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みずくらげ
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詩織はふと、珠乃家が
ミズクラゲの生態に似ていると、連想した。
ミズクラゲは、幼い頃はつながっているが
やがて、離れて。
寿命が来ると帰ってきて、ふたたびつながり
新しく生まれ変わる。
珠乃家が、ミズクラゲのコロニーのようなものなら
ここから出て行けば、それで次の幼体が出て行ける。
そういう空想だと、この町から出て行けば
珠子に危険は訪れない事になるーーーー。等と。
この町全体がそうなのかもしれない。と更に空想は続く。
そうだとすると、何か「意思」があるように思えてきたりもする。
「さ、支度出来たけど。今日行く?」と、碧。
午後3時である。まだ新幹線はあるが。
神流は「どちらかと言うと、早い方がいいかもしれないですね。」
詩織も「そうね。後は任せて」と。詩織の空想だと、ここに定住しなければ
問題がない事になる。
珠子は「じゃあ、行こうか」と、意外に軽快である。
心のどこかでは、このお店に縛られるのが重圧だった事は
否めない。それで人間である。自然な感情だと思う。
詩織は、その表情を見て思う。
不在のお母さんの代わりをしないと「ならない」と
思い込んでしまったので。
どこかで、解放してあげたいと
お母さんが思っているのかもしれないーーーなどと。空想した。
それが、珠乃家の意思かもしれない。
ふつう、男系の家族だと
そうして女の子は解放される。
それで、お嫁さんが来て、新しい代が始まるけれど
だけど、この代は
男の子が生まれなかったから
ちょっと、珠子は可哀想な事になった。
そんな風に、ひとは経験を覚えるから
珠子は、偶々母が居なくなってしまって
空想上の母の優しいイメージをずっと、思っていて
それで、空想の母が喜ぶように、と
いい子を演じ続けている。
ひとの行動も、ほとんどはそういう役割を演じているだけだ、と言う説もある。
実際、社会って不自然だから。演じる事が苦しい事もある。
珠子もそうである。体はおそらく苦痛なのに、心が命じる。人間は不思議である。
碧の母が、碧に煩く指図するのもおかしな行動なのに
心がそう命じる訳である。
判り易い話であるが、生き物としては子供を作れば
機能は終えた訳であるし、子供が育って
親と同じくらいの能力を持てば、もう別個の人間である。
そうして、離れて欲しいと動物的な行動様式が命じる訳であるーーー。
家族が定住して、20年以上同居するのであれば
そこには、動物的な行動様式だけではなく、人間的な行動、例えば
思いやりや、愛のようなものが必要なのである。
「お父さん、お祖父ちゃん、言ってくる。ごめんね、迷惑かけて。」
珠子の祖父は、穏やかに「気をつけてね。」
珠子の父は「ご迷惑をお掛けします」と、神流、碧、詩織に頭を下げた。
碧は「なんかお嫁入りみたいね。」と。
明るい。
その一言で、みんな和める。いい子である。
珠子自身は、それまでは落ち着いていたが
なんとなく淋しくなったのか、すこし涙ぐみはじめた。
神流が「よしよし」と。撫でてあげて。
どことなくお姉さんタイプである。
珠乃家を、振り返りながら4人は歩く。
アーケードの方へ行くと、みんなに会ってしまって
別れづらくなるから、と
反対の方へ。
なんとなく、黙って歩いて。
川沿いのお地蔵さんの所で、珠子はお地蔵様にお祈り。
また、歩き出す。
「4人で歩くって、あんまりなかったね。そういえば」と、詩織。
「詩織ちゃんテニス部だったから」と、神流。
何か言おうと珠子が思ったけど、言葉が見つからないーーー。
川沿いを歩いて、路面電車の停留所の方へと向かった。
その時、珠子はふと、空気が重いような気がした。
「?」
見上げた空は、どこか、果てしない。
周囲は、よく判らない空間。
「あれ?」どこ、ここ・・・。
碧は、珠子が居ない事に気づく「!」。
詩織と神流は、見ていたものの
一瞬に消え去ったようにも見えて。
言葉を失っていた。
ミズクラゲの生態に似ていると、連想した。
ミズクラゲは、幼い頃はつながっているが
やがて、離れて。
寿命が来ると帰ってきて、ふたたびつながり
新しく生まれ変わる。
珠乃家が、ミズクラゲのコロニーのようなものなら
ここから出て行けば、それで次の幼体が出て行ける。
そういう空想だと、この町から出て行けば
珠子に危険は訪れない事になるーーーー。等と。
この町全体がそうなのかもしれない。と更に空想は続く。
そうだとすると、何か「意思」があるように思えてきたりもする。
「さ、支度出来たけど。今日行く?」と、碧。
午後3時である。まだ新幹線はあるが。
神流は「どちらかと言うと、早い方がいいかもしれないですね。」
詩織も「そうね。後は任せて」と。詩織の空想だと、ここに定住しなければ
問題がない事になる。
珠子は「じゃあ、行こうか」と、意外に軽快である。
心のどこかでは、このお店に縛られるのが重圧だった事は
否めない。それで人間である。自然な感情だと思う。
詩織は、その表情を見て思う。
不在のお母さんの代わりをしないと「ならない」と
思い込んでしまったので。
どこかで、解放してあげたいと
お母さんが思っているのかもしれないーーーなどと。空想した。
それが、珠乃家の意思かもしれない。
ふつう、男系の家族だと
そうして女の子は解放される。
それで、お嫁さんが来て、新しい代が始まるけれど
だけど、この代は
男の子が生まれなかったから
ちょっと、珠子は可哀想な事になった。
そんな風に、ひとは経験を覚えるから
珠子は、偶々母が居なくなってしまって
空想上の母の優しいイメージをずっと、思っていて
それで、空想の母が喜ぶように、と
いい子を演じ続けている。
ひとの行動も、ほとんどはそういう役割を演じているだけだ、と言う説もある。
実際、社会って不自然だから。演じる事が苦しい事もある。
珠子もそうである。体はおそらく苦痛なのに、心が命じる。人間は不思議である。
碧の母が、碧に煩く指図するのもおかしな行動なのに
心がそう命じる訳である。
判り易い話であるが、生き物としては子供を作れば
機能は終えた訳であるし、子供が育って
親と同じくらいの能力を持てば、もう別個の人間である。
そうして、離れて欲しいと動物的な行動様式が命じる訳であるーーー。
家族が定住して、20年以上同居するのであれば
そこには、動物的な行動様式だけではなく、人間的な行動、例えば
思いやりや、愛のようなものが必要なのである。
「お父さん、お祖父ちゃん、言ってくる。ごめんね、迷惑かけて。」
珠子の祖父は、穏やかに「気をつけてね。」
珠子の父は「ご迷惑をお掛けします」と、神流、碧、詩織に頭を下げた。
碧は「なんかお嫁入りみたいね。」と。
明るい。
その一言で、みんな和める。いい子である。
珠子自身は、それまでは落ち着いていたが
なんとなく淋しくなったのか、すこし涙ぐみはじめた。
神流が「よしよし」と。撫でてあげて。
どことなくお姉さんタイプである。
珠乃家を、振り返りながら4人は歩く。
アーケードの方へ行くと、みんなに会ってしまって
別れづらくなるから、と
反対の方へ。
なんとなく、黙って歩いて。
川沿いのお地蔵さんの所で、珠子はお地蔵様にお祈り。
また、歩き出す。
「4人で歩くって、あんまりなかったね。そういえば」と、詩織。
「詩織ちゃんテニス部だったから」と、神流。
何か言おうと珠子が思ったけど、言葉が見つからないーーー。
川沿いを歩いて、路面電車の停留所の方へと向かった。
その時、珠子はふと、空気が重いような気がした。
「?」
見上げた空は、どこか、果てしない。
周囲は、よく判らない空間。
「あれ?」どこ、ここ・・・。
碧は、珠子が居ない事に気づく「!」。
詩織と神流は、見ていたものの
一瞬に消え去ったようにも見えて。
言葉を失っていた。
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