関東電力殺人事件

深町珠

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名古屋刑事の話

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名古屋刑事の話では、会長殺人の真智子実行犯説は
あっさり否定された、との事。

拍子抜けした輝彦だったが、捜査では
東京発の「サンライズ瀬戸」が22時に発車した後
真智子の個室ドアの鍵は閉じられたままだった。
高松駅に到着した後の車掌の点検では
ドアは開かれていた。

暗証番号でロックするタイプの鍵なので
車掌以外には、真智子のみ開錠が可能。

つまり、東京駅で降りたとしても、どこかで
鍵を開ける為に乗らないといけない。


飛行機は既に最終が出てしまっている。
翌朝、羽田から飛び立っても岡山に「サンライズ瀬戸」より
早く着く事は出来ない。


つまり、不在証明成立。


輝彦は尋ねる「でも、組織的に行っていたとしたら。」
暗証番号を誰かに伝えて、乗客を装っただれかが
鍵を開けておいた、としたら偽装完了でしょう。

そういうと、名古屋刑事はばつが悪そうに
「それで、あんたが疑われた」


輝彦は笑った。そんな馬鹿な。と。

「でも、刑事局長の弟さんだから疑われないと言うのも
妙で」と、名古屋刑事は言う。


それは確かにそうだ。



「でも、池田湖の遺留品に切符があったんでしょう」と
輝彦は尋ねる。


「そう。なのに、上司は自殺、として
会長殺しの実行犯で処理したがっているから」

名古屋刑事は、真実を探して
公休日に臼杵まで来た、と言う。


輝彦は思う。

その隠蔽は、誰の意図か?


過去の電力会社女性幹部殺害事件の時のように
不自然な隠蔽だ。


今回も、電力会社の経営陣二人が相次いで殺害された
時、領土紛争が起き
世間の視線がそちらに集中した。


意図的に起こした事件、とも思える。


そして、原発利権にしがみついていたいのも
その、領土に拘る右翼系、元の政権政党だ。


利害は一致している。動機にはなる。



そして、もうひとつ。


その、サンライズ瀬戸に乗った真智子は
本物かどうかは、名古屋刑事も輝彦も

確証がないのだ。


何も知らずに替え玉を頼まれ、殺される直前まで
気づかなかったのかもしれない。



「うーん、難事件だな」と、名古屋刑事は唸った。


とりあえず輝彦の依頼された「真智子の潔白」は
証明された訳だが。


それを、とりあえず真智子の母親に知らせてあげよう。
輝彦はそう思った。



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sent fro



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