら、イベント限定のバフやブーストが掛けられているのかもしれない。
ジルも手を止める素振りはなく、僕のTバックを奪い去ると、露わになった秘部に指を滑り込ませた。
「……ひ、あ……っ!」
熱い指先が、直接入り口に触れる。
自分の指とは違う、予測できない動きをする、確かな他人の感覚。
道中で使っていた『保湿保証アナトレ団子EX君』のおかげで、ぐちょぐちょに湿ったままだった僕の中へ、ジルはゆっくりと、まるで壊れ物を扱うような手つきで、指一本を忍び込ませる。
「……っ、ふ、あ……ッ…………」
ゆっくりと、けれど容赦なく僕の内側を押し広げていくジルの指。
ディルドなどで散々慣らしてきたはずなのに、ジルの指が触れる場所は、それとは全く違う感触を伴って疼き出す。
「苦しいですか?」
「……だい、じょうぶ。もっと、……もっと奥まで、ジルの指……いれてっ……」
僕は自分で自分の脚を持って大きく開き、ジルを誘った。
恥ずかしさよりも、はやくジル自身を入れてほしいという欲求が勝っていた。
ジルは僕の言葉に応えるように、指を二本、三本と増やしていく。
くちゅり。
クチュッ、クチュッと水っぽい音が止まない。
精霊の加護なのか、それとも僕たちが高揚しているせいか、僕の中は乾くどころか濡れてゆく。
そして、ジルの指は僕の一番感じてしまう場所を掠めた。
「ひぅ、あぁッ! そこ、イッ、前立腺……っ!」
「ここ、ですか……。すごい、ミュラーさんの中が絡みついてくる」
ジルの指使いは、初心な彼からは想像もつかないほど執拗だった。
普段の控えめな様子が嘘のように、僕を責め立て、快楽のスイッチを的確に叩いていく。
やがて、ジルは指を抜き去った。
内側がぽっかりと空き、安堵か切なさか、ハァッと息が溢れる。
だが、休憩するゆとりは無い。
代わりに、待ち望んでいたものを充てがわれ、僕は息を呑んだ。
「……っ、ミュラーさん……、俺は…………」
ピタリと僕の解された穴に添えられたジルの性器は、しかし、一向に挿入されなかった。
躊躇っている。やり方を知らないわけではないだろうに、踏ん切りがつかない。
「ん…………、…………ジル?」
熱く猛った性器は萎えていない。
それでも、ジルには何か躊躇する理由があるらしい。
察したが、僕にはそれが何か分からなかった。
でも、ジルが何か迷っている。
それだけで、僕が行動するには十分すぎる。
僕はジルの陰茎に手を添えると、導いた。
穴ではなく、僕の会陰部をジルの亀頭で撫でつけさせ、終点は僕の陰茎の上。
重なった陰茎は、比べると一目瞭然だ。
大きさもだが、ジルのは最早、重い。質量が違うのだ。
僕がディルドでシミュレーションしていたものよりも、遥かに太く、脈打つような生命力を感じる圧倒的な雄。
「ジル。僕もね、ジルが好きだよ」
「……っ、それ、は……」
僕は2つの陰茎を一緒に握り込んだ。
僕もキャラメイクの時に欲張ったから、2本だと両手を使っても一杯一杯で、少し笑える。
そう、僕は、ジルにも笑ってほしい。この状況を楽しんでもらいたい。
「こんな緊急事態じゃなくても、僕はジルとならセックスしてみたいって思うよ。でも、穴に入れるだけがセックスじゃないからね?」
「…………ッ……、ぁ、ミュラーさん……っ」
「アハッ……、ほら、最初にマ・ナイタ平野でヤった時は、ジルがこうやってくれたんだよ?」
あの時は、僕は遠慮してお互いのを手コキするだけで済ませてあげていたのに、急に「効率が良い」とか言って、ジルが一緒にチンコを握り合わせて擦るんだもん。
あれは驚いちゃったなぁ。
で、それと同じくらい楽しくて、嬉しかった。
「フフッ。また一緒に射精してみる?」
カウパーでべちょべちょのチンコから、にちゅっと音が鳴る。
ジルも、もっと脳みそ空っぽにして、えっちいことしようよ。
そんな気持ちで、手を使う。
「ッ、ミュラーさん、待って……っ!」
「ええー? ほら、僕ってジルを気持ち良くさせる使命があるからさぁ?」
「話しますっ、さっき挿入れるのを躊躇った理由! 待ってくださいっ、俺、今回の最初はミュラーさんの一番奥で射精するって決めてるんで、本当に待って……!」
ジルの言葉に、僕はピタッと手を止めた。
彼を気持ち良くして楽しませるのは僕の使命だが、それと同時に、童貞の矜持を守るのも僕の務め。
ジルは僕の手に自分の手を重ねると、心の内を打ち明けた。
「現実の話で申し訳ないんですが、俺、初体験が良い思い出じゃなくって……。初めて付き合った女の子に、……その、『大き過ぎて無理。凶器じゃん』って言われて、挿入する前に拒絶されたんです」
それをいまだに引きずっていて、先程も咄嗟に体が躊躇ってしまった。そう絞り出すようなジルの声。
あぁ、それで。
僕が迫った時にはR18を嫌がらない割に、自分からは消極的な理由。それが単なる経験不足ではなく、昔の傷だとは。
「分かっています。『ネオ・ヴァラニア』なら、この程度で致命的なことにはならないって。でも、それでも怖かったんです。ミュラーさんにも拒絶されたら……」
ジルの声は震えていた。
普段RPGをしている時は何でも卒なく熟すクセに、性は一夜目で躓いたままの少年。
僕は思わず身体を起こし、彼の背に両手回して抱きしめた。
「話してくれて、ありがとう。よしよし、大丈夫だよ、辛かったね」
「っ……、あなたは、本当に……ッ」
うんうん、たちが悪いよね。
抱きしめてキスをして慰めながら、それでも下半身を擦り付けるのを止めない。
話は大人しく聞いていた。
でも、「無理に大人の階段を上る必要ないよ」とは言ってあげない。
だって、ジルが望んでいるのは、逃げ続けることじゃないんだから。
「本当はジルも挿入れたいのに、僕を傷付けるのも怖いし、自分が拒絶されるのも怖いんだよね? うーん、解決策はいくつか思い付くなぁ。まず、僕がジルを襲って良いなら即解決。騎乗位させてくれたら一発だよ? そもそも前提が違うから。なんて言ったって、僕は傷付かないし!」
僕の軽口に、ジルの肩の力が抜ける。
緩く僕を抱きしめ返す余裕が出たのは、良い傾向だ。
僕はジルに胡座をかかせ、その上に跨って座った。もうこのままジルの童貞を貰っちゃいたいけれど、ちゃんと待つ。
「あ、あんまり俺を、子供扱いしないでください。……大丈夫です。俺だって出来ますから、俺にやらせてください」
「ンフフッ、じゃあ折衷案だ! 一緒にやろっか、初めての共同作業」
僕は、ジルの足を跨いで膝立ちになった。
そして、困惑するジルの手を取り、僕の臀部を鷲掴みさせる。
「ジルの好きなタイミングで、挿入れてね? 分かるでしょ、ここが僕の入り口」
グイッと広げられた後孔に、ジルの大きなチンコの鈴口をぷちゅぷちゅと接触させた。
「んあっ、……フフッ、エッチな音。ジルは、僕の中で射精せるかなぁ?」
「ッ……、そんなに挑発したら乗りますよ!? 俺だって、ミュラーさんを泣くくらい気持ち良くして善がらせたいって、思ってるんですから……っ」
「あはっ。何それ、めちゃくちゃ楽しみ。ンッ、いつでも良いよ、ジル……っ」
「くっ……、……」
ジルの腰が上がり、亀頭が僕の入り口にクグッとめり込んだが、僕がどれだけアナルを拡張したところで、挿入時の抵抗はヴァキナの比じゃない。
アナルの「自分は入り口じゃなくて排泄器官です」という主張に、ジルは一瞬怯んだ。
こういう時は、力を抜くのではなく、肛門に力を入れると良い。そうすると、盛り上がった菊門は薄らと口を開き、排泄器官のくせに、外からの侵入を簡単に許してしまうだ。
僕は自ら腰を落とした。
気付いたジルが慌てて僕を支えるが、彼の両手は僕のお尻を持っている。
グイッと尻たぶを乱暴にされて、アナルが形を変えた。
「ッ、ア゛……ッ! はっ、……ぁ……、……ジルの先っちょ、入っちゃたね……?」
「ウッ……、ミュラーさん……ッ!」
鍛えに鍛え抜かれた僕のアナルは、痛むどころか、ぎゅうぎゅうとジルのチンポに吸い付いて求愛している。
チンポの届いていない場所の方が、お恵みが無くて寂しいくらいだ。
「ぅあ゛……っ、これが、ジルのおちんぽ……、太ぉっ……! やば、イきそ……っ!」
一息に貫いてほしい。
けれど、ジルがそんなことをする訳はなく、僕が下に体重をかけようとすると、ジルの手は抵抗して僕の体を押し留める。
結果、挿入はゆっくり慎重に、ジリジリと行われた。
そんな焦らしプレイ、僕は練習していないのに。
「あ゛っ! ン゛っ、アアッ、だめぇっ……! ……ぅ、気持ちいいっ! イク……っ、いっちゃう……っ! ~~~~ーーッ…………!!」
カリ首がグポンッとアナルに入り切った瞬間、僕は達した。
A絶頂。おまけに、勃起チンコからどろっとしたトコロテン。
あー……、これ射精レベルも成長したでしょ。
濃いのが出たのに、チンコは全く萎えてない。むしろ、さっきより角度がついていて貪欲だ。
「ハアッ、ぁ、ジル抜かないでぇ……っ! 引かないで、もっとっ……」
「引けるわけないでしょっ! ハッ、何回でもイってください、俺がイかせますからっ……」
僕は、ジルの瞳に宿っていた不安が、剥き出しの情欲で上塗りされたのを見た。
ジルが不安になるように、僕だってジルに嫌われないか少し心配していたのに。ジルってば気付きもしないんだから、笑っちゃう。
淫乱で節操なくて、エッチ中うるさい僕で良いなら、何回でも見せてあげよう。
ジルの大きな手が、僕のお尻から腰へ移動し、がっしりと掴んだ。
「ミュラーさん。入れますよ、全部」
「……ッ、んっ、……入れてっ、……っぁ……!」
ジルが腰を上げるにつれて、僕の腰は下がっていく。
ミチミチと、肉と肉が隙間なく埋まっていくような強烈な圧迫感。
「ーーーーッ、……~~~~っ!」
僕がディルドでせっせと広げてきた場所が、ズププププと摩擦しながら、ジルによって完全に占領されていく。
「あ、ああああああッ! ン゛ッ……はっ、ジル……、ぅ、あ゛……っ、僕の中変わっちゃうっ、ジルの形になるぅ……!」
「……すごい、締まってるっ……。これがミュラーさんの中……、最高だ……」
ついに根元まで埋まった。
僕のお腹は余す所なくジルで埋め尽くされ、彼と接触していない場所はひとつもない。
繋がった。
それでも僕は、まだジルを欲している。
もっと、もっとジルが欲しい。底なしに彼を感じたい。
ジルの顔が近づき、僕達は再び深いキスを交わした。
これで、ジルの初体験は過去じゃなくて、今日になったよね?
挿入に怯えていた彼はもういない。僕に狙いを定めているジルは、性を知ったばかりの少年ではなく、ちゃんと大人の男の顔をしていた。
「……動きます」
「……っ、は、ぅ……、ぁああああッ!!」
ジルが腰を引くと、吸盤のように張り付いていた内壁が激しく摩擦し、ずるりと熱い肉棒が抜けていく。
僕が快感に叫んでもジルは止まらない。間髪入れず、今度は最奥の壁を貫くような勢いで、突き上げた。
「ひぅッ!! ア゛ッ……、んあ゛ぁっ、そこダメッ、壊れちゃうッ!!」
「壊しませんよ。骨の髄まで、ちゃんとミュラーさんを愛しますから……」
ジルの動きに迷いが消えた。
一突きごとに、僕の意識が白く塗りつぶされる。
新しい扉が開いて、スキルがどんどこ生えていそう。
「アナルが好きなんですよね?」
「ア゛ァッ、す、しゅきいぃっ……! ひっ、いぐっ、……またアナルでイっちゃうっ、アナルばっかりぃっ……!」
「良いですよ、ペニスもイって。P感度も上げましょうね?」
「んああっ……、ひ、ぅ、……ア゛ッ……!!」
「よしよし、良い子。ミュラーさん上手いですよ、その調子です。次は…………」
気持ち良すぎて意識が遠のく。
バチ、バチと肉がぶつかり合う音。
ぐぷぐぷと止まない淫らな水音。
全てが朧に聞こえる中で、それでも、ジルの声だけはハッキリと鮮明に響いた。
「一番奥に射精しますから、全部、中で飲み干してくださいね?」
蕩け切った頭で、僕は「はぁい」と返事をする。
周囲に漂う下位精霊の鱗粉が、僕たちの情交に呼応するように激しく輝きを増した。
視界の端に、システムログが高速で流れる。
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+8』
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+10』
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+11』
『下位精霊が祝福しています:春祭の花弁+4』
イベント? 脱出条件?
そういえば、そうだった。すっかり忘れていた。
でも、そんなのもうどうだっていい。
今、僕を貫いているものだけが、僕の世界の全てだ。
「ジル、ジル……っ! もっと、もっと奥まで……っ、ジルの好きにしてッ!!」
「っ、ミュラーさんッ……! ~~ーー……ッッ!!」
ジルのストロークがさらに深く、激しくなる。
終始、僕を気にしながらも、容赦なく僕の最奥を蹂躙し、絶頂の向こう側へと引きずり込んでいく。
ドプウゥゥッと注がれる、大量の精液。
脳の芯まで痺れるような快感が駆け抜けた。
「~~ーーッ……、は、……ぁ…………っ……」
「フーッ……、ハッ、…………ミュラーさん、大丈夫ですか?」
「うん、だいじょーぶ……」
快楽に翻弄され過ぎてヘロヘロだけど、全然平気。
疲労感が凄まじく、ジルにしがみついているのも大変で、全体重を預けたら心配されてしまった。
ここはR18-MMORPGだ。リアル以上に鮮明な感覚だが、そう錯覚しているだけで、仮にテクノブレイクしたとしてもバッドステータスがつくだけ。現実の肉体には何の影響もないのだ。大丈夫、イケるイケる。
「ジルも……、……って、ジルはまだまだ元気だね?」
僕の中の質量は変わっておらず、ジルは僕を抱えたまま、抜く気もなさそうだ。
僕の問いに、ジルは照れながら「まだ、ミュラーさんと一緒に居たいんです」と答えた。
「……ぬ、抜いたら、『セックスした』ことにされてしまいますよね?」
「んー……、脱出条件を満たしたからって、すぐにここを立ち去らなくても良いんじゃない?」
遠くでこちらを見守っていた精霊フローラへ目を向けると、彼女は即座に頷いた。気のせいかもしれないが、彼女も肌艶が良くなっている。
「この花園は、『精霊の春祭』の間、条件を満たした方であれば、どなたでも出入りできますのよ。勿論、貴方様がたはもう出ることも出来ますし、この場に留まるのも、ご自由になさって?」
精霊フローラの言葉に、下位精霊たちが飛び回り、『春祭の花弁』を花吹雪のように降らす。
もしかしなくとも、花園でのセックスはイベントアイテム収集の最高効率なんじゃないか?
……って、そんな美味しい話は流石に無いか。
でも、ジルも同じことを考えていたようで。
「あの。ミュラーさんさえ良ければ、イベント周回しませんか……?」
「アハハッ! 良いね、周回。ジルとなら今回のイベントも大歓迎」
「うふふ。では、わたくからも祝福を」
春風が吹き、僕達を花の香りと春の陽気が包み込む。
『バフステータス:花の精霊の加護が発動しました』
『感度上昇・持続力アップ・体力自動回復(小)』
花の精霊の加護。
短時間限定とはいえ、破格の効果だろう。
さらには、今までの疲労も無くなって、全快している。
精霊フローラはパチリとウィンクをすると、「どうぞ励んでくださいませ」と言い残し、花園の奥に咲く、大きな枝垂れ桜の方へと姿を消した。
……僕たちがこの花園を去るのは、もっと先になりそうだ。
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