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mikado
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「でも、帝って なんだろう。」
詩織は、ふとそう思う。
1000年前なら、天皇か、武将。
今は・・・・。
統治する存在=帝 かな、とも思う。
それなら、あちこちの国に帝、のような存在があって。
「よその国から、お妃になってください、ってラブレターが来たりして。」と
詩織は、26歳らしい空想をする。
そんな事、高校生の頃も珠子にはあったような気がする。
映画女優が、遠い国のお妃になったり。
お妃でなくても、F1レーサーが
別の国の女優を見初めたり。
そういう事は、よくある。
「・・・わたしも、外国に憧れたっけ。」と
高校生の頃を回想して、すこし気分が和む詩織。
「そういう、神様が神隠しするならいいんだけど。」
神さまが行うから、神隠し。・・・・・帝と神が別だったら、
お妃になりたくない人を隠す、かもしれないね、と
詩織は思う・・・・。
ミズクラゲの飼育室に戻ろうとした詩織は、生物社会学資料室から
出て。
古びた廊下を歩く。
ここは、昔の学校のように
木造の床だ。厚い板が張られて
そこに、ワックスを掛けてある。
合板を貼って、古くなったら取り替えると言う思想ではないので
長持ちするけれど、メンテナンスが必要。
昔ながらの考え方である。
廊下を静かに歩いていると、傍らの一室に
先ほどの名誉教授さんの小部屋があった。
「偉い方だったなんて。」と、少し微笑んでいる詩織。
気負いがなくて、穏やかで。
いい人。
「ああいう帝だったら、私でもお妃になってもいいな、と思うけど。」と。
それは心の問題である。
安心できる人。それが一番ね、とも。
「珠乃家だったら、お父さん、おじいさんかな。」詩織は微笑みながら
廊下を歩き、玄関から外に出た。
・・・珠子、幸せね。
友達の幸せは、詩織の幸せ。
「碧ちゃんは、一生懸命に願ってたね。珠子の幸せ。」
生態学研究棟に向かうと、あの、珠子の遺伝子解析を頼んだ
准教授と、並木道ですれちがったので
詩織は挨拶をした。
准教授は、朗らかに「やあ。」
詩織は「ありがとうございます。先日は。」
准教授は「いやいや。あのサンプル、貴重だね。ホント。」と。
詩織は「何かわかりましたか?」
准教授は「うん。まだはっきりはわからないけれど。
遺伝子のね、複写をするシステムが少し違うようだ。」
ふつう、遺伝子は長さが決まっているので
比喩的に言えば、壁に突き当たる時に
複写が始まって。
それで、細胞が生まれ変わる。
詩織は、よくわからない。「普通の人と違うという事ですか?」
准教授は「いやいや、そこまでの違いではないんだ。
構造は同じだから。出来上がった細胞を見ても判らないけれど。
その複写のシステムのおかげで、若々しい。ようだね。」
そのシステムが、放射線などの電磁波から
細胞の老化を防いでいる、と言う仮説である。
「なぜ、そうなったのでしょう?」と、詩織は素朴に。
准教授は「そこまではわからないな。今の段階だと。研究のテーマとしては
面白いけれどね。発表はできない。」と、笑って。
詩織は「なぜですか?」
准教授は「サンプルの出所を明らかにしないとならないもの。」
詩織は「・・・そうですね。」
研究を続けると言う准教授と別れ、詩織は自分の飼育室に戻る。
ミズクラゲ、ふわふわ。
それを見ているだけでも、なんとなく和める。
ありのままの生き物って、いいものだ。
詩織は、ふとそう思う。
1000年前なら、天皇か、武将。
今は・・・・。
統治する存在=帝 かな、とも思う。
それなら、あちこちの国に帝、のような存在があって。
「よその国から、お妃になってください、ってラブレターが来たりして。」と
詩織は、26歳らしい空想をする。
そんな事、高校生の頃も珠子にはあったような気がする。
映画女優が、遠い国のお妃になったり。
お妃でなくても、F1レーサーが
別の国の女優を見初めたり。
そういう事は、よくある。
「・・・わたしも、外国に憧れたっけ。」と
高校生の頃を回想して、すこし気分が和む詩織。
「そういう、神様が神隠しするならいいんだけど。」
神さまが行うから、神隠し。・・・・・帝と神が別だったら、
お妃になりたくない人を隠す、かもしれないね、と
詩織は思う・・・・。
ミズクラゲの飼育室に戻ろうとした詩織は、生物社会学資料室から
出て。
古びた廊下を歩く。
ここは、昔の学校のように
木造の床だ。厚い板が張られて
そこに、ワックスを掛けてある。
合板を貼って、古くなったら取り替えると言う思想ではないので
長持ちするけれど、メンテナンスが必要。
昔ながらの考え方である。
廊下を静かに歩いていると、傍らの一室に
先ほどの名誉教授さんの小部屋があった。
「偉い方だったなんて。」と、少し微笑んでいる詩織。
気負いがなくて、穏やかで。
いい人。
「ああいう帝だったら、私でもお妃になってもいいな、と思うけど。」と。
それは心の問題である。
安心できる人。それが一番ね、とも。
「珠乃家だったら、お父さん、おじいさんかな。」詩織は微笑みながら
廊下を歩き、玄関から外に出た。
・・・珠子、幸せね。
友達の幸せは、詩織の幸せ。
「碧ちゃんは、一生懸命に願ってたね。珠子の幸せ。」
生態学研究棟に向かうと、あの、珠子の遺伝子解析を頼んだ
准教授と、並木道ですれちがったので
詩織は挨拶をした。
准教授は、朗らかに「やあ。」
詩織は「ありがとうございます。先日は。」
准教授は「いやいや。あのサンプル、貴重だね。ホント。」と。
詩織は「何かわかりましたか?」
准教授は「うん。まだはっきりはわからないけれど。
遺伝子のね、複写をするシステムが少し違うようだ。」
ふつう、遺伝子は長さが決まっているので
比喩的に言えば、壁に突き当たる時に
複写が始まって。
それで、細胞が生まれ変わる。
詩織は、よくわからない。「普通の人と違うという事ですか?」
准教授は「いやいや、そこまでの違いではないんだ。
構造は同じだから。出来上がった細胞を見ても判らないけれど。
その複写のシステムのおかげで、若々しい。ようだね。」
そのシステムが、放射線などの電磁波から
細胞の老化を防いでいる、と言う仮説である。
「なぜ、そうなったのでしょう?」と、詩織は素朴に。
准教授は「そこまではわからないな。今の段階だと。研究のテーマとしては
面白いけれどね。発表はできない。」と、笑って。
詩織は「なぜですか?」
准教授は「サンプルの出所を明らかにしないとならないもの。」
詩織は「・・・そうですね。」
研究を続けると言う准教授と別れ、詩織は自分の飼育室に戻る。
ミズクラゲ、ふわふわ。
それを見ているだけでも、なんとなく和める。
ありのままの生き物って、いいものだ。
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