恋人は’77年型

深町珠

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静かな峠道、時折、オートバイが駆け抜けていったりする。

アルミのタンク、クリップオンハンドルの
シングル・オートバイが軽快に。

ぱたぱたぱた。。。と排気音を響かせて。

軽くカーブで傾いて。


ライダーは、長い髪をなびかせて。
華奢なシルエット。

ガール・ライダー。
虚飾のないスタイルだが、それ故に
可愛らしさが、煌びやかなドレスをまとうよりも
感じられる。


「でもさあ、ふつう女の子って
木陰でさ、お茶したりするんじゃない」と、フェルディナントは
ふつう、と言う表現を彼らしくなく使う。

わたしは、その言葉にすこし反発を感じ
「でもね、そうするとさっきみたいに
変な男どもが寄ってくるわけ、だから車って便利なの」と、理由を述べた。

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