タビスルムスメ

深町珠

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12D,豊後国分通過!

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「ゆふいんの森」は、ゆっくりゆっくり大分駅を出て行く。

制限45km/hなのは、元々ここが私鉄、と言うか
路面電車の軌道だったから。
敷地が狭いのもそれで、単線ぎりぎりに住宅が建っていたりする。

ハイデッカーで、重心が高いので
ゆらゆらと揺れながら進むけれども

CAと、愛紗たちが立っているところは一階なので
それほど揺れは感じない。


「CAさんはハイヒールで、大変ですね」と、友里絵。

CAは、少し女の子の表情に戻り「はい。すこし低めを選んではいます」

愛紗も背は高いけれど、CAはもう少し背が高く、ハイヒールの分だけ
すらり、として見える。

黒いスーツも、そういう雰囲気。


列車は、これから久大本線を通って久留米まで向かい、そこから鹿児島本線で
博多まで。


愛紗たちは、久留米で新幹線に乗り換える。



「この子も国鉄に入ろうかな、なんて思ってるんです」と、由香。


CAは「学生さんですか?」と、ふつうの女の子の顔で。


愛紗は「いえ、バスガイドでした」と。


CAはにっこり「私と似ていますね。わたしも、国鉄に入りたかったのですが
CA職のある子会社に入りました。一部、車掌業務もあるので
検札、出札が楽しみです。」

と、今来ている黒いスーツの胸を貼って。


「へー。そうなんだ」と、友里絵が言うと

CAは自然な笑顔になり「そう。新幹線にも乗れるの。ワゴンサービスと、車掌業務。
楽しいわ」


愛紗は「運転を目指していたのですか?」


CAは「いいえ。私は・・・ちょっと向いていないかな、と。」

と、クラスメートのような口調になって。




由香は「はい!カッコイイから。モデルさんになった方がいいです」と。


CAは楽しそうに笑い「PR雑誌に出たことはあります」


友里絵は「やっぱ、美人でないとCAって出来ないのかなー。」


CAは「あなたなら大丈夫です。笑顔がかわいいし」と。


友里絵は「ありがとー。嬉しいな、なんか」



CAは「それでは、仕事がありますから、この辺りで失礼します」と、
職員の顔に戻る。




もうすぐ、向之原駅に着くので

ホーム注視をするのである。


単線なので、行き違いをするのだ。

客扱いは、由布院まではないが

もし、ドアを開くなら
ドアで検札と案内をするのも重要な仕事だ。




颯爽と、黒いスーツで踵を返した。


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