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第五話・私が思っていた夏休みとちがう
夏は外に出たくないので
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ちゃんと付き合うにあたって誠慈君に、3か月のお試し交際は女子に圧力をかけられてのことだったと打ち明けた。本当のことを話したら嫌われるんじゃないかと不安だったけど、こんなに優しくしてくれる誠慈君を騙すような真似はしたくなかった。
誠慈君は女子から圧力があったことに驚いていたが
「今はちゃんと俺が好きだと思ってくれているんだよね? だったらいいよ。俺は萌乃に無理をさせているんじゃなければ大丈夫だから」
誠慈君、すごいな。そんなに寛容でいいのかというくらい許してくれる。あんまり許してくれるので、いつも譲らせて悪いな。やっぱり私と付き合っても、彼にとって損なのでは? と不安になるけど
「私やっぱり相応しくないんじゃ? 別れたほうがいいんじゃ?」
みたいなことを聞くと、
「えっ? 俺、何か悪いことした?」
私が相応しくないと言っているのに、なぜか自分に問題があると誤解して
「悪いところがあるなら全部直すから。もっとがんばるから別れないで……」
と泣きそうな顔で震えて、とても気の毒なことになるので、もう自分から変な気を回すのはやめた。
愛見さんたちにも、お試しではなく本当に付き合うことになったと報告した。単なる報告だけじゃなくて、あの時、ろくに誠慈君を知らないのに、拒絶しようとした私を止めてくれたお礼とともに。
すると愛見さんたちから
『本交際おめでと~!』
『うまくいって良かった!』
『光城君の良さを分かってくれてありがとう!』
とお祝いの返信がたくさん届いた。相変わらず私以外の人たち、みんな性格よすぎてビビる。
しかし両想いになったのも束の間。学校は夏休みに突入した。学校が無いと誠慈君に会えない。向こうは図書館で勉強とか公園で散歩など、いろいろ提案してくれたが、ダメ人間である私は夏場に外出するのが嫌だった。むしろ夏じゃなくても、なるべく家に居たい。私はずいぶん誠慈君を好きになったつもりだったけど、彼かエアコンの効いた室内なら、後者を取ってしまう人間なんだな。
普通なら「本当は俺が好きじゃないんじゃないの?」と呆れて、私を嫌いになるだろう。しかし誠慈君は「俺も夏はなるべく外に出たくないから分かるよ」と理解を示して
『じゃあ、俺が萌乃の家に遊びに行こうか?』
と提案してくれた。直前まで「自分も夏は外に出たくない」と言っていたにも関わらずだ。私たちの関係は、明らかに誠慈君の努力と優しさによって成り立っている。でも、ここで変に遠慮して身を引こうとすると、また誠慈君が壊れてしまうので、大人しくお言葉に甘えさせてもらった。
私はこれまでも親の居ない隙に、ちょこちょこ誠慈君を家に上げていた。でも私と違って礼儀正しい誠慈君は、両親の留守に勝手に女の子の家に上がるのは悪いと思っていたらしい。今まではお試し交際だったので、はっきりと彼氏だと名乗れない身分では挨拶もできないと遠慮していたようだ。でもこのたび本当に付き合うことになったので
『今さらだけど、萌乃のご両親に挨拶させてもらいたいんだ』
と言い出した。どちらかと言えば不誠実な私は、両親への挨拶は結婚前にするものでは? 高校生カップルなのに、相手の家族との関係まで考えなくてもいいのでは? と思ってしまった。自分は誠慈君のご家族に、挨拶したくないので余計に。
でも誠慈君は彼氏として堂々と私の家に来たいようだ。家族に彼氏ができたと報告する恥ずかしさはあるけど、誠慈君は私にはもったいない人なので、紹介するのが嫌ということはない。うちの両親は私の社交性の無さをそこはかとなく心配していたので、こんなにいい人が例え学生時代のほんの一時でも付き合ってくれていると知れば、きっと喜ぶだろう。
誠慈君は女子から圧力があったことに驚いていたが
「今はちゃんと俺が好きだと思ってくれているんだよね? だったらいいよ。俺は萌乃に無理をさせているんじゃなければ大丈夫だから」
誠慈君、すごいな。そんなに寛容でいいのかというくらい許してくれる。あんまり許してくれるので、いつも譲らせて悪いな。やっぱり私と付き合っても、彼にとって損なのでは? と不安になるけど
「私やっぱり相応しくないんじゃ? 別れたほうがいいんじゃ?」
みたいなことを聞くと、
「えっ? 俺、何か悪いことした?」
私が相応しくないと言っているのに、なぜか自分に問題があると誤解して
「悪いところがあるなら全部直すから。もっとがんばるから別れないで……」
と泣きそうな顔で震えて、とても気の毒なことになるので、もう自分から変な気を回すのはやめた。
愛見さんたちにも、お試しではなく本当に付き合うことになったと報告した。単なる報告だけじゃなくて、あの時、ろくに誠慈君を知らないのに、拒絶しようとした私を止めてくれたお礼とともに。
すると愛見さんたちから
『本交際おめでと~!』
『うまくいって良かった!』
『光城君の良さを分かってくれてありがとう!』
とお祝いの返信がたくさん届いた。相変わらず私以外の人たち、みんな性格よすぎてビビる。
しかし両想いになったのも束の間。学校は夏休みに突入した。学校が無いと誠慈君に会えない。向こうは図書館で勉強とか公園で散歩など、いろいろ提案してくれたが、ダメ人間である私は夏場に外出するのが嫌だった。むしろ夏じゃなくても、なるべく家に居たい。私はずいぶん誠慈君を好きになったつもりだったけど、彼かエアコンの効いた室内なら、後者を取ってしまう人間なんだな。
普通なら「本当は俺が好きじゃないんじゃないの?」と呆れて、私を嫌いになるだろう。しかし誠慈君は「俺も夏はなるべく外に出たくないから分かるよ」と理解を示して
『じゃあ、俺が萌乃の家に遊びに行こうか?』
と提案してくれた。直前まで「自分も夏は外に出たくない」と言っていたにも関わらずだ。私たちの関係は、明らかに誠慈君の努力と優しさによって成り立っている。でも、ここで変に遠慮して身を引こうとすると、また誠慈君が壊れてしまうので、大人しくお言葉に甘えさせてもらった。
私はこれまでも親の居ない隙に、ちょこちょこ誠慈君を家に上げていた。でも私と違って礼儀正しい誠慈君は、両親の留守に勝手に女の子の家に上がるのは悪いと思っていたらしい。今まではお試し交際だったので、はっきりと彼氏だと名乗れない身分では挨拶もできないと遠慮していたようだ。でもこのたび本当に付き合うことになったので
『今さらだけど、萌乃のご両親に挨拶させてもらいたいんだ』
と言い出した。どちらかと言えば不誠実な私は、両親への挨拶は結婚前にするものでは? 高校生カップルなのに、相手の家族との関係まで考えなくてもいいのでは? と思ってしまった。自分は誠慈君のご家族に、挨拶したくないので余計に。
でも誠慈君は彼氏として堂々と私の家に来たいようだ。家族に彼氏ができたと報告する恥ずかしさはあるけど、誠慈君は私にはもったいない人なので、紹介するのが嫌ということはない。うちの両親は私の社交性の無さをそこはかとなく心配していたので、こんなにいい人が例え学生時代のほんの一時でも付き合ってくれていると知れば、きっと喜ぶだろう。
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