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第四話・妻が増えても逃げられない
生き残ったそなたが本命
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最後の盾を失った夜。ナンデは自室のベッドで丸まり、震えながら親指をしゃぶっていた。夫の新技を見せつけられて、いよいよ発狂寸前だった。しかしただ1人の妻に戻ったナンデのもとには
「ナンデ」
「アーッ!?」
ドーエスはナンデの反応に、くくくと笑いながら
「化け物でも見たかのような顔だな? すっかり安心していたか? 3人の新しい妻を迎えて、もう自分が相手にされることは無いだろうと」
何もかもお見通しの夫はベッドに上がると、丸まったナンデの背中にのしかかり、
「そなたが孕むまで犯してやる約束だろう? 途中で飽きて放り出すはずがない」
囁きとともに耳を食まれたナンデは
「殺さないで。殺さないで」
恐怖のあまりマトモな受け答えもできず、ガタガタと震えながらひたすら命乞いをした。
「そなたが私への恐怖を忘れぬうちは殺さぬ」
ドーエスは落ち着かせるようにナンデの頭を撫でると
「それにしても今回は当てが外れたな。そなたの反応が面白すぎるせいで、もう以前ほど他の女の悲鳴が楽しめぬ。どうしてくれる? ナンデ。そなたのせいで、これからは女遊びもできない」
「どうしてくれる?」と「そなたのせいで」だけ聞き取ったナンデは、
「うぇっ!? あっ!? なんで!? どうすればいいんですか!?」
必死に生きようとする妻に、ドーエスは笑みを深めながら
「どうもしなくていい。ただ1人の妻として、そなたが私の相手をすれば」
ナンデの頬に手を添えると、そっと唇を寄せた。近づく夫の顔に、ナンデは拒否の悲鳴を咄嗟に飲み込んだ。この1か月ナンデはご無沙汰だったが、ドーエスは他の女を抱いていた。それなのにドーエスは、まるでひと月も禁欲していたかのように、いつになく激しく執拗にナンデを抱いた。
行為を終えた後もドーエスは物足りなそうに、抜け殻のようなナンデの肩や手に何度も口づけながら
「そう言えば今夜でちょうど1年だな」
「な、何がですか……?」
無視するのも怖いので、息も絶え絶えにナンデが問うと
「そなたが私の妻になって今夜でちょうど1年だ」
ドーエスはナンデといつ出会ったか覚えていた。いつか祝おうと思ってのことではない。初対面で面白い女だと感じたので、どのくらい生き延びたか知るために、生存日数をカウントしていたのだ。
ドーエスは愉快そうに、ナンデの髪を撫でながら
「私に娶られて1年生き延びた女は他にいない。誇っていいぞ、ナンデ」
まだ1年なの? とナンデは思った。頭では1年だと理解していたが、もう10年もこの悪夢を見続けているように感じた。
1年の祝いとして、ナンデはドーエスから指輪をもらった。元の世界でもこの世界でも、不思議と共通して指輪という装飾品があり、夫婦の誓いとして広く用いられている。
ナンデは知らないことだが、50人以上もの女を妻にして来たドーエスが指輪を贈るのはこれがはじめてだった。それも相手にやるだけでなく、
「そなたが生きている限りは、私も夫婦の証として揃いの指輪を嵌めていよう」
ドーエスと自分の薬指にそれぞれ嵌まった揃いの指輪を見て、本物の夫婦みたいで嫌だとナンデは思った。ドーエスと居る限りは、機嫌を損ねないように指輪を外すわけにはいかない。しかしいつかはなんとか、この男の手を逃れて指輪を外したいとナンデは願ったが
「ちなみにこの指輪は自分か相手が死なぬ限りは外れぬ魔法の指輪だ。薬指を切り落として無理やり外す手もあるが、指を無くす以外の方法では決して外せぬ。そなたが私のものであるという証だ。大事にせよ」
「アーッ!?」
と叫びたくなるのをナンデは寸前で堪えた。まだ自分は生きているし、ギリ孕まされてもいない。まだ自由になる道は残されているはずだ。生きていれば、きっと……とナンデはドーエスの腕に抱かれ、震えながら自分を励ました。
「ナンデ」
「アーッ!?」
ドーエスはナンデの反応に、くくくと笑いながら
「化け物でも見たかのような顔だな? すっかり安心していたか? 3人の新しい妻を迎えて、もう自分が相手にされることは無いだろうと」
何もかもお見通しの夫はベッドに上がると、丸まったナンデの背中にのしかかり、
「そなたが孕むまで犯してやる約束だろう? 途中で飽きて放り出すはずがない」
囁きとともに耳を食まれたナンデは
「殺さないで。殺さないで」
恐怖のあまりマトモな受け答えもできず、ガタガタと震えながらひたすら命乞いをした。
「そなたが私への恐怖を忘れぬうちは殺さぬ」
ドーエスは落ち着かせるようにナンデの頭を撫でると
「それにしても今回は当てが外れたな。そなたの反応が面白すぎるせいで、もう以前ほど他の女の悲鳴が楽しめぬ。どうしてくれる? ナンデ。そなたのせいで、これからは女遊びもできない」
「どうしてくれる?」と「そなたのせいで」だけ聞き取ったナンデは、
「うぇっ!? あっ!? なんで!? どうすればいいんですか!?」
必死に生きようとする妻に、ドーエスは笑みを深めながら
「どうもしなくていい。ただ1人の妻として、そなたが私の相手をすれば」
ナンデの頬に手を添えると、そっと唇を寄せた。近づく夫の顔に、ナンデは拒否の悲鳴を咄嗟に飲み込んだ。この1か月ナンデはご無沙汰だったが、ドーエスは他の女を抱いていた。それなのにドーエスは、まるでひと月も禁欲していたかのように、いつになく激しく執拗にナンデを抱いた。
行為を終えた後もドーエスは物足りなそうに、抜け殻のようなナンデの肩や手に何度も口づけながら
「そう言えば今夜でちょうど1年だな」
「な、何がですか……?」
無視するのも怖いので、息も絶え絶えにナンデが問うと
「そなたが私の妻になって今夜でちょうど1年だ」
ドーエスはナンデといつ出会ったか覚えていた。いつか祝おうと思ってのことではない。初対面で面白い女だと感じたので、どのくらい生き延びたか知るために、生存日数をカウントしていたのだ。
ドーエスは愉快そうに、ナンデの髪を撫でながら
「私に娶られて1年生き延びた女は他にいない。誇っていいぞ、ナンデ」
まだ1年なの? とナンデは思った。頭では1年だと理解していたが、もう10年もこの悪夢を見続けているように感じた。
1年の祝いとして、ナンデはドーエスから指輪をもらった。元の世界でもこの世界でも、不思議と共通して指輪という装飾品があり、夫婦の誓いとして広く用いられている。
ナンデは知らないことだが、50人以上もの女を妻にして来たドーエスが指輪を贈るのはこれがはじめてだった。それも相手にやるだけでなく、
「そなたが生きている限りは、私も夫婦の証として揃いの指輪を嵌めていよう」
ドーエスと自分の薬指にそれぞれ嵌まった揃いの指輪を見て、本物の夫婦みたいで嫌だとナンデは思った。ドーエスと居る限りは、機嫌を損ねないように指輪を外すわけにはいかない。しかしいつかはなんとか、この男の手を逃れて指輪を外したいとナンデは願ったが
「ちなみにこの指輪は自分か相手が死なぬ限りは外れぬ魔法の指輪だ。薬指を切り落として無理やり外す手もあるが、指を無くす以外の方法では決して外せぬ。そなたが私のものであるという証だ。大事にせよ」
「アーッ!?」
と叫びたくなるのをナンデは寸前で堪えた。まだ自分は生きているし、ギリ孕まされてもいない。まだ自由になる道は残されているはずだ。生きていれば、きっと……とナンデはドーエスの腕に抱かれ、震えながら自分を励ました。
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