魔王転生→失敗?(勇者に殺された魔王が転生したら人間になった)

焔咲 仄火

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第31話 魔王、第二王子に話を聞く

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 第一王子を襲撃するガーゴイルの退治を引き受けたオレたちだったが、第四王子と話して他の王子への襲撃の可能性もあると考えを変える。だとすると警備を見直す必要があるため、犯人の手がかりなどを掴むため、他の王子たちとも話をさせてもらう事になった。

「申し訳ありませんヴォルト様。ガーゴイル退治だけで王位継承争いには関わらないと、最初は仰っていたのに……」

 第二王子との面会の許可が取れ、スカーレットがオレたちを案内しながら謝罪の言葉を言う。
 そう。頼まれたのはガーゴイル退治だけだったため、本来はここの王家の面倒事には関わらないつもりだったのだ。

「流れとは言え、仕方あるまい。毒を食らわば皿までだ」

 気にするなと、オレはスカーレットに言う。

「おまえ本当行き当たりばったりだよな」

 オレのカッコいいにユウが茶々を入れる。こいつ……余計なことを言わなければかっこよく決まる場面なのに。
 ユウがオレの決め台詞を陥れようとしているうちに、第二王子の部屋に辿り着き、部屋の中へと通される。

「はじめまして。第二王子のオズワルド・マイン・シャンダライズです。お二人の事は先ほど聞きました。兄のために魔物退治を引き受けてくれたそうで、ありがとうございます」

 そう言ってオレたちを迎えたのは、長髪で不健康そうな痩せた男だった。

「ヴォルトだ」

 オレは差し出された手を握り返し、握手を交わす。
 非力!
 オレが力を入れすぎてしまうと折れてしまわないかと心配になる。
 そんな第二王子が、ユウとも握手を交わすところを見ていると、今日墓場で退治したスケルトンと勘違いしそうになる。

「ところで第二王子よ。先ほど第四王子が、自分の部屋にもガーゴイルが入ろうとしていたと言っていたため、他の王子への襲撃も考えられると思ったのだが、おまえのところは何か被害はないか?」

 単刀直入に質問をする。すると第二王子は少し考えながら答える。

「実は、僕の部屋も格子窓をガンガンと叩かれた事が何度かあります。格子が頑丈なためそのうち侵入を諦めて飛び去って行きましたが、その時はどこでもいいから城内に侵入しようとしていたのかと思っていました」

「第四王子と同じだな。その時、お前が狙われていたという可能性もあるな。正直どう思う?ガーゴイルは野性の魔物ではなく、何者かが使役している魔物だ。誰かが貴様たちの命を狙っているとして、心当たりはないか?」

 最初部屋に入った時の穏やかな顔はどこかへ行き、すごく真剣な表情の彼は答える。

「実は僕もそれをずっと考えていました。この国は戦争もなくずっと平和ですし、突然第一王子が亡くなったとしても、隣国で得をする者がいるとは考えられません。だとすると犯人は国内にいると考えられます。兄はあんな性格ですから恨みを買う者も多く、その誰かではないかと考えていました」

「それならばお前たちが狙われる必要はないな」

「はい……」

「他の王子が王位を狙っているという可能性は?」

「まさか?!腹違いとは言え、血を分けた兄弟ですよ?!」

 オレの質問に顔色を変える第二王子。
 否定するものの、その表情を見るに、今あらゆる可能性を考えているのだろう。

「第三王子が狙うという可能性は?」

「それは考えられません。あれは争いの嫌いな欲のない男で、それに奸計を巡らす悪知恵は持っておりませんし、だれかにそそのかされる事もない真っすぐな男です」

「では第四王子は?あれは第一王子が失脚して自分が次期王になると言っていたぞ?」

「実は、可能性があるなら第四王子マクシミリアンではないかと思いました。それと幼い第五王子の母、マチルダ第五王妃が自分の息子を王位につけさせるためにやっているという可能性も……。すいません、これはここだけの話にしてもらえますか」

「もちろんだ。だとすると、おまえの護衛も必要な可能性もあるな?」

「はい。ですが毎夜現れるガーゴイルには、僕の部屋の格子窓を破壊する力はなさそうなので大丈夫だとは思いますが、護衛を付けてもらえるとありがたいですね」

「逆にお前が犯人だという可能性も疑っている」

「何と?!」

 オレの言葉に、第二王子と同時にスカーレットも声を荒げる。
 スカーレットは第二王子の事を良く言っていたが、オレはまだその言葉を全て信じてはいない。

「正直どう思っている?おまえの意見として、次期王は誰が継ぐべきだと思うのだ?」

「それは……、父王陛下が決めることです。僕はそれに従って、次期王となった者を全力で補佐してゆきます」

「ヴォルト様!オズワルド殿下は、このように権力欲の無い方です!オズワルド殿下がご兄弟の命を狙うはずがありません!」

「おまえは黙ってろ!お前の意見を聞いているのではない」

 口を挟んでくるスカーレットを黙らせる。

「オズワルドよ。もしあのバカな第一王子が国王になったとしても、それでもいいのか?皆が困ると思わんのか?」

「その時は僕が兄と皆の間に入ってクッションとなります!」

 苦しい言い訳を言うように答える。
 オレはその表情の奥の本音を想像しながら、次の質問を投げかける。

「第四王子が次期王に指名されたとしたらどうする?おまえたち兄貴が無能だから年下の第四王子が国王になったのだと噂されても、それでもお前は弟のために働くのか?」

「はい。兄が国王になることを考えたら、まだそちらの方がましです。周りの悪評には耐え抜きましょう」

「お前は権力欲がないというよりも、責任感がないだけのようだな?次期王に誰がなるかを決める責任も父王に全て押し付けているのだろう?そして次の王としての責任も自分が負いたくなく、兄弟の誰かに押し付けようとしている。お前が王となって、善政に取り組めば済む話だろう?どうしてその責任から逃れようとする?」

 オレが第二王子を試すように貶す言葉を投げかけると、第二王子はオレの言葉を重く受け取ったようで、ひどくつらい顔をする。
 その横でスカーレットが顔に怒りを浮かべているが、それは無視だ。

「僕は病弱で、国王の大役は務まらないのです。外に出ればすぐに熱を出し倒れてしまう。僕には人前に出るよりも、机の上でできる仕事に取り組むのが向いているのです」

「はあ?病弱ならば、なぜ身体を鍛えんのだ?!健全な精神は健全な肉体にこそ宿るのだ!オレの肉体を見てみろ!オレは魔法使いだが、だからと言って体力づくりをサボることはない。体も鍛えつつ、魔法の研鑽に休むことはない。もう一度聞く。なぜおまえは自分の身体を鍛えんのだ?」

「それは……」

 第二王子は言葉を詰まらせる。
 それ以上言い訳をしないのは、まだこの男の中には責任感が残っているからだろう。
 それよりもその横にいるスカーレットが、今にでも爆発してしまいそうなくらい怒りの視線をオレに送ってきている。そろそろ限界だろう。

 「いい。お前の事は分かった。ガーゴイル討伐の参考になった。その後の王位継承についてはオレは知らん。まあがんばれ」

 そう言ってオレは先に席を立つ。後ろから何やらニヤニヤ笑っているユウと、後で今我慢していたことをぶつけてきそうなスカーレットが付いてくる。
 第二王子は神妙な顔つきで、何か考えていた。




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