こんな馬鹿でダメな男、好きなはずないから

知見夜空

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第三話・合コン怖い、二度と行かない

嫌なのにドキドキする(薄っすら性描写)

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 そして合コン当日。相手の女性たちは、やっぱり僕が目当てらしく

「休みの日に白石君と会えるなんて感激だな~。私服もオシャレでカッコいい~」
「その服も靴もブランドものでしょ? やっぱり白石君ってお金持ちなんだ。すご~い」

 うちが裕福であることは僕の努力とは無関係なので、こういう時いつも返答に困る。幸い僕ががんばらなくても、同行している男たちが、気まずくなる前に話題を変えてくれるので、なんとか場が持っていた。

 ちなみに場所はカラオケボックスだ。僕はたまに質問に答えるだけで、後はひたすら歌って得点を取るだけの機械と化していた。

 女の子たちは「すごい」「うまい」と褒めてくれるが、僕の歌は大してうまくない。音程とリズムは合っているので得点は高いが、感情のこもらないつまらない歌い方だ。勉強や運動は得意だが、自己表現は総じて苦手だった。むしろ千堂のほうが色んなジャンルの歌を巧みに歌いこなして、場を盛り上げていた。

 さらに千堂は僕と違って会話も上手なので

「男の子なのに髪が長いって珍しいね~」

 他の人が歌っている間、女の子の1人といい雰囲気になり

「犬の尻尾みたいで可愛いでしょ? 良かったら触る? よしよししてくれたら、犬みたいに懐いちゃう」
「あはは、可愛い。触る触る」

 とかやっているのを見た僕は

「えっ? な、何、急に?」

 千堂の髪に触れようとする女の子の手を、思わずガッと掴んでいた。突然の接触に目を白黒させる女の子に、僕はハッと我に返って

「いや、その……ソイツは素行も性格も悪いから、君には相応しくない! 他の男にしたほうがいい!」
「そうだよー。千堂は性格が悪いから俺らにしておきなって」
「え~?」

 千堂の友人のお陰で、なんとか気まずい空気にならずに済んだ。しかし僕に邪魔された千堂は、それでは誤魔化されず

「白石ク~ン。ちょっと」

 皆がカラオケしている間にトイレに連行された。人目を気にしてか千堂は僕を個室に連れ込むと、ドンと壁に手をついて

「なんで邪魔するかな? お前もあの子狙いってわけじゃないだろ?」
「さっき言ったとおりだ。お前みたいな性悪と付き合ったら、あの子が不幸になるから止めただけだ」
「馬鹿言え。俺はこう見えて女には尽くすタイプだぞ。男からは搾取し、女の子には奉仕する。ほら、女の子には無害無害」

 ニコニコと自分の顔を指して無害アピールする千堂に

「どこが無害だ! 犬みたいに懐いちゃうとかデレデレしおって! 下心が丸見えだ!」
「そりゃ男なんだから下心があって当然だろ? お前だって昔は俺に、馬鹿みたいにここ膨らませていたくせにさ」

 千堂は僕にスッと身を寄せると

「ちょっ、ナチュラルに撫でるな、そんなとこ!」

 股間を妖しく撫で上げられた僕は

「あっ」

 僕の下半身の異変に気付いた千堂はススッと身を引くと

「……そーいや、お前はちょっと触られただけで反応してしまうガチホモだったな。彼女より彼氏を探したほうがいいんじゃない?」
「ち、違うっ! 僕はホモじゃないっ! お前以外に、こんな風になったことはない!」
「むしろ俺以外の男にチンコを触られることなんてあんの?」
「触られたことはないが、告白されたことならあるぞ。相手は校内でも屈指の美少年だったが、それでも咄嗟に投げ飛ばしたくらい僕は絶対に男は無理だ」

 その返答は言い訳ではなく本心だった。女の子にはドキドキしないだけだが、男に性の対象として迫られるのは、想像だけで寒気がする。

 しかし僕の返答に、千堂は再び意味深に身を寄せて来て

「告白されただけで相手を投げ飛ばすヤツが、どうして俺には大人しくチンコを触らせてんの? 男は好きじゃないけど、俺のことは今でも好きとか?」
「はぁぁ!? 自惚れもいい加減にしてくれないか!? 昔のお前ならともかく、見た目も性格も最悪な今のお前に誰が惚れるんだ!?」

 激しい否定の言葉とは裏腹に、なぜか顔がカッと熱くなった。それ自体は怒りかもしれないが

「じゃー、なんで見た目も性格も最悪な男に触られて、今でもここを硬くしちゃうの?」

 千堂はまた僕のそこを撫でて来た。他の人間だったら、男どころか女性でも絶対に許さない過剰な接触。しかし千堂が相手だとなぜか

「そ、そんなの自分でも分からん……。ただお前が相手だと、僕はなぜか体の自由が利かなくなるんだ……」

 声と体を震わせながら、弱ったように言葉を返す。千堂はそんな僕を面白そうに見上げながら

「最悪の初体験がトラウマになっちまったかな? 俺のせいでこんな体になったんなら、責任を取って昔みたいに抜いてやろうか?」
「はっ!? えっ!?」

 千堂の手がズボンのファスナーを掴む。それでもなぜか抵抗できない。それどころかなぜか期待するように心臓がドキドキして、なんで自分がこんな反応をしてしまうのか分からなくて、恥ずかしくて死にたくなった。

 そのままでは危ないところだったが

「なーんて。冗談に決まってんだろ。いくら男でも他人のチンコの世話なんてできませーん」

 千堂はファスナーからパッと手を放すと、おどけたように笑って

「じゃあ、俺は先に戻るから、お前はそれを鎮めてから来な。皆にはウンコだって言っといてやるからさ」
「もう少しマシな誤魔化し方をしろ!」

 追いかけて止めたかったが、千堂の言うとおり、これをどうにかしてからでなければ動けない。クソ、カラオケのトイレなんかで……と思いながら自分を慰めた。
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