2 / 6
第二話 最愛の母の死と菊代の成長
しおりを挟む
長屋に移り住んでから半年、父親が所有する土地や家を借金の方に渡すことで返済は終わり、貧乏でも平和な日々を過ごしていた。
しかし、父親は金のないときは祖母の金をくすね相変わらず酒を飲む生活をしていた。仕事も長続きせず転々としてまともな稼ぎは得られないようだった。
机も買えず、子供たちは拾ってきた木箱を机代わりに使用して勉強やお絵描きなどに使っていた。靴にも穴が開いてしまい、冬場になるとむき出しの指は霜焼け状態になってしまっていた。
母親も病院で薬を貰えない事が続き体調はますます悪くなり、以前より苦しそうに寝ているだけの日が多くなった。
菊代は母親を助けたいと思っていたが、まだ8歳、学校に行く事しか出来なかった。そんなある日ついに母親が突然の発作でこの世を去った。
長屋の1部屋は悲しみに包まれ、祖母も姉も3人の弟達も泣きじゃくっていた。菊代は他の子供たちの様に泣きじゃくることはせず、大好きな母親を失って凄いショックを受けた様子だった。この時菊代の心に母親を殺したのは父親と思い、父親を恨む気持ちが生まれた。
葬式が終わり、喪が明け菊代は今まで通り学校に行き、祖母の手伝いや弟たちの面倒を見て過ごした。
父親は妻を失ったショックで前よりも酒を飲む量が増え、仕事も辞めてしまった。祖母が老後の資金として残しておいた金で家賃や生活費を出していたがそれもいつまで持つかわからない状態だった。
しかし、そんな心配をしているうちに、2年の月日が経ち、酒に溺れて生きてきた父親はついに体を悪くして他界。祖母と姉、弟3人の6人暮らしとなった。
父親がこの世を去ってから、今まで父親が使い込んできたお金がない分少しはマシな生活が送れるようになった。
なりよりも変わったのは、誰も父親にびくびくすることなく暮らせるようになり、一家には笑顔が増えたことだ。
更に2年が経ち、12歳になった菊代は尋常小学校を卒業。頭が良く、勉強も好きだったので、高等小学校(現在でいう中学校)へと進学したかったが、金銭的な理由で無理だとわかっていたし、自分のわがままで祖母や姉が無理をして苦しくなるよりも、自分だけが気持ちを押し殺して、黙っていることが最善の選択だと思い、進学したい思いは隠した。
そして、姉の様に働きに出てみんなを助ける方が家の為になると気持ちを切り替えた。
菊代は姉の紹介で金持ちの屋敷の清掃係をするようになった。給料はとても安かったが、菊代は家のために働けている現状に満足していた。少しは家計の助けになっていると思って。
菊代は自分が高等小学校に進学できなかったので、弟達には進学させたかった。
毎日少しでも稼ぎの良い仕事を探していたが、12歳の女の子を対象とした仕事がそもそも少なく、なかなか希望にあった仕事は見つからないまま、菊代は14歳になった。
しかし、父親は金のないときは祖母の金をくすね相変わらず酒を飲む生活をしていた。仕事も長続きせず転々としてまともな稼ぎは得られないようだった。
机も買えず、子供たちは拾ってきた木箱を机代わりに使用して勉強やお絵描きなどに使っていた。靴にも穴が開いてしまい、冬場になるとむき出しの指は霜焼け状態になってしまっていた。
母親も病院で薬を貰えない事が続き体調はますます悪くなり、以前より苦しそうに寝ているだけの日が多くなった。
菊代は母親を助けたいと思っていたが、まだ8歳、学校に行く事しか出来なかった。そんなある日ついに母親が突然の発作でこの世を去った。
長屋の1部屋は悲しみに包まれ、祖母も姉も3人の弟達も泣きじゃくっていた。菊代は他の子供たちの様に泣きじゃくることはせず、大好きな母親を失って凄いショックを受けた様子だった。この時菊代の心に母親を殺したのは父親と思い、父親を恨む気持ちが生まれた。
葬式が終わり、喪が明け菊代は今まで通り学校に行き、祖母の手伝いや弟たちの面倒を見て過ごした。
父親は妻を失ったショックで前よりも酒を飲む量が増え、仕事も辞めてしまった。祖母が老後の資金として残しておいた金で家賃や生活費を出していたがそれもいつまで持つかわからない状態だった。
しかし、そんな心配をしているうちに、2年の月日が経ち、酒に溺れて生きてきた父親はついに体を悪くして他界。祖母と姉、弟3人の6人暮らしとなった。
父親がこの世を去ってから、今まで父親が使い込んできたお金がない分少しはマシな生活が送れるようになった。
なりよりも変わったのは、誰も父親にびくびくすることなく暮らせるようになり、一家には笑顔が増えたことだ。
更に2年が経ち、12歳になった菊代は尋常小学校を卒業。頭が良く、勉強も好きだったので、高等小学校(現在でいう中学校)へと進学したかったが、金銭的な理由で無理だとわかっていたし、自分のわがままで祖母や姉が無理をして苦しくなるよりも、自分だけが気持ちを押し殺して、黙っていることが最善の選択だと思い、進学したい思いは隠した。
そして、姉の様に働きに出てみんなを助ける方が家の為になると気持ちを切り替えた。
菊代は姉の紹介で金持ちの屋敷の清掃係をするようになった。給料はとても安かったが、菊代は家のために働けている現状に満足していた。少しは家計の助けになっていると思って。
菊代は自分が高等小学校に進学できなかったので、弟達には進学させたかった。
毎日少しでも稼ぎの良い仕事を探していたが、12歳の女の子を対象とした仕事がそもそも少なく、なかなか希望にあった仕事は見つからないまま、菊代は14歳になった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
愛はリンゴと同じ
turarin
恋愛
学園時代の同級生と結婚し、子供にも恵まれ幸せいっぱいの公爵夫人ナタリー。ところが、ある日夫が平民の少女をつれてきて、別邸に囲うと言う。
夫のナタリーへの愛は減らない。妾の少女メイリンへの愛が、一つ増えるだけだと言う。夫の愛は、まるでリンゴのように幾つもあって、皆に与えられるものなのだそうだ。
ナタリーのことは妻として大切にしてくれる夫。貴族の妻としては当然受け入れるべき。だが、辛くて仕方がない。ナタリーのリンゴは一つだけ。
幾つもあるなど考えられない。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる