迷宮探索者の憂鬱

焔咲 仄火

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Phase 1 生まれ変わってもブラック会社に勤めていた迷宮探索者の憂鬱

第45話 珍しく恋愛の話で盛り上がる

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 ロキたちは今日も金牛亭で夕食を食べながら、いつものように話が盛り上がり騒いでいた。

「まったく騒がしいやつらだな……」

「何言ってんだアポロ!お前ももっと飲めよ!何おとなしく飲んでるんだよ!」

「まったく酔っ払いめ!」

 酒を薦めるロキに、嫌気が刺す顔をするアポロ。

「ロキは酒を飲ませることのできる仲間ができて嬉しいんだ。飲んでやれよ」

「そうなんだ。アルマもココロも酒は飲まないし、レオンは逆にザルだし、いつも一人で飲んでるみたいだったんだ」

「だってお酒おいしくないですもん!」

「お酒まずい!」

 女性二人が飲まないシンプルな理由を高らかに言う。
 笑いながらレオンがアポロの説明する。

「カカカ!つまりロキはおまえが来てくれて嬉しいんだよ」

「ふん!こいつに喜んでもらっても、私は何も嬉しくない」

「なんだよアポロ!つれないな。でもココロと一緒にいられるのは嬉しいんだよな?なんせココロの事が大好きすぎて、こんなところまで追って来たくらいだからな!」

「な……!貴様!私の姫様に対する感情は、そんな下種なものではない!」

 アポロは顔を赤くしながら否定する。

「私は好きじゃない」

「姫様~!」

 一方的な敬愛を拒否する発言をするココロに、悲しむアポロと笑う仲間たち

「ワハハ!」

「そ、そういうお前たちは、どういう関係なんだ?恋愛関係ではないのか?」

「へ?」

 そう言ったアポロは、ロキとアルマを交互に見る。

「俺とアルマが?」

「そうだ。時々アルマがお前の部屋に行ってるのも知ってるぞ?おまえたちの方こそできてるんだろ?」

「ああ!あれはアルマに事務仕事を手伝ってもらってるんだよ。っつってもそんなに長時間拘束してねえぞ」

「まだ手伝うというより、やり方を教えてもらってるだけなんですけどね」

「なんだ、つまらん」

「それにアルマは年下すぎて恋愛対象じゃないなあ」

「そんなに年は離れてないだろう?お前が20歳でアルマが15だったか?」

「16です!ロキさんとは4歳差ですね」

「実年齢4歳差か?でも俺の精神年齢は40歳なんで24歳下なんだよな」

「なんだそれは?」

「ロキさんは前世の記憶があって、今精神年齢が40歳らしいんですよ」

「そうなのか?というかお前ら、本当に何もなさそうだな。それではレオン、お前は良い人はいないのか?」

「あ?俺か?俺は故郷に恋人がいるぞ」

「え?!遠距離恋愛ですか?」

 今まで知らなかったレオンの恋人がいる発言に、必要以上にテンションが上がるアルマ。
 テーブルにすわる仲間たち全員が注目する。
 食い入るように質問してきたアルマに、レオンは若干引きながらも答える。

「そうだ」

「遠距離恋愛って難しそうだな。特に通信手段が手紙しかないし。近くにいないと女心なんてすぐに離れちまうぞ。おまえそれでもいいのか?」

「ロキさんは身に覚えがあるんですか?」

「ぐっ、藪蛇だった……」

「あるんだ……」

 ロキに鋭い指摘をするアルマ。そしてレオンはロキの質問に答える。

「まあ、あいつに新しい恋人ができたならそれでもいい。あいつが幸せならそれでいいんだ」

「なんだよそれ!そんなに好きなら故郷に帰って一緒に暮らせばいいじゃねえか!」

「その前にやらなきゃいけないことがあるからな……」

「なんだそれ?それが迷宮踏破か?迷宮がそんなに大切なことか?金を稼ぐなら他にもいろいろ方法はあるだろう?」

 立て続けに放たれるロキからの質問攻めに、レオンは慌てて話をそらそうとする。

「俺の話はいいだろう。それよりもアルマちゃん。アルマちゃんは恋人を作ろうと思わないのか?仕事の方は順調みたいだし、ギルドに行けば男がたくさんいるだろ。年頃なんだし、気になるやつはいないのか?」

「私は……、最初ロキさんにちょっと憧れたんですけど、話すほどロキさんっておじさん臭くて、なんかお父さんみたいな感じなんですよね。今はココロちゃんと遊んでる方が楽しいので、特別恋人がほしいとは思わないですね~」

「そうなのか」

「ロキさんはどうなんですか?」

 アルマはロキに質問をトスする。

「ロキはあれだよな。この店の店主のカリナの事が好きなんだよな?」

「え?なんで分かった?」

「分かるわ!いつもカリナが来るたび鼻の下伸ばしてるじゃねえか!」

「まじでか?!自覚なかった」

 再びワハハと笑い声があふれる。
 そしてそういう話が好きなアルマが、ロキへの質問を続ける。

「年の差じゃないですか?カリナさんっていくつでしたっけ?」

「たしか30だ」

「ロキさんの10個上ですね」

「いや、俺の精神年齢は40だから10個下だ」

「その設定ウザいな」

 話題に飽きたようなアポロが、面倒臭そうな茶々を入れる。

「設定言うな!」

「でもカリナさんってバツイチと違いましたっけ?娘さんもいましたよね?」

「そうだ。旦那さんは迷宮で命を落としたらしい。娘のリリちゃんは、今10歳だ」

「なんでも知ってるな」

「キモイな」

「てめーアポロ、さっきからウザいとかキモイとか言いやがって!」

「ロキさん、その年で子持ちになるんですか?」

「いやだから俺40だから。10歳の子がいてもおかしくないだろ?」

 カリナへの恋心を隠すことなく仲間に打ち明けたロキに、レオンが背中を押す一言を投げかける。

「ロキ、そこまで言うならアプローチしろよ。カリナだっていい年なんだから、いつまでも待っててくれないぞ」

「む、そうだな……。なかなかそういうの慣れなくてな……」

 噂をすると影と言うが、そこに少し前に頼んだエールのお代わりを持ったカリナがやってきた。
 カリナの姿を確認し、思わず口をつむぐ五人。

「なによ急に黙っちゃって。さっき私の名前が聞こえてきたんだけど、悪口言ってるんじゃないでしょうね?」

 そう言ってカリナはエールの入った杯をテーブルに置く。

「いや、カリナさんがいつも仕事がんばってるなって話してたとこ」

「本当に~?」

「本当本当!」

「それよりロキ、あんた最近仕事順調みたいじゃない?良かったわね。前みたいに暗い顔してることなくなったんじゃない?」

「そうなんだよ。もうちょっとでブラックな環境を完全に抜け出せそうなんだ」

「ブラックって?」

「毎日遅くまで働いてたり、休みがないってこと。カリナさんの方こそ仕事しすぎじゃない?休み取れてる?」

「私だって用事があるときはお店従業員に任せて休んでるわよ」

「用事がなくたって、最低でも週1日は休まなきゃだめだよ。そうだ!カリナさん、明日って休み取れる?」

「取ろうと思えば休めるけど」

「それじゃ一緒にご飯食べに行こうよ。俺もレギオン設立してから順調で収入が増えたんだけど、いつもおいしい料理を食べさせてくれるカリナさんにお礼したいなと思って」

「えー!嬉しいわ。じゃあ明日はお店は他の人たちに任せて私は休むことにするわ。でもいいの?」

「任せて!ちょっとおしゃれして来てよ!」

「分かったわ!」

 嬉しそうな笑顔で厨房へ戻っていくカリナ。
 その一部始終を見守っていた仲間たちは、少し驚いたような顔でロキを見ていた。

「どうした?」

「いや、スムーズに誘っていたなと思って」

「意外です」

「そうか?」

「でも、明日デートするんですね!がんばってくださいね!」

 ロキ以上に楽しそうな表情でアルマが応援していた。
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