66 / 102
第66話 魔王と謎の男たち
しおりを挟む
乱闘に巻き込まれたオレは、不覚にもその乱闘の中心となった子供に投げ飛ばされてしまう。
子供の召使いである二人の男がやってきて事態は収束したのだが、腑に落ちないことがある。
それは、オレが投げ飛ばされたという事だ。
腹が立つとかそういう話ではない。
オレを投げ飛ばすことができたという事が信じられないのだ。
召使いの一人、無精ひげの男はオレに頭を下げて去ろうとする。
「それではこれで」
「待て」
だがオレはそんな男を引き留めた。
「お前たち……人間ではないな?」
途端に三人の視線が鋭くなる。
無精ひげは冷や汗を垂らしながら、答えた。
「な、何を言ってるんですか?」
俺を投げ飛ばしたこの小僧の身のこなしは、明らかに人間離れしていた。技術が優れているのではなく、単純に身体能力が異常に高いのだ。
後から現れた召使いの二人も、オレくらいになると只者ではないのが一目瞭然だった。
だが、見た目は人間にしか見えない。
魔族であれば肌の色や頭に生えたツノなどの外見的特徴がある。エルフなら痩せた体に長い耳、ドワーフであれば低い身長に長いヒゲなど、その種族特有の外見的特徴がある。
この3人にはそういうった亜人特有の特徴が見当たらないため、一見して分からない。そこでオレはカマをかけてみたのだ。
そしてオレは、オレの言葉に反応する3人の様子を観察する。
段々三人の表情がこわばってくる。ニヤニヤしながら見ているオレの視線に耐えられないといった感じだ。
これは図星だな?
「謝罪が足りないと怒ってらっしゃるんですか?ちょっと旦那、ここでは何ですので、向こうで話させてもらえませんか?」
「ん?いいだろう」
そう言われ、オレはその三人に連れられて行く。
罠の可能性もあるが、オレに恐れるものは何もないのだ。
ユウも一緒に付いてきた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
人だかりのない路地に出る。
ここなら余計な邪魔は入らないだろう。人に話せない話をするにも、有無を言わさず戦うにももってこいだろう。
オレは相手の出方を観察する。
「旦那。あまり我々に関わらないでもらえますか?でなければ痛い目に会うかもしれませんよ?」
「ほう?脅しか?だが、おまえらが人間ではなくて、もし人間に脅威を与える存在であるというのなら見逃すわけにはいかんな」
無精ひげの脅しに、オレは逆に脅し返す。
三人の表情は緊張感が漂っている。
「ユーゴ、気を付けろ。こいつただ者じゃないぞ。さっきもなかなか組ませてもらえなかった」
小僧が無精ひげに忠告する。
こいつら戦う気満々だな?先ほどは小僧に投げ飛ばされたが、それはオレが子供相手に手加減をしていたからだ。この小僧相手に負けることはない。問題はその召使い二人だ。一体どれだけの使い手なのか。まあそれでも負ける気はしないがな。
ユーゴと呼ばれた無精ひげの男と、先ほどデュランと呼ばれていた細身の男が目を合わす。
その直後、二人はそれぞれオレとユウへと襲い掛かって来た。
オレの元へと襲い掛かって来たのはユーゴだった。
殺気を感じていてオレは距離を取っていたのだが、ユーゴは一瞬でその距離を縮める跳躍を見せると、その右手から強力な一撃を放つ。
あまりの速さにオレは防御するのが手一杯で、その大きな拳を両腕でガードした。
腕には重い衝撃が走る。明らかに人間の力ではない。
そして今度は左手でパンチを放とうとするユーゴの顔が視界に飛び込む。
その顔は、先ほどまでの無精ひげが顔全体に広がった毛深い顔に代わっていた。
そして食いしばる歯は、犬歯が鋭く尖っているのが見えた。
「まさか」
繰り出される左拳からの二撃目もガードする。
完全に防御しているが、オレの身体は衝撃で少し浮き上がる。恐るべきパワーだ。
一歩後ろに退き、ユーゴの姿を観察する。
先ほどよりもさらに一回り筋肉が膨張している。そしてその顔は毛で覆われ、鋭い眼光と牙が見える。
オレはこの種族に心当たりがあった。
「狼男か!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ヴォルトにユーゴが襲い掛かると同時に、ユウのところにはデュランが襲い掛かっていた。
ユウも油断はしていない。デュランの姿をはっきりと捉えていた。
だが突然デュランは魔法と唱える。
「≪暗黒≫!」
突然ユウの周りに真っ黒な霧が現れる。その霧は一瞬でユウの身体全体を包み込んだ。視界を完全に遮る魔法だ。
「あなたには恨みはありませんが、私たちの邪魔をするからいけないのですよ」
デュランはそう言って右手の手刀を構える。
「≪黒槍≫!」
呪文を唱えたデュランの右手から、真っ黒な槍が飛び出す。その槍は、ユウの居る黒い霧を貫いた。
子供の召使いである二人の男がやってきて事態は収束したのだが、腑に落ちないことがある。
それは、オレが投げ飛ばされたという事だ。
腹が立つとかそういう話ではない。
オレを投げ飛ばすことができたという事が信じられないのだ。
召使いの一人、無精ひげの男はオレに頭を下げて去ろうとする。
「それではこれで」
「待て」
だがオレはそんな男を引き留めた。
「お前たち……人間ではないな?」
途端に三人の視線が鋭くなる。
無精ひげは冷や汗を垂らしながら、答えた。
「な、何を言ってるんですか?」
俺を投げ飛ばしたこの小僧の身のこなしは、明らかに人間離れしていた。技術が優れているのではなく、単純に身体能力が異常に高いのだ。
後から現れた召使いの二人も、オレくらいになると只者ではないのが一目瞭然だった。
だが、見た目は人間にしか見えない。
魔族であれば肌の色や頭に生えたツノなどの外見的特徴がある。エルフなら痩せた体に長い耳、ドワーフであれば低い身長に長いヒゲなど、その種族特有の外見的特徴がある。
この3人にはそういうった亜人特有の特徴が見当たらないため、一見して分からない。そこでオレはカマをかけてみたのだ。
そしてオレは、オレの言葉に反応する3人の様子を観察する。
段々三人の表情がこわばってくる。ニヤニヤしながら見ているオレの視線に耐えられないといった感じだ。
これは図星だな?
「謝罪が足りないと怒ってらっしゃるんですか?ちょっと旦那、ここでは何ですので、向こうで話させてもらえませんか?」
「ん?いいだろう」
そう言われ、オレはその三人に連れられて行く。
罠の可能性もあるが、オレに恐れるものは何もないのだ。
ユウも一緒に付いてきた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
人だかりのない路地に出る。
ここなら余計な邪魔は入らないだろう。人に話せない話をするにも、有無を言わさず戦うにももってこいだろう。
オレは相手の出方を観察する。
「旦那。あまり我々に関わらないでもらえますか?でなければ痛い目に会うかもしれませんよ?」
「ほう?脅しか?だが、おまえらが人間ではなくて、もし人間に脅威を与える存在であるというのなら見逃すわけにはいかんな」
無精ひげの脅しに、オレは逆に脅し返す。
三人の表情は緊張感が漂っている。
「ユーゴ、気を付けろ。こいつただ者じゃないぞ。さっきもなかなか組ませてもらえなかった」
小僧が無精ひげに忠告する。
こいつら戦う気満々だな?先ほどは小僧に投げ飛ばされたが、それはオレが子供相手に手加減をしていたからだ。この小僧相手に負けることはない。問題はその召使い二人だ。一体どれだけの使い手なのか。まあそれでも負ける気はしないがな。
ユーゴと呼ばれた無精ひげの男と、先ほどデュランと呼ばれていた細身の男が目を合わす。
その直後、二人はそれぞれオレとユウへと襲い掛かって来た。
オレの元へと襲い掛かって来たのはユーゴだった。
殺気を感じていてオレは距離を取っていたのだが、ユーゴは一瞬でその距離を縮める跳躍を見せると、その右手から強力な一撃を放つ。
あまりの速さにオレは防御するのが手一杯で、その大きな拳を両腕でガードした。
腕には重い衝撃が走る。明らかに人間の力ではない。
そして今度は左手でパンチを放とうとするユーゴの顔が視界に飛び込む。
その顔は、先ほどまでの無精ひげが顔全体に広がった毛深い顔に代わっていた。
そして食いしばる歯は、犬歯が鋭く尖っているのが見えた。
「まさか」
繰り出される左拳からの二撃目もガードする。
完全に防御しているが、オレの身体は衝撃で少し浮き上がる。恐るべきパワーだ。
一歩後ろに退き、ユーゴの姿を観察する。
先ほどよりもさらに一回り筋肉が膨張している。そしてその顔は毛で覆われ、鋭い眼光と牙が見える。
オレはこの種族に心当たりがあった。
「狼男か!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ヴォルトにユーゴが襲い掛かると同時に、ユウのところにはデュランが襲い掛かっていた。
ユウも油断はしていない。デュランの姿をはっきりと捉えていた。
だが突然デュランは魔法と唱える。
「≪暗黒≫!」
突然ユウの周りに真っ黒な霧が現れる。その霧は一瞬でユウの身体全体を包み込んだ。視界を完全に遮る魔法だ。
「あなたには恨みはありませんが、私たちの邪魔をするからいけないのですよ」
デュランはそう言って右手の手刀を構える。
「≪黒槍≫!」
呪文を唱えたデュランの右手から、真っ黒な槍が飛び出す。その槍は、ユウの居る黒い霧を貫いた。
0
あなたにおすすめの小説
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる