吾輩は犬である

dragon49

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吾輩は犬である

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 吾輩は、犬である。名前は、タローである。犬種は、混じりっけのない柴犬、れっきとした日本人いや日本犬の♂である。

 飼主は、還暦過ぎた有閑マダムのキョウコさんである。いつも、ピンク色のメガネを掛けて公務員を退職した旦那さん♂と小生を指導監督している。

 キョウコさんは、今日も朝からワンパターンのドッグフードをくれる。「さー、たんとお食べ~」、この瞬間にワン!とひと吠えしてから嬉しそうに食べないとヒステリックになるので注意している。

 朝食が終わると、キョウコさんの好きな「教育」が始まる。「お手!お手でしょ~、なんで分かんないのかしらこの子は」、ここで前脚を如才なく差し出さないと頭を平手でピシッと撃たれて痛いのである。

 これはれっきとしたDV(doggie violence)でなくて、なんであろうか。

 教育が終わると、朝10:30am頃から散歩に出かける。キョウコさんは、几帳面な性格なのでいつも決まったコースを行ってくれる。

 小生は、電信柱を見るとマーキングの為にしたくもない小便をするのであるが、その度にキョウコさんは、眉をひそめてペットボトルの水でそれを綺麗さっぱり洗い流してしまうのである。残念だ。

 散歩の道すがら、中盤辺りになるとキョウコさんは、友達のマサコさんと出会う。マサコさんは、いつもブルドッグのメリーちゃん♀を連れている。

 このメリーちゃん、顔はドブスで短足。しかし妙にソソる、全身からフェロモンがプンプン出ている女の子なのである。

 小生は、キョウコさんとマサコさんが談笑している隙を突いて、メリーちゃんに乗りかかってまぐわいを試みたことがある。

 「あっ!またサカリがついてる」、小生は手綱を引いて引き剥がされた挙句に脇腹にヒールの先端部で蹴りを入れられて、朝のドッグフードを戻しそうになった。

 「すいませんね~あんまりご迷惑をかける様なら去勢しなけれゃと考えてますのよ。帰ったら、宅の主人と相談しようと思いますの」
 「あーら、ご主人だって♂ですもの反対するんじゃごさいません?」
 「そーね、♂ってタマを取られると気落ちしますもんね」

  恐ろしい。小生のタマを取る相談をしている。

吾輩は犬である。名前はタローである、タマタマ耳にした話では、小生のタマが危ないのである。

 
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