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第5話・〇〇しないと出られない部屋レベル1
スキンシップでハイテンション
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これからはたまに触れ合おうと約束したものの、用も無いのに触れることが、対人関係音痴気味である私には難しかった。ユエルも自分から、撫でてと甘えられる性格ではない。自然の流れに任せていると、一生スキンシップできなそうなので、あえてお題部屋に頼ることにした。
これまでは何も知らない子をお題部屋に連れ込むのは、セクハラだと自重していた。しかしユエル自身がスキンシップを望んでいるなら話は別だ。
少し恥ずかしいが、エロイベントの発生しないユエルでは、お題部屋に入ってもライトなスキンシップしか要求されない。『頭を撫でる』と違って『ハグ』や『膝まくら』はだいぶ恥ずかしいが、『キス』なら手の甲でもOKだ。そのくらいなら許容範囲かと、いちおうユエルにも確認を取って5回に1回くらいは、お題部屋を選ぶようになった。
私はユエルを少し誤解していたのかもしれない。見た目こそ幼いけど、中身は下手な大人よりも成熟していて、子ども扱いを嫌う子だと思っていた。
でもお題部屋で『ハグ』や『膝枕』をすると
「……マスターにこんなことを求めるなんていけないんですが、これ、すごく幸せです」
と上気した顔を両手で隠しながら喜びを口にした。
ユエルも私と同じで、ついがんばりすぎてしまうだけで、人に甘えたい時もあるのかもしれない。強くなりたいのも本心だろうから鍛錬の手は緩めないが、それ以外はなるべく甘やかそうと思った。
それにスキンシップは何気に戦闘に好影響を与えた。この世界には気力体力以外に『テンション』と呼ばれる要素がある。テンションが高いと各パラメーターが上昇。クリティカル率や回避率もアップして戦闘が有利になる。
ゲームでもヒロインと『いいこと』した後は、キャラのテンションが上がっていた。しかしある程度の好感度が無ければいけないようで、実はヒロインに惚れていなかった風丸と、非攻略キャラのユエルには影響しなかったのだが
「ユエル、私とスキンシップするとテンションが上がるね」
私の何気ない指摘に、ユエルはビシッと固まると
「~っ、不純ですみません」
真っ赤になって羞恥に打ち震えた。だいぶ触れ合いに慣れて来た私は、項垂れた彼の頭をよしよしと撫でながら
「からかっているんじゃなくて喜んでいるんだよ。前に君をねぎらいたいと言ったでしょう? 数値に表れるくらい、君が喜んでくれているなら嬉しいよ」
ユエルはおずおずと私を見上げると
「マスターがいつもおっしゃる数値には、体調やテンション以外に、どんなことが表れているんでしょうか?」
「確かに個人情報を知られていると思ったら不安だよね。でも基本的に、戦闘に関わるデータしか分からないから大丈夫だよ」
「気持ちや考えなどは、分かってしまいませんか?」
乙女ゲームでは普通、キャラの好感度を確認できる。しかし『騎士王と主の伝説』は、風丸の裏切りエンドを事前に悟らせないためか、好感度や発情度などキャラの内心に関する数値は見られなかった。キャラの好感度や発情度がモラルを上回ると、お題部屋の命令が過激になるとのことなので、ゲームではそれを目安にしていた。けれどユエルの場合はそれも無いので
「気持ちや考えまでは分からないよ。君の態度や表情から察することはあっても、数値でハッキリ分かるみたいなことは無いから大丈夫」
私の返答に、ユエルはホッと表情を緩めて
「それなら良かった。僕の気持ちが、マスターに筒抜けだったらどうしようかと」
「そんなにマズいことを考えているの?」
私の質問に、ユエルは控えめに恥じらいながら
「いえ、良からぬことを考えているわけでは無いんですが……僕は多分マスターが思っているより、あなたを慕っているので。その気持ちが数値化されていたら恥ずかしいなと」
「そ、そう……」
まるで清楚な教え子に想いを打ち明けられた男性教師のような気分だ。嬉しいんだけど、背徳感がヤバい。
ユエルの態度があまりに思わせぶりなので、うっかり誤解しそうになってしまうが、彼の言う『慕う』は明らかに主または師匠に対するものだ。
ただ、ちゃんと主ないし師匠としての好意でも、私至上ナンバーワンの推しに特別扱いされるのは照れてしまう。
これまでは何も知らない子をお題部屋に連れ込むのは、セクハラだと自重していた。しかしユエル自身がスキンシップを望んでいるなら話は別だ。
少し恥ずかしいが、エロイベントの発生しないユエルでは、お題部屋に入ってもライトなスキンシップしか要求されない。『頭を撫でる』と違って『ハグ』や『膝まくら』はだいぶ恥ずかしいが、『キス』なら手の甲でもOKだ。そのくらいなら許容範囲かと、いちおうユエルにも確認を取って5回に1回くらいは、お題部屋を選ぶようになった。
私はユエルを少し誤解していたのかもしれない。見た目こそ幼いけど、中身は下手な大人よりも成熟していて、子ども扱いを嫌う子だと思っていた。
でもお題部屋で『ハグ』や『膝枕』をすると
「……マスターにこんなことを求めるなんていけないんですが、これ、すごく幸せです」
と上気した顔を両手で隠しながら喜びを口にした。
ユエルも私と同じで、ついがんばりすぎてしまうだけで、人に甘えたい時もあるのかもしれない。強くなりたいのも本心だろうから鍛錬の手は緩めないが、それ以外はなるべく甘やかそうと思った。
それにスキンシップは何気に戦闘に好影響を与えた。この世界には気力体力以外に『テンション』と呼ばれる要素がある。テンションが高いと各パラメーターが上昇。クリティカル率や回避率もアップして戦闘が有利になる。
ゲームでもヒロインと『いいこと』した後は、キャラのテンションが上がっていた。しかしある程度の好感度が無ければいけないようで、実はヒロインに惚れていなかった風丸と、非攻略キャラのユエルには影響しなかったのだが
「ユエル、私とスキンシップするとテンションが上がるね」
私の何気ない指摘に、ユエルはビシッと固まると
「~っ、不純ですみません」
真っ赤になって羞恥に打ち震えた。だいぶ触れ合いに慣れて来た私は、項垂れた彼の頭をよしよしと撫でながら
「からかっているんじゃなくて喜んでいるんだよ。前に君をねぎらいたいと言ったでしょう? 数値に表れるくらい、君が喜んでくれているなら嬉しいよ」
ユエルはおずおずと私を見上げると
「マスターがいつもおっしゃる数値には、体調やテンション以外に、どんなことが表れているんでしょうか?」
「確かに個人情報を知られていると思ったら不安だよね。でも基本的に、戦闘に関わるデータしか分からないから大丈夫だよ」
「気持ちや考えなどは、分かってしまいませんか?」
乙女ゲームでは普通、キャラの好感度を確認できる。しかし『騎士王と主の伝説』は、風丸の裏切りエンドを事前に悟らせないためか、好感度や発情度などキャラの内心に関する数値は見られなかった。キャラの好感度や発情度がモラルを上回ると、お題部屋の命令が過激になるとのことなので、ゲームではそれを目安にしていた。けれどユエルの場合はそれも無いので
「気持ちや考えまでは分からないよ。君の態度や表情から察することはあっても、数値でハッキリ分かるみたいなことは無いから大丈夫」
私の返答に、ユエルはホッと表情を緩めて
「それなら良かった。僕の気持ちが、マスターに筒抜けだったらどうしようかと」
「そんなにマズいことを考えているの?」
私の質問に、ユエルは控えめに恥じらいながら
「いえ、良からぬことを考えているわけでは無いんですが……僕は多分マスターが思っているより、あなたを慕っているので。その気持ちが数値化されていたら恥ずかしいなと」
「そ、そう……」
まるで清楚な教え子に想いを打ち明けられた男性教師のような気分だ。嬉しいんだけど、背徳感がヤバい。
ユエルの態度があまりに思わせぶりなので、うっかり誤解しそうになってしまうが、彼の言う『慕う』は明らかに主または師匠に対するものだ。
ただ、ちゃんと主ないし師匠としての好意でも、私至上ナンバーワンの推しに特別扱いされるのは照れてしまう。
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