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8.モブ仲間を紹介します
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タイミングよく予鈴のチャイムが鳴り響き、俺は震える体を誤魔化しつつ二人を置いて教室へ向かった。
美少女戦士怖すぎる、、、あの華奢な腕が振り下ろされるだけで、俺なんてちっぽけな存在は地に沈むことを知っている。
光のない瞳を思い出しただけで震える肩をさすっていると、モブ仲間の葉山から声をかけられた。
「おはよ、今朝のアレどうしたの?」
「俺も分からん。気づいたら彼女に認識されてた」
なぜ急に睨まれたのか、そもそもなぜ視界に入ったのかも分からない。ストロベリーはモブには見向きもしない。戦っている時も、モブを蹴り上げながら視界は、上司か助けた子どもしか見ていない。
「いやいや、、それもだけど、王子だよ」
「王子?」
初めて聞いた呼び名に俺はキョトンとしてしまった。そんな人物聞いたこともない。
俺の反応に葉山もびっくりして「高梨フランだよ」と耳元でこそっと告げられた。
「お、王子!?」
どういうことかと声を荒げそうになって、葉山に「しっ」と人差し指を口の前に持ってくるポーズで静止される。
「王国だ」
と、またもや耳元で短く囁かれた言葉に、俺は鈍い頭をぐるぐるさせた。
王子、、、王国、、?、、、、、、、?
、、、、まさか!あの王国の王子がフランくんだって!?
やっと言葉の意味が繋がった頃には授業が始まっていて、俺は次の休み時間に葉山を捕まえなければと誓った。
【あの王国】とモブたちが口にするのは、そこの正式名称もどこにあるかさえも誰も知らないからだ。
でも確実にある。俺たちに命令する見たこともない上の幹部たちと同じように存在するのは確かだ。
なぜなら俺たちを使役する幹部たちが怪人を見いだすように、王国は美少女戦士を生み出しているから。
美少女戦士ストロベリーの存在こそが、王国の証明になる。
だけどなぜフランくんが【あの王国】の王子なんだろ?
葉山は知らなかった俺にびっくりしてたけど、そんな情報届いてない。そもそも何をもって王子の証明とするのか?
王国からやってきたとされる使者は今までもいたらしい。かつてはタキシードを着て美少女戦士のピンチを救ったり、可愛いマスコットのような風貌で新しい力を与えたと聞いている。
確かに今の美少女戦士はストロベリー1人だ。
仲間もいる様子がない(あんなに強いのに、さらに仲間とか恐ろしすぎる)
だからって何を根拠にフランくんが王子なんだ?
「イケメンだからだよ」
次は移動教室のため、歩きながら葉山に尋ねると当たり前みたいに返された。
「はぁ?それのどこが根拠なんだ」
ふざけた回答に思わず言い返すと、心底呆れた顔をされた。いや、呆れたいのは俺の方だよ。
「紫蘇野マジで言ってるのか?アレのイケメンぶりは異常だろう。毎日学年さえ違う俺らのクラスまで噂が飛んできて、登下校は常に囲まれている。それにアイツが恋愛対象として毎日媚びてるなんて、あっち側の人間しかありえない」
俺たちは周りに聞こえてもいいようについアレとか、コレとかで話してしまう。それでも長年の付き合いで通じるから問題ないんだけどね。
ちなみに『アレ』はフランくん。『アイツ』はストロベリー。『あっち側』は王国側って意味だ。
「それにアレは立っているだけで目立つ。なぜか背景から浮き上がっているように見えてつい注目してしまうんだ。あんな現象普通の人間におこせるか?」
今朝俺がストロベリーに対して感じたことを、葉山はフランくんにも感じたようだ。
そうか、、、言われてみれば昨日出会ってから距離が近すぎて気づかなかったが、周りの注目を集めるオーラは王国の人間だからと言われればそうかもしれない。
いくらイケメンでも、入学当初のみならずも2年生になっても校内で注目され、毎日情報が飛び交うだろうか。今朝も、もみくちゃになりそうなぐらい人が集まっていたのに、なぜかぶつかったり接触することがなかった。
まるでストロベリーの主人公補正のように。
俺は段々と葉山の言い分が正しいような気がしてきた。
「、、、それより紫蘇野、お前こそどうやってアレと知り合ったんだ。今朝騒ぎの渦中にいてびっくりしたぞ。ギリギリ気配が薄れてて、確実にお前の顔覚えてるやつは少ないだろうけど、、、」
言外にモブ失格になるぞ。と警告された。
やっぱりか、、フランくんが王国の王子だなんてまったく想像もしていなかったけど、それでもあの注目では冷や汗が出た。俺たちは存在感が薄いことこそが武器なのだ。これを失うと仕事に支障が出る。
「アレとは昨日帰り道で出会ったんだ。アイツに(ハニーミルク)ぶっかけられてびしょびしょで歩いてたら、シャワー浴びてけって声かけてくれて、、」
「え!めっちゃ優しいじゃん。やっぱりあっち側は良い人ばっかなのかな~」
優しい?良い人??昨日されたアレやコレを思い出すと、とてもそうとは思えない。でも流石にそのことは葉山にも言えないから、否定出来なくてモヤモヤする。
俺の微妙な顔を勘違いしたのか、葉山は仕事で受けた被害について慰めてくれた。葉山は上に兄がいるため家業は継がなくてもいいらしい。それでも今回の美少女戦士の暴力にかなり参っているらしく、時々兄を休ませるため葉山が代理で参加している。まだ家業を継いでる同級生が少ない中、経験者として俺の苦労を共有してくれる有難い存在だ。
「昨日は本当に酷かった。2回も攻撃受けた上に、倒れたのが上司のすぐそばで、、、」
家族にも言えない弱音を、思わずこぼす。
「うわっ、、最悪だったな、、」
うんうん。と優しく聞いてくれてちょっと心が軽くなった。
結局最後は愚痴を聞いてもらいながら歩いていると、あの角曲がれば目的の教室、というところで葉山は
「家業大変だと思うけど、無理するなよ」
と肩をポンと叩いて教室へ入って行った。その励ましの言葉に、鼻の奥がツンとする。
立ち止まって、軽く目元を拭った瞬間、、、俺は後ろに引っ張られたかと思うと、口を覆われ叫び声も出せずに連れ去られてしまった。
美少女戦士怖すぎる、、、あの華奢な腕が振り下ろされるだけで、俺なんてちっぽけな存在は地に沈むことを知っている。
光のない瞳を思い出しただけで震える肩をさすっていると、モブ仲間の葉山から声をかけられた。
「おはよ、今朝のアレどうしたの?」
「俺も分からん。気づいたら彼女に認識されてた」
なぜ急に睨まれたのか、そもそもなぜ視界に入ったのかも分からない。ストロベリーはモブには見向きもしない。戦っている時も、モブを蹴り上げながら視界は、上司か助けた子どもしか見ていない。
「いやいや、、それもだけど、王子だよ」
「王子?」
初めて聞いた呼び名に俺はキョトンとしてしまった。そんな人物聞いたこともない。
俺の反応に葉山もびっくりして「高梨フランだよ」と耳元でこそっと告げられた。
「お、王子!?」
どういうことかと声を荒げそうになって、葉山に「しっ」と人差し指を口の前に持ってくるポーズで静止される。
「王国だ」
と、またもや耳元で短く囁かれた言葉に、俺は鈍い頭をぐるぐるさせた。
王子、、、王国、、?、、、、、、、?
、、、、まさか!あの王国の王子がフランくんだって!?
やっと言葉の意味が繋がった頃には授業が始まっていて、俺は次の休み時間に葉山を捕まえなければと誓った。
【あの王国】とモブたちが口にするのは、そこの正式名称もどこにあるかさえも誰も知らないからだ。
でも確実にある。俺たちに命令する見たこともない上の幹部たちと同じように存在するのは確かだ。
なぜなら俺たちを使役する幹部たちが怪人を見いだすように、王国は美少女戦士を生み出しているから。
美少女戦士ストロベリーの存在こそが、王国の証明になる。
だけどなぜフランくんが【あの王国】の王子なんだろ?
葉山は知らなかった俺にびっくりしてたけど、そんな情報届いてない。そもそも何をもって王子の証明とするのか?
王国からやってきたとされる使者は今までもいたらしい。かつてはタキシードを着て美少女戦士のピンチを救ったり、可愛いマスコットのような風貌で新しい力を与えたと聞いている。
確かに今の美少女戦士はストロベリー1人だ。
仲間もいる様子がない(あんなに強いのに、さらに仲間とか恐ろしすぎる)
だからって何を根拠にフランくんが王子なんだ?
「イケメンだからだよ」
次は移動教室のため、歩きながら葉山に尋ねると当たり前みたいに返された。
「はぁ?それのどこが根拠なんだ」
ふざけた回答に思わず言い返すと、心底呆れた顔をされた。いや、呆れたいのは俺の方だよ。
「紫蘇野マジで言ってるのか?アレのイケメンぶりは異常だろう。毎日学年さえ違う俺らのクラスまで噂が飛んできて、登下校は常に囲まれている。それにアイツが恋愛対象として毎日媚びてるなんて、あっち側の人間しかありえない」
俺たちは周りに聞こえてもいいようについアレとか、コレとかで話してしまう。それでも長年の付き合いで通じるから問題ないんだけどね。
ちなみに『アレ』はフランくん。『アイツ』はストロベリー。『あっち側』は王国側って意味だ。
「それにアレは立っているだけで目立つ。なぜか背景から浮き上がっているように見えてつい注目してしまうんだ。あんな現象普通の人間におこせるか?」
今朝俺がストロベリーに対して感じたことを、葉山はフランくんにも感じたようだ。
そうか、、、言われてみれば昨日出会ってから距離が近すぎて気づかなかったが、周りの注目を集めるオーラは王国の人間だからと言われればそうかもしれない。
いくらイケメンでも、入学当初のみならずも2年生になっても校内で注目され、毎日情報が飛び交うだろうか。今朝も、もみくちゃになりそうなぐらい人が集まっていたのに、なぜかぶつかったり接触することがなかった。
まるでストロベリーの主人公補正のように。
俺は段々と葉山の言い分が正しいような気がしてきた。
「、、、それより紫蘇野、お前こそどうやってアレと知り合ったんだ。今朝騒ぎの渦中にいてびっくりしたぞ。ギリギリ気配が薄れてて、確実にお前の顔覚えてるやつは少ないだろうけど、、、」
言外にモブ失格になるぞ。と警告された。
やっぱりか、、フランくんが王国の王子だなんてまったく想像もしていなかったけど、それでもあの注目では冷や汗が出た。俺たちは存在感が薄いことこそが武器なのだ。これを失うと仕事に支障が出る。
「アレとは昨日帰り道で出会ったんだ。アイツに(ハニーミルク)ぶっかけられてびしょびしょで歩いてたら、シャワー浴びてけって声かけてくれて、、」
「え!めっちゃ優しいじゃん。やっぱりあっち側は良い人ばっかなのかな~」
優しい?良い人??昨日されたアレやコレを思い出すと、とてもそうとは思えない。でも流石にそのことは葉山にも言えないから、否定出来なくてモヤモヤする。
俺の微妙な顔を勘違いしたのか、葉山は仕事で受けた被害について慰めてくれた。葉山は上に兄がいるため家業は継がなくてもいいらしい。それでも今回の美少女戦士の暴力にかなり参っているらしく、時々兄を休ませるため葉山が代理で参加している。まだ家業を継いでる同級生が少ない中、経験者として俺の苦労を共有してくれる有難い存在だ。
「昨日は本当に酷かった。2回も攻撃受けた上に、倒れたのが上司のすぐそばで、、、」
家族にも言えない弱音を、思わずこぼす。
「うわっ、、最悪だったな、、」
うんうん。と優しく聞いてくれてちょっと心が軽くなった。
結局最後は愚痴を聞いてもらいながら歩いていると、あの角曲がれば目的の教室、というところで葉山は
「家業大変だと思うけど、無理するなよ」
と肩をポンと叩いて教室へ入って行った。その励ましの言葉に、鼻の奥がツンとする。
立ち止まって、軽く目元を拭った瞬間、、、俺は後ろに引っ張られたかと思うと、口を覆われ叫び声も出せずに連れ去られてしまった。
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