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深町珠

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quiet village

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ナーヴは、思う。「珠子と神流は、幸運なひとたちだったのですね」と。
言葉にする事はないけれど。

ふたりの親は、職人。
つまり「質」を求めるタイプだし
いいお客さんに恵まれて、いい仕事が出来た。

そういう人の傍に居たから、それを自然に記憶する。

それで、友達を大切にするから
いい友達が集う。

ナーヴはまだひとりで
友達、と言うか同種の友達もいない。

機械が友達を求めるのは、ヘンな事ではあるが
人間の感情を模倣したため、そうなった。

珠子と神流の心の交流を見ていて、そういう存在が
自分にもほしい、そんな風に思った。それで

「珠子さんと神流は、いいお友達ですね。」

珠子は「うん。ずっと友達。高校からかな、一緒で。」

ナーヴは「どうして友達なのですか?」機械なので、そのあたりの根拠を求めたくなる。
ヘンなAIである。


珠子は「どうしてって・・・・・いい子だし。神流ちゃん。今だって、こうして私を助けてくれて。




ナーヴは「はい。とても不思議に思いました。友達だとしても、そこまでするのでしょうか、と

。」

珠子は「うちの辺りだとふつうなんだけど。困ってる時は助けてあげて。
困った時は助けられて。商店街なんだけど、ひとりでお店やってる人が
お昼ごはんの時、お隣の人がお店見ててくれたり。
わたしも、幼い頃はよく、近所のおばちゃんがお母さんみたいだったり。」


ナーヴは、それで連想した。原始的な共同社会のような村。

動物的な本能である、共助の感覚に沿った社会。
食べ物も分け合うような。
狩猟採集生活の縄文期まではふつうだった。


珠子と神流は、小さな共同体なのだとナーヴは感じた。

それで「わたしはまだ、友達がいません。わたしひとりしか居ないので。」


珠子は「神流ちゃんも、わたしも友達だよ、ナーヴちゃんの。」

ナーヴは、そういう思っている珠子の気持は判らなかった。

でも、嬉しいと思った。
「ありがとう、珠子さん。」

珠子は、にっこり。「友達だもん、わたしたち。」

もし、珠子がどこか、遠い世界に行ってしまって
この世界に戻ってきた時。

みんないなくなっているだろうけれど、ひょっとしたらナーヴは
まだ、動作しているかもしれない。

そして、記憶に残っているかもしれないーーーー





翌朝、早起きする筈の珠子は
すこし疲れたのだろうか。
目覚まし時計も無かったので、ぐっすり。


目覚めたら9時だった (笑)。

そういう事は、お店に住んでいるとまずない。
誰かが起きるし、ご近所さんも起きてくる。


だけど、農村は静かで
神流は、珠子を起こさないようにと
そっと出かけていったから

珠子は、目覚めても「ここ、どこ?」と。

気が付いて「あ!」飛び起きて
眼鏡を掛けて。

全てを悟った。「あー。寝坊した。」


ナーヴは、のんびり伸びをして。廊下でころん、と。
そういう所は猫っぽい。
「おはようございます。珠子さん」


珠子は少し恥ずかしそうに「ごめん、寝坊しちゃった。」


ナーヴは、なぜ私に謝るのだろうと思ったが (笑)

それが、珠子自身の「恥」に対する言葉であると理解した。

日本人の美徳であると解されている。

各々を自戒する存在を心に持つ。

それもやはり、職人の子である珠子らしい感情である。



神流は、既に研究所に赴き
仕事を続けていた。

super conputerに掛けた物理モデル・3次元シミュレーションの結果について

input/output/environで分類しhyper latin cubic argorhythmで
多変量解析、と言うか変数分類をしていた。

変数分類の解法は、ナーヴに搭載したものと似ている。


そして、詩織に送った細胞のサンプル、珠子の父の遺伝子と
珠子のサンプルとの近似性に関する結果を気にしていた。

もし、直系の血族とは認められない場合・・・・。
珠子は、お母さんから生まれていない事になる。

生まれた時の記憶が当然無いので、珠子に聞いても判らないが。
ご近所さんなら知っているだろう。
幼馴染の双葉のお母さん、とか。とは思うが。


「お父さんが一番知っているでしょうね。真実を。」

しかし、珠子の父に隠し事をしている雰囲気は無かった。

その辺りが、いまひとつ判らない神流である。
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