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第3章
第25話 ザ・ストーンクリーチャーズ
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それは伊丹海が、異世界に迷い込む少し前の出来事だった。
ジャパン・グレイテスト・ロック・フェスティバル、通称JGRの会場裏では、出演者や裏方関係者たち専用の屋台が出店されていたり、バックヤードからも他のアーティストのライブを鑑賞できるスペースがあったり、アーティストたちもフェスを楽しめるようになっていた。ステージ間は関係者専用のシャトルバスが運行されており、一般客と出会って混乱しないようになっている。そのシャトルバスを利用し、出演者も他のアーティストのライブを見に行ったりして、出演時間以外もエンジョイしていた。
最終日の大トリに出演予定の、ストーンクリーチャーズのメンバー4人は、仲良くバーベキューをしていた。
「※おい!俺の肉を食うんじゃねえ!」
「※いいじゃねえかどれを食っても」
「※お前ら食ってばかりじゃなくて、たまには自分で焼けよ!」
そんな仲睦まじい会話が、英語で交わされていた。
ビールの入ったプラスチックのカップを片手にケヴィンとデイヴが肉の取り合いをしてる中、ダンが黙々と肉を焼く。そんな中、席を外していたジョーが戻って来た。
「※ジョー、どこ行ってたんだ?お前の肉が無くなっちまうぞ?」
「※そこに立小便しに行ったんだが、すごいものを見つけちまったぜ!」
「※なんだお前!簡易トイレがあるだろう?立小便してんじゃねえよ!自然愛好家か?!」
「※ギャハハ!ソーセージ食えなくなるからやめろ」
「※お前ら、マジで肉食ってる場合じゃねえぞ!お前らもちょっと見に来いよ!」
平均年齢60歳の彼らは、バンドを組み始めた10代の頃からあまり成長の無い会話を交わしていた。
それぞれが家庭を持った今では四人で一緒に行動する機会は減ったが、それでもツアーなどでこうして集まると、いつまでたっても悪ガキのままなのだ。
「※ったくしょうがねえなあ。おい、マイク、火見といてくれ。ちょっとその辺散歩してくるわ」
マネージャーのマイクに四人で囲んでいたバーベキューを任せ、ジョーに案内されながら、四人は草むらの中へと歩いていった。
「※おいジョー。おまえどこで小便したんだ?踏んじまわねえように先に言っとけよ」
「※まだ出してねえよ!それよりほら、あそこだ。見て見ろよ」
ジョーが指さした先には、ちょうど人が通る事ができるドアの大きさくらいの空間に、暗い森が見えていた。ちなみに今日は晴れていて、その周りは明るい草むらだ。
「※おう!なんてこった!」
その不気味な空間にダンは驚き、頭を両手で抱える。
「※お前の小便でこんなになっちまったのか?」
「※だからまだ小便する前だって!ビックリして引っ込んじまったわ!」
デイヴのジョークにジョーが怒ってそう言うと、ケヴィンがその不思議な空間を覗き見ていた。
「※向こう側は空が曇っているな。明らかにここの空間だけ、どこか別の場所と繋がってるな。面白いな。行ってみようぜ」
「※おい、マジかよケヴィン!」
敬虔なクリスチャンであるダンは、超常現象を恐れた。だがすでにケヴィンは向こう側に身を乗り出している。
「※もう俺らくらいの年になると、こんなワクワクする事ってないだろ?これってロックじゃないか?」
ケヴィンの口癖である「ロックだ」という言葉。自身のバンドの音楽性を表す言葉だが、ケヴィンはカッコイイとか魅力的だという意味で使っている。
同じロックンロールバンドのメンバーからしたら、ロックだと表現されたらそれは魅力を感じるし、ビビッて腰が引けるのはかっこ悪いと感じてしまう。
「※行こうぜ!危なかったらすぐに帰ればいいんだからよ!」
「※この年で冒険するとは思わなかったぜ!初めて家出した五歳の時みたいな気分だ」
「※五歳で家出したのかお前?ロックだな?」
「※腹が減って夕方には帰ってたけどな!ギャハハ!」
誰からも大きな反対はなく、そんなバカな会話をしながら四人はその時空の歪みをくぐっていた。
時空の歪みの向こう側は森の中だった。辺りは薄暗い。曇り空から差すぼんやりした日光を、周囲を囲う高い木々がさらに遮り、陰鬱さが増していた。先ほどまでいたJGR会場の爽快な晴天と比べると、別世界のようだ。実際に別世界なのだが。
四人は少し歩いて木々を抜けると、開けた場所に出た。今いるそこは山の中のようだ。眼下には平原が広がり、田園地帯のようだった。少し先には城塞都市のようなものが見える。
「おい、あそこに街があるぜ」
「日本というより、ヨーロッパのような建物だな?」
「とりあえずあそこに行ってみるか」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
四人が辿り着いた街の名は、グリセリア王国バーガンディ領の中心都市ナイトロ。
城門で騎士爵を持っている事が判明すると、衛兵の態度は一変した。
領主に挨拶をしてもらいたいと言われ、四人は馬車に乗せられる。
四人は豪華な馬車に揺られ、街の中心部にある、領主の館へと向かっていた。
「見ろよ、この街並み。ヨーロッパによく似ているが車も無ければ道路標識もない。中世の街がそのまま残ってるって感じだ」
「気付いてるんだろうジョー。ここはおそらく地球じゃない、よく似た違う世界だ」
「ヘッ。石板に手を乗せたらステータスが出るなんて、TVゲームか映画の世界だ。そうでなければ俺たちは集団で幻覚を見てるって話だ」
四人が四人とも、ここがそれまでいた日本とは別世界だと気づいていた。
真剣な表情のダンが口を開いた。
「だとして、どうする?今までいた国と違って、危険があるかもしれないぞ。衛兵の持ってる槍を見たろ?あれは人を殺すための道具だ。法律がどうなっているかも分からないし、いつ殺されるかも分からないぞ?」
ダンの言葉に、一瞬静寂が訪れる。だが誰一人悲壮感はない。
「だけどお前たち、ワクワクしてるだろう?危険と言えば、昔ライブ中に刃物を持った男が暴れたこともあるし、控室に拳銃を持った男が現れた事もあるじゃねえか?観客同士のケンカでライブが中止になったこともある。今に始まったことじゃねえだろう?」
ケヴィンの言葉に、馬車の中に笑い声が響く。
普段無口なデイヴが口を開く。
「もしかしたら珍しい酒が飲めるかもしれないしな」
「いい女がいるかもしれねえ」
「おいジョー、おまえの奥さんに言うぞ?何回目の浮気だ」
「バカ野郎、チクるんじゃねえよ!」
再び笑い声が響く。そしてケヴィンが言う。
「もしかしたらビジネスチャンスがあるかもしれないしな」
「また金か、ケヴィン?」
呆れるようにジョーにそう言われても、ケヴィンは真剣な表情のまま答える。
「俺たちの夢は、これからもできるだけたくさんの国でライブをやる事。そのためにはビジネスとして成功させなけりゃいけねえ。これは大事なことだ。今までたくさんの国に行ったが、異世界でライヴをやるなんて面白くねえか?」
ケヴィンの言葉に、馬車の中はまた笑い声に包まれる。
四人がバンド結成したばかりの頃、機材を乗せた狭いワゴン車に詰め込まれ街から街へとツアーを渡り歩いた。人気が出てからはそんな経験をすることはなくなったが、今少し窮屈な馬車に揺られて移動をしている四人は、言葉に出さずともみんなその頃の事を思い出していた。
ジャパン・グレイテスト・ロック・フェスティバル、通称JGRの会場裏では、出演者や裏方関係者たち専用の屋台が出店されていたり、バックヤードからも他のアーティストのライブを鑑賞できるスペースがあったり、アーティストたちもフェスを楽しめるようになっていた。ステージ間は関係者専用のシャトルバスが運行されており、一般客と出会って混乱しないようになっている。そのシャトルバスを利用し、出演者も他のアーティストのライブを見に行ったりして、出演時間以外もエンジョイしていた。
最終日の大トリに出演予定の、ストーンクリーチャーズのメンバー4人は、仲良くバーベキューをしていた。
「※おい!俺の肉を食うんじゃねえ!」
「※いいじゃねえかどれを食っても」
「※お前ら食ってばかりじゃなくて、たまには自分で焼けよ!」
そんな仲睦まじい会話が、英語で交わされていた。
ビールの入ったプラスチックのカップを片手にケヴィンとデイヴが肉の取り合いをしてる中、ダンが黙々と肉を焼く。そんな中、席を外していたジョーが戻って来た。
「※ジョー、どこ行ってたんだ?お前の肉が無くなっちまうぞ?」
「※そこに立小便しに行ったんだが、すごいものを見つけちまったぜ!」
「※なんだお前!簡易トイレがあるだろう?立小便してんじゃねえよ!自然愛好家か?!」
「※ギャハハ!ソーセージ食えなくなるからやめろ」
「※お前ら、マジで肉食ってる場合じゃねえぞ!お前らもちょっと見に来いよ!」
平均年齢60歳の彼らは、バンドを組み始めた10代の頃からあまり成長の無い会話を交わしていた。
それぞれが家庭を持った今では四人で一緒に行動する機会は減ったが、それでもツアーなどでこうして集まると、いつまでたっても悪ガキのままなのだ。
「※ったくしょうがねえなあ。おい、マイク、火見といてくれ。ちょっとその辺散歩してくるわ」
マネージャーのマイクに四人で囲んでいたバーベキューを任せ、ジョーに案内されながら、四人は草むらの中へと歩いていった。
「※おいジョー。おまえどこで小便したんだ?踏んじまわねえように先に言っとけよ」
「※まだ出してねえよ!それよりほら、あそこだ。見て見ろよ」
ジョーが指さした先には、ちょうど人が通る事ができるドアの大きさくらいの空間に、暗い森が見えていた。ちなみに今日は晴れていて、その周りは明るい草むらだ。
「※おう!なんてこった!」
その不気味な空間にダンは驚き、頭を両手で抱える。
「※お前の小便でこんなになっちまったのか?」
「※だからまだ小便する前だって!ビックリして引っ込んじまったわ!」
デイヴのジョークにジョーが怒ってそう言うと、ケヴィンがその不思議な空間を覗き見ていた。
「※向こう側は空が曇っているな。明らかにここの空間だけ、どこか別の場所と繋がってるな。面白いな。行ってみようぜ」
「※おい、マジかよケヴィン!」
敬虔なクリスチャンであるダンは、超常現象を恐れた。だがすでにケヴィンは向こう側に身を乗り出している。
「※もう俺らくらいの年になると、こんなワクワクする事ってないだろ?これってロックじゃないか?」
ケヴィンの口癖である「ロックだ」という言葉。自身のバンドの音楽性を表す言葉だが、ケヴィンはカッコイイとか魅力的だという意味で使っている。
同じロックンロールバンドのメンバーからしたら、ロックだと表現されたらそれは魅力を感じるし、ビビッて腰が引けるのはかっこ悪いと感じてしまう。
「※行こうぜ!危なかったらすぐに帰ればいいんだからよ!」
「※この年で冒険するとは思わなかったぜ!初めて家出した五歳の時みたいな気分だ」
「※五歳で家出したのかお前?ロックだな?」
「※腹が減って夕方には帰ってたけどな!ギャハハ!」
誰からも大きな反対はなく、そんなバカな会話をしながら四人はその時空の歪みをくぐっていた。
時空の歪みの向こう側は森の中だった。辺りは薄暗い。曇り空から差すぼんやりした日光を、周囲を囲う高い木々がさらに遮り、陰鬱さが増していた。先ほどまでいたJGR会場の爽快な晴天と比べると、別世界のようだ。実際に別世界なのだが。
四人は少し歩いて木々を抜けると、開けた場所に出た。今いるそこは山の中のようだ。眼下には平原が広がり、田園地帯のようだった。少し先には城塞都市のようなものが見える。
「おい、あそこに街があるぜ」
「日本というより、ヨーロッパのような建物だな?」
「とりあえずあそこに行ってみるか」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
四人が辿り着いた街の名は、グリセリア王国バーガンディ領の中心都市ナイトロ。
城門で騎士爵を持っている事が判明すると、衛兵の態度は一変した。
領主に挨拶をしてもらいたいと言われ、四人は馬車に乗せられる。
四人は豪華な馬車に揺られ、街の中心部にある、領主の館へと向かっていた。
「見ろよ、この街並み。ヨーロッパによく似ているが車も無ければ道路標識もない。中世の街がそのまま残ってるって感じだ」
「気付いてるんだろうジョー。ここはおそらく地球じゃない、よく似た違う世界だ」
「ヘッ。石板に手を乗せたらステータスが出るなんて、TVゲームか映画の世界だ。そうでなければ俺たちは集団で幻覚を見てるって話だ」
四人が四人とも、ここがそれまでいた日本とは別世界だと気づいていた。
真剣な表情のダンが口を開いた。
「だとして、どうする?今までいた国と違って、危険があるかもしれないぞ。衛兵の持ってる槍を見たろ?あれは人を殺すための道具だ。法律がどうなっているかも分からないし、いつ殺されるかも分からないぞ?」
ダンの言葉に、一瞬静寂が訪れる。だが誰一人悲壮感はない。
「だけどお前たち、ワクワクしてるだろう?危険と言えば、昔ライブ中に刃物を持った男が暴れたこともあるし、控室に拳銃を持った男が現れた事もあるじゃねえか?観客同士のケンカでライブが中止になったこともある。今に始まったことじゃねえだろう?」
ケヴィンの言葉に、馬車の中に笑い声が響く。
普段無口なデイヴが口を開く。
「もしかしたら珍しい酒が飲めるかもしれないしな」
「いい女がいるかもしれねえ」
「おいジョー、おまえの奥さんに言うぞ?何回目の浮気だ」
「バカ野郎、チクるんじゃねえよ!」
再び笑い声が響く。そしてケヴィンが言う。
「もしかしたらビジネスチャンスがあるかもしれないしな」
「また金か、ケヴィン?」
呆れるようにジョーにそう言われても、ケヴィンは真剣な表情のまま答える。
「俺たちの夢は、これからもできるだけたくさんの国でライブをやる事。そのためにはビジネスとして成功させなけりゃいけねえ。これは大事なことだ。今までたくさんの国に行ったが、異世界でライヴをやるなんて面白くねえか?」
ケヴィンの言葉に、馬車の中はまた笑い声に包まれる。
四人がバンド結成したばかりの頃、機材を乗せた狭いワゴン車に詰め込まれ街から街へとツアーを渡り歩いた。人気が出てからはそんな経験をすることはなくなったが、今少し窮屈な馬車に揺られて移動をしている四人は、言葉に出さずともみんなその頃の事を思い出していた。
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