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第79話 魔王、再始動
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シャンダライズ王国以下周辺各国の使者を待っていたヴォルトは、時間つぶしのために冒険者ギルドが解決しきれない事案を引き受け、町の悪党を退治して回っていた。
それでもまだ時間を持て余し、結局隣町の悪党退治までしてしまったところで、遂に待ち人が現れたという情報がヴォルトの耳に入る。
その男は、立派な4頭引きの馬車に乗って現れた。
王冠と翼の生えた白い馬の紋章。馬車にあるその大きな紋章はシャンダライズ王国の紋章であり、その馬車には王族が乗っているという事を表していた。
停車したその馬車の扉の左右に兵士が整列し、開いた扉から降りて来た男は、ヴォルトの顔を見ると嬉しそうに言った。
「ヴォルト様、お久しぶりです!」
「久しいなオズワルド!」
馬車から降りて来たのは、次期王位を継ぐことが決定し王太子となったシャンダライズ王国第二王子オズワルドだった。
そんなオズワルドを笑顔で迎えるヴォルト。
そして馬車の横に立つ屈強な騎士にも声を掛ける。
「テディも、騎士団長自ら護衛ご苦労だったな」
「いえ」
声を掛けられた第三王子こと騎士団長テディは、短く返事をすると共にヴォルトに頭を下げる。
その顔には、久しぶりにヴォルトに会えた事と、いたわりの言葉を投げかけてもらった事で、嬉しそうな笑顔があふれていた
「オズワルド、おまえ少したくましくなったか?」
「ありがとうございます。あれから毎日運動を心がけています。以前より多少は体力がついてきたかと」
病弱でいつも部屋に引きこもっていたオズワルドは、以前は青白い肌をしていたが、少し赤みを帯びて健康そうになったように見えた。
だがそんなヴォルトの言葉を否定する者がいた。
「そんなことないですよ。ここに辿り着くまで、何度も馬車に酔って大変だったんですから」
「サラ!王太子殿下に、そんな言い方するんじゃありません!」
王太子の護衛には、まだ新米の域をでないはずの女騎士サラも加わっていた。
そして礼儀をわきまえずに王太子オズワルドに向けて失礼な暴言を吐く元部下に向けて、ヴォルトに同行していたスカーレットが叱る。
「すいません!」
現在の上司であるテディは甘いのだろうか?元上司に怒られたサラは謝罪し、背筋を正した。
「ハハハ!サラも来てたのか。お前に王太子の護衛は、いささか重責じゃないか?」
「本当ですよー」
ヴォルトの知った顔に再びサラの気が緩む。
オズワルドはそんなサラの態度をとがめることなく、ヴォルトに話しかける。
「確かにまだ彼女の能力は新米ですが、でも私はこの娘の強運は本物だと思っています。実際ここに来るまで天候にも恵まれましたし、ほとんど魔物や野党と遭遇することもありませんでしたよ。ヴォルト様を私たちと引き合わせてくれたのはサラですしね」
「そう言われても私は実感がないんですけど」
「ハハハ。どんどん出世してゆくな」
「私は結婚までの腰掛けのつもりで騎士団に入っただけなのに……」
ヴォルトの言葉に、サラは思わず本音が漏れる。
そんなサラにスカーレットの言葉がかかる。
「出世しすぎると私みたいに婚期を逃すわよ……」
重すぎる実体験に基づいたその言葉に、思わずサラの表情が固まる。
「ハハハ!懐かしい顔に話は尽きないようだな。立ち話もなんだ、冒険者ギルドの部屋を借りている。続きはそっちで話そう」
ヴォルトに案内され、一行は冒険者ギルドの中にある一番大きい部屋へと集まった。
オズワルドが連れて来たのはシャンダライズ王国の一行だけでなく、ゴモラ討伐を行ったオーウェンハイムや周辺諸国の代表者たちもいた。
そんな面々が、オズワルドによって一人一人ヴォルトに紹介される。
そして一同が席に座ると、ヴォルトが話を始めた。
「皆の者、今回はオレに力を貸すために集まってくれて、感謝する。オズワルド。頼んでいたものは持ってきてくれたかな?」
「はい。ここに」
オズワルドによって差し出されたそれは、『終戦勧告書』。
そこに書かれているのは、ここヴァレンシュタイン王国が、魔界と戦争をしている大義は虚偽のものであり、戦争をする名分はないこと。よって魔界との戦争を即刻止めるよう書かれた勧告書だ。
代表者の名前は、シャンダライズ王国国王エドワード・イクス・シャンダライズ。そして連名で、オーウェンハイム以下周辺諸国の首脳たちの名前と印が記されていた。
ヴォルトはその内容を確認すると、オズワルドに再び礼を言う。
「うむ。間違いない。ありがとうオズワルド。それでは皆の者も、これからもうしばらく世話になるぞ」
今この場にいる者たちは、ヴォルトが魔族の王である魔王だと知る者たち。
ヴォルトは人間たちの国々を仲間とし、魔王が魔物の王であるという誤解を解き、戦争を終結させようとしていた。
一方そんなヴォルトたちの動きを知らず、魔界でも終戦へ向けて交渉を続けている。
終戦へ向けた次の話し合いは、前回会合を行った魔界の入り口の砦から、さらに人間界に入った場所。
境界の山脈を越え、人間界最北の都市バーデンバーグ。
そこに軍事の最高責任者であるオーテウス教大司祭ザズーが会合のためやって来ていた。
それでもまだ時間を持て余し、結局隣町の悪党退治までしてしまったところで、遂に待ち人が現れたという情報がヴォルトの耳に入る。
その男は、立派な4頭引きの馬車に乗って現れた。
王冠と翼の生えた白い馬の紋章。馬車にあるその大きな紋章はシャンダライズ王国の紋章であり、その馬車には王族が乗っているという事を表していた。
停車したその馬車の扉の左右に兵士が整列し、開いた扉から降りて来た男は、ヴォルトの顔を見ると嬉しそうに言った。
「ヴォルト様、お久しぶりです!」
「久しいなオズワルド!」
馬車から降りて来たのは、次期王位を継ぐことが決定し王太子となったシャンダライズ王国第二王子オズワルドだった。
そんなオズワルドを笑顔で迎えるヴォルト。
そして馬車の横に立つ屈強な騎士にも声を掛ける。
「テディも、騎士団長自ら護衛ご苦労だったな」
「いえ」
声を掛けられた第三王子こと騎士団長テディは、短く返事をすると共にヴォルトに頭を下げる。
その顔には、久しぶりにヴォルトに会えた事と、いたわりの言葉を投げかけてもらった事で、嬉しそうな笑顔があふれていた
「オズワルド、おまえ少したくましくなったか?」
「ありがとうございます。あれから毎日運動を心がけています。以前より多少は体力がついてきたかと」
病弱でいつも部屋に引きこもっていたオズワルドは、以前は青白い肌をしていたが、少し赤みを帯びて健康そうになったように見えた。
だがそんなヴォルトの言葉を否定する者がいた。
「そんなことないですよ。ここに辿り着くまで、何度も馬車に酔って大変だったんですから」
「サラ!王太子殿下に、そんな言い方するんじゃありません!」
王太子の護衛には、まだ新米の域をでないはずの女騎士サラも加わっていた。
そして礼儀をわきまえずに王太子オズワルドに向けて失礼な暴言を吐く元部下に向けて、ヴォルトに同行していたスカーレットが叱る。
「すいません!」
現在の上司であるテディは甘いのだろうか?元上司に怒られたサラは謝罪し、背筋を正した。
「ハハハ!サラも来てたのか。お前に王太子の護衛は、いささか重責じゃないか?」
「本当ですよー」
ヴォルトの知った顔に再びサラの気が緩む。
オズワルドはそんなサラの態度をとがめることなく、ヴォルトに話しかける。
「確かにまだ彼女の能力は新米ですが、でも私はこの娘の強運は本物だと思っています。実際ここに来るまで天候にも恵まれましたし、ほとんど魔物や野党と遭遇することもありませんでしたよ。ヴォルト様を私たちと引き合わせてくれたのはサラですしね」
「そう言われても私は実感がないんですけど」
「ハハハ。どんどん出世してゆくな」
「私は結婚までの腰掛けのつもりで騎士団に入っただけなのに……」
ヴォルトの言葉に、サラは思わず本音が漏れる。
そんなサラにスカーレットの言葉がかかる。
「出世しすぎると私みたいに婚期を逃すわよ……」
重すぎる実体験に基づいたその言葉に、思わずサラの表情が固まる。
「ハハハ!懐かしい顔に話は尽きないようだな。立ち話もなんだ、冒険者ギルドの部屋を借りている。続きはそっちで話そう」
ヴォルトに案内され、一行は冒険者ギルドの中にある一番大きい部屋へと集まった。
オズワルドが連れて来たのはシャンダライズ王国の一行だけでなく、ゴモラ討伐を行ったオーウェンハイムや周辺諸国の代表者たちもいた。
そんな面々が、オズワルドによって一人一人ヴォルトに紹介される。
そして一同が席に座ると、ヴォルトが話を始めた。
「皆の者、今回はオレに力を貸すために集まってくれて、感謝する。オズワルド。頼んでいたものは持ってきてくれたかな?」
「はい。ここに」
オズワルドによって差し出されたそれは、『終戦勧告書』。
そこに書かれているのは、ここヴァレンシュタイン王国が、魔界と戦争をしている大義は虚偽のものであり、戦争をする名分はないこと。よって魔界との戦争を即刻止めるよう書かれた勧告書だ。
代表者の名前は、シャンダライズ王国国王エドワード・イクス・シャンダライズ。そして連名で、オーウェンハイム以下周辺諸国の首脳たちの名前と印が記されていた。
ヴォルトはその内容を確認すると、オズワルドに再び礼を言う。
「うむ。間違いない。ありがとうオズワルド。それでは皆の者も、これからもうしばらく世話になるぞ」
今この場にいる者たちは、ヴォルトが魔族の王である魔王だと知る者たち。
ヴォルトは人間たちの国々を仲間とし、魔王が魔物の王であるという誤解を解き、戦争を終結させようとしていた。
一方そんなヴォルトたちの動きを知らず、魔界でも終戦へ向けて交渉を続けている。
終戦へ向けた次の話し合いは、前回会合を行った魔界の入り口の砦から、さらに人間界に入った場所。
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