21歳のわたし ー真夏の蜃気楼ー

深町珠

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忘れて

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めぐたちの乗ったディーゼルカーは、海沿いの終点までローカル線路を走る。


さっきのイギリス青年は、そこで下りた。

「ギター弾けるって、カッコイイね」と、れーみぃは言う。


「うん。バンドやろうね」と、リサ。



その時のリサの心では、LedZeppelinが
流れていたのだろう。


We’Re Gonna Grooveとか、ああいう
取り留めのないパワフルな音が、前のめりに(笑)。



若いって、そういうものだ。




「ギター、でも上手くなるまでに学園祭終わっちゃうね」と、Naomiが言うと、れーみぃは




「さっき、聞いてたMIDIってなに?」と


めぐに聞いた。




途端、めぐの携帯がまたメール着信して。


ヴァン・ヘイレンのerrrption!(笑)。



また、れーみぃが

何それー、って笑ってるのを横目に



めぐは、
メールを見た。



from:god@heaven.com
to:meg@megunokuni.com



さっきはありがとう。
そこで相談じゃが、魔法使いルーフィの
御主人様が起きないから(笑)



君が、代わりに、アメリカンの為に働いてくれるとうれしいがのぉ。


報酬ははずむよ。



ではでは。








と、神様は、音声入力で作ったらしい
面白いメールを寄越した。





めぐは、ちょっと驚いたけど。



内心、どうしてわたしを?



そんな大きな仕事なんて。


学校はアルバイト禁止だし(笑)。

なんて(笑)



いろいろ考えるJKである(w)

「ねえ、めぐってば」れーみぃの声で

めぐは「あ、ごめんごめん。そうそ、MIDIよね」と、我に帰る。



「どーしちゃったのぉ、めぐってば」と
れーみぃは、メールを眺めていためぐの
事を気にして。


優しいお嬢さまである。




「なんでもないの」と、めぐ。

魔法使いのアルバイトの話、なんて
言えないもの(笑)。


お友達にも言えない秘密って、
やっぱりあるのねっって

めぐは、大人になったような気がした(笑)。





...神様は、魔法で何をさせたいんだろ。


めぐは、ディーゼルカーに揺られながら

FearMt。駅に着く。


見るからにローカルな、寒々とした駅だけど



「逢えなくなった人と会えるんだって」ってNaomiは言う。





そんなのできる、ってめぐは
魔法使いだから思うけど


それは言えない(笑)。




異能の人達が、異世界と
通信するらしい。




「そっち行ってみるぅ?」と、れーみぃは楽しそう。



ディーゼルカーを下りると、プラットフォームは砂利敷で


さくさく、と足元の感触は新鮮だ。



カッコイイ細い靴だと、埋もれて大変だろな、と


思うJKめぐは、スニーカーである。(笑)。

もし、都会の駅で
砂利のホームがあったら
たちまち、砂利はなくなってしまうだろうから

それも環境にあわせているってことなんだろうね、って
めぐは、ちょっと考えたりする。



魔法使える自分だと、やっぱり友達に
隠し事しながら生きていかないといけないんだろな、って

ちょっとブルー(w)だって、嘘ニガテだもんっ。


砂利のホームをじゃりじゃり歩いて、改札へ行くと
誰もいなかった(笑)

無人駅なんだ。




「あ、じゃ、いっか。」って、Naomiは笑う。

料金を払うところが無いのだ(笑)。


「ダメダメ、ちゃんと払いましょう」と、リサは職員っぽい(笑)。


大した金額ではないのだけど。気持の問題。



ICカードで清算した。








めぐたちは、駅から

閑散として駅前広場を歩いた。



「だーれもいないねぇ」


「ゴーストタウン?っ」


「静か」



「のんびりできていいねぇ」



とか、口々にいいながら。



「天国に行っちゃった人に逢いたい、のか」と
Naomiはわざと乱暴に言う。

男の子っぽいそんな台詞は、素敵に似合う
スーパーモデルふうの彼女である。




「思う事もあるけど、夢で逢えたりするね」と
リサは言う。


めぐの魔法で、おじいちゃんに逢った事を
言っているのだろう。


それで、リサは癒された。






めぐたちは、海岸についた。



岬の向こうには、霊山FearMt。がそこに
見える。




「あっこにお化けが来るのかなー」と
れーみぃがあっけらかんと言うので


みんな、笑った。


「なに、そのあっこって」


「あそこ、かな??」



「わはっ」



北の海は冷たくてそろそろ
冬の雰囲気なんだけど。



その冷たい空気に触れて、めぐは
またショートトリップした。


例によって、こちら時間では
1秒にも満たない。

その間に、時間軸を引き延ばして。
higgs environ energy !!!


1000T-eVを解放し、めぐはその電場
のPowerで、飛ぶ。

0次元モデルに変換した身体は軽く、光速度を超える。



pom!

収縮した
空気が、僅かに音を立てる。

1eVは、1Vが電子1つに与える電場であるから
1000TVぶんのPowerが、例えば
電子1つのHiggsEnvironmentにはあるので


それは、途方もないPowerである。


原子核分裂の1000倍のPower、と言うと

想像が出来るだろう。


熱源にする訳ではないので、例えば水素のような
軽い元素でも十分な能力を
発生する。





魔法によって18世紀には応用されていた(ので、空が飛べたりする訳だ)。


それを、危険なものだとして
魔女狩りが起こったのは史実であるが
真の理由は、キリスト教を深く信じる人達が

イエスよりも万能なものがあってはならないと
思い込む、その気持ちだった。


つまり、排他であり攻撃性であるから


今、神様たちがしている事は正に進化である。


客観性は、排他からは起こり得ないのである。






めぐは、その飛翔でどこへ飛んだのだろう?


夢は、誰の夢でも4次元で
それぞれ、別の地平線に立っている。

0次元並列宇宙と言っていい。


それぞれに、他のひとからは
入ってこれない独立宇宙だと言うところも似ている。



(笑ただ、それは夢を見ているひとだけのもの、と言う事だけれども。)




めぐは、魔法使いだから
誰かの夢にお邪魔できて。

この時は、ぽん、と


どこかに飛んでしまった。


それは無意識である。



心のどこかで、行ってみたいところ、だったのかもしれない。






「めぐちゃん?」




「ルーフィさん!」


めぐは、御主人様に会ってきたせいか


そこで、ルーフィの事を思い出したせいか。



ルーフィの夢に、入り込んでしまったらしい。




こんなふうに、突然夢に
魔法使いさんが現れると



それは、ふつうに夢だと、誰しも思うけれど



ほんとに、魔法使いさんが来たのかもしれない(笑)




驚きで、互いに顔を見合わせた。

何せ、リアルなら遠く時空を離れた存在である。


夢の中だから、突然遭うことになったけれど
それは、めぐが魔法使いだから。


ルーフィも、魔法使いだったんだけど。


ふつうの人の夢なら、大抵は0次元、つまり
科学的には夢想である(笑 夢なのだ)。

だけど、心の中のイメージとしては
夢の持ち主には4次元の時空間だ。




本当にあるがの如く、空間が存在する。
だけど、時間の概念はない。

それが夢のイメージ。





夢の中のルーフィは、めぐを抱きしめようとした。



「いやっ!」


いつかみたいに、Hugできるかと思いきや


夢の中のルーフィは、思い切り撥ね退けられた。

でも夢なので、転んでも痛くはない。



それよりも、夢の中とはいえ
いきなりめぐを抱きしめようとするルーフィの心の動きは
なんとなく、人間的なよう。


魔法使いなら、別に
女の子を抱きしめたいなんて思わない。

生き物じゃないから。





そのことに、夢を見ているルーフィ自身が驚いた。



でも、それも夢なのだ。







めぐは、ルーフィを跳ね除けてから思う。


「なんで、撥ね退けたのかしら?」

夢の中なんだから、別にいいんだけど(笑)とは言っても
そこは女の子である。


生き物としての護身のプログラムは、根底にあったりする。


夢の中だから、生き物じゃない。


なんだけど、自分自身の心はずーーっと人間として作られているので

急に、考え方が変わる事もない。





そのせいで、ルーフィはヘンな夢を見たことになってしまった(笑)。




「なんで、そんな事がしたいの?」めぐは
自分でも呆れるくらいに、親しみを込めて
そっけなくルーフィに、そう言った。


若い女の子らしく、親しくなった人に
友達口調で言う、そんな内心と


それと、憧れていた魔法使いルーフィが

普っ通の男の子みたいな事を
(笑 夢の中だが)した、と言う事に
すこし、がっかりしたような



そんな気持ちもあった。



もちろん、めぐは夢の中のルーフィに会っていると言う事を

忘れている(笑)ま、そこは18才の
女の子である。






「ごめんなさい、自分でもわからない」と
ルーフィは言った。




今は、魔法を使えなくなって、
人間っぽい暮らしをしているから
それで、かな、などと

ルーフィは、めぐにそんなふうに言ったけれど


親しい気持ちが、めぐと抱擁したいと
そう、イギリスのルーフィは思ったのだろう。

国によって風習は違う。





「魔法使いに戻らないんですか?」と
めぐは、普通の声に戻って言った。



「戻るって言うか.....元々、魔法を使いたくて
修業した訳じゃないし。」と
ルーフィは言った。






「そう。わたしも。」と、めぐは言った。




めぐもルーフィも、元々持っていた能力で
望んだ訳でもない。



才能ってそんなものだろう。
当たり前に有って、その人にとっては
そんなに有り難いとも思わない能力。


無くなっても、どうって事もないけど。



ルーフィはまあ、御主人様の魔法で生かされているから



魔法使いで無くなったら消滅、するかもしれないけれど。

めぐは、ふと思い出し
ルーフィに告げる。
「御主人様が、ルーフィは独り立ちできるって言ってたけど」


ここは、ルーフィーの夢の中なので

ルーフィから見る周囲は、自分の意識、身体の中の事だ。



それは、ジーグムント・フロイドの
言うように、自意識である。



だから、その中にめぐが入って来て言う事は


[愛しい存在が、告げる要求]みたいに
受け止められる。



夢のルーフィは、なーんとなく


独り立ち出来ると
思い込んでしまったりする。



魔法使いとして?
人間として?


根拠ないけれど、思い込んでしまう。







アメリカンの神様は、この手法で
めぐに、心が疲れてるひとの


支えになってもらいたい、と

そう思ったらしい。







それはとにかく(笑)

ルーフィは、自信を持って。

いい事なのだろうけれど。

でも。

めぐは賢い子だから、御主人様の言った
ルーフィが魔法を失っただろう理由を
思い出して。


「わたしの気持ちの事は、忘れて下さい。
それで、ルーフィさんが幸せになれるなら。」ふるえる声で、それだけ告げた。



めぐ自身の想いのせいで、ルーフィが
思い悩んでしまって。


それで、魔法が使えないなら。


めぐは、そう思って。





ふわり、と

ルーフィの夢から飛び去った。

風だけが、彼の元に残る。


夢の中なので、それは
ルーフィの心に印象を残す。強く。
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