科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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可愛い愛紗

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のんびり寝ていた加藤は、PHSの
かっこうの声で起こされた感じになった。

けれども、声がかわいい愛紗のものだったので
和んだ。


「お休みだったんですね、すみません先生。
バスの仕事は不規則なので。」と
かわいい声で言われると断れない(笑)。



そういうものだ。



「いや。寝坊していたから。バスの仕事は
私もした事があるからよく分かる。観光バスは大変だろう」と、加藤は思い出しながら言った。



「はい。ガイドは特に、運転手さんにも
気を使うし、鬼教官にも(笑)」と、愛紗は
明るい。


「そうだね。観光は特に
封建的だから」と、加藤が言うと



愛紗の口調が砕け「そうそう!やらしい運転手さんもいるし、困っちゃうの」明るい声からは
眠れないで幻を見るって感じには程遠い(笑)

誰かと話をしたかっただけかもしれない。

地方から出てきて、寮でも会社の延長みたいで
看護師とかと似ていて、バスガイドって
貧しい田舎からの集団就職、みたいな
雰囲気が残っていたりする。


その事を、加藤は実感していた。


でも今は、働かなくてもいい世の中になったから
実家に帰ればそれでいいのだが、と
加藤は思う。


「BJ先生?」 と、愛紗はかわいらしい声で
言うので

自分を呼ばれたとは加藤は気づかなかった(笑)


BJ、と言うのはネットの上で
いつのまにかそう呼ばれたのだが

20代の頃、ギタリストだった加藤は
そう呼ばれていて
それを知っている読者のひとりが、そう呼びはじめて
そうなってしまっていた。

four seasonsのレコード会社の
名前でもあったし

barnie、と言うスパイ大作戦の
キャラクターと
joker、貧乏くじ、と言う隠語が
重なったものだったりした。


「いや、失礼。幻を見るんだったね」と
加藤が言うと


愛紗は「はい。夜遅く車庫に帰ると
必ず見るんです」と、あまり怖そうに
聞こえないのだが(笑)。


「どこの車庫かな?」加藤は、少し奇妙に思って
訪ねてみる。



「富士山急行の本社です」愛紗は
愛らしい声で言う。


加藤も、そこは行った事があるが


広い田畑の中にある車庫で、あまり不気味な
感じはしない。

怖い怖いと思っていると見える事もある。



「今日はお休みなの?」加藤は、少し
気になる事もあって、そこに行ってみようかとも思った。


「はい。オフシーズンなので暇ですし」と、愛紗は言う。



「ただ、眠れないのと幻とは違う原因かもしれないね。時間が不規則だと、いつも半分眠い
ような事があるから、それで幻を見る事もあるけれども」と、加藤は言葉を止める。


「他に原因って、どんな事ですか先生?」




「同じ場所で見るのは、何か印象がその
場所にあるとか。そうだね、今日の都合が良かったら、どこかで甘いものでも頂きながら
話そうか」と、加藤が言うと


「ありがとう、先生。優しいんですね。
ガイドのお友達も一緒でいいですか?」愛紗は
楽しそうにも見える(笑)


寮と会社の缶詰生活で、息抜きもしたいだろうし

ひとりで男と会うのは、少し怖いのもあるのだろう。

19才の女の子である。

「ああ、いいよ。連れておいで。
富士山急行の寮だったら、近くにマクドナルドがあるね。あそこで待ち合わせでどうかな。」と、加藤は言うと


「先生、慣れてますね。ふふ」と、愛紗は
楽しそうだ。


本当に相談なのだろうか(笑)と
加藤は思ったが
若い女の子は、どんな時も楽しそうなものだ。

ある種の躁状態と言ってもいい。


それが普通なので、そんなに変でもないが。
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