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第三話・合コン怖い、二度と行かない
本当に大変な時だけは
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彼女に取られていないほうの腕を、誰かがいきなりパシッと掴んで
「デカい図体で何フリーズしてんの」
「せ、千堂? どうしてここに?」
千堂は走ってきたようで、しばらく荒い息を吐いていたが、なんとか口を開くと
「お前がなかなか戻らないから捜しに来たんじゃん。他のヤツラは女の子をお持ち帰りしたんじゃないかと言っていたけど、お前はそんなタイプじゃないし。むしろ女に何かされてんじゃないかって、俺の推理が的中したわ」
「俺の頭脳に感謝しろよ」と笑う千堂に
「感謝って! お前がこの子に僕の秘密をバラしたから、こんなことになっているんだぞ!?」
涙目で訴えると、千堂は僕ではなく彼女に目を向けて
「へ~? 俺が君にコイツの秘密をバラしたって? そんなすぐにバレる嘘で、君はコイツを脅迫したの?」
「すぐにバレる嘘って……えっ? 嘘だったのか?」
追い詰められた彼女は僕の腕を放すと、じりじりと後ずさりながら
「だって千堂君、意外と口が堅くて何を言っても教えてくれないんだもん。でも別にいいじゃん。未遂だったんだし。じゃ、じゃあねっ」
逃げるように、その場から走り去った。
「あっ、ちょっ!? なんてヤツだ!」
憤慨する僕をよそに、千堂は冷静な口ぶりで
「まー、でもお前も悪いんだぞ。俺に聞けばすぐ分かることを、確認もせずに鵜呑みにするから」
千堂は何度も連絡してくれたようだ。ただ僕は最初の連絡の時に「デート中に電話に出るなんてあり得ないから」と彼女に電源を切られてしまった。いま思えば、嘘がバレないように情報を遮断したのだろう。
千堂の指摘どおり、まんまと彼女の罠にかかった自分が情けなくて、僕は「うぅ」と唸りつつ
「だってお前はもともと僕を利用しているんだし、得があれば人に言うこともあるかもしれないと」
思わず千堂に責任転嫁してしまった。いつもはともかく今日は助けに来てくれたのに。我ながら酷い態度だったが、千堂は怒ることなく、珍しく真面目な顔で
「脅迫している立場でこんなことを言っても説得力が無いだろうけど、お前が本当に困ることはしねーよ。小学生からの知り合いなのに、俺のせいでお前が他人の餌食になるとか嫌じゃん」
「……それで僕を捜して走ってくれたのか?」
その質問に、千堂は僕の胸を人差し指でトンと突くと
「だってお前はイケメンの皮を被ったお嬢様だからな。今どき珍しいくらいピュアなのに、好きでもないヤツに食わせてやるわけにはいかんだろ」
珍しくなんの他意も無い素直な顏で笑って
「だから間に合って良かったわ。お前に何も無くて」
僕がお人よしなのかもしれないが、少なくともその言葉には、なんの打算も感じられなかった。純粋に僕の無事を喜んでくれる言葉。
先ほどの彼女に自分の意思を無視され、踏み躙られかけたばかりなので、やたらその厚意が沁みてしまった。しかし日頃の扱いを思えば、素直にありがとうとは言えなくて「あ」とか「う」しか言えない僕に
「なんだ? 口をパクパクさせて」
「な、なんでもない」
咄嗟に否定すると、千堂は特に追及せずに「じゃー、帰るか」と背を向けた。こうなったのはそもそも千堂が合コンに来いと強要したせいなので、感謝するのはおかしい。
……それでもコイツが僕を心配して、捜して走ってくれたことが嬉しくて
「……助けてくれて、ありがとう」
前を歩く背中に、伝える気の無い感謝を述べた。
「デカい図体で何フリーズしてんの」
「せ、千堂? どうしてここに?」
千堂は走ってきたようで、しばらく荒い息を吐いていたが、なんとか口を開くと
「お前がなかなか戻らないから捜しに来たんじゃん。他のヤツラは女の子をお持ち帰りしたんじゃないかと言っていたけど、お前はそんなタイプじゃないし。むしろ女に何かされてんじゃないかって、俺の推理が的中したわ」
「俺の頭脳に感謝しろよ」と笑う千堂に
「感謝って! お前がこの子に僕の秘密をバラしたから、こんなことになっているんだぞ!?」
涙目で訴えると、千堂は僕ではなく彼女に目を向けて
「へ~? 俺が君にコイツの秘密をバラしたって? そんなすぐにバレる嘘で、君はコイツを脅迫したの?」
「すぐにバレる嘘って……えっ? 嘘だったのか?」
追い詰められた彼女は僕の腕を放すと、じりじりと後ずさりながら
「だって千堂君、意外と口が堅くて何を言っても教えてくれないんだもん。でも別にいいじゃん。未遂だったんだし。じゃ、じゃあねっ」
逃げるように、その場から走り去った。
「あっ、ちょっ!? なんてヤツだ!」
憤慨する僕をよそに、千堂は冷静な口ぶりで
「まー、でもお前も悪いんだぞ。俺に聞けばすぐ分かることを、確認もせずに鵜呑みにするから」
千堂は何度も連絡してくれたようだ。ただ僕は最初の連絡の時に「デート中に電話に出るなんてあり得ないから」と彼女に電源を切られてしまった。いま思えば、嘘がバレないように情報を遮断したのだろう。
千堂の指摘どおり、まんまと彼女の罠にかかった自分が情けなくて、僕は「うぅ」と唸りつつ
「だってお前はもともと僕を利用しているんだし、得があれば人に言うこともあるかもしれないと」
思わず千堂に責任転嫁してしまった。いつもはともかく今日は助けに来てくれたのに。我ながら酷い態度だったが、千堂は怒ることなく、珍しく真面目な顔で
「脅迫している立場でこんなことを言っても説得力が無いだろうけど、お前が本当に困ることはしねーよ。小学生からの知り合いなのに、俺のせいでお前が他人の餌食になるとか嫌じゃん」
「……それで僕を捜して走ってくれたのか?」
その質問に、千堂は僕の胸を人差し指でトンと突くと
「だってお前はイケメンの皮を被ったお嬢様だからな。今どき珍しいくらいピュアなのに、好きでもないヤツに食わせてやるわけにはいかんだろ」
珍しくなんの他意も無い素直な顏で笑って
「だから間に合って良かったわ。お前に何も無くて」
僕がお人よしなのかもしれないが、少なくともその言葉には、なんの打算も感じられなかった。純粋に僕の無事を喜んでくれる言葉。
先ほどの彼女に自分の意思を無視され、踏み躙られかけたばかりなので、やたらその厚意が沁みてしまった。しかし日頃の扱いを思えば、素直にありがとうとは言えなくて「あ」とか「う」しか言えない僕に
「なんだ? 口をパクパクさせて」
「な、なんでもない」
咄嗟に否定すると、千堂は特に追及せずに「じゃー、帰るか」と背を向けた。こうなったのはそもそも千堂が合コンに来いと強要したせいなので、感謝するのはおかしい。
……それでもコイツが僕を心配して、捜して走ってくれたことが嬉しくて
「……助けてくれて、ありがとう」
前を歩く背中に、伝える気の無い感謝を述べた。
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