62 / 68
まったくついてねぇ
しおりを挟む
暫く走行後
それ(破滅)は突如としてやってきた。
『ぼこっ』
『ガリ』
『ギギギ』
異音が響く……
「シュバルツ、ロート止まれ」
速度を落としたまさにその時、脇を馬車の車輪が転がっていくのが見えた。
(危なかった……)
急いで降りる
(これは車軸と車輪両方いってるな……)
「全く、ばか馬とばか馭者が。程度というものを知らんからこうなる。」
ガルダが呆れた顔をして馬車から降りてきた。
(確かに悪のりし過ぎた……な)
「土魔法を使って補強するからガルダ社内でこれでも食べて休んでいてくれ。」
そう言ってゴブリン魔石を5個ほど渡す。
「ほう。なかなか……」
「……?」
「なかなか気がきくではないか……」
ガルダは満面の笑みを浮かべ馬車の中へと戻っていった。
シュバルツ達が物欲しそうな目で見ているのが分かったので各々にも魔石を渡す。
(俺だけ飯抜き……か。さっさと直してどこかで旨いものが食いたいな)
魔石のエネルギーを取り込み
車軸を応急処置をした。
(車輪は直すには少し時間がかかりそうだな。
円状に整形することは難しいか。
取り敢えずだしだまし帝都まで向かうとしよう。)
「ガルダ取り敢えず応急措置は済んだんで、このまま帝都へ向かうぞ?」
そう言ってガルダへ先を促した。
ガルダは大きくため息をついた後口を開いた。
「駄目じゃ、こんなぼろぼろの馬車で
帝都に向かうなどもっての他じゃ。
帝都の手前にムジクと言うそこそこの大きさの町があったはず。
そこで鍛冶屋を探し、直してから帝都へは向かう。」
「少しでも早く行きたいんだが?」
「妾には色々考えがある。信頼するんじゃな。」
(馬も買わされたし、今さら他の手立てを考えるのも時間の無駄だな……。
それに馬車を壊した遠因は俺にもあるし。)
何とか自分を納得させムジクに向かうことにした。
それから馬車に乗ること3時間ほどで町に着いた。
(さてと……鍛冶屋はどこだ?)
道行く人に馭者台の上から声がけをするも誰も答えてはくれない。
そこそこの町であり、人の出入りもあるのだが、道行く人は俺達が近づくとまるで避けるように散っていく。
「何故だ?」
暫く声がけを続けたものの芳しい成果はえられない……
一時間ほど経った頃合いで鍛冶屋探しを締めた。
(取り敢えず宿を先に決め、一服した後に改めて鍛冶屋を探すこととしよう……)
そう考え、宿探しを始めた。
◼️□◼️□◼️□◼️□
町の中心と思われる場所に向かい宿屋と思われる看板を探す。
(多分ベッドマークが宿屋だろう。でその下に付いている王冠のようなマークがランクだとしたら……)
いくつか見比べているうちに王冠が5つ並んでいる宿屋を見つけた。
(今日は意外と体力を使ったから、たまには良い宿屋も良いだろう。)
宿屋の周りを見るに厩舎らしきものも見えた。
場所を止め、宿屋に入る。
「いらっしゃいませ。これはこれは後貴族の従者様で?お泊まりですか?」
「ああ、一泊頼む。」
「馬車はお預かりで?」
「頼む。」
「主様は男性で?」
「いや女性だが?」
「ならばお風呂付きでよろしいでしょうか?」
「ああ。それで頼む。」
「先払いで5金貨頂きます。」
(久しぶりに風呂で寛げる。食事も旨いものが出そうだな……)
「金貨五枚だ。これで良いか?」
「確かに。それで執事様のお宿はどちらで?。朝ご主人の準備が出来次第呼びに行かせますが?」
(えっ……俺もここで泊まれるんじゃなかったのか?)
「宜しければ私ども提携の宿を紹介致しますが?」
(従者が主人と同じ場所に泊まるなぞあり得ないってか?)
俺は仕方なく、宿の主人に提携の宿の場所を聞き、その宿を去ることにした。
(まったくついてない)
それ(破滅)は突如としてやってきた。
『ぼこっ』
『ガリ』
『ギギギ』
異音が響く……
「シュバルツ、ロート止まれ」
速度を落としたまさにその時、脇を馬車の車輪が転がっていくのが見えた。
(危なかった……)
急いで降りる
(これは車軸と車輪両方いってるな……)
「全く、ばか馬とばか馭者が。程度というものを知らんからこうなる。」
ガルダが呆れた顔をして馬車から降りてきた。
(確かに悪のりし過ぎた……な)
「土魔法を使って補強するからガルダ社内でこれでも食べて休んでいてくれ。」
そう言ってゴブリン魔石を5個ほど渡す。
「ほう。なかなか……」
「……?」
「なかなか気がきくではないか……」
ガルダは満面の笑みを浮かべ馬車の中へと戻っていった。
シュバルツ達が物欲しそうな目で見ているのが分かったので各々にも魔石を渡す。
(俺だけ飯抜き……か。さっさと直してどこかで旨いものが食いたいな)
魔石のエネルギーを取り込み
車軸を応急処置をした。
(車輪は直すには少し時間がかかりそうだな。
円状に整形することは難しいか。
取り敢えずだしだまし帝都まで向かうとしよう。)
「ガルダ取り敢えず応急措置は済んだんで、このまま帝都へ向かうぞ?」
そう言ってガルダへ先を促した。
ガルダは大きくため息をついた後口を開いた。
「駄目じゃ、こんなぼろぼろの馬車で
帝都に向かうなどもっての他じゃ。
帝都の手前にムジクと言うそこそこの大きさの町があったはず。
そこで鍛冶屋を探し、直してから帝都へは向かう。」
「少しでも早く行きたいんだが?」
「妾には色々考えがある。信頼するんじゃな。」
(馬も買わされたし、今さら他の手立てを考えるのも時間の無駄だな……。
それに馬車を壊した遠因は俺にもあるし。)
何とか自分を納得させムジクに向かうことにした。
それから馬車に乗ること3時間ほどで町に着いた。
(さてと……鍛冶屋はどこだ?)
道行く人に馭者台の上から声がけをするも誰も答えてはくれない。
そこそこの町であり、人の出入りもあるのだが、道行く人は俺達が近づくとまるで避けるように散っていく。
「何故だ?」
暫く声がけを続けたものの芳しい成果はえられない……
一時間ほど経った頃合いで鍛冶屋探しを締めた。
(取り敢えず宿を先に決め、一服した後に改めて鍛冶屋を探すこととしよう……)
そう考え、宿探しを始めた。
◼️□◼️□◼️□◼️□
町の中心と思われる場所に向かい宿屋と思われる看板を探す。
(多分ベッドマークが宿屋だろう。でその下に付いている王冠のようなマークがランクだとしたら……)
いくつか見比べているうちに王冠が5つ並んでいる宿屋を見つけた。
(今日は意外と体力を使ったから、たまには良い宿屋も良いだろう。)
宿屋の周りを見るに厩舎らしきものも見えた。
場所を止め、宿屋に入る。
「いらっしゃいませ。これはこれは後貴族の従者様で?お泊まりですか?」
「ああ、一泊頼む。」
「馬車はお預かりで?」
「頼む。」
「主様は男性で?」
「いや女性だが?」
「ならばお風呂付きでよろしいでしょうか?」
「ああ。それで頼む。」
「先払いで5金貨頂きます。」
(久しぶりに風呂で寛げる。食事も旨いものが出そうだな……)
「金貨五枚だ。これで良いか?」
「確かに。それで執事様のお宿はどちらで?。朝ご主人の準備が出来次第呼びに行かせますが?」
(えっ……俺もここで泊まれるんじゃなかったのか?)
「宜しければ私ども提携の宿を紹介致しますが?」
(従者が主人と同じ場所に泊まるなぞあり得ないってか?)
俺は仕方なく、宿の主人に提携の宿の場所を聞き、その宿を去ることにした。
(まったくついてない)
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる