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深町珠

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自然と

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おばあちゃんの作ってくれた、おにぎりと
野草の煮物。蕨だろうか。

「これ、田んぼに生えとったな。芹なんかもあるな。あれは天ぷらだ」と。

自然と一緒に生きているな、と
珠子は思う。

「いいですね。のどかで。」

おばあちゃんは「お天道様次第だー。水が出れば流される、風が吹けば飛ぶ。
文句言えません。誰のせいでもない」

おばあちゃんが超然としている理由が判ったような気がした。


人の作った街に住んでると、なーんとなく平和で当たり前みたいな
そんな気持になってた。

けど、お父さんや、回りのみんな、町内会長さん。お寺さん、神社さん。
みんなのお世話になっていた、知らず知らず。

それでも、何か困ったことも起こる。
不満も、やっぱり起こる。

珠乃家だけだって、お店の事や、人手の事、などなど。
お父さんともめたりする。

でも、自然が相手ならそういう事もない。

起きたことは仕方ないから、って。


そういうの、いいな、って珠子は思った。



それで「畑、手伝います。わたし。」と言うと

おばあちゃんは「それはいいから、お菓子つくってー。みんな喜ぶよ。
役場の売店に出したらいいっぺ。売れっど。古都の名店仕込みじゃと
滅多に食えんもん。」


珠子は、それもいいかなと思った。

自分が得意な事で、喜んでもらえるなら。
不得手な事を無理にしなくても。

そんなふうにも思う。




・・・・それで、珠乃家の事はすっかり忘れている珠子であるが。



珠乃家では、父が「珠子のやつ、電話も寄こさんなぁ」


お祖父ちゃんは「まあ、無事なんだろう。いい事だよ。あの子は
子供の頃から無理してきたから。好きなように生きてほしいって
わたしは思っていたんだ。」


珠子の父も「そうですね。嫁に行ってもいい年ですから。店に
縛って置こうなんて思ってないんだが。私も。」



ふたり、穏やかに微笑む。


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