科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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憧れ

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国道沿いにある甘味処は
ひっそりと静か、高級感のある店で
エネルギー革命の後、誰でも
楽に暮らせるようになった後では
相対的に、より高級店になった感もあって
より、ひっそりとした感じもある。

働かなくても暮らせるとは言っても
それは、暮らせると言うだけの事である。


「深夜まで働かなくても、もういいんでしょ?
」加藤は優しくふたりに言う。

静かな庭園を眺める、窓辺の席で
静かに、名雪は「バスガイドって、憧れの
仕事だったんです。それで、鹿児島から
出てきて」と、言うと

わたしは宮崎です、と
愛紗。


そういえば、ふたりとも
伸びやかな感じがする。

人の少ないところで、明るい
お日様に育まれた、そういう感じ。


声も綺麗で、言葉も丁寧。


都会に住んでると、周りが騒々しいし
人を気遣ってる余裕がないから
早口で乱暴、声も大きくなったりするけれど

そういう事だと、バスガイドさんには
なれないらしい。

一流の仕事ってそういうものだ。



加藤の居る研究所でも、威張ったり
横柄だったりするのは
研究者としては三流以下だ。


理由は簡単で、そういうエネルギーを
使わないのが研究者で

研究するのが好きだから、楽しくて仕方ない。

威張るなんて面倒で、と言うのが

普通の研究者であり

落ちこぼれて仕事がない人が
威張ったりするのだ(それは、サラリーマンでも同じだけれども)。




「バスガイドさん、って憧れなんだね」加藤が微笑んで言うと



「はい。飛行機や、新幹線のCAに
似てるけど」と、名雪は言って



「あっちはとても無理だもの」と、愛紗は
笑顔になった。

「そんな事もないと思うけど」と
加藤は笑顔を返して



白玉のお団子を、つるり。
冷たい感触が心地好い。

愛紗はクリームあんみつ、名雪は
フルーツParfait。


洋風のものもある(笑)面白い店だ。


貨幣でも払えるが、エネルギーでも
払えるところが面白い。


日本で使うなら、いまのところ日本円でも
使えるが


ゆくゆく、日本銀行が
機能を停めるだろうから

その後は電力量だけの取引になるはずだ。



相場もない、貯蓄もあまり出来ないが
代わりに無尽蔵なエネルギーが
永久に得られる事になる。



なので、
贅沢をしなければ楽に、野生動物のように
生きていける。



ただ、それまでの都市生活的な楽しみを
得るには
何か、仕事をして報酬を得る事も
いい手段だ。



鉄道やバス、警察や医療は
相変わらず必要な仕事でもあったし

働く人が減った分、仕事は増えていた。



そのせいで、比較的
いい報酬が得られるが
危険な仕事である事に変わりはない。
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