71 / 86
さようなら、寝台特急
しおりを挟む
「学園祭が終わったら、あとは・・・受験と、卒業かぁ」めぐは、なんとなく淋しい。
楽しかった学園生活も、終わりが近いんだ。
そんな風に思うと、ちょっとおセンチになってしまう。
「でも・・・みんなの進路は解ってるけど」
めぐは魔法使いだから。
Naomiは郵便局(かな?)。
れーみぃはハイウェイ・パトロール。
リサは、国鉄。
そんなふうに。解ってはいるけれど・・・。
図書館の椅子で、ふと物思うめぐ。
イメージしたのは、あの・・・・。首都の駅に
リサの受験票を取りに行った帰り。
国境の駅へ向かう、ブルー・トレイン。
その、最終列車の機関士として乗務するリサの姿。
国境の駅で、機関室から降り
花束を受け、涙するその姿だった。
彼女の祖父が心血を注いだ、機関士の仕事。
数限りなく乗務した、国境行きのブルー・トレイン。
列車番号、1。
その、最後の列車。
リサ自身は、祖父との些細な口論が切欠で
国鉄へは入らずに。
進路を迷っていた途中、祖父が天に召されてしまい・・・・。
それを気に病んでいて。
結局、市電の運転手になろうとしたのが、実は
この間までの、リサの人生だった。
めぐが、魔法で
おじいちゃんに会わせて。
「そんなことは気にしていない、安心しろ」と、おじいちゃんに言って貰えて。
リサは心のしこりが解けて。
その結果、未来が変わって。
今のリサは、国鉄へ就職できる事になったのだった。
それまでのことは、夢・・・になった。
ひとの夢って、そんなものかもしれない。
いい夢、そうでない夢。
もしかすると「もうひとつの人生」を、歩んでいた記憶かもしれない。
めぐは、そんな風に回想していると・・・・。
time-slip。
めぐ自身、解らない空間に飛ばされた。
気づくと、何か、大きな物に乗っている。
唸り。響き。
断続的に、何か、音が聞こえる。
「・・・なにかしら・・・。」めぐは、おそるおそる。
よく見ると、小窓の向こうにレールが流れていく。
すごいスピードだ。
足もとが揺れている。
耳元にある、機械、のようなものは
低く、唸りをあげていて。すこし不気味だ。
足もとでは、狼が吠えるような・・・金属的な音が続いていて。
よく聞くと、それは歯車が当たる音のようだった。
その音が止む。
空気が漏れるような音が聞こえて。
細い通路の向こうでは、女の子の声。「場内進行!速度、75!」
どこかで聞き覚えがある・・・・・。と、めぐは思い、通路の向こうを見ると・・・。
紺色の制服、制帽。白い手袋。男の人のように見えたが、細いシルエットは
右手が、ブレーキ・ハンドルを掴んでいて。
左手、白い指先、二本。 信号を確認していた。
運転台には、旧式なアナログ・メーターに、白熱灯が点っている。
速度計。空気圧計。電圧計。
そのパネルの中央に、なぜか使い込まれた懐中時計が銀色に光っている。
午前5時。硝子のような朝の時間。
風を劈くように、機関車は驀進していた。EF66-54、と、窓の上にプレートがある。
「・・・リサ・・・。」めぐは気づく。
白昼夢のような、ひととき。
図書館で、めぐは・・・・イメージしていた時空間に飛ばされていたのだった。
でも、ここがいつかもわからない。ので、めぐは気づかれないように
そっと、機関車の中からリサの後姿を見ていた。
「そっか・・・リサのこと考えてたから。飛んだんだ。」と、めぐは気づいた。
機関車は減速する。足元で、空気の漏れる音が、断続的に。
しゅー、しゅ。
メーター・パネルの空気圧計が、跳ね上がる。
ブレーキ・ハンドル、真鍮の、使い込まれたそれを、白い手袋が動かすに連れ。
前面の硝子窓は、中央で二分され、中央が細い柱で支えられている。
輝く光が前方に見える。駅の、プラットフォームのようだ。
左右に蛍光灯の灯り。
「前方、注意!」ゆっくり減速しながら、白い手袋は、確認する。
早朝だと言うのに、人の姿が多数。
中には、写真機や映写機を持っている人も。
三脚を構えて、映像を写している人も。
そのホームが、流れるように飛び去り・・・・・ホーム先端にある屋根から
逆三角の停止位置表示。
機関車は、それに向かって吸い込まれるように停止した。
ブレーキ・ハンドルをぐるりと回す、リサ。
笑みが零れた。
拍手。沢山の人々から。
列の前に、制帽に赤・金のラインの入った年配の方。数名。
若い女性が、花を沢山持っている。
花束を持っている人も。
「停止位置、よし!、05:00!定時到着!」と、リサの声が
狭い運転台に響いた。
運転台ドアを開けて、軽やかに降りたリサは、拍手に包まれ・・・・。
一杯の花束を貰った。
横断幕には「さようなら、寝台特急」と、ある・・・。
めぐは「ああ、良かったね、リサ。」
あの夢は本当になったんだ。と。めぐ自身は理解した。
楽しかった学園生活も、終わりが近いんだ。
そんな風に思うと、ちょっとおセンチになってしまう。
「でも・・・みんなの進路は解ってるけど」
めぐは魔法使いだから。
Naomiは郵便局(かな?)。
れーみぃはハイウェイ・パトロール。
リサは、国鉄。
そんなふうに。解ってはいるけれど・・・。
図書館の椅子で、ふと物思うめぐ。
イメージしたのは、あの・・・・。首都の駅に
リサの受験票を取りに行った帰り。
国境の駅へ向かう、ブルー・トレイン。
その、最終列車の機関士として乗務するリサの姿。
国境の駅で、機関室から降り
花束を受け、涙するその姿だった。
彼女の祖父が心血を注いだ、機関士の仕事。
数限りなく乗務した、国境行きのブルー・トレイン。
列車番号、1。
その、最後の列車。
リサ自身は、祖父との些細な口論が切欠で
国鉄へは入らずに。
進路を迷っていた途中、祖父が天に召されてしまい・・・・。
それを気に病んでいて。
結局、市電の運転手になろうとしたのが、実は
この間までの、リサの人生だった。
めぐが、魔法で
おじいちゃんに会わせて。
「そんなことは気にしていない、安心しろ」と、おじいちゃんに言って貰えて。
リサは心のしこりが解けて。
その結果、未来が変わって。
今のリサは、国鉄へ就職できる事になったのだった。
それまでのことは、夢・・・になった。
ひとの夢って、そんなものかもしれない。
いい夢、そうでない夢。
もしかすると「もうひとつの人生」を、歩んでいた記憶かもしれない。
めぐは、そんな風に回想していると・・・・。
time-slip。
めぐ自身、解らない空間に飛ばされた。
気づくと、何か、大きな物に乗っている。
唸り。響き。
断続的に、何か、音が聞こえる。
「・・・なにかしら・・・。」めぐは、おそるおそる。
よく見ると、小窓の向こうにレールが流れていく。
すごいスピードだ。
足もとが揺れている。
耳元にある、機械、のようなものは
低く、唸りをあげていて。すこし不気味だ。
足もとでは、狼が吠えるような・・・金属的な音が続いていて。
よく聞くと、それは歯車が当たる音のようだった。
その音が止む。
空気が漏れるような音が聞こえて。
細い通路の向こうでは、女の子の声。「場内進行!速度、75!」
どこかで聞き覚えがある・・・・・。と、めぐは思い、通路の向こうを見ると・・・。
紺色の制服、制帽。白い手袋。男の人のように見えたが、細いシルエットは
右手が、ブレーキ・ハンドルを掴んでいて。
左手、白い指先、二本。 信号を確認していた。
運転台には、旧式なアナログ・メーターに、白熱灯が点っている。
速度計。空気圧計。電圧計。
そのパネルの中央に、なぜか使い込まれた懐中時計が銀色に光っている。
午前5時。硝子のような朝の時間。
風を劈くように、機関車は驀進していた。EF66-54、と、窓の上にプレートがある。
「・・・リサ・・・。」めぐは気づく。
白昼夢のような、ひととき。
図書館で、めぐは・・・・イメージしていた時空間に飛ばされていたのだった。
でも、ここがいつかもわからない。ので、めぐは気づかれないように
そっと、機関車の中からリサの後姿を見ていた。
「そっか・・・リサのこと考えてたから。飛んだんだ。」と、めぐは気づいた。
機関車は減速する。足元で、空気の漏れる音が、断続的に。
しゅー、しゅ。
メーター・パネルの空気圧計が、跳ね上がる。
ブレーキ・ハンドル、真鍮の、使い込まれたそれを、白い手袋が動かすに連れ。
前面の硝子窓は、中央で二分され、中央が細い柱で支えられている。
輝く光が前方に見える。駅の、プラットフォームのようだ。
左右に蛍光灯の灯り。
「前方、注意!」ゆっくり減速しながら、白い手袋は、確認する。
早朝だと言うのに、人の姿が多数。
中には、写真機や映写機を持っている人も。
三脚を構えて、映像を写している人も。
そのホームが、流れるように飛び去り・・・・・ホーム先端にある屋根から
逆三角の停止位置表示。
機関車は、それに向かって吸い込まれるように停止した。
ブレーキ・ハンドルをぐるりと回す、リサ。
笑みが零れた。
拍手。沢山の人々から。
列の前に、制帽に赤・金のラインの入った年配の方。数名。
若い女性が、花を沢山持っている。
花束を持っている人も。
「停止位置、よし!、05:00!定時到着!」と、リサの声が
狭い運転台に響いた。
運転台ドアを開けて、軽やかに降りたリサは、拍手に包まれ・・・・。
一杯の花束を貰った。
横断幕には「さようなら、寝台特急」と、ある・・・。
めぐは「ああ、良かったね、リサ。」
あの夢は本当になったんだ。と。めぐ自身は理解した。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる