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ファンタジーが愛

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でも加藤は、恵まれているのだろう。
愛ってファンタジーだから、と
割り切って考えられる。


叶の談話では「普通の男なら、性の欲求で
思考ゼロになる事がある」と言うのだが(笑)

そうかねぇ(笑)と、実感できない加藤である。



ずっと、音楽がそばにあったから
1960年代、アメリカンポップスの中で

Be、my、babyとか、言われても
それが即物的には感じなかったし
メロディーに乗ると、抽象的に
快いものになる。



1970年代に、オーストラリアのアイドルに
Honestly、love、youと
言われても


そのあと、現実に起こる事は

想像しなくて済む(笑)。



音楽って意味がないのだ。



1980年代になって、松田聖子みたいな
アイドルが、1960年代のポップスみたいな
曲を歌って、加藤も
快いと思っていたりしたけど

現実の松田聖子さんが、どんな人か、なんて
興味もなかった(笑)。


叶が「あんなの嘘」って言っても
元々曲の中のファンタジー、なんだから(笑)って



どこにでも、ありもしない空想だから
楽しいんだ、って


そう思っていたり。



なので、友梨絵に引き込まれて


愛、って言葉を
地上に定義しようと思っても



どうも、合わないような(笑)
そんな気持ちだった。

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