タビスルムスメ

深町珠

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ニホンゴ、ワカリマセーン

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豊肥本線、宮地駅。12時30分。

特急「あそ3号」別府ゆきが到着する。

赤いディーゼルカー。窓のところは黒く、上下は
ステンレスの地。

ところどころ、ディーゼルの煙で黒くなっている。


しゃー・・・・と、金属音がして。
排気ブレーキは動作中。

車輪の横のディスク・ブレーキが
ぴかぴかに光っている。


きー・・・きききき・・・・と。ディスク・パッドが触れ。
金物っぽい響きがする。



停止位置、よし!。


中ほど、2号車はグリーン車。専務車掌が車掌室ドア窓から顔を出し、停止位置を確認。



4号車、最後尾から乗ろうと、友里絵たちは待っている。


4号車の乗務員室には、大柄なアメリカ人の女の子。
さっき、さかまゆちゃんが着ていたメイド服(^^;風の制服で。
黒い、ふわふわのスカート。

ともちゃんが両手を振る「パティー!」と、にこにこ。

ブロンド、白い肌。ちょっとそばかす。青い瞳のふんわり、大柄な女の子は

ともちゃんに気づき。

乗務員室の窓を開けて「ともちゃーん、さかまゆちゃーん」

にこにこ、元気、明るい。


友里絵は「あたし、エイゴわかるようになったみたい」

由香「ニホンゴだって」


愛紗は、くすくす。



ドアが開く。

ぷしゅー・・・と、空気が抜ける音がして。

バタリ。


バスみたいな折り戸が開いた。


パティは「こんにちはーー!」にこにこ。大きな声。

背丈は愛紗より大きい。さかまゆちゃんよりも。


さかまゆちゃんは「こんにちは。なにー。こっちの乗務なの?」


パティは「うん。」と、元気にこっくり。「熊本行って帰り!」


ともちゃんは「あのネ。彼女たちはまゆまゆのお友達なの。
神奈川から来たバスガイドさん。」

パティは「こんにちは。わたしは日高・パトリシア・かずみ、と言います。
ハイ。日本人です。アメリカ、イッタコトアリマセーン」

と、カタコトっぽい日本語をわざと(^^)。


デッキに乗り込む。



5分停車なので、その間にすこしおしゃべり。


友里絵は「あたしが友里絵。こっちが由香。
どっしりしてるのが菜由。上品なのが愛紗。」と、ご挨拶。

パティは「ヨロシクオネガイシマース」と、まだ演技。

ともちゃんは「それはもういいって」


パティは、ハハハ、と笑って「読みにくいもんね」


友里絵「でも、なんとなくカタコトの方がかわいいかも。」

由香「マンガだと大抵そうだよね。アメリカからの転校生とか」


パティ「そうそう!学園祭の劇だと大抵そういう役」


パティの胸元には

大分車掌区
  日高

と、ふつうの名札。


みんな、にこにこ、明るい。



ともちゃんは「ホントに、Patty&Jimmyみたいでしょ?」

髪も、そういえばお下げ。かわいい。



友里絵「モテモテだね」


パティは「んー、女子高だったから。モテマセーン」


ともちゃん「英語がダメなんだよね」


菜由「じゃー、お客さんが間違えるでしょ。」と、にこにこ。



パティ「ソウデース、コレデゴマカシマース」と、笑う。


みんなも、ハハハ、と笑う。


そのうちに・・・大分側から登ってきた普通列車が停まる。

一両のディーゼル・カー。
ステンレスの銀色に、青いライン。


しゅー・・・・きききき・・・・。


ドアがばたり、と開く。

バスそっくり。


パティは「あ、信号変わるよ。そろそろ走るね」


と、出発信号機が青に変わるのを確認。指差して。

メイドさん服ですると、なんかヘン(^^)。


友里絵は「パティも車掌さんなの?」

パティはかぶりを振る。
大柄なので、なんか、ちいさな子みたいでかわいい。
ブロンドの髪が、ふわふわ。
青い、大きな瞳。


「わたしは、CAなの。車掌さんになるのは試験を受けてから」


ともちゃんが説明「パティは、管理局採用なの。CAで入って、後で試験受ければ
車掌補って、私達と同じ職名になるけど。今はまだ見習いと言うか・・。
だって18歳だもん、まだ」


由香は「いいなー18歳」

パティは、へへ、と。赤い舌をちょっと出してウィンク。にこにこ。


友里絵「なんたって18歳!」


菜由「おーなつかしTV」


愛紗は「そのシリーズは一杯あったね」


そのうちに車掌さんの笛が鳴って。


折り戸がバタリ、と閉じて。


フロアに黄色いラインが引いてあって。


さかまゆちゃんは「そこに入ると、挟まれますから気をつけてください」



愛紗は「バスと同じだ」と。思わず。



そして、パティの「管理局採用・CA」と言う職なら・・・入れるかな、
なんて思って。

「伯母さんが言ってたのは、それかなぁ」







その頃・・・熊本についた急行、球磨川2号。


恵は、まだ寝ている(^^)。


裕子は、起こしに来る。


「あー、まだ寝てる」


・・・・まあいいか、折り返して湯前まで行け!とばかりに(笑)


ひっひっひ・・・。
イタズラ好きの裕子だった。



そーっと、そーっと・・・・。抜き足、差し足・・・で、逃げようとした裕子を

後ろから 「わっ!」

恵が。

裕子は「きゃっ!」と、驚く。

恵は、歯をむき出して笑う「さっきのおかえしー」(^^)。


裕子は「このー、こらまて!めぐ!」


足は速い恵であった。(^^)。


とっとこ、とっとこ・・・。
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