3 / 5
謝罪
しおりを挟む
◼️□◼️□◼️□◼️□
さてとだ。どこの地を貰うか考えなければならない。父上より数日中に申し出るよう言われた。
この世界の知識を一般的常識を含め持たない俺は他の者の知恵を借りることにした。
屋敷の者に一番の知恵者は?と聞くと
皆が口ぐちに言うのは
なんと俺の家庭教師だった。
教養を身に付けさせる為、両親が都からわざわざ呼び寄せたと言う、学者出身の家庭教師が俺にはつけられていた。
教わっていた記憶はまったくもってないので適当にサボっていたのだろう。
(まあ、兎も角会うことにしよう)
とりあえず、ネアンヌに家庭教師がどこにいるか聞く。
「メルモニタ先生なら、屋敷の離れで研究されていると思いますよ。呼んでまいりますか?」
(名前はメルモニタって言うのか。)
「いや、良い。自分でいく。」
そう言って部屋を後にした。
「呼ばれた方が良いと思いますが……」
そう声が聞こえた気がした。
屋敷の離れは意外と簡単に見つかり、
俺はづかづか入っていった。
そして扉を開ける……
そこには、まさしく汚部屋と言って良い風景が広がっていた。
床は一面、用途の分からない道具と本に覆われ足の踏み場もない。空いた空間は唯一机が置いてある場所だけと言った徹底ぶりである。
そこの中心に彼女はいた。
年の頃はまだ20代くらいー緑色の髪の上に紫のトンガリ帽子を被ったいわゆる魔女が彼女だった。
「ん?食事の時間か?ネアンヌいつものように戸口へ置いておいてくれ。」
顔も上げず本に没頭しているのが分かる。
「えーと。ネアンヌではないのだが。」
そう切り出した。
そこで初めて顔を上げた。
「ああ、これはこれはお坊っちゃま。一年ぶりでしょうか?私のことをまだ覚えていらっしゃったんですね。それとも雷撃を受けて私のこと思い出されましたか?」
彼女は皮肉を込めてそう言った。
「それとも首にして頂けるんですか?」
ちょっと期待したような顔をする。
「いや、そのようなことで来たのではない。」
「平民風情の魔導師になんぞ教わることはない。これからは剣の時代だと言ってたではありませんか。
その後、お父さまに相談して辞めさせると言って出ていったきり……。沙汰を待っていたんですよ。」
(前の俺のしたことと言え、さすがに悪いな。)
「老師の顔さえなければこんなところさっさと辞めて学都に帰れるのに……何が星読みによる特異点の発生地点なんだか……」
とぶつぶつ言っている。
「悪い。今俺は記憶を失っているんだ……
雷撃を受けたことは聞いているのだろ?
その後、記憶が飛んでいて過去のことを思い出せないんだ。
ただ、話を聞いた限り、過去俺はあなたに相当酷いことを言ってたようだ。まずは謝罪をさせてくれ。謝って済むとは思わないが出来れば許して欲しい。」
そう言って俺は頭を下げた。
「ふん、その態度どこまで本当なのか。また記憶が戻った途端、手のひら返すんじゃないの。」
と疑いの眼差しで俺をみる。
(まあ、これまでの仕打ちを考えらばそうだろうな。)
「先のことは分からないが、そうならないよう努力したい。」
そう心を込めて言った。
(今日の所は帰るか……)
引き返そうとしたら、声がかかった。
「で?なんなのよ。その分じゃ、謝りにきただけって訳じゃないでしょ」
「いいのか?」
振りかえる。
やれやれといったジェスチャーをされる。
「良いか悪いかじゃなく、あなたはまだ雇用主であるのは間違いないからね。首にしに来たのではないのでしょう?信頼はしてないけどね。」
そう言ってくれた。
(とりあえずは少し許されたらしいな。)
「助かる。」
俺はもう一度頭をさげた。
さてとだ。どこの地を貰うか考えなければならない。父上より数日中に申し出るよう言われた。
この世界の知識を一般的常識を含め持たない俺は他の者の知恵を借りることにした。
屋敷の者に一番の知恵者は?と聞くと
皆が口ぐちに言うのは
なんと俺の家庭教師だった。
教養を身に付けさせる為、両親が都からわざわざ呼び寄せたと言う、学者出身の家庭教師が俺にはつけられていた。
教わっていた記憶はまったくもってないので適当にサボっていたのだろう。
(まあ、兎も角会うことにしよう)
とりあえず、ネアンヌに家庭教師がどこにいるか聞く。
「メルモニタ先生なら、屋敷の離れで研究されていると思いますよ。呼んでまいりますか?」
(名前はメルモニタって言うのか。)
「いや、良い。自分でいく。」
そう言って部屋を後にした。
「呼ばれた方が良いと思いますが……」
そう声が聞こえた気がした。
屋敷の離れは意外と簡単に見つかり、
俺はづかづか入っていった。
そして扉を開ける……
そこには、まさしく汚部屋と言って良い風景が広がっていた。
床は一面、用途の分からない道具と本に覆われ足の踏み場もない。空いた空間は唯一机が置いてある場所だけと言った徹底ぶりである。
そこの中心に彼女はいた。
年の頃はまだ20代くらいー緑色の髪の上に紫のトンガリ帽子を被ったいわゆる魔女が彼女だった。
「ん?食事の時間か?ネアンヌいつものように戸口へ置いておいてくれ。」
顔も上げず本に没頭しているのが分かる。
「えーと。ネアンヌではないのだが。」
そう切り出した。
そこで初めて顔を上げた。
「ああ、これはこれはお坊っちゃま。一年ぶりでしょうか?私のことをまだ覚えていらっしゃったんですね。それとも雷撃を受けて私のこと思い出されましたか?」
彼女は皮肉を込めてそう言った。
「それとも首にして頂けるんですか?」
ちょっと期待したような顔をする。
「いや、そのようなことで来たのではない。」
「平民風情の魔導師になんぞ教わることはない。これからは剣の時代だと言ってたではありませんか。
その後、お父さまに相談して辞めさせると言って出ていったきり……。沙汰を待っていたんですよ。」
(前の俺のしたことと言え、さすがに悪いな。)
「老師の顔さえなければこんなところさっさと辞めて学都に帰れるのに……何が星読みによる特異点の発生地点なんだか……」
とぶつぶつ言っている。
「悪い。今俺は記憶を失っているんだ……
雷撃を受けたことは聞いているのだろ?
その後、記憶が飛んでいて過去のことを思い出せないんだ。
ただ、話を聞いた限り、過去俺はあなたに相当酷いことを言ってたようだ。まずは謝罪をさせてくれ。謝って済むとは思わないが出来れば許して欲しい。」
そう言って俺は頭を下げた。
「ふん、その態度どこまで本当なのか。また記憶が戻った途端、手のひら返すんじゃないの。」
と疑いの眼差しで俺をみる。
(まあ、これまでの仕打ちを考えらばそうだろうな。)
「先のことは分からないが、そうならないよう努力したい。」
そう心を込めて言った。
(今日の所は帰るか……)
引き返そうとしたら、声がかかった。
「で?なんなのよ。その分じゃ、謝りにきただけって訳じゃないでしょ」
「いいのか?」
振りかえる。
やれやれといったジェスチャーをされる。
「良いか悪いかじゃなく、あなたはまだ雇用主であるのは間違いないからね。首にしに来たのではないのでしょう?信頼はしてないけどね。」
そう言ってくれた。
(とりあえずは少し許されたらしいな。)
「助かる。」
俺はもう一度頭をさげた。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜
☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。
しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。
「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。
書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。
だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。
高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。
本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。
その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる