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革命

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ななは、ちょっと困ってしまった。

神様に連れてきてもらったこの国。
でも、この国に来た理由は元々

恋しい人に相応しい人間になるためだったのに
その人は、運命のいたすらで
並列時空間の、10年前に飛んでしまって

10年前に、別の女の子に心を奪われてしあっていたなんて(笑)




「なんのためにここに来たんだろ(笑)」

もう笑うしかない。

それに、日本に帰ろうにも
お金はないし、その日本は
経済停滞で飛行機も飛んでない。




「それは、ひょっとする加藤さんの発明のせい?」



とは思ったけれど、当人は10年前に逃避してしまって(笑)。



いま、こっちの世界にいる10年後の加藤に
「言ってもしかたないか。」



ななは、途方に暮れるしかなかった。



「とりあえず、修道院に戻って
しばらく厄介になろうかな」気楽な、ななである(笑)。





もときた道を、とぼとぼと
歩き始めた。



石畳を登って。


こんな時は空を飛ぼう、なんて気力も起きない(笑)。






日本で起こっていた事は、だいたい
日本の神様の予測通りで

枯れない自然エネルギーを手に入れたら
むやみに働きたいと思う人は少ない。



なので、外国の投資家は
日本の企業に投資しようと思わなくなったから日本の株式市場は冷え込んだ。
でも、日本の企業も
そんなに困らなくなった。

なにしろ、企業活動などしなくても

誰もが、枯れないエネルギーを持っているのだ。


会社を辞めて、好きな事をする人が増えたから


趣味の物を売る会社などは忙しくなったけど
なにしろ、働く人がいない(笑)。


勢い、企業は減って行き

個人で楽しみに商いをする人ばかりになった。


資本主義も衰退していく。


通貨などなくても、生きていけるのだ。



そういう理由で、日本の政府ですら
国の統治に興味を持たなくなった。

なにしろ、税収入がなくなるのだし
政府の人たちも枯れないエネルギーを
手に入れ始めたのだ(笑)。



無理に、政治のふりをして
お金儲けをしなくても良くなった(笑)。




下り坂をオートバイで飛ばすのは、登りより
難しい。

加速を続けないと、上手く曲がれないからで
下り坂で加速しながら曲がるのは
前のめりになってしまう姿勢からも、難しい事が解る。


RZ250くらいだと、もともと前輪が大きいので
それほど苦労なく曲がって行けるけれど。



楽しむバイクと、速く走るためのバイクは
違う、と言う事なのかもしれないけれど







のどかな北欧の山奥にも、極東の島国の
発明が遠く及んで来るのは、もう少し先
になるだろうけれど



とりあえず、今は平和だ。





オートバイもガソリンで動く。

そのガソリンは、地下資源を掘って
運んで、精製して。

経済原則で動いているから、その経済が
地球のどこかで変わってしまうと


やはり、どこかしら歪みが起こる。




坂道を、ゆっくりと下っていった
Naomiとれーみぃ。


のんびりと走っていると、2ストロークは
時々点火せずに4ストロークや6ストロークになるので(笑)


のどかで、それはそれでまた楽しい。


ぽんぽんぽん、と
のどかな
排気音を聞きながら坂道を下っていると

聞き覚えのある排気音、4ストロークの
軽い排気音が

峠の向こうから戻って来た。


YZFーR6、レイモンだ。


「なんで?」と、れーみぃが思っている合間もなく

R6のレイモンは、ふざけて「いーひぃ」と


れーみぃのお尻を撫でる振りをして、追い越して行った。


「おのれ!変態フランス人!」と、Naomiは
また、シフトダウンしてR6を追い掛けて行って(笑)



今度は、下り坂なので
R6も速い。


元々、RZVは下り坂が苦手なのだ。



れーみぃは、あっけ(笑)「あの二人、相性良さそう」 なんて言いながら
のんびりとRZ250のアクセルを開けたり、
戻したり。


その度にエンジンが、のどかに
ぽんぽん、ぱらん、ぱらん、と


言葉のように排気音を奏でるのが
楽しくて。



そうやって、れーみぃは


エンジンの音を楽しんだ。




Naomiは、レイモンを追い掛けた訳が
自分でも分からなかった。

れーみぃへの痴漢(笑)か

さっき、自分を誘っておいて
ほかの女の子へ手を出したから(笑)か。


理屈は、ともかく追い掛けたかったのだろう(笑)


オートバイで競争するのは楽しい。


スポーツだから。





でも、ここは道路だから。




さっき、峠で出会ったKawasaki Police1000の白バイが


木陰のカフェで、シトラスのスパークリングを
飲んでいた。



そこに、スピードを上げたR6と
それを追ったRZV。



フランクは、それに気づくと白バイに跨がってマイクを握り「飛ばすなー、捕まるぞ(笑)」


その声に気づいて、Naomiは急ブレーキ。


こうすると、捕まらない事も多い。

(笑筆者経験。無事故無違反17年です)





でも、レイモンは10000rpmを超えていた
R6のエンジンが煩くて、気づかなかった(笑
筆者経験。本当にうるさいです。壊れそうな音を立てるので)



そのまま、下り坂を行った。






スローダウンしたRZVのNaomiの後に、スパークリングを飲み終えたフランクが続き


一応、青いランプを光らせて。




その後に、ゆっくり下っていったれーみぃのRZ250が続く。



「あー、お嬢さん?この先にね取り締まりがあるから。スピードガンの」と、フランクはマイクで言う。


路肩にRZVを止めたNaomiは、ありがとう、と
言った。



れーみぃはついてきて、路肩に停めて「でも、罰金で儲からないよ?」と言うと
フランクは笑って「俺の給料は変わらないもの」



と言うと、Naomiもおかしくて笑った。



青い空に、そろそろ夕暮れ色が写る日曜日。


レイモンは捕まったのかな(笑)




れーみぃは、RZ250に乗ったまま
家に帰った。


大きな庭に、ぽろんぽろん、と
軽快な排気音を立てて。



「ただいまあ」と、のんびりと
声を出すと、白いお家の
重厚なマホガニィのドアが開いて


ママが出て来て「そのオートバイ、どうしたの?」



れーみぃはにこにこと「借りたの。お友達に」


ママものんびりと「そぉ、でもオートバイは
危ないわ」




「乗って見たかっただけよ。アタシね、
ハイウェイパトロールになりたいの」




ママは、少し真面目な顔になって「お巡りさんなら、大学を出てからでも.....」


そう言って、気が変わるのを待つつもりなのだろう、と
れーみぃは思う。



でも、逆らう事もないから「そういう考えもあるわね」と
願書を出した事は、黙って(笑)





お庭、ではなくて

屋根のあるガレージへ
エンジンの音。


12シリンダの重厚なサウンドだ。





「ただいま」


れーみぃのパパは、貿易をしているので
オートバイにも詳しい。



「おお、ヤマハか。いいオートバイだな」と、にこにこ。



「借りて来たの」と、れーみぃはにこにこ。



そうか、とパパはにこにこし



「保険には入っているけれど、ほしかったら
自分のバイクを買った方がいいな」と、パパ。



「ずいぶん気前がいいのね」と、れーみぃは笑う。




パパは、ちょっと謎めいた微笑みで「日本のオートバイは値上がりするぞ」と。




日本の経済が停滞していくのが、貿易をしているれーみぃのパパにはわかる。


それなので、今のうちに日本の製品を買っておけば、
値上がりして儲かる、と言う(笑)。



尤も、この国は共和国だから
売却する時にたっぷり税金を取られるので
あくまでユーモア、である(笑)。





そんなふうに、遠い北欧まで
日本経済の停滞は影響する。
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