タビスルムスメ

深町珠

文字の大きさ
167 / 361

日本三大車窓

しおりを挟む
「じゃ、3人トリオで。ゆりえでーす」

「ゆかでーす」

友里絵が、愛紗にサイン。


「え、あ、あたし? えーと、みなみはるおでございます」と、愛紗。


愛紗の両ほっぺたを、たたくまねのふたり。


「じゃなーくてぇ、ぱふゅーむとかさ」と、友里絵。


「香水・・・ってもな、田舎の、だろ」と、由香。



「なんかくさそー」と、友里絵。



「ははは、あったなー。鹿児島にも、そういうの」と、菜由。


「そーだろーねぇ。大岡山にもあるよ、今でも」と、由香。


「ほんと?」と、友里絵。


由香「あるよ。今の車庫があるところも、昔は田んぼだったから、あるよ。
あのー、ほら。市民病院と、コンビニのある通りの角。あそこは
昔肥溜めだった」


友里絵「ほーんとーぉ。あ、それでか。車庫の水飲むなって。野田さんが」


菜由「何それ?」



友里絵「地面から出てるのは井戸だから、って。」



菜由「うわー。」


友里絵「ダシが効いてるよー。」


由香「きたねーなあ、もう」



友里絵「まあ、死にゃしないと思うけどさ」



肥薩線に入ると、上り坂が増えて。
車窓には、鹿児島の町並みが小さく見える。

模型みたいに。


「けっこう昇るねー」と、友里絵。



「登る、だと思うけど」と、由香。


「どっちでもいーじゃん。細かいこというと女にモテない!」と、友里絵。

「あたしゃ女だよ」と、由香。


「はは。男にもモテナイよ」と、友里絵。「モテすぎるのも困るだろーけど」


菜由「そだね。女難か。あーるなぁ。どーしても、って迫られて、仕方なく。」


友里絵「それはしょーもないよ。ほんと。ハズミでなるもんねぇ。」



由香「あーるねぇ。友里絵みたいにさ、女にもモテちゃうから。
それでなんとなく、外されて。」


友里絵「女ってヤダねぇ」


由香「ほんと」


友里絵「あんたも女だろ」



由香「まあ、そうだけどさ。でも、曲がったことは嫌いだよ」



愛紗「そうだよね」


友里絵「あっちは曲がってる方がいいけど」



由香「あっちって、あっち?」

友里絵、頷く。


友里絵「さあ、ここで問題です!「あっち」はどこでしょうー!

みんな!ニューヨークへいきたいかー!」


菜由「懐かしいなぁ、イエー!」


愛紗も「い、イエー!」


友里絵「おー、乗ってきたねー、みんなー。ニューヨークは燃えているかー!」


由香「イエー!」


菜由「バンドやってもいいかもね」(^^)。



友里絵「♪ぱーぱー、ぱーららららー♪」トランペットのテーマソングの口真似(^^)。


由香「オマエがぱーだろ」


友里絵「ははは」


「バスでやるなよ、運転手さん事故起こすぞ。」と、由香。


友里絵「はーい。やってませーん」



車窓は、だんだん緑が深くなってきて。

すこーしづつ。

速度が落ちてきた。



さっきの車掌さんは、上着を脱いで。
白いシャツに、黒いベスト。

赤いワンポイントは、つばめのデザイン。



「このあたりから、景色が綺麗ですよ」と。

にこにこ、ほがらか。

凛とした美人。でも、愛らしい。


いいなぁ、と・・・愛紗も思う。




「(E 」と、友里絵。

「なんだそりゃ。略すなよ。横着だなあ」と、由香。


「でもあの人だって、下ネタで受けてたよ」と、友里絵。


菜由「そりゃー、どんな美人だってさ」

「一皮むけば同じ」と、友里絵。



「なーんか、オマエが言うとHに聞こえるぞ」と、由香。


友里絵「そーかなぁ。期待してんでしょ、このぉ」と、友里絵。


「してねーよ」と、由香。



列車はぐんぐん、標高を上げる。
架線がないから、景色はとても綺麗に見える。



「あっちの方、東?」と、友里絵。


菜由「そうじゃない?都城の方かな」


愛紗「意外と近いね」



友里絵「おなかすいてきたね」

由香「よくしゃべるからなぁ」


愛紗「降りて、何か食べようか?」

菜由「それもいいかも。どこで降りようか?」


愛紗「そうね・・・・列車の乗り継ぎは吉松だから、この列車の終点。
そこで人吉行きに連絡だから。そこで降りてもいいし。でも、なにかあったかなぁ。
わたしも降りたことないし」


菜由「それだと・・・迷ってると時間取るから、結局食べられなくなったりするね。
食堂とかで食べると。」


友里絵「じゃ、なんか買ってこよっか。食べ物。」


由香「フランスパン持ってたじゃん」


友里絵「うん」


菜由「さすが。」



愛紗「旅慣れてるね」


友里絵「タマちゃんがね」



由香「なーるほど・・・・。なんかジャムとかあれば」


友里絵「そー思ってね。今朝のバイキングの時に、ちょっと。」

と、マーガリンとかジャムとか。



由香「ドロボー」


友里絵「いいじゃん、これくらい。パン持ってこなかっただけ」


由香「そりゃそうだ」


菜由「タッパー持ってくる人もいるってね」


由香「うわー。」


友里絵「まあ、ありそう。水筒持ってくる人、いたもんなぁ。」



愛紗「あるね。地域によるけど。それがふつうのとこもあるって。」


友里絵「そうだよねぇ。バスツアーでも、お菓子配ると。余計に持ってっちゃう人いるもんなぁ」


由香「お酒は多いね。足りないだろうし」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...