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第四話・海水浴に行こう
会えても会えなくても気になる
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千堂への屈従から抜け出せないまま、あっという間に1学期が終了して今は夏休みだ。なんせ学校が無いので、もう2週間ほど千堂とは顔を合わせていない。会えないのは仕方ないが連絡も一切ない。
……所詮アイツは僕を利用するために絡んで来るだけなので、用が無ければ連絡しないのだ。別に寂しいとか思ってない。
……ただアイツのことだから、また僕が想像もしないような使い道を考えて、夏休みでも平気で呼び出して来るかと思っていたので、少々拍子抜けしているだけだ。
僕はアイツ以外のことで、あまり感情を乱すことは無いので、よくも悪くも平坦な夏休みを送っていた。
しかし8月に入って少し過ぎた頃。千堂から久しぶりに電話が来た。その要件は
「海に行こうって……僕とお前の2人でか?」
1泊2日で海に行かないかと誘われた。日帰りでは十分遊べないから、安い民宿に泊まろうと。民宿なんて言葉で知るだけで、実際に泊ったことはない。興味が無くもなかったが、僕の質問に千堂は
『いや、例によってお前をエサとしたナンパツアーだから俺の他に男が3人。お前が居ると女の子のほうから寄って来て楽だから、ついて来てくれよ。一緒に水着の女の子と戯れようぜ!』
ただの遊びではなく、今回もナンパ目的だと判明した。真っ向からエサだと言われて喜ぶはずもなく、僕はムッとして
「言っておくが、僕はお前たちと違って女性なら誰でもいいわけじゃないからな。むしろ前回ラブホテルに連れ込まれそうになったせいで、お前たちが好きそうな派手な女性には恐怖しかない」
『そんなに心配するなよ。またお前が何かされそうになったら、ちゃんと護ってやるからさ』
「ふぇっ!?」
『なんだ? 急に萌えキャラみたいな声出して』
「べ、別になんでもない……」
日頃コイツに虐げられている反動か、大事にされているようなことを言われると、妙にソワッとしてしまう。僕は謎の情動を振り払うと
「だとしても、やっぱり最初からナンパ目的の旅行は嫌だ。普通に海水浴に行くだけじゃダメなのか?」
『普通に海に行っても楽しいだろうけど、俺の場合はナンパツアーとして参加費を取るからこそ、自分の分の宿泊代が浮くから旅行できる計算なわけで』
問題を把握した僕は
「……資金の問題ならうちの別荘を貸してもいいぞ。食事もこちらで用意してやる」
『えっ、本当に? タダで旅行させてくれんの?』
「その代わり部外者とナンパは無しだぞ!? 僕はいかがわしい集まりは嫌なんだ!」
『ナンパはいいとして、部外者ってどこまでが部外者? タダで旅行できるなら、妹たちも連れて行ってやりたいけど、流石に図々しい?』
「……お前の弟妹なら許す。下の子が居たほうがお前もナンパしにくいだろうし」
僕の提案に、千堂は思ったより上機嫌で
『やった。泊まりで海に行けたらアイツら喜ぶわ。ありがとな、白石』
「あ、ああ」
アイツが嬉しそうだと、なぜか心がほわっとしてしまう。この気持ちはなんだろう。……まるでアイツにしか抱かない特別な感情のように言ってしまったが、人には多かれ少なかれ共感力があるので、人が喜ぶと自分も嬉しくなるのは当然だ。絶対にアイツが特別とかじゃないと僕は慌てて思い直した。
ともかく千堂と旅行することになったので、忘れないようにいちおうカレンダーに丸を付けて、じいやに諸々の手配を頼んだ。新しい水着も買い、泊りということは夜も遊ぶものが必要だろうとカードゲームや皆で摘まめるように菓子類なども準備した。
別に普通にしていたつもりだが、じいやにはウキウキしているように見えたようで
「ご学友とのご旅行、楽しみですね」
と不本意ながら微笑ましがられた。
……所詮アイツは僕を利用するために絡んで来るだけなので、用が無ければ連絡しないのだ。別に寂しいとか思ってない。
……ただアイツのことだから、また僕が想像もしないような使い道を考えて、夏休みでも平気で呼び出して来るかと思っていたので、少々拍子抜けしているだけだ。
僕はアイツ以外のことで、あまり感情を乱すことは無いので、よくも悪くも平坦な夏休みを送っていた。
しかし8月に入って少し過ぎた頃。千堂から久しぶりに電話が来た。その要件は
「海に行こうって……僕とお前の2人でか?」
1泊2日で海に行かないかと誘われた。日帰りでは十分遊べないから、安い民宿に泊まろうと。民宿なんて言葉で知るだけで、実際に泊ったことはない。興味が無くもなかったが、僕の質問に千堂は
『いや、例によってお前をエサとしたナンパツアーだから俺の他に男が3人。お前が居ると女の子のほうから寄って来て楽だから、ついて来てくれよ。一緒に水着の女の子と戯れようぜ!』
ただの遊びではなく、今回もナンパ目的だと判明した。真っ向からエサだと言われて喜ぶはずもなく、僕はムッとして
「言っておくが、僕はお前たちと違って女性なら誰でもいいわけじゃないからな。むしろ前回ラブホテルに連れ込まれそうになったせいで、お前たちが好きそうな派手な女性には恐怖しかない」
『そんなに心配するなよ。またお前が何かされそうになったら、ちゃんと護ってやるからさ』
「ふぇっ!?」
『なんだ? 急に萌えキャラみたいな声出して』
「べ、別になんでもない……」
日頃コイツに虐げられている反動か、大事にされているようなことを言われると、妙にソワッとしてしまう。僕は謎の情動を振り払うと
「だとしても、やっぱり最初からナンパ目的の旅行は嫌だ。普通に海水浴に行くだけじゃダメなのか?」
『普通に海に行っても楽しいだろうけど、俺の場合はナンパツアーとして参加費を取るからこそ、自分の分の宿泊代が浮くから旅行できる計算なわけで』
問題を把握した僕は
「……資金の問題ならうちの別荘を貸してもいいぞ。食事もこちらで用意してやる」
『えっ、本当に? タダで旅行させてくれんの?』
「その代わり部外者とナンパは無しだぞ!? 僕はいかがわしい集まりは嫌なんだ!」
『ナンパはいいとして、部外者ってどこまでが部外者? タダで旅行できるなら、妹たちも連れて行ってやりたいけど、流石に図々しい?』
「……お前の弟妹なら許す。下の子が居たほうがお前もナンパしにくいだろうし」
僕の提案に、千堂は思ったより上機嫌で
『やった。泊まりで海に行けたらアイツら喜ぶわ。ありがとな、白石』
「あ、ああ」
アイツが嬉しそうだと、なぜか心がほわっとしてしまう。この気持ちはなんだろう。……まるでアイツにしか抱かない特別な感情のように言ってしまったが、人には多かれ少なかれ共感力があるので、人が喜ぶと自分も嬉しくなるのは当然だ。絶対にアイツが特別とかじゃないと僕は慌てて思い直した。
ともかく千堂と旅行することになったので、忘れないようにいちおうカレンダーに丸を付けて、じいやに諸々の手配を頼んだ。新しい水着も買い、泊りということは夜も遊ぶものが必要だろうとカードゲームや皆で摘まめるように菓子類なども準備した。
別に普通にしていたつもりだが、じいやにはウキウキしているように見えたようで
「ご学友とのご旅行、楽しみですね」
と不本意ながら微笑ましがられた。
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感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
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