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究極のシリアル
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○ルビー食品の会長N氏は、朝から得意満面だった。それというのも社運をかけて開発していた21世紀の究極のシリアル「スーパー仁丹」が完成したからだ。
N氏は世間に公表するにあたり、記者や株主、モニターなど1000人以上を動員し、会場はフェスタのように人いきれでむせかえるような熱気に包まれた。
「このスーパー仁丹を一日三粒服用していただきますと、成人男性の1日分の栄養価をまかなうことができるのです」
「炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル全ての全てです」
N氏が、ピンセットで小さな赤い粒を摘んで掲げるとその映像がバックのスクリーンに拡大表示され、会場には割れんばかりの拍手が渦巻いた。
「もう人類は、食事という煩わしいルーティーン儀式から永遠に解放されるときがやってきたのです」
万雷の拍手の後、記者からは質問が相次いだ。
「会長は、日本のスティーブ・ジョブズを自認しておられるようですが、価格が安価でないと一般には普及しないのでは?」
「今は、一粒三円。即ち一日の食費を十円以下に設定しております。将来的には、世界市場を視野に入れていますので一粒一円以下を見据えております」
会場はどよめき、いつまでも拍手がなりやまない。記者たちは、フラッシュのシャワーを浴びせかけた。
-その夜、N氏の自宅寝室
N氏の妻が深夜物音がするので目を覚ますと隣で寝ているはずのN氏がいない。
N氏の妻は、ゴルフクラブを握りしめ物音がする台所に向かった。
そこでN氏の妻が目撃したものは、インスタントラーメンを作ってかきこんでいるN氏の姿であった。
「あなた、スーパー仁丹を食べれば......」
N氏は、ハフハフと美味そうに即席ラーメンを啜りながら、妻の声を制するように応えた。
「だーめだ、あれだけじゃ腹減っちゃって」
N氏は世間に公表するにあたり、記者や株主、モニターなど1000人以上を動員し、会場はフェスタのように人いきれでむせかえるような熱気に包まれた。
「このスーパー仁丹を一日三粒服用していただきますと、成人男性の1日分の栄養価をまかなうことができるのです」
「炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル全ての全てです」
N氏が、ピンセットで小さな赤い粒を摘んで掲げるとその映像がバックのスクリーンに拡大表示され、会場には割れんばかりの拍手が渦巻いた。
「もう人類は、食事という煩わしいルーティーン儀式から永遠に解放されるときがやってきたのです」
万雷の拍手の後、記者からは質問が相次いだ。
「会長は、日本のスティーブ・ジョブズを自認しておられるようですが、価格が安価でないと一般には普及しないのでは?」
「今は、一粒三円。即ち一日の食費を十円以下に設定しております。将来的には、世界市場を視野に入れていますので一粒一円以下を見据えております」
会場はどよめき、いつまでも拍手がなりやまない。記者たちは、フラッシュのシャワーを浴びせかけた。
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「あなた、スーパー仁丹を食べれば......」
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