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第四話・私が思っていた彼とちがう

決死の仲直り(光城視点)

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 翌日。いつもの時間に登校した後、緊張しながら池田の到着を待つ。周りの人によると、俺は内心が顔に出るタイプらしいので「大丈夫か? 何かあったか?」と、友だちからもすごく心配された。

 もし休みだったらどうしようと思ったが、池田はいつもより遅れて登校して来た。すぐに「おはよう」と挨拶しに行く。池田は「おはよう」と返してくれたものの、全く目を合わせてくれなかった。

 やっぱり昨日のことが尾を引いているようだ。池田の反応に心が折れそうになるけど、ここで引いてしまったら気まずいまま別れることになってしまう。お試しとは言え、せっかく付き合えたのに別れるなんて絶対に嫌だ。


 昼休み。再び池田に「一緒にお昼を食べよう」と話しかけた。池田の表情は硬かったが、俺を無視するつもりはないようで、大人しくついて来てくれた。

 本能的に怖くなってしまうだけで、頭では俺を許そうとしてくれているのかな? それともちゃんと話し合った上で、お試し期間を終えようとしている?

 期待と不安に苛まれながら、屋上の踊り場へ向かった。こんな空気では食事どころじゃないだろうと

「今日すごく余所余所しいけど、やっぱり昨日のせいだよね? 昨日は本当にゴメン。驚かせちゃって」

 まずは昨日の件を再び謝罪すると、池田はフルフルと首を振って「光城君は悪くない」と言ってくれたが

「いや、でも俺が……無理やり触ろうとしたからでしょ?」

 つい婉曲な表現をしてしまったが、池田が拒否してくれなかったら、どこまでしていたか自分でも分からない。明確に犯すと言う意思は無かったけど、取りあえず裸を見たかったし、体中触って舐め回したかった。ケダモノかなぁ!? と自分で自分が恥ずかしい。池田が怖がるのは当然だし、完全に俺が悪い。

 しかし俺の言葉に、池田は「私が先に変なことをしたのが悪い」と言った。自分にも非があると思っているようだ。

 それから池田は自分の気持ちを、すまなそうな顔で話してくれた。やっぱり池田は俺が安全だから、安心して悪戯していたらしい。どれだけ俺を刺激しても、自分がやり返されるとは思わなかったようだ。

 ここまで聞いた時点で俺は再び

(ゴメンね。信頼を裏切ってゴメンね)

 と心の中でぶわっと泣いた。でも池田はあくまで悪いのは刺激した自分で、むしろ俺を怖がって拒否してしまったことを申し訳なく感じているらしい。

 俺のせいで怖い想いをしたのに、自分を責めているらしい池田に

「そんな、申し訳ないなんて思わなくていいよ。あんな風に襲っておいて説得力が無いけど、池田が嫌なことはしたくないから、ちゃんと拒否してくれて良かったよ」

 強がりじゃなくて本当に、池田に我慢させてまで自分の欲を満たしたくは無い。俺の言葉に、池田はようやく目を上げて

「……怒ってないの? 拒まれてショックじゃなかった?」

 自分のほうがよほど怖かったろうに、池田はずっと俺を傷つけたんじゃないかと、心配してくれていたみたいだ。池田の優しさに好感と罪悪感を同時に抱きながら

「拒まれたことよりも、池田を怖がらせたほうがショックだった。急に変なことをしてゴメン。もうあんなことしないから」

 心からの反省を伝えると、池田は驚いたように目を見開いて

「……まだ私と付き合うの? 私ばっかり勝手して、光城君には何もいいことないのに?」

 池田は俺を振り回すばかりで、何も与えていないと思っているようだけど
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