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10.レイピア
ある晩、聞きなれた高いヒールの足音を聞き、オリヴァは扉の影に身をひそめた。
扉があいた瞬間、オリヴァは槍を振り下ろす。金色の髪が、ふわりと揺れた。アクセリアは身をかがめ、横へと転がり逃げる。槍先が床を叩いて、カランッと乾いた音。アクセリアは猫のように警戒したまま身を起こし、腰のレイピアを抜いた。
「久しぶりだな、魔女」
「ずいぶんなお出迎えだね。もしかして、わたしのことで頭がいっぱいだったんじゃないかい?」
「そうだ。おまえへの憎しみで血管が切れそうだ。何故、城に帰ってきているのに、私のところに来なかった?」
アクセリアは苦笑する。黒のタイトミニのドレスから、綺麗な生足が覗いていた。相変わらず、扇情的な姿だ。
「それはもちろん、わたしを恋しく思わせるためさ。あんたのガチムチな肉体をメス化して、わたしのことで頭をいっぱいにさせて、あんたをわたし色に染めるためさ。――怒ってるあんたはやっぱり魅力的だね」
「うるさい、戦えっ!」
「体力が有り余っているようだね。しばらく見ないうちに色気のあるいい男になったじゃないか。ところで、今のわたしは魔力が枯渇して、魔法が使えないんだ。見た目通りの可憐さに免じて、お手柔らかに頼むよ」
「ぬかせっ、おまえのどこに可憐さがあるんだ?」
オリヴァが右足を踏み込み、素早く槍先を突いた。
魔女も右足を踏み込み、高く掲げたレイピアの剣先をさげる。槍先を受け流し、右手で槍の柄を握り込んだ。
オリヴァは身の内から立ち上る歓喜に、口の端を上げる。
――この女、やるな。
戦える相手にまみえた高揚感が、久しぶりに彼を包んだ。アクセリアが左肩側で掴んだ槍をぐいっと外へ押し出す。
「ぐおおおっ!」
オリヴァは、剛力でアクセリアごと槍を持ち上げた。魔女は一瞬宙に浮いたが、もんどり打って着地する。間髪入れず、オリヴァの懐に飛び込んできた。
「くっ!」
オリヴァは顔の前に槍の柄を構え、レイピアの刃を弾く。左に払うと、アクセリアは身を屈ませ、左足の脛でオリヴァの左膝下を蹴りつけてきた。男は右足で何とか踏ん張る。すると、魔女は電光石火のごとく顔面に突いてきた。オリヴァはなんとか紙一重でかわすと、後ろへ飛ぶ。
アクセリアの攻撃はとにかく早い。体力で負ける彼女が、早く決着をつけたがっているようだ。寝室に二人の息遣いだけが、聞こえる。
「はあっ!」
オリヴァが右足を踏み込み、先手を取った。長い柄を伸ばして両者の距離が開いた状態で、槍を振り下ろす。アクセリアはレイピアのグリップを両手で握り、重い衝撃に耐えた。険しい顔も美しい。オリヴァは感動しながらも、なお力を込めて槍先を相手にぶつけた。
アクセリアは防戦一方になりながら、オリヴァの懐に潜り込めないか窺っている。自身の体力を失う前に、男の弱点を見つけなければならないからだ。その焦りが、彼女に一瞬の隙を生んだ。
瞬間、槍の柄が勢いよく、アクセリアの胴体を薙ぎ払う。
「ぐふ……っ」
大魔女は軽く吹っ飛んで、絨毯の上で動かなくなった。オリヴァはアクセリアを肩に担ぐと、ベッドに放り投げる。脇腹への衝撃に身体を丸め、深く息を吐く魔女は折れた小枝のように脆かった。
「ごほ……っ、ごほっ。乱暴はおよし」
「おまえの言えることか。この強姦魔が」
嗤えない冗談に、吐き捨てる。オリヴァはアクセリアの脇腹を指で押さえて、傷の具合を確認する。力は加減したので、骨に損傷はないはずだ。
寝台に横たわるアクセリアを前にして、オリヴァのなかに不埒な感情が沸きあがる。この肢体を前にして、ずっとやりたいことがあった。
オリヴァはアクセリアの足首を掴んでヒールを脱がし、しげしげと足を観察する。爪の先まで完璧な造形美。出来ることなら、この十指を一本一本を口に含んでしゃぶり、美しくも高慢な脚をオリヴァのあらゆる体液で汚したかった。だが、今はそれすら後回しにするほどアクセリアを欲している。一度交わって一カ月、触手に襲われながら、槍で鍛練しながら、彼はずっとこの女に飢えていたのだ。
オリヴァは、ミニのドレスを手荒く腰までめくり上げる。陰毛のない鼠径部があらわになった。自分で弱っているとアピールしながら下着をつけない魔女の無防備さに、ただもう腹が立って仕方がない。
「あ……っ、落ち着きなよ。ちょっと待ちな……っ!」
アクセリアの抵抗はもはや抵抗とは呼べなかった。マニキュアの施された華奢な手が緩慢な動きでオリヴァの肩を押すが、煽っているようにしか思えない。
「うるさい」
大きく開いた脚の中心で、女の性器が花開いていた。しかし、そこは乾いて準備もされておらず、ピンク色の中身がわずかに見えている。小さな穴だ。今、自分の男根を挿れたら、この女は悲鳴を上げて苦しむだろう。オリヴァが勃起するにはそれを想像だけで充分だった。彼が口をゆがませて自分のズボンを下すと、ボロンッと男性器が飛び出した。
「ストップ、ストップ! やらせてやるから、今日のところはわたしに任せな。こっちにだって準備ってものがあるんだよ。……あんたのは凶器だから」
オリヴァは、身体を起こそうとする魔女を無視して、太腿の裏側をわしづかみにして体重をかける。
「ま……っ、ぐぅ……っ!」
アクセリアが眉根を寄せる。苦悶に歪む美しい顔。壊してやりたい。支配したい。オリヴァの心に嗜虐的な欲求が湧いた。
「アクセリア、怖いか?」
いつかの魔女のように耳元で囁いてやると、彼女は無理やり朱唇をゆがませる。
「わたしが、何を怖がると? 笑わせるんじゃないよ、今はたまたま魔法が使えないから、人間の女みたいに準備をしないといけないだけで――痛……っ!」
扉があいた瞬間、オリヴァは槍を振り下ろす。金色の髪が、ふわりと揺れた。アクセリアは身をかがめ、横へと転がり逃げる。槍先が床を叩いて、カランッと乾いた音。アクセリアは猫のように警戒したまま身を起こし、腰のレイピアを抜いた。
「久しぶりだな、魔女」
「ずいぶんなお出迎えだね。もしかして、わたしのことで頭がいっぱいだったんじゃないかい?」
「そうだ。おまえへの憎しみで血管が切れそうだ。何故、城に帰ってきているのに、私のところに来なかった?」
アクセリアは苦笑する。黒のタイトミニのドレスから、綺麗な生足が覗いていた。相変わらず、扇情的な姿だ。
「それはもちろん、わたしを恋しく思わせるためさ。あんたのガチムチな肉体をメス化して、わたしのことで頭をいっぱいにさせて、あんたをわたし色に染めるためさ。――怒ってるあんたはやっぱり魅力的だね」
「うるさい、戦えっ!」
「体力が有り余っているようだね。しばらく見ないうちに色気のあるいい男になったじゃないか。ところで、今のわたしは魔力が枯渇して、魔法が使えないんだ。見た目通りの可憐さに免じて、お手柔らかに頼むよ」
「ぬかせっ、おまえのどこに可憐さがあるんだ?」
オリヴァが右足を踏み込み、素早く槍先を突いた。
魔女も右足を踏み込み、高く掲げたレイピアの剣先をさげる。槍先を受け流し、右手で槍の柄を握り込んだ。
オリヴァは身の内から立ち上る歓喜に、口の端を上げる。
――この女、やるな。
戦える相手にまみえた高揚感が、久しぶりに彼を包んだ。アクセリアが左肩側で掴んだ槍をぐいっと外へ押し出す。
「ぐおおおっ!」
オリヴァは、剛力でアクセリアごと槍を持ち上げた。魔女は一瞬宙に浮いたが、もんどり打って着地する。間髪入れず、オリヴァの懐に飛び込んできた。
「くっ!」
オリヴァは顔の前に槍の柄を構え、レイピアの刃を弾く。左に払うと、アクセリアは身を屈ませ、左足の脛でオリヴァの左膝下を蹴りつけてきた。男は右足で何とか踏ん張る。すると、魔女は電光石火のごとく顔面に突いてきた。オリヴァはなんとか紙一重でかわすと、後ろへ飛ぶ。
アクセリアの攻撃はとにかく早い。体力で負ける彼女が、早く決着をつけたがっているようだ。寝室に二人の息遣いだけが、聞こえる。
「はあっ!」
オリヴァが右足を踏み込み、先手を取った。長い柄を伸ばして両者の距離が開いた状態で、槍を振り下ろす。アクセリアはレイピアのグリップを両手で握り、重い衝撃に耐えた。険しい顔も美しい。オリヴァは感動しながらも、なお力を込めて槍先を相手にぶつけた。
アクセリアは防戦一方になりながら、オリヴァの懐に潜り込めないか窺っている。自身の体力を失う前に、男の弱点を見つけなければならないからだ。その焦りが、彼女に一瞬の隙を生んだ。
瞬間、槍の柄が勢いよく、アクセリアの胴体を薙ぎ払う。
「ぐふ……っ」
大魔女は軽く吹っ飛んで、絨毯の上で動かなくなった。オリヴァはアクセリアを肩に担ぐと、ベッドに放り投げる。脇腹への衝撃に身体を丸め、深く息を吐く魔女は折れた小枝のように脆かった。
「ごほ……っ、ごほっ。乱暴はおよし」
「おまえの言えることか。この強姦魔が」
嗤えない冗談に、吐き捨てる。オリヴァはアクセリアの脇腹を指で押さえて、傷の具合を確認する。力は加減したので、骨に損傷はないはずだ。
寝台に横たわるアクセリアを前にして、オリヴァのなかに不埒な感情が沸きあがる。この肢体を前にして、ずっとやりたいことがあった。
オリヴァはアクセリアの足首を掴んでヒールを脱がし、しげしげと足を観察する。爪の先まで完璧な造形美。出来ることなら、この十指を一本一本を口に含んでしゃぶり、美しくも高慢な脚をオリヴァのあらゆる体液で汚したかった。だが、今はそれすら後回しにするほどアクセリアを欲している。一度交わって一カ月、触手に襲われながら、槍で鍛練しながら、彼はずっとこの女に飢えていたのだ。
オリヴァは、ミニのドレスを手荒く腰までめくり上げる。陰毛のない鼠径部があらわになった。自分で弱っているとアピールしながら下着をつけない魔女の無防備さに、ただもう腹が立って仕方がない。
「あ……っ、落ち着きなよ。ちょっと待ちな……っ!」
アクセリアの抵抗はもはや抵抗とは呼べなかった。マニキュアの施された華奢な手が緩慢な動きでオリヴァの肩を押すが、煽っているようにしか思えない。
「うるさい」
大きく開いた脚の中心で、女の性器が花開いていた。しかし、そこは乾いて準備もされておらず、ピンク色の中身がわずかに見えている。小さな穴だ。今、自分の男根を挿れたら、この女は悲鳴を上げて苦しむだろう。オリヴァが勃起するにはそれを想像だけで充分だった。彼が口をゆがませて自分のズボンを下すと、ボロンッと男性器が飛び出した。
「ストップ、ストップ! やらせてやるから、今日のところはわたしに任せな。こっちにだって準備ってものがあるんだよ。……あんたのは凶器だから」
オリヴァは、身体を起こそうとする魔女を無視して、太腿の裏側をわしづかみにして体重をかける。
「ま……っ、ぐぅ……っ!」
アクセリアが眉根を寄せる。苦悶に歪む美しい顔。壊してやりたい。支配したい。オリヴァの心に嗜虐的な欲求が湧いた。
「アクセリア、怖いか?」
いつかの魔女のように耳元で囁いてやると、彼女は無理やり朱唇をゆがませる。
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