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十一月のこと
水面下で動く心
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という出来事をジムから聞いたハンナは、
「お姫様抱っこでベッドに運んで、お休みのキスまでしてあげるなんて、もう付き合っているんじゃ!?」
親友の浮いた話題に大興奮で同意を求めたが
「だよね。僕もそう思うんだけど、部屋に戻った後にブライアンに聞いてみたらさ……」
ブライアンの所業を目撃したジムは部屋に戻った後、
「ブライアンってカザネが好きなの?」
質問というより確認だったが、ブライアンは慌てもせずに平然と、
「好きって言うか気に入っているよ。だから構うんだろ。それがどうかした?」
「いや、ブライアンがこんなに人に構うのをはじめて見たから。さっきもすごく愛おしそうにカザネにキスしていたし、もしかして彼女が好きなのかと」
ジムの指摘に、ブライアンは流石にややたじろぎながら、
「愛おしそうって……別に普通だろ。お休みのキスくらい」
「家族や恋人じゃあるまいし、普通の友だちレベルで、お休みのキスはしなくない?」
「まぁ、確かに他のヤツにはしないけど、アイツはなんか妙に微笑ましいところがあるだろ。女と言うより、子どもか動物みたいでさ。無邪気にコロコロ笑う顔を見ると、なんかこう可愛くて無性にキスしたくなるだけ」
本人は気づかないようだが、カザネについて語る時のブライアンの顔からは愛情が溢れている。ジムからすれば
「いや明らかに! 好きだろ!」
と強めにツッコみたくなるほど、あからさまな態度だった。けれど相手は学園のキング様なので、そこまで強くは出られず、
「『無性に』がついちゃう時点で普通の好意じゃなくないかな? どうしてそう頑なに、カザネへの好意を認めないの?」
しつこく追及されたブライアンはやや不機嫌になって
「お前こそなんでそんなに、俺があのお嬢ちゃんに惚れていることにしたいの?」
質問調だが、ブライアンはジムの返事を待たずに言葉を続けて
「お前はなんか疑っているようだけど、本当にそういうんじゃないよ。だってアイツは来年の6月には日本に帰るんだろ」
「でもカザネはアメリカの大学に進学するつもりらしいし、絶対に離ればなれになるわけじゃ」
「アメリカって言ったって広いだろ。仮にアイツが希望の大学に受かったとしても、俺の志望校とはずいぶん離れている。会うのにいちいち飛行機に乗るんじゃ、海の向こうに居るのと大差ないよ」
ブライアンは淡々と言うと、
「愛情なんてただでさえ些細な理由で変動するのに、わざわざ難しい条件の相手を選ぶことないだろ。少なくとも俺は居なくなると分かっているヤツに、本気になるほど馬鹿じゃない」
それはどこか自分に言い聞かせるような物言いだった。しかし現実的には確かに、そこまで遠距離に居る相手と交際するのは難しい。よってその場は納得したのだが、ハンナに聞かれて思い出したのだった。
ジムから話を聞いたハンナも、
「うーん、そう言われちゃうと分からないわね。傍目には好きそうに見えるけど、確かに距離の問題は大きいし。今はスマホやパソコンがあるから昔よりは連絡が取りやすいけど、画面越しにやり取りするのと、触れ合える距離に居るのでは、やっぱり全然違うものね」
「うん……だから僕も2人の関係が気になるけど、後々のことを考えると、あんまり後押しもできない感じなんだ……」
その頃。ジムの部屋に残ったカザネとブライアンは、自分たちが噂されているとも知らずに、
「ハンナとジム、何を話しているんだろう? 自分から2人きりになろうとするなんて、ハンナって意外と積極的だね!」
「お嬢ちゃんが期待しているような内容じゃない気がするけどな……」
傍目にはやはり恋人にしか見えない体勢で、2人の帰りを待っていた。
「お姫様抱っこでベッドに運んで、お休みのキスまでしてあげるなんて、もう付き合っているんじゃ!?」
親友の浮いた話題に大興奮で同意を求めたが
「だよね。僕もそう思うんだけど、部屋に戻った後にブライアンに聞いてみたらさ……」
ブライアンの所業を目撃したジムは部屋に戻った後、
「ブライアンってカザネが好きなの?」
質問というより確認だったが、ブライアンは慌てもせずに平然と、
「好きって言うか気に入っているよ。だから構うんだろ。それがどうかした?」
「いや、ブライアンがこんなに人に構うのをはじめて見たから。さっきもすごく愛おしそうにカザネにキスしていたし、もしかして彼女が好きなのかと」
ジムの指摘に、ブライアンは流石にややたじろぎながら、
「愛おしそうって……別に普通だろ。お休みのキスくらい」
「家族や恋人じゃあるまいし、普通の友だちレベルで、お休みのキスはしなくない?」
「まぁ、確かに他のヤツにはしないけど、アイツはなんか妙に微笑ましいところがあるだろ。女と言うより、子どもか動物みたいでさ。無邪気にコロコロ笑う顔を見ると、なんかこう可愛くて無性にキスしたくなるだけ」
本人は気づかないようだが、カザネについて語る時のブライアンの顔からは愛情が溢れている。ジムからすれば
「いや明らかに! 好きだろ!」
と強めにツッコみたくなるほど、あからさまな態度だった。けれど相手は学園のキング様なので、そこまで強くは出られず、
「『無性に』がついちゃう時点で普通の好意じゃなくないかな? どうしてそう頑なに、カザネへの好意を認めないの?」
しつこく追及されたブライアンはやや不機嫌になって
「お前こそなんでそんなに、俺があのお嬢ちゃんに惚れていることにしたいの?」
質問調だが、ブライアンはジムの返事を待たずに言葉を続けて
「お前はなんか疑っているようだけど、本当にそういうんじゃないよ。だってアイツは来年の6月には日本に帰るんだろ」
「でもカザネはアメリカの大学に進学するつもりらしいし、絶対に離ればなれになるわけじゃ」
「アメリカって言ったって広いだろ。仮にアイツが希望の大学に受かったとしても、俺の志望校とはずいぶん離れている。会うのにいちいち飛行機に乗るんじゃ、海の向こうに居るのと大差ないよ」
ブライアンは淡々と言うと、
「愛情なんてただでさえ些細な理由で変動するのに、わざわざ難しい条件の相手を選ぶことないだろ。少なくとも俺は居なくなると分かっているヤツに、本気になるほど馬鹿じゃない」
それはどこか自分に言い聞かせるような物言いだった。しかし現実的には確かに、そこまで遠距離に居る相手と交際するのは難しい。よってその場は納得したのだが、ハンナに聞かれて思い出したのだった。
ジムから話を聞いたハンナも、
「うーん、そう言われちゃうと分からないわね。傍目には好きそうに見えるけど、確かに距離の問題は大きいし。今はスマホやパソコンがあるから昔よりは連絡が取りやすいけど、画面越しにやり取りするのと、触れ合える距離に居るのでは、やっぱり全然違うものね」
「うん……だから僕も2人の関係が気になるけど、後々のことを考えると、あんまり後押しもできない感じなんだ……」
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「ハンナとジム、何を話しているんだろう? 自分から2人きりになろうとするなんて、ハンナって意外と積極的だね!」
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傍目にはやはり恋人にしか見えない体勢で、2人の帰りを待っていた。
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