恋人は’77年型

深町珠

文字の大きさ
3 / 38

サービスエリア

しおりを挟む
いつも、ここに来ると
ソフトクリーム、名物の梨ソフトを頂いたりする。
葡萄シャーベット、とか
面白いものがいっぱいあって
ここのサービスエリアは好き。

ちいさい頃、父がドライブ好きだったから
よく、ここに連れて来てもらった。

父は、トヨタクラウンが好きで
モデルチェンジする度に買い替えていた。

わたしは、クラウンはあまり好きじゃなかったけど
でも、父は好きだった。

優しくて、大きくて。
いつも夢を追っているような人で
夢を追ったまま、遠くに行って帰って来なかったんだけど
そういう生き方もいいな、男らしくて。
そんなふうにも、思ったり。


思い出の中の父の幻影と
一緒に、展望台からアルプスを眺めた。

山の景色は変わらない。

でも、時は過ぎ去って行く。

as time goes byなんて
父が好きだったシャンソンの一節を口ずさむ。でも
わたしが歌うとシャンソンには聞こえなくて
ただのフレンチポップスみたいだ、と父は苦笑してたっけ。

人生と共に、歌える歌は変わるんだよって父は言っていた。

今のわたしは、何を歌えるんだろう。

そう、感慨に耽っていた。


振り返ると、パーキングしてあるワーゲンちゃんを
男の子たちが眺めていた。
わたしと同じくらいの、よく見かけるような感じの。

何か声かけて来るのかな、と
ちょっと鬱陶しく思って
キッパリと、知らん顔してワーゲンのドアを素早く開き(笑)

バタッと閉め(笑)嫌な女の子を演じた。

男の子たちは、BMWの5に乗ってたみたいだった。
BMWなんて大嫌い(笑)。
見えっ張りの意地悪ドライバーばっかりで。


わたしは少しいらいらしながら、でもワーゲンちゃんのエンジンをかけたら

そんな気持ちはどこかに行ってしまった。

のんびりと走ろ、ってワーゲンちゃんが言っているような、そんな気がした。



ラジオをつけた。
ドイツ語で書かれている、クラシックなこのラジオ。なぜ日本のラジオが聞こえるのかわからないけど
最初は、ドイツ語が流れてくるかな、とドキドキした(笑)でも違ってた。

810KHZに合わせてると、アメリカの放送が聞こえて。
それが楽しかった。
今の時間は、カントリー。
のどかなサウンドは、ワーゲンちゃんも好きかな?



「好きさ」


ラジオの音楽に混じって。


誰かの声かしら....


「僕の声だよ」



空耳?


「そうじゃない。僕はvolkswagen type1,つまり、今君が乗ってる。君の体重は43kg、ヒップはかなり大きめで....」


あー言わないで、そんな事。

思わず叫んじゃった(笑)。信じられないけど、それはワーゲンちゃんの声?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち

半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。 最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。 本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。 第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。 どうぞ、お楽しみください。

処理中です...