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舞台版シナリオ「ギャリー・カッターの日常」
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『多分魔法少年ギャリー・カッターの日常』
原作・中野信貴
脚本・しろみつ
〈キャスト〉
★ギャリー
★ガーキン
エドワード
アダム
ルーシー
マチルダ
ニール
ジョセフ
メイソン先生
校長
アン
A
B
C
D
E
キャスト人数(10~15人)
上演時間(60分)
幕前。上手からクランシーグラマーの学生服のギャリー登場。
ギャリー
「おい。
真っ暗なままじゃないか。とっくに開演時間はじまってるぞ。
照明はどうした?何?壊れた?停電?全くしょうがないな。
そこの照明係、機材から離れてろ。
なぜかって?今からそこに雷を落とす。
うちの家電は大体これで直る。大丈夫。
多少痛くてしびれるかもしれんが死人が出たことはない。
覚悟はいいな?いくぞ。」
雷の効果音。
上手サス。
ギャリー
「う…っ。急にまぶしいな。
おっと。観客のみんな。驚かせて済まない。」
指の合図で中央サス。
中央へ移動。
ギャリー
「俺はギャリー・カッター。
このクソみたいな日常にありふれたどこにでもいるような高校生
…のはずだったが、今見てもらったように
最近、雷のようなものを意図的に出せる厄介な力に目覚めてしまったらしい。ん?なに目をそらしてる。雷を落とされるとでも?
大丈夫だ。さっきも言ったがこの力で死人が出たことはない。
むしろ光熱費が安く済んで大助かりだとおふくろも喜んでる。
それと…」
下手サス。
ガーキン登場。軽快なBGM。
ガーキン
「やあやあ~!親愛なるギャリー・カッター!そして観客の皆さま!
え?僕が誰かって?僕はね~…
ん?今ちっちゃい声できゅうりの漬物みたいって言ったの誰?
僕をガーキンのピクルスと一緒にしないでおくれ。
僕はこの日々退屈でクソみたいな世界を変えるために遣わされた
キュートでラブリーな天使なのさ。
さぁ、僕と一緒にパラダイスへ旅立とうじゃないか!ギャリー!」
中央へよりギャリーと握手。
BGM止。
雷の効果音。
ガーキン
「ぎゃあああああ!!…ガクッ。」
ギャリー
「前言撤回する。大助かりではなかった。能力の目覚め、開花と同時に
ガーキンのピクルスみたいな変な奴がつきまとうようになったんだ。
俺にもこいつの正体が何なのかはさっぱりだ。」
ガーキン
「うう…。変な奴とはひどい言い方だなギャリー。
それに!僕はちゃんと現実世界に生きてるポップでチャーミングな存在さ!君と僕は一心同体ではなれられない運命にあ…」
暗転。
ガーキン
「あ…っまだ話してる途中で…」
ギャリー
「おっとまた停電か。しょうがないな。離れてろ。
次はちょっと強めに行くぞ。」
雷の効果音。
溶明。
ギャリー
「ふう。」
ガーキン
「ああ、素晴らしい。素晴らしい力だよ。ギャリ~!」
ギャリー
「ああ、話の途中だったな。
それと、たまに真っ暗になる変な夢まで見るようになった。」
ガーキン
「だから夢じゃないってば~
ほっぺたつねったら痛いだろう~?(自分のほっぺをつねりながら)」
ギャリー
「今のことを言ってるんじゃない。寝てる間に見る夢のことだ。
今は起きてるだろう。
ほら(ガーキンのほっぺをつねる)」
ガーキン
「いたぁい!」
ギャリー
「この時間は夢じゃない。
ガーキン
「ちょっとちょっとぉ!
こういう時は自分のほっぺたをつねるんだよ~」
ギャリー
「その夢は真っ暗なのに見覚えのある場所で、
その場所の先には誰かが待ってて、
何度も何度も同じ夢を見てるはずなのに、
それがどこであれは誰だったのか全然思い出せないんだ。
何か大事なことだった気がするんだが…。
ああ、クソ。思い出せない。イライラする。(独り言のように)」
ガーキン
「ギャリー?(ちっちっちっと指ふるように)君は素晴らしい能力があるというのに日々退屈を持て余してイライラしている。君の偉大な力はこのクソみたいな日常の世界には役不足だ。だけど僕が来たからには、もうこんなクソみたいな日常生活とはおさらばだよ。じゃーん!」
封筒を出す。
ギャリー
「なんだそれは。」
アレ的なBGM。
ガーキン
「ふっふっふ。知りたい?知りたいよねぇ~。
これはねぇ名門ベルトン・カレッジ魔法学科の特待生の編入許可証だよ!
君のその偉大なる力が価値のあるものとして証明されたんだ!
君は特別!君は天才!そして偉大なる魔法使いに選ばれたんだ!」
ギャリー
「魔法学科…?なんだ魔法学科って。ほうきにまたがって空でも飛ぶのか?それに、おまえはさっきからこの力を偉大偉大と過大評価するが
こんなのちょっと強めの静電気みたいなもんじゃないか。魔法とか特待生とかそんなどっかの小説か映画の主人公みたいな…
おい。やめろやめろ。さっきからなんだこのBGMは。微妙に似てるようで似てないメロディーラインがイライラするから止めろ!」
ガーキン
「さあギャリー!僕と一緒に今年から設立されたという魔法学科で
君の能力を最大限美しく開花させようじゃないか!」
ギャリー
「許可?選んでやったと言ってるのか?冗談じゃない。
人に選ばれる人生なんてクソくらえだ。間違えるな。
選ぶのはお前ら他人じゃない。俺自身だ。おい!幕を開けろ!」
幕開け。
ギャリー
「魔法学科だかなんだか知らんが、学費ゼロならおふくろも大助かりだ!行くぞ!」
ガーキン
「わぁ~お、痺れる~。そうこなくっちゃね。ギャリー!!」
BGM音量大。
校長。2階セットにスタンバイ。
BGM止。
校長
「ようこそ。Mr.ギャリー・カッター。
君のような優秀な学生を我が校に迎えることができ、大変嬉しく思う。」
ギャリー
「ここが魔法学科とやらか?
古いだけの普通の学校に見えるが、あんたが俺を招待したのか?」
校長
「まぁそうだな。今来たばかりでわからないことだらけだろう。」
ギャリー
「ああ。
まずあんたのその耳は本物か?」
校長
「ん?
耳がなきゃ聞こえないだろう。」
ギャリー
「そっちじゃなくて…(頭のジェスチャー)」
校長
「(自分でも頭を触る)ふふふ。
気づいてしまったかこの耳に。
(階段おりながらギャリーの横へ)触ってみるかね」
触る。
取れる。
両者顔を合わせ沈黙。
校長
「いたぁい。」(ゆっくりと間の抜けた低い声)
ギャリー、猫耳カチューシャを校長の頭に戻す。
校長
「冗談だ。仮装パーティーをしていて、取るのを忘れたようだ。」
ギャリー
「なんだてっきり猫にでも化けるのかと。」
校長
「まぁ詳しいことは監督生や同級生のMr.パーシーに遠慮なく聞いてくれ。特待生として優秀な成績を残してもらうことを期待しているよ。
Mr.ギャリー・カッター。
私はこれで失礼する。」
校長、下手に退場。
下手から入れ違いでエドワード登場。
エドワード
「ベルトン・カレッジへようこそギャリー・カッター。君の部屋まで案内するよ。同室のエドワード・パーシーだ。よろしく。」
ギャリー
「よろしく。エドワード・パーシー。」
エドワード
「エドワードでいいよ。何か聞きたいことはある?」
ギャリー
「そうだな。(ガーキンを見て)こいつはどうしたらいい?
ずっとついてくるんだ。」
エドワード
「あー。寮の部屋は二人部屋なんだよね。ごめんね。」
ギャリー
「そうか。じゃあな。」
ガーキン
「え…ちょ…」
ギャリー
「あんたとは気が合いそうだ。」
エドワード
「そう言ってもらえて光栄だよ。カッター。」
ギャリー
「ギャリーでいいぞ。」
ギャリー、エドワード下手にはける。
ガーキン
「ひどい!ひどいじゃないかギャリー!君とは一心同体でもあるこの僕を置いていくなんて!いいかい?君と僕は離れられない運命にあるってことを忘れちゃいけないよ!ねぇ?みんなも魔法学科なんて何をするのか楽しみだよね?お~い!僕も入れておくれよ~!」
ガーキン下手にはける。
明るいBGM。
溶暗。机と椅子セット。溶明。
BGMフェードアウト。
下手からベルトン・カレッジの学生服を着たギャリーとエドワード登場。
エドワード
「うん。制服ぴったりそうで良かったよ。さて、木曜1限目は生物学だよ。
メイソン先生の教室はここ。えーと、君の席は…」
つづいてアダム登場。
アダム
「エドワード!その人が編入生のギャリー・カッターかい?
あ、いきなりごめん。僕はアダム・スタンレイ。
僕も君と同じ魔法学科なんだ。よろしく。」
ギャリー
「よろしく、アダム・スタンレイ。荷物が多いな。持とうか?」
アダム
「大丈夫だよ。メイソン先生の手伝いなんだ。ありがとう。」
荷物を2階に運ぶ。
上手からニール、ジョセフ登場。
ニール
「へぇ。君が噂の編入生?クランシーグラマーから来たんだってね?
あそこの学校荒れてるって有名だよね~。
ニール・コンロイだ。お見知りおきを。僕も魔法学科なんだ。」
ギャリー
「よろしく、ニール・コンウォイ。」
ニール
「コンロイだ。」
ギャリー
「コンウィ。」
ニール
「コンロイ!」
ギャリー
「すまん。活舌が悪くて聞き取れなかった。」
ニール
「か…活舌のことはほっといてくれよ!気にしてるのにィ!」
ギャリー
「口を開けろ。」
ニール
「は?」
ギャリー
「舌を前に出せ。グズグズするな!」
口を抑え込む。
ニール
「ひぎ…!なんで」
ギャリー
「舌小帯が短いな。」
ジョセフ
「舌小帯?」
ギャリー
「舌の裏に皮みたいのがあるだろう。ここが短いと舌が前に出ず活舌に影響する。生まれつき短いのはそう珍しいことでもないらしいが、気にしてるなら一度ちゃんと医者に診てもらえ。コンロイ。
…(指を見る。眉をひそめる。)ハンカチはあるか?
ジョセフ
「私のでよければ。」
ハンカチを受け取り、手をふく。
ギャリー
「ありがとう。先生。」
ハンカチを返す。受け取りながら、
ジョセフ
「私は生徒だ。」
ギャリー
「それは失礼した。」
ジョセフ
「ジョセフ・スウィンバーンだ。よろしく。」
ギャリー
「ああ、よろしくジョセフ・スウィンバーン。ギャリー・カッターだ。」
上手からルーシー、マチルダ登場。
ルーシー
「ギャリー!?あんたがギャリー・カッター?」
ギャリー
「そうだがなんだ?」
ルーシー
「なんだも何もないわ!あいつなんとかせぇな、あそこにおる緑色のあいつ!あんたについてきたんやろ!?」
下手の椅子に座るガーキン。
手をふってる。
ギャリー
「ああ、あいつなら俺もなんとかしたい。」
ルーシー
「気色悪い色して何なん?どんよりしたどぶ川のミドリムシみたいな色しさくって消毒液くさい甘ったるい液に漬かった固そうなイボついとんのにぶにゅっとした食感の世界で一番嫌いな食べ物のガーキン・ピクルス思い出すわ!」
ギャリー
「ああ、ガーキン・ピクルスなら俺のおふくろが…」
ルーシー
「もうなんでもいいから早よどっかにあいつ捨ててこいやぁ!」
ギャリー
「ちょっとまて。おい。」
ルーシー
「早よ早よ早よー!!」
ギャリー
「いい加減にしろ!人の話をちゃんと聞け!
初対面の人間に失礼にもほどがあるだろ!このブス!」
間。
ルーシー
「え。ちょっと今。
最後
何て
おっしゃいました?」
マチルダ
「ちょっと…ルーシーも確かに失礼だったけど、あなたも女性に対してその言い方は乱暴でしょう?特に容姿のことは…
いえ、女性に限らずからだのことは口にすべきじゃ…」
ギャリー
「容姿?俺は容姿のことを言ったんじゃない。その物言いのことを醜いと言ってるんだ。いくら外見がよくても、その喋り方はやめといた方がいいぞ。全部台無しになる。」
ルーシー
「しゃ…喋り方?」
ギャリー
「俺が品格のことを言うのは何だが言い方ってものがあるだろう。それさえちゃんとしてたらあんた容姿はいいんだ。映画のヒロインに負けないレベルだぞ。それに…あんた本物のガーキン・ピクルスを食べたことがないんだろう。今度食わせてやる。おふくろは何もできない人だがピクルス作りだけは上手いんだ。」
ルーシー
「え~?あんた、めっちゃええ奴やん~!
あっしはルーシー・ハートや。あっしも今年から編入組やねん。
よろしうな。(握手)」
マチルダ
「マチルダ・オルブライトよ。(握手)
あ、メイソン先生がいらっしゃったわ。席に着きましょう。」
上手からメイソン先生登場。
全員席につき、中央に取り残されるギャリー。
メイソン先生
「おや、君が編入生の子だね。
君の席は一番後ろだ。」
すでにガーキンが座ってる。
ギャリー、ガーキンと
顔を見合わせる。
メイソン先生
「さて、授業をはじめる前にみんなにも編入生の彼について軽く紹介しておこう。」
ギャリー
「メイソン先生。あの、俺の席に…」
メイソン先生
「ウオッホン。
今日からこのクラスに編入したギャリー・カッター君だ。
彼は以前の学校のGCSE試験は特筆すべき結果でなかったものの新学期から学力の飛躍的向上が見られ、最終的なAレベル試験で志望教科すべて最高ランクの成績を予想されている。」
どよめきと拍手。
メイソン先生
「…と、紹介してしまったが、
プレッシャーだったかな?カッター君。」
ギャリー
「いいえ、メイソン先生。あの…」
メイソン先生
「では昨日の続きで皆のレポートの解説を…」
ギャリー
「先生。こいつはなんとかなりませんか?」
メイソン先生
「ああ。彼は気にしないようにと聞いているが。」
ギャリー
「座れないし目障りです。」
ガーキン
「ギャリー!君と僕は一心同体なんだよ!
君をこの学校に導いたのは僕の力なんだよ!
さぁ、僕を受け入れて完璧な君になるんだ!」
ドカッと上に座る。
雷の効果音。
ガーキン
「ぎゃああああああ!!(電気椅子のようにビリビリしてる)」
ガーキン
「ガクッ」
メイソン先生
「…今のはどうやったカッター君。」
ギャリー
「俺にもよくわかりません。(ガーキンに座りながら)」
メイソン先生
「いやすごいねぇ君。その力は身体全体から出るの?それとも手のひらから出るの?痛くないのかい?」
ギャリー
「いや…どうなんでしょうね。」
メイソン先生
「興味深いなぁ。手の皮膚とかちょこっと採取してみてもいいかなぁ。」
アダム
「メイソン先生!授業遅れちゃいますから、教壇にあがって授業の続きをしてください!」
メイソン先生
「おっと。うーん、いったいどういう仕組みなんだろうなぁ。
うーん、不思議だなぁ…」
2階にあがりながらブツブツと呟く。
黒板代わりのパーティションに向かって授業を再開。
マチルダ、ルーシー、ニール、ジョセフは先生の方向を見て
たまにノートを取るしぐさなどする。
アダム、ひそひそ話をするようにギャリーに話しかける。
アダム
「ああ見えてメイソン先生は細胞生理学の権威なんだよ。
3年前から研究の傍らここの教師も兼任してくれてるんだ。」
ギャリー
「おお。すごい学校じゃないか。
もっと非科学的な授業を想像していたが…」
アダム
「君も負けじとすごいけどね。」
エドワード
「ギャリー、君は何も聞いてないのかい?どうしてこの学校に来たの?」
ギャリー
「タダでランク上の学校に行けるからだ。俺は試験の為に勉強してるんじゃない。いいところで働いておふくろを楽させたいんだ。」
アダム
「いい話。もっと聞きたいな。」
マチルダ
「アダム。授業中よ。」
アダム
「あ…。」
エドワード
「…でも、成績表だけで選ばれたわけじゃないのはわかってるんだろう?
どうしてわざわざ魔法学科と名の付くここに?」
ギャリー
「ああ、この能力のことか。多少きつめの静電気程度のものだが
これが特待生として招待されるほどのものなのか?
結局魔法学科って何するところなんだ?」
アダム
「それが僕らにもさっぱりさ。
こっちが聞きたいくらいで。
授業も今のところ割と普通だし」
マチルダ
「アダム。」
アダム
「おっと。」
エドワード
「ねぇギャリー…。君、ほんとに何も知らないのか?」
ギャリー
「エドワード。あんたが知らないんだ。俺が知るわけないだろう。」
エドワード
「ああごめん。しつこかったね。気を悪くしたら済まない。」
ギャリー
「そうか。あんたたちも何かしらの能力を持ってるからここにいるってのは間違いないんだろう?一体どんな能力なんだ?」
エドワード
「あ、いや君に比べたら大したことないし…」
アダム
「そうそう。同じクラスなんだし、そのうちわかっちゃうことだから。
それよりほら、授業に集中集中!」
暗転。
マチルダ
「きゃあ!停電?」
ニール
「うわああ!びっくりしたぁ!」
ジョセフ
「古い校舎だからな。みんな落ち着いて。」
ギャリー
「なんだ。停電か。
てっきり例の真っ暗な夢かと…」
エドワード
「真っ暗な夢?」
アダムのいびき。(放送)
ギャリー
「は?…って、このいびき、アダムか?
なんでこの不自然なタイミングで寝てるんだ?」
エドワード
「アダムは物理的に暗くなるといつもこうなんだ。」
ギャリー
「いつも?」
エドワード
「いつも。」
アダムのいびき。(放送)
ギャリー
「…え、もしかしてこれが能力!?暗くなったら寝るだけが能力!?」
エドワード
「言ってやるなよ。大丈夫、光があればまた戻るから」
ギャリー
「ああ。光か。ちょっと待ってろ。」
ギャリー、立ち上がって指を鳴らす(この間にガーキン下手にはける)
雷の効果音。
溶明。いびき止。
アダム
「あれ?僕今寝てたよね?停電でもあった?」
ギャリー
「…なるほど。
俺が想像してた魔法とはちょっと違うが、能力には変わりない。」
アダム
「え?何々?早速僕の能力バレちゃったの?
あ~もう恥ずかしいなぁ」
ギャリー
「エドワード。お前の能力はどうなんだ?」
エドワード
「え。」
ギャリー
「火とか水とか氷とか出せないのか?」
エドワード
「ゲームのキャラクターじゃないんだからそんなことできないよ。」
ギャリー
「俺だってゲームのキャラクターじゃない。」
エドワード
「ほらほら授業に集中集中。」
ギャリー、椅子に座る。
照明青。
全員ストップモーション
下手サス。ガーキン登場。
ガーキン
「ああ。ギャリー!なぜあなたはギャリーなの?」
ギャリーにサス。
ギャリーだけ動き出す。
ギャリー
「シェイクスピアか。セリフ回しにセンスがないぞ。
もっと勉強したらどうなんだ?」
ガーキン
「ねぇねぇギャリー。なんだか彼怪しいよね。(エドワードを見る)
自分の能力も言わないし、君がなぜここに来たのかしつこいくらい聞いてくるし、まさか僕たちの仲に嫉妬~?」
ギャリー
「おまえこそ詮索するじゃないか。
言うのが恥ずかしい能力なのかもしれないだろ。
まぁ、誰とは言わないが(アダムを見る)」
ガーキン
「ギャリー。君の能力は偉大だ。」
ギャリー
「なんだ急に。」
ガーキン
「ギャリーと僕は二人で一つなんだよ~?わかってる~?」
ギャリー
「わけのわからないことを言うな。」
サス消。
ガーキン下手にはける。
少し不気味なオルゴール音BGM。
ギャリー
「なんだ?また停電か?」
ギャリー、立ち上がる。一歩前へ。生徒たち机を片付ける、残った椅子を横にならべてはける。マチルダ、ルーシーは再登場の為、上手へはける。
ギャリー、中央へ歩みながら、
ギャリー
「ああ、ちがう。これは、夢の中だ。いつもの真っ暗な夢。」
ギシギシと階段をのぼる音響。
ギャリー
「おれはここを知ってる。ひどく懐かしくすらあるのに、どうしてここがどこだか思い出せないんだろう。どうして…ああ、頭が痛い。」
BGM止。
横に並んだ椅子の上に寝転ぶギャリー。
溶明。私服に着替えたエドワード登場。
エドワード
「ギャリー?
寝てるのか?
制服のままじゃないか…。よっぽど疲れたんだな。」
エドワード、ギャリーに近づき、上から顔をのぞきこむ。
ギャリー
「何か用か?」
エドワード
「うわっ!起きてた!ごめん!」
ギャリー
「なんだ?何をしようとしていた?」
エドワード
「いや、ごめん。なんでもないよ。」
ギャリー
「ごめん。って謝るようなことをしたのか?」
エドワード
「いや、まだ何もしてないよ。」
ギャリー
「まだ?これから何かするつもりだったのか?」
エドワード
「あ、いや、大したことないっていうか、
ちょっとしたゲームっていうか…」
ギャリー
「エドワード。
俺になにか聞きたいことがあるならはっきり言ったらどうだ?
言っとくが俺は何も隠し事なんてしてないしこれからも隠すつもりはない。あんたに対しては特にそうだ。信用してる。」
エドワード
「…照れるな。
会ったばかりの人にそういうこと言うの無防備すぎるよ君。
もうちょっと警戒したほうが…」
ギャリー
「そうか。すまん。」
エドワード
「ふう。(横に座る)君に聞きたいことは一つだけなんだ。
この学校には呼ばれて来ただけで他意はないと?」
ギャリー
「そういったはずだ。」
エドワード
「じゃあ、彼は何?(指さす)」
下手ガーキン登場。
ガーキン
「呼んだ~?」
ギャリー指鳴らす。
雷の効果音。
ガーキン
「ぎゃあああああ!!ふ、ふへぇ~」
ガーキン、よろよろと下手はける。
ギャリー
「あいつが何なのかはおれにもわからない。
ただ、夢の中で…」
エドワード
「夢の中で?」
沈黙。
ギャリー
「…そうだな。
自分がなぜここに呼ばれたのか理由があるなら俺も知りたい。
実を言うと俺は昔の記憶がぽっかりないんだ。思い出そうとすると意識が途切れる。そして真っ暗な夢を見るんだが、その夢の内容も起きると忘れてしまう。この夢の中にここへ呼ばれた理由があるなら思い出したいと思う。何としても。協力してくれるか?エドワード。」
エドワード
「もちろん。で…、俺は何をすればいい?」
ギャリー
「うん。まずはあんたのことを教えてくれ。
さっき俺に何をしようとした?」
エドワード
「え。」
ギャリー
「随分距離が近かったが、あんたの能力と関係あるのか?」
エドワード
「あ~う~頼むからさっきのはもう忘れてくれないか?」
ギャリー
「やっぱり能力を使って何か探ろうとしたんだろう。
俺は自分の手の内は明かしたんだ。おまえだけそれはズルくないか?」
エドワード
「いやズルくない!
ほら、もうすぐ消灯時間になるからシャワーでも浴びてきなよ!」
ギャリー
「なるほど。寝てる間に考えを読むんだな。そういう能力だろ。」
エドワード
「いや違うよ。」
ギャリー
「あんただって俺がなんでここに来たのか理由を知りたくてしょうがないんだろ?お互いの目的は一致してるはずだ。だから教えてくれ。エドワード。」
エドワード
「あ~もう。
まぁ、君になら能力がバレてもいいか…。
僕は液体を介して伝わる情報を得る能力があるんだ。
液状のものだったらなんでもいい。
ただ、なんでもわかるわけじゃないし、
余計な情報も入ってくる。
結局僕が理解できないと意味がないからね。」
ギャリー
「それは…液体に触れると何らかの思念を読むということか?
俺の予想は当たらずとも遠からずというか、
アダムとは比較にならないほどすごい能力じゃないか。」
エドワード
「いや、まぁ…。
でもこの能力のおかげでみんなと一緒のプールには入れないし。」
ギャリー
「なぜだ?」
エドワード
「プールに入った全員の思考が一度に流れ込んでくるんだぞ。
子供のころに失神して溺れかけた。」
ギャリー
「あ、だからさっきシャワーを浴びに行けって言ったのか。俺の思考を読むために。…いや、違うな。それを言う前に何かしようとしてたな。
やたら顔を近づけて。」
エドワード
「そう。液体ならなんでもいいんだ。
…体液でも」
ギャリー
「体液?」
エドワード
「深く考えるな。」
ギャリー
「…おい、まさか、おまえ俺にキスしようと…」
エドワード
「ごめん!謝るよ!君があまりにも能力が高くて優秀だから何か裏があるんじゃないかと疑って悪かったって!」
ギャリー
「エドワード。やっぱりすごい能力じゃないか。
それで諸々の謎が解決するならキスくらい俺は構わん。」
エドワード
「え?ちょっと…」
近づく。暗転。この間に椅子の上にカップを置く。
雷の効果音。
明転。床に倒れ込んでるエドワード
ギャリー
「すまん。つい無意識に拒否反応が。」
エドワード
「自分からせまってきといてこの仕打ちはひどいじゃないか。」
ギャリー
「そうだ。このぬるくなった紅茶が入ったカップに
お互いの指でもつっこめばいいんじゃないか?」
エドワード
「いま、ぼくの中で信頼という名の絆が
ものすごい音を立てて崩れていくのがわかるんだけど?
うーん、
カップの水よりは体液の方が精度は高いんだけどな~」
ギャリー
「エドワード。
おまえ、やる気あるのか?」
エドワード
「なんで君がそんなに偉そうなんだ。
まぁこれしか方法がないならやってみるか。
精神を一点に集中して。ギャリー・カッター」
照明青。
少し不気味なオルゴール音BGM。
2階のパーティションに灯り。
男性のシルエット。
階段を昇る効果音。ノイズ。
ノイズ
「戻れ。こっちに来るな。」(放送)
パーティションの灯りを消す。
BGM止
溶明。
エドワード
「ギャリー。」
ギャリー
「エドワード。何かわかったか?」
エドワード
「うん…。
見えて感じたものを言うよ?
階段があって、2階に誰かいた。
あれは…君の家か?ギャリー。」
少しの間。
ギャリー
「ああ。
そうか。あそこは…俺の家だったのか。
どおりで良く知ってて懐かしさを感じたわけだ。」
エドワード
「人影は誰だったんだろう。
なんだかギャリーによく似たシルエットだったような…」
ギャリー
「そうだな。エドワード。協力ありがとう。」
エドワード
「え?」
ギャリー
「今日はもう消灯時間になるから
俺は…シャワーでも浴びてくるよ。」
上手にはけるギャリー
エドワード
「ギャリー?どこに行くんだギャリー…!」
暗転。
椅子並び変える。机をセット。
溶明。
紅茶を飲んでるエドワード。
上手から私服のマチルダ、ルーシー登場。
マチルダ
「エドワード。」
エドワード
「マチルダ。ルーシー。」
マチルダ
「こんな隠れ家みたいなカフェに一人?ギャリーは?」
エドワード
「ロンドンに帰るって。ついさっき見送ったよ。」
マチルダ
「え?今からロンドンに?門限の時間考えたら正味滞在時間2時間もないじゃない!…何しに?」
エドワード
「うん…。来週のハーフタイムまで待つように言ったんだけど
どうしても確認したいことがあるって聞かなくって…」
ルーシー
「実家で何かあったんか?
…はっ!
まさかギャリーはあっしに、おかんお手製のガーキンピクルスを食べさせる約束を律儀に守ろうとして!?そんなん、いつでもええのに!!
じゃあ、あいつ、ガーキンもついてったんかな?見ないけど。」
エドワード
「いや、見送った時はギャリー一人だけだったから、
多分、そのあたりに…」
マチルダ
「あら、あの子とギャリーは一心同体なんだから離れるわけないわ!
あの子とギャリーはずっと昔から一緒に育った仲だったんだから。当然でしょ?
エドワード
「え。」
ルーシー
「え?」
間。
マチルダ
「…え?
もしかして、また私だけ能力で見えてたの?あの二人は…兄弟だよ。」
エドワード
「兄弟…。そういうことか。」
マチルダ
「エドワード。あなたも何か見えたの?」
エドワード
「うーん、今から行って、門限まで間に合うかな。」
マチルダ、エドワード、上手にはける。
ルーシー
「ちょお、お二人さんだけで話進めないで!
あっしにも教えて!そんで置いてかないで~」
上手にはける。
暗転。
机と椅子を片付ける。
2階のパーティションの裏のセット作る。
明転。
上手から私服のギャリー登場。
ギャリー
「おふくろ。帰ったぞ。」
下手からジャージ姿のアン登場。
アン
「ええ!?ギャリー!?
あれ!?ハーフタイムって来週じゃなかったっけ?
もう全然部屋の中掃除してないのよ~!見ないで~!」
下手にはけるアン。
ギャリー
「すまん。おふくろ。掃除なら来週手伝ってやるから、今日は…」
照明青。
2階パーティションに灯り。
男性シルエット。
ノイズ
「いいのかい?思い出したら全て失うかもしれないよ。」(放送)
ギャリー
「…大丈夫だ。俺が決めたんだ。決してなくさないと。」
ノイズ
「そうか。さよなら。ギャリー・カッター。」
2階パーティションに灯り消える。
溶明。
2階にあがるギャリー。
パーティションをどける。
子供部屋のような置物の中にガーキンのぬいぐるみ。
そっと拾い上げる。
下手からアン登場。
1階から話しかける。
アン
「ギャリー?あなた…2階にあがっても、もう大丈夫なの?」
ギャリー
「おふくろ。ここは…誰の部屋だ?」
アン
「ギャリー。ほんとに忘れちゃったの?
ここにいたのはテッドよ。テッドはあなたの双子の弟。」
ギャリー
「弟?」
アン
「テッドは…もう…
死んじゃったのよ。ギャリー…」
ギャリー、2階からおりて上手に走り出す。
アン
「ギャリー!」
暗転。風の効果音。
2階の置物片付ける。
アン下手にはける。
効果音フェードアウト。
下手から、ギャリー(ガーキン兼任)
地元校クランシーグラマーの制服を着て登場。
中央サス。
ギャリー(ガーキン兼任)
「そう。テッドは俺の弟だ。
テッドは勉強もテニスもなんでもできて
カッコよくて友達も多くて…
きっと、俺にとって、自慢の…弟。
それに比べて俺は…
勉強もテニスもなんにもできなくて
友達もいなくて…
(少し間。)
テッドと俺は
同じ日に生まれた双子の兄弟なのに
同じ場所で同じように育ったはずなのに
似てるのは顔ばっかりで、
どうしてこんなにも違いがあるのだろう。
どうして俺はテッドと比べてこんなに…カッコ悪いんだろうな。」
溶明。
上手から、テッド(ギャリー兼任)
進学校パトニ―の制服を着て登場。
テッド(ギャリー兼任)
「ギャリー。
そこで何してる」
ギャリー(ガーキン兼任)
「別に。何でもない!
こっちに来るな!」
テッド(ギャリー兼任)
「顔を見せろ」
ギャリー(ガーキン兼任)
「ちょ…
やめろ!」
バチンと静電気の効果音。
ギャリー(ガーキン兼任)
「ほら。
だからやめろって言ったのに。」
テッド(ギャリー兼任)
「こんなのちょっと強めの静電気だろ?おまえは生まれつき静電気をため込みやすい体質なだけだ。そう珍しいことでもないだろう。それより、顔がはれてるじゃないか。誰にやられた?」
ギャリー(ガーキン兼任)
「あいつら…俺の静電気がうざったいって…
おふくろには言うなよ?
俺は別に…大丈夫だから」
上手からA登場。
A
「テッド!この前は勉強教えてくれてありがとう!
君って勉強ができるだけじゃなくて教え方もすごく上手いんだね!
また今度の試験もよろしく頼むよ!」
下手に向かいAはける。ギャリー(ガーキン兼任)、Aに見つからないように避ける。
上手からB登場。
B
「ああ、テッド!
ちょうどおまえに会いたかったんだよ!
いつも荷物持ってくれてありがとうな(大量の荷物を持ってる)」
テッド(ギャリー兼任)
「またそんなに荷物を持って…」
B
「ああ、これは違うんだ。
いつも荷物を持ってくれてるお礼をあげようと思って!
ほら!最近のゲームで人気のあるキャラクターなんだろう?
テッドが好きだろうと思って上海で買ったんだよ~」
テッド(ギャリー兼任)
「いや、全然違…ありがとうございます。」
B
「いいんだよ~。またな~。」
下手に向かいBはける。
Bが去ってからギャリー(ガーキン兼任)戻ってくる。
ギャリー(ガーキン兼任)
「…なんだそれ」
テッド(ギャリー兼任)
「流行りのゲームのキャラクター?」
ギャリー(ガーキン兼任)
「いや全然違うだろ(ちょっと吹き出し気味に)」
テッド(ギャリー兼任)
「そうだな。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「そんなパチモンの人形なんか渡されて
ありがとうってなんだよ。
ちっとも欲しくないくせに。
いらないならいらないって言えばいいのに。
誰にでも愛想ふりまきやがって…」
テッド(ギャリー兼任)
「せっかくなのにそれは悪いだろう。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「ふん。」
テッド(ギャリー兼任)
「ギャリー。
(しばし間。)
これやる。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「は?」
テッド(ギャリー兼任)
「おまえ、ガキの頃このゲーム好きだったじゃないか。
というか、俺より得意だっただろう?
まぁこいつはゲームキャラクターとは全然違うけど、
でもよく見たら似てなくもないというか…
ふふっ、なんだこれ。」
ギャリー(ガーキン兼任)、テッド(ギャリー兼任)の胸ぐらをつかむ。
バチンと静電気音。ぬいぐるみを落とし座り込むテッド(ギャリー兼任)。
ギャリー(ガーキン兼任)
「なんで笑う?普段はほとんど笑わないくせにこんな時だけ白々しいんだよ。俺をかわいそうだとでも思ってんのか?
(沈黙)
はっきり言ってやる。
俺は…、
お前なんか…っ!
テッド(ギャリー兼任)
「殺してやりたいと思ってるのか?」
間。
テッド(ギャリー兼任)
「俺が…
死ねばいいと…?」
ギャリー(ガーキン兼任)
「なん…
なんでそう思う?」
テッド(ギャリー兼任)
「俺が普段笑わないのは、おまえが普段から笑わないからだ。
クソみたいな日常に嫌気がさして日々イライラしているからだ。
だけど、こんなクソみたいな日常の中でもおまえが笑うなら
俺だって笑ってやる。
反対に、
おまえがこの世界に居場所を感じず一人で泣いてる時に、
それを見た俺まで泣けば、おまえは落ちていく。奈落に。
だから俺は絶対に泣かない。
もしお前がこの俺を殺したいほど憎んだとしても
俺はおまえに絶対に殺されてやらないし、絶対に死なない。
おまえがたった一人で奈落に落ちて行かないように
自分に杭を打っててでもこの世界にとどまってやる。
俺が言いたいのはそれだけだ。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「テッド…。
おまえ…。」
テッド(ギャリー兼任)
「制服を交換しよう。
(ブレザーを脱ぐ)」
ギャリー(ガーキン兼任)
「は?
制服を交換?…何の為?
テッド(ギャリー兼任)
「俺がクランシーグラマーの生徒になっておまえのふりしておまえを殴った奴を二度とちょっかい出さないようにしばいてやる。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「いや、
そんなのすぐバレるに決まってるだろ。」
テッド(ギャリー兼任)
「それはおまえが俺と一緒に育った兄弟で
俺のことをよく知ってるからそう思うんだ。
ほら、このゲームキャラクターのぬいぐるみも
ゲームをよく知らない奴から見れば流行のゲームのキャラクターと
見分けがつかない。
だけどよく知ってる奴から見れば、『よく似たなんか』。」
テッド(ギャリー兼任)、ぬいぐるみを拾い上げ渡す。
テッド(ギャリー兼任)
「俺とおまえの違いなんて
このゲームキャラクターみたいなもんだよ。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「俺たちが…この人形と一緒?
(しばし間。)
ぶはっ!あはははは!あははは!
…はぁ。
ああ、いいぜ。(ぬいぐるみをテッドに投げて渡し、ブレザーを脱ぐ)
そしたら俺はおまえの学校にでも行って、
おまえの友達と遊んでこようかな(ブレザーを渡す。)」
テッド(ギャリー兼任)
「(ぬいぐるみを抱えながらブレザーを交換する。)ああ、頼む。俺はあんまりゲームが得意じゃないからフォローしてくれると助かるよ。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「はは、任せとけ!
(ブレザーを羽織りながら)」
ギャリー(ガーキン兼任)、ぬいぐるみを投げるように合図を出す。
テッド(ギャリー兼任)、ぬいぐるみをパスする。
キャッチしてそのまま手を振るように下手にはける。
しばらく見つめるテッド(ギャリー兼任)。
ゆっくりブレザーを羽織り、襟を正し、上手に向かって歩こうとする。
照明赤になると同時に鉄骨の落ちる効果音。悲鳴。
C
「工事現場の鉄骨が落ちたぞ!」(放送)
D
「子供が下敷きに…!」(放送)
E
「救急車を呼べ!」(放送)
C
「学生だぞ
この制服は進学校のパトニーじゃないか」(放送)
D
「カッターさんの息子さんよ」(放送)
E
「ああ、よりによってどうして…
テッドなんだ」(放送)
照明青。
ゆっくり中央サス。
テッド(ギャリー兼任)呆然と立ち尽くし手のひらを見つめる。
下手サス。下手からガーキン登場。
切なげなオルゴール音BGM。
ガーキン
「あの日、テッドの制服を着たギャリーは不運な事故で死んだ。
そして、ギャリーの制服を着たテッドはその日からギャリー・カッターと名乗り、生まれ変わるように不思議な力を手に入れたんだ。
ねぇ。テッド。
親愛なる僕の弟。
セオドア・カッター。」
ギャリー
「ギャリー・カッター…?」
ガーキン
「そうだよ。
どうして思い出しちゃったのさ。ずっとテッドのことは忘れて君がギャリーでいてくれたら僕らは幸せだったんだよ。
ねぇ。
テッド…。
君が思い出しちゃったら僕は一体なに?
触ったら静電気がパチパチする誰からも必要とされないパチモンの変な人形なんてもう消えちゃって当然なのかな?ねぇテッド…?」
中央へ移動しながら。
うなだれる。
ギャリー
「俺が知ってるギャリーは、静電気に悩まされて常にイライラしてて短気で生意気で強がりでホントは情けなくて意気地がなくて甘ったれで…
おまえが消してしまいたいギャリーなのかもしれないが
それが俺の知ってるギャリーだ。」
ガーキン
「そうだよ。それがテッドから見たギャリーさ。
でも、そんなギャリーは最初からいなかったんだ。
虚勢をはって、強がりばかりの弱虫なギャリーも
それを全て見てきた非の打ちどころのない優秀な弟のテッドも。
いたのは強くて賢くていつも毅然としたカッコいいギャリーだけなんだ。
だって、そうじゃなかったら、僕は…僕の人生は…ただ、やられっぱなしでやり返すことも誰を見返すことも何もできなかったクソみたいな人生じゃないか。こどものおもちゃみたいに加減を知らない強者に振り回されて遊ばれるだけもてあそばれて簡単にこわれてしまう痛くて弱くて脆い世界だ。不運だったの一言で片づけないでおくれよ。」
膝から崩れおちるように座り込む。
ギャリー
「あの時…『よりによって、どうしてテッドなんだ』と、誰かが叫んだ時、おまえの憎しみや悲しみの感情が一度に俺の中に入ってきたのを感じた。
この世界がこのまま壊れてしまうなら、俺はテッドを殺してもいい。
おまえが俺に叩きつけたもの…ギャリーの想いは俺が全部引き受けてやる。俺がテッドも、昔のギャリーも全部忘れて新しいギャリー・カッターになれば何も失わなくてすむと…
そう思ってたよ。」
中央へ移動しながら。
ガーキンを見下ろす。
ガーキン
「ああ、そうさ。
わかるだろう?
テッド、
テッド、おまえが…
おまえが死ねばいいんだ。
言ったじゃないか。
僕が居場所を感じずに一人落ちていかないように自分に杭を打っててでもとどまってやるって。お願いだよ。どうかこのまま強く賢く偉大な魔法使いに生まれ変わったギャリー・カッターを消さないでおくれよ…!」
すがりつくように。
ギャリー
「でもそれは違う。
俺たちは二人だ。
産まれた時からずっとそれぞれの目でお互いを見続けていた。
その記憶を捨てるなんて俺にはできない。
だから俺は決めた。
『全て』なくさない。
弱いギャリーも。
この世界も。
それを見続けてきた俺自身も。
苦しみも悲しみもすべておまえ自身だ。一方的な仕打ちをやり返すこともせず耐えてきたのはおふくろを悲しませないための優しさだろ。
俺も決して手放さない。
だからおまえも絶対失くすな。
これまでこの世界で生きてきた証を。
おまえはおまえだ。」
ガーキン
「テッド…」
ギャリー
「言っただろう。
俺は死なないし、殺されてもやらないって。
おまえはそのままでいいんだ。
そのまま…
ギャリーの残りカスとして生きろ。」
BGM止。
溶明。
ギャリー
「あ、間違えた。訂正する。カスじゃなくて…ごみ?」
ガーキン
「いやいや訂正するところそこじゃないから。」
ギャリー
「まぁ、とにかく自分で選んだ残りカス人生を受け入れろ。」
ガーキン
「残りカス人生言うなぁ!」
ギャリー
「俺がギャリーを失わないため、テッド…セオドア・カッターの名を捨てると決めたことに変わりはない。
俺はこれからもギャリー・カッターとして生きていく。
残ったおまえと一緒に。」
手を差し伸べる。
ガーキン
「え…じゃあ、僕は…」
ギャリー
「どんな形でも、おまえが消えてしまわなくて良かった。」
ガーキン
「(感極まって)ギャリー!!」
抱き着く。雷の効果音。
ガーキン
「いたああい!!
ああでも前の僕がこの力を持ってても、ちょっと強めな静電気をためるだけのしょっぱい人生だったけど文武両道で非の打ち所がない完璧で究極のギャリー完全体になった君がもつことで偉大で崇高な魔法使いになれたんだから感謝してよね!?(のたうち回りながら)」
ギャリー
「おふくろは…
俺が本当はテッドだと知ってて、
あの部屋を片付けなかったんだな。
ちゃんとこうなった事情を説明しないと…」
ガーキン
「え~?じゃあ僕の存在にも気づいてたってことぉ?」
ギャリー
「いやさすがにおまえがギャリーの残りカスとまでは気づかないだろうがおふくろならカスでもなんでも喜んでくれるさ。」
ガーキン
「も~!カスカスって好きでこんな体になったんじゃないやい!
最後の力を振り絞って能力を君に明け渡しながらテッドとの優しい思い出を思い浮かべてたらこんなふうに…」
会話しながら上手にはける。
暗転。
風の効果音。2階にエドワード、ルーシー、マチルダスタンバイ。
効果音フェードアウト。
下手からメイドの服のアン登場。
下手サス。
アン
「ギャリー!!お帰りなさい!!」
上手から私服のギャリー、ガーキン登場。
上手サス。
ギャリー
「あ…おふくろ。ちょっと話が…」
アン
「見て見て!
ギャリーのお友だちが来てくれて
部屋を掃除してくれたのよ!ほら!」
2階サス。
2階にエドワード、ルーシー、マチルダ。
はたきや雑巾を持ってる。
陽気なBGM。溶明。
エドワード
「あ、お邪魔してます~」
ギャリー
「何やってんだおまえら」
エドワード
「いや、近所の人に聞き込みでここに連れてきてもらったのはいいんだけどあまりの家の汚さに…」
ルーシー
「もう学校の門限まにあわないで~?」
マチルダ
「ねぇギャリー!
みんなで一緒に帰って、みんなで先生に怒られましょう。
それでそのあとは、ギャリーの話を聞かせてほしいな。
ギャリーとギャリーの大事な家族の話。」
ルーシー
「あ、ガーキン!あんたやっぱりギャリーについてきたんやな?
はっ、そや!あっし、ママさんのガーキン・ピクルスご馳走になるってギャリーと約束したんやった!男に二言はないで~?」
アン
「え?そうだったの?ぜひ食べてって~
お茶もお菓子も用意するからゆっくりしましょう~?」
マチルダ
「賛成~」
ガーキン
「わーい、お茶お茶~!
ママはやっぱり最高のママだよ~!」
ルーシー、マチルダ、エドワード2階から降りてくる。
ギャリー
「おい待て。エドワード。
なんだか一件落着なエンディングモードだが、結局のところどうして俺が魔法学科の特待生として招待されたのかわからないままじゃないか。」
エドワード
「あ~、まぁそれは後半戦のお楽しみってことでいいんじゃないかな?」
ギャリー
「後半戦だと!?ゲームでもあるまいし、まだ続くのか?」
エドワード
「さぁ、ティーブレイク、ティーブレイク。」
アン、ルーシー、マチルダ、エドワード、下手にはけていく。
ギャリー
「あ、待て!
(追いかけたあとに気づいたように後ずさる)
ああ。(観客に向かって)
あんたたちも長いこと座ってて疲れただろうから休憩してくるといい。
どうやらこの物語はここで一旦終わりのようだ。
最後まで見てくれてどうもありがとう。
それでまた俺たちのその後が気になったら探してみてくれ。
俺はギャリー・カッター。
ボウルズ・グリーンのギャリー・カッターと覚えてくれ。」
ガーキン
「俺はギャリー・カッター。(モノマネ)
ちっちっちっ、俺「たち」ね!
じゃあね~!」
ギャリー、ガーキン下手にはける。
BGM音量大。
幕。
ED。
原作・中野信貴
脚本・しろみつ
〈キャスト〉
★ギャリー
★ガーキン
エドワード
アダム
ルーシー
マチルダ
ニール
ジョセフ
メイソン先生
校長
アン
A
B
C
D
E
キャスト人数(10~15人)
上演時間(60分)
幕前。上手からクランシーグラマーの学生服のギャリー登場。
ギャリー
「おい。
真っ暗なままじゃないか。とっくに開演時間はじまってるぞ。
照明はどうした?何?壊れた?停電?全くしょうがないな。
そこの照明係、機材から離れてろ。
なぜかって?今からそこに雷を落とす。
うちの家電は大体これで直る。大丈夫。
多少痛くてしびれるかもしれんが死人が出たことはない。
覚悟はいいな?いくぞ。」
雷の効果音。
上手サス。
ギャリー
「う…っ。急にまぶしいな。
おっと。観客のみんな。驚かせて済まない。」
指の合図で中央サス。
中央へ移動。
ギャリー
「俺はギャリー・カッター。
このクソみたいな日常にありふれたどこにでもいるような高校生
…のはずだったが、今見てもらったように
最近、雷のようなものを意図的に出せる厄介な力に目覚めてしまったらしい。ん?なに目をそらしてる。雷を落とされるとでも?
大丈夫だ。さっきも言ったがこの力で死人が出たことはない。
むしろ光熱費が安く済んで大助かりだとおふくろも喜んでる。
それと…」
下手サス。
ガーキン登場。軽快なBGM。
ガーキン
「やあやあ~!親愛なるギャリー・カッター!そして観客の皆さま!
え?僕が誰かって?僕はね~…
ん?今ちっちゃい声できゅうりの漬物みたいって言ったの誰?
僕をガーキンのピクルスと一緒にしないでおくれ。
僕はこの日々退屈でクソみたいな世界を変えるために遣わされた
キュートでラブリーな天使なのさ。
さぁ、僕と一緒にパラダイスへ旅立とうじゃないか!ギャリー!」
中央へよりギャリーと握手。
BGM止。
雷の効果音。
ガーキン
「ぎゃあああああ!!…ガクッ。」
ギャリー
「前言撤回する。大助かりではなかった。能力の目覚め、開花と同時に
ガーキンのピクルスみたいな変な奴がつきまとうようになったんだ。
俺にもこいつの正体が何なのかはさっぱりだ。」
ガーキン
「うう…。変な奴とはひどい言い方だなギャリー。
それに!僕はちゃんと現実世界に生きてるポップでチャーミングな存在さ!君と僕は一心同体ではなれられない運命にあ…」
暗転。
ガーキン
「あ…っまだ話してる途中で…」
ギャリー
「おっとまた停電か。しょうがないな。離れてろ。
次はちょっと強めに行くぞ。」
雷の効果音。
溶明。
ギャリー
「ふう。」
ガーキン
「ああ、素晴らしい。素晴らしい力だよ。ギャリ~!」
ギャリー
「ああ、話の途中だったな。
それと、たまに真っ暗になる変な夢まで見るようになった。」
ガーキン
「だから夢じゃないってば~
ほっぺたつねったら痛いだろう~?(自分のほっぺをつねりながら)」
ギャリー
「今のことを言ってるんじゃない。寝てる間に見る夢のことだ。
今は起きてるだろう。
ほら(ガーキンのほっぺをつねる)」
ガーキン
「いたぁい!」
ギャリー
「この時間は夢じゃない。
ガーキン
「ちょっとちょっとぉ!
こういう時は自分のほっぺたをつねるんだよ~」
ギャリー
「その夢は真っ暗なのに見覚えのある場所で、
その場所の先には誰かが待ってて、
何度も何度も同じ夢を見てるはずなのに、
それがどこであれは誰だったのか全然思い出せないんだ。
何か大事なことだった気がするんだが…。
ああ、クソ。思い出せない。イライラする。(独り言のように)」
ガーキン
「ギャリー?(ちっちっちっと指ふるように)君は素晴らしい能力があるというのに日々退屈を持て余してイライラしている。君の偉大な力はこのクソみたいな日常の世界には役不足だ。だけど僕が来たからには、もうこんなクソみたいな日常生活とはおさらばだよ。じゃーん!」
封筒を出す。
ギャリー
「なんだそれは。」
アレ的なBGM。
ガーキン
「ふっふっふ。知りたい?知りたいよねぇ~。
これはねぇ名門ベルトン・カレッジ魔法学科の特待生の編入許可証だよ!
君のその偉大なる力が価値のあるものとして証明されたんだ!
君は特別!君は天才!そして偉大なる魔法使いに選ばれたんだ!」
ギャリー
「魔法学科…?なんだ魔法学科って。ほうきにまたがって空でも飛ぶのか?それに、おまえはさっきからこの力を偉大偉大と過大評価するが
こんなのちょっと強めの静電気みたいなもんじゃないか。魔法とか特待生とかそんなどっかの小説か映画の主人公みたいな…
おい。やめろやめろ。さっきからなんだこのBGMは。微妙に似てるようで似てないメロディーラインがイライラするから止めろ!」
ガーキン
「さあギャリー!僕と一緒に今年から設立されたという魔法学科で
君の能力を最大限美しく開花させようじゃないか!」
ギャリー
「許可?選んでやったと言ってるのか?冗談じゃない。
人に選ばれる人生なんてクソくらえだ。間違えるな。
選ぶのはお前ら他人じゃない。俺自身だ。おい!幕を開けろ!」
幕開け。
ギャリー
「魔法学科だかなんだか知らんが、学費ゼロならおふくろも大助かりだ!行くぞ!」
ガーキン
「わぁ~お、痺れる~。そうこなくっちゃね。ギャリー!!」
BGM音量大。
校長。2階セットにスタンバイ。
BGM止。
校長
「ようこそ。Mr.ギャリー・カッター。
君のような優秀な学生を我が校に迎えることができ、大変嬉しく思う。」
ギャリー
「ここが魔法学科とやらか?
古いだけの普通の学校に見えるが、あんたが俺を招待したのか?」
校長
「まぁそうだな。今来たばかりでわからないことだらけだろう。」
ギャリー
「ああ。
まずあんたのその耳は本物か?」
校長
「ん?
耳がなきゃ聞こえないだろう。」
ギャリー
「そっちじゃなくて…(頭のジェスチャー)」
校長
「(自分でも頭を触る)ふふふ。
気づいてしまったかこの耳に。
(階段おりながらギャリーの横へ)触ってみるかね」
触る。
取れる。
両者顔を合わせ沈黙。
校長
「いたぁい。」(ゆっくりと間の抜けた低い声)
ギャリー、猫耳カチューシャを校長の頭に戻す。
校長
「冗談だ。仮装パーティーをしていて、取るのを忘れたようだ。」
ギャリー
「なんだてっきり猫にでも化けるのかと。」
校長
「まぁ詳しいことは監督生や同級生のMr.パーシーに遠慮なく聞いてくれ。特待生として優秀な成績を残してもらうことを期待しているよ。
Mr.ギャリー・カッター。
私はこれで失礼する。」
校長、下手に退場。
下手から入れ違いでエドワード登場。
エドワード
「ベルトン・カレッジへようこそギャリー・カッター。君の部屋まで案内するよ。同室のエドワード・パーシーだ。よろしく。」
ギャリー
「よろしく。エドワード・パーシー。」
エドワード
「エドワードでいいよ。何か聞きたいことはある?」
ギャリー
「そうだな。(ガーキンを見て)こいつはどうしたらいい?
ずっとついてくるんだ。」
エドワード
「あー。寮の部屋は二人部屋なんだよね。ごめんね。」
ギャリー
「そうか。じゃあな。」
ガーキン
「え…ちょ…」
ギャリー
「あんたとは気が合いそうだ。」
エドワード
「そう言ってもらえて光栄だよ。カッター。」
ギャリー
「ギャリーでいいぞ。」
ギャリー、エドワード下手にはける。
ガーキン
「ひどい!ひどいじゃないかギャリー!君とは一心同体でもあるこの僕を置いていくなんて!いいかい?君と僕は離れられない運命にあるってことを忘れちゃいけないよ!ねぇ?みんなも魔法学科なんて何をするのか楽しみだよね?お~い!僕も入れておくれよ~!」
ガーキン下手にはける。
明るいBGM。
溶暗。机と椅子セット。溶明。
BGMフェードアウト。
下手からベルトン・カレッジの学生服を着たギャリーとエドワード登場。
エドワード
「うん。制服ぴったりそうで良かったよ。さて、木曜1限目は生物学だよ。
メイソン先生の教室はここ。えーと、君の席は…」
つづいてアダム登場。
アダム
「エドワード!その人が編入生のギャリー・カッターかい?
あ、いきなりごめん。僕はアダム・スタンレイ。
僕も君と同じ魔法学科なんだ。よろしく。」
ギャリー
「よろしく、アダム・スタンレイ。荷物が多いな。持とうか?」
アダム
「大丈夫だよ。メイソン先生の手伝いなんだ。ありがとう。」
荷物を2階に運ぶ。
上手からニール、ジョセフ登場。
ニール
「へぇ。君が噂の編入生?クランシーグラマーから来たんだってね?
あそこの学校荒れてるって有名だよね~。
ニール・コンロイだ。お見知りおきを。僕も魔法学科なんだ。」
ギャリー
「よろしく、ニール・コンウォイ。」
ニール
「コンロイだ。」
ギャリー
「コンウィ。」
ニール
「コンロイ!」
ギャリー
「すまん。活舌が悪くて聞き取れなかった。」
ニール
「か…活舌のことはほっといてくれよ!気にしてるのにィ!」
ギャリー
「口を開けろ。」
ニール
「は?」
ギャリー
「舌を前に出せ。グズグズするな!」
口を抑え込む。
ニール
「ひぎ…!なんで」
ギャリー
「舌小帯が短いな。」
ジョセフ
「舌小帯?」
ギャリー
「舌の裏に皮みたいのがあるだろう。ここが短いと舌が前に出ず活舌に影響する。生まれつき短いのはそう珍しいことでもないらしいが、気にしてるなら一度ちゃんと医者に診てもらえ。コンロイ。
…(指を見る。眉をひそめる。)ハンカチはあるか?
ジョセフ
「私のでよければ。」
ハンカチを受け取り、手をふく。
ギャリー
「ありがとう。先生。」
ハンカチを返す。受け取りながら、
ジョセフ
「私は生徒だ。」
ギャリー
「それは失礼した。」
ジョセフ
「ジョセフ・スウィンバーンだ。よろしく。」
ギャリー
「ああ、よろしくジョセフ・スウィンバーン。ギャリー・カッターだ。」
上手からルーシー、マチルダ登場。
ルーシー
「ギャリー!?あんたがギャリー・カッター?」
ギャリー
「そうだがなんだ?」
ルーシー
「なんだも何もないわ!あいつなんとかせぇな、あそこにおる緑色のあいつ!あんたについてきたんやろ!?」
下手の椅子に座るガーキン。
手をふってる。
ギャリー
「ああ、あいつなら俺もなんとかしたい。」
ルーシー
「気色悪い色して何なん?どんよりしたどぶ川のミドリムシみたいな色しさくって消毒液くさい甘ったるい液に漬かった固そうなイボついとんのにぶにゅっとした食感の世界で一番嫌いな食べ物のガーキン・ピクルス思い出すわ!」
ギャリー
「ああ、ガーキン・ピクルスなら俺のおふくろが…」
ルーシー
「もうなんでもいいから早よどっかにあいつ捨ててこいやぁ!」
ギャリー
「ちょっとまて。おい。」
ルーシー
「早よ早よ早よー!!」
ギャリー
「いい加減にしろ!人の話をちゃんと聞け!
初対面の人間に失礼にもほどがあるだろ!このブス!」
間。
ルーシー
「え。ちょっと今。
最後
何て
おっしゃいました?」
マチルダ
「ちょっと…ルーシーも確かに失礼だったけど、あなたも女性に対してその言い方は乱暴でしょう?特に容姿のことは…
いえ、女性に限らずからだのことは口にすべきじゃ…」
ギャリー
「容姿?俺は容姿のことを言ったんじゃない。その物言いのことを醜いと言ってるんだ。いくら外見がよくても、その喋り方はやめといた方がいいぞ。全部台無しになる。」
ルーシー
「しゃ…喋り方?」
ギャリー
「俺が品格のことを言うのは何だが言い方ってものがあるだろう。それさえちゃんとしてたらあんた容姿はいいんだ。映画のヒロインに負けないレベルだぞ。それに…あんた本物のガーキン・ピクルスを食べたことがないんだろう。今度食わせてやる。おふくろは何もできない人だがピクルス作りだけは上手いんだ。」
ルーシー
「え~?あんた、めっちゃええ奴やん~!
あっしはルーシー・ハートや。あっしも今年から編入組やねん。
よろしうな。(握手)」
マチルダ
「マチルダ・オルブライトよ。(握手)
あ、メイソン先生がいらっしゃったわ。席に着きましょう。」
上手からメイソン先生登場。
全員席につき、中央に取り残されるギャリー。
メイソン先生
「おや、君が編入生の子だね。
君の席は一番後ろだ。」
すでにガーキンが座ってる。
ギャリー、ガーキンと
顔を見合わせる。
メイソン先生
「さて、授業をはじめる前にみんなにも編入生の彼について軽く紹介しておこう。」
ギャリー
「メイソン先生。あの、俺の席に…」
メイソン先生
「ウオッホン。
今日からこのクラスに編入したギャリー・カッター君だ。
彼は以前の学校のGCSE試験は特筆すべき結果でなかったものの新学期から学力の飛躍的向上が見られ、最終的なAレベル試験で志望教科すべて最高ランクの成績を予想されている。」
どよめきと拍手。
メイソン先生
「…と、紹介してしまったが、
プレッシャーだったかな?カッター君。」
ギャリー
「いいえ、メイソン先生。あの…」
メイソン先生
「では昨日の続きで皆のレポートの解説を…」
ギャリー
「先生。こいつはなんとかなりませんか?」
メイソン先生
「ああ。彼は気にしないようにと聞いているが。」
ギャリー
「座れないし目障りです。」
ガーキン
「ギャリー!君と僕は一心同体なんだよ!
君をこの学校に導いたのは僕の力なんだよ!
さぁ、僕を受け入れて完璧な君になるんだ!」
ドカッと上に座る。
雷の効果音。
ガーキン
「ぎゃああああああ!!(電気椅子のようにビリビリしてる)」
ガーキン
「ガクッ」
メイソン先生
「…今のはどうやったカッター君。」
ギャリー
「俺にもよくわかりません。(ガーキンに座りながら)」
メイソン先生
「いやすごいねぇ君。その力は身体全体から出るの?それとも手のひらから出るの?痛くないのかい?」
ギャリー
「いや…どうなんでしょうね。」
メイソン先生
「興味深いなぁ。手の皮膚とかちょこっと採取してみてもいいかなぁ。」
アダム
「メイソン先生!授業遅れちゃいますから、教壇にあがって授業の続きをしてください!」
メイソン先生
「おっと。うーん、いったいどういう仕組みなんだろうなぁ。
うーん、不思議だなぁ…」
2階にあがりながらブツブツと呟く。
黒板代わりのパーティションに向かって授業を再開。
マチルダ、ルーシー、ニール、ジョセフは先生の方向を見て
たまにノートを取るしぐさなどする。
アダム、ひそひそ話をするようにギャリーに話しかける。
アダム
「ああ見えてメイソン先生は細胞生理学の権威なんだよ。
3年前から研究の傍らここの教師も兼任してくれてるんだ。」
ギャリー
「おお。すごい学校じゃないか。
もっと非科学的な授業を想像していたが…」
アダム
「君も負けじとすごいけどね。」
エドワード
「ギャリー、君は何も聞いてないのかい?どうしてこの学校に来たの?」
ギャリー
「タダでランク上の学校に行けるからだ。俺は試験の為に勉強してるんじゃない。いいところで働いておふくろを楽させたいんだ。」
アダム
「いい話。もっと聞きたいな。」
マチルダ
「アダム。授業中よ。」
アダム
「あ…。」
エドワード
「…でも、成績表だけで選ばれたわけじゃないのはわかってるんだろう?
どうしてわざわざ魔法学科と名の付くここに?」
ギャリー
「ああ、この能力のことか。多少きつめの静電気程度のものだが
これが特待生として招待されるほどのものなのか?
結局魔法学科って何するところなんだ?」
アダム
「それが僕らにもさっぱりさ。
こっちが聞きたいくらいで。
授業も今のところ割と普通だし」
マチルダ
「アダム。」
アダム
「おっと。」
エドワード
「ねぇギャリー…。君、ほんとに何も知らないのか?」
ギャリー
「エドワード。あんたが知らないんだ。俺が知るわけないだろう。」
エドワード
「ああごめん。しつこかったね。気を悪くしたら済まない。」
ギャリー
「そうか。あんたたちも何かしらの能力を持ってるからここにいるってのは間違いないんだろう?一体どんな能力なんだ?」
エドワード
「あ、いや君に比べたら大したことないし…」
アダム
「そうそう。同じクラスなんだし、そのうちわかっちゃうことだから。
それよりほら、授業に集中集中!」
暗転。
マチルダ
「きゃあ!停電?」
ニール
「うわああ!びっくりしたぁ!」
ジョセフ
「古い校舎だからな。みんな落ち着いて。」
ギャリー
「なんだ。停電か。
てっきり例の真っ暗な夢かと…」
エドワード
「真っ暗な夢?」
アダムのいびき。(放送)
ギャリー
「は?…って、このいびき、アダムか?
なんでこの不自然なタイミングで寝てるんだ?」
エドワード
「アダムは物理的に暗くなるといつもこうなんだ。」
ギャリー
「いつも?」
エドワード
「いつも。」
アダムのいびき。(放送)
ギャリー
「…え、もしかしてこれが能力!?暗くなったら寝るだけが能力!?」
エドワード
「言ってやるなよ。大丈夫、光があればまた戻るから」
ギャリー
「ああ。光か。ちょっと待ってろ。」
ギャリー、立ち上がって指を鳴らす(この間にガーキン下手にはける)
雷の効果音。
溶明。いびき止。
アダム
「あれ?僕今寝てたよね?停電でもあった?」
ギャリー
「…なるほど。
俺が想像してた魔法とはちょっと違うが、能力には変わりない。」
アダム
「え?何々?早速僕の能力バレちゃったの?
あ~もう恥ずかしいなぁ」
ギャリー
「エドワード。お前の能力はどうなんだ?」
エドワード
「え。」
ギャリー
「火とか水とか氷とか出せないのか?」
エドワード
「ゲームのキャラクターじゃないんだからそんなことできないよ。」
ギャリー
「俺だってゲームのキャラクターじゃない。」
エドワード
「ほらほら授業に集中集中。」
ギャリー、椅子に座る。
照明青。
全員ストップモーション
下手サス。ガーキン登場。
ガーキン
「ああ。ギャリー!なぜあなたはギャリーなの?」
ギャリーにサス。
ギャリーだけ動き出す。
ギャリー
「シェイクスピアか。セリフ回しにセンスがないぞ。
もっと勉強したらどうなんだ?」
ガーキン
「ねぇねぇギャリー。なんだか彼怪しいよね。(エドワードを見る)
自分の能力も言わないし、君がなぜここに来たのかしつこいくらい聞いてくるし、まさか僕たちの仲に嫉妬~?」
ギャリー
「おまえこそ詮索するじゃないか。
言うのが恥ずかしい能力なのかもしれないだろ。
まぁ、誰とは言わないが(アダムを見る)」
ガーキン
「ギャリー。君の能力は偉大だ。」
ギャリー
「なんだ急に。」
ガーキン
「ギャリーと僕は二人で一つなんだよ~?わかってる~?」
ギャリー
「わけのわからないことを言うな。」
サス消。
ガーキン下手にはける。
少し不気味なオルゴール音BGM。
ギャリー
「なんだ?また停電か?」
ギャリー、立ち上がる。一歩前へ。生徒たち机を片付ける、残った椅子を横にならべてはける。マチルダ、ルーシーは再登場の為、上手へはける。
ギャリー、中央へ歩みながら、
ギャリー
「ああ、ちがう。これは、夢の中だ。いつもの真っ暗な夢。」
ギシギシと階段をのぼる音響。
ギャリー
「おれはここを知ってる。ひどく懐かしくすらあるのに、どうしてここがどこだか思い出せないんだろう。どうして…ああ、頭が痛い。」
BGM止。
横に並んだ椅子の上に寝転ぶギャリー。
溶明。私服に着替えたエドワード登場。
エドワード
「ギャリー?
寝てるのか?
制服のままじゃないか…。よっぽど疲れたんだな。」
エドワード、ギャリーに近づき、上から顔をのぞきこむ。
ギャリー
「何か用か?」
エドワード
「うわっ!起きてた!ごめん!」
ギャリー
「なんだ?何をしようとしていた?」
エドワード
「いや、ごめん。なんでもないよ。」
ギャリー
「ごめん。って謝るようなことをしたのか?」
エドワード
「いや、まだ何もしてないよ。」
ギャリー
「まだ?これから何かするつもりだったのか?」
エドワード
「あ、いや、大したことないっていうか、
ちょっとしたゲームっていうか…」
ギャリー
「エドワード。
俺になにか聞きたいことがあるならはっきり言ったらどうだ?
言っとくが俺は何も隠し事なんてしてないしこれからも隠すつもりはない。あんたに対しては特にそうだ。信用してる。」
エドワード
「…照れるな。
会ったばかりの人にそういうこと言うの無防備すぎるよ君。
もうちょっと警戒したほうが…」
ギャリー
「そうか。すまん。」
エドワード
「ふう。(横に座る)君に聞きたいことは一つだけなんだ。
この学校には呼ばれて来ただけで他意はないと?」
ギャリー
「そういったはずだ。」
エドワード
「じゃあ、彼は何?(指さす)」
下手ガーキン登場。
ガーキン
「呼んだ~?」
ギャリー指鳴らす。
雷の効果音。
ガーキン
「ぎゃあああああ!!ふ、ふへぇ~」
ガーキン、よろよろと下手はける。
ギャリー
「あいつが何なのかはおれにもわからない。
ただ、夢の中で…」
エドワード
「夢の中で?」
沈黙。
ギャリー
「…そうだな。
自分がなぜここに呼ばれたのか理由があるなら俺も知りたい。
実を言うと俺は昔の記憶がぽっかりないんだ。思い出そうとすると意識が途切れる。そして真っ暗な夢を見るんだが、その夢の内容も起きると忘れてしまう。この夢の中にここへ呼ばれた理由があるなら思い出したいと思う。何としても。協力してくれるか?エドワード。」
エドワード
「もちろん。で…、俺は何をすればいい?」
ギャリー
「うん。まずはあんたのことを教えてくれ。
さっき俺に何をしようとした?」
エドワード
「え。」
ギャリー
「随分距離が近かったが、あんたの能力と関係あるのか?」
エドワード
「あ~う~頼むからさっきのはもう忘れてくれないか?」
ギャリー
「やっぱり能力を使って何か探ろうとしたんだろう。
俺は自分の手の内は明かしたんだ。おまえだけそれはズルくないか?」
エドワード
「いやズルくない!
ほら、もうすぐ消灯時間になるからシャワーでも浴びてきなよ!」
ギャリー
「なるほど。寝てる間に考えを読むんだな。そういう能力だろ。」
エドワード
「いや違うよ。」
ギャリー
「あんただって俺がなんでここに来たのか理由を知りたくてしょうがないんだろ?お互いの目的は一致してるはずだ。だから教えてくれ。エドワード。」
エドワード
「あ~もう。
まぁ、君になら能力がバレてもいいか…。
僕は液体を介して伝わる情報を得る能力があるんだ。
液状のものだったらなんでもいい。
ただ、なんでもわかるわけじゃないし、
余計な情報も入ってくる。
結局僕が理解できないと意味がないからね。」
ギャリー
「それは…液体に触れると何らかの思念を読むということか?
俺の予想は当たらずとも遠からずというか、
アダムとは比較にならないほどすごい能力じゃないか。」
エドワード
「いや、まぁ…。
でもこの能力のおかげでみんなと一緒のプールには入れないし。」
ギャリー
「なぜだ?」
エドワード
「プールに入った全員の思考が一度に流れ込んでくるんだぞ。
子供のころに失神して溺れかけた。」
ギャリー
「あ、だからさっきシャワーを浴びに行けって言ったのか。俺の思考を読むために。…いや、違うな。それを言う前に何かしようとしてたな。
やたら顔を近づけて。」
エドワード
「そう。液体ならなんでもいいんだ。
…体液でも」
ギャリー
「体液?」
エドワード
「深く考えるな。」
ギャリー
「…おい、まさか、おまえ俺にキスしようと…」
エドワード
「ごめん!謝るよ!君があまりにも能力が高くて優秀だから何か裏があるんじゃないかと疑って悪かったって!」
ギャリー
「エドワード。やっぱりすごい能力じゃないか。
それで諸々の謎が解決するならキスくらい俺は構わん。」
エドワード
「え?ちょっと…」
近づく。暗転。この間に椅子の上にカップを置く。
雷の効果音。
明転。床に倒れ込んでるエドワード
ギャリー
「すまん。つい無意識に拒否反応が。」
エドワード
「自分からせまってきといてこの仕打ちはひどいじゃないか。」
ギャリー
「そうだ。このぬるくなった紅茶が入ったカップに
お互いの指でもつっこめばいいんじゃないか?」
エドワード
「いま、ぼくの中で信頼という名の絆が
ものすごい音を立てて崩れていくのがわかるんだけど?
うーん、
カップの水よりは体液の方が精度は高いんだけどな~」
ギャリー
「エドワード。
おまえ、やる気あるのか?」
エドワード
「なんで君がそんなに偉そうなんだ。
まぁこれしか方法がないならやってみるか。
精神を一点に集中して。ギャリー・カッター」
照明青。
少し不気味なオルゴール音BGM。
2階のパーティションに灯り。
男性のシルエット。
階段を昇る効果音。ノイズ。
ノイズ
「戻れ。こっちに来るな。」(放送)
パーティションの灯りを消す。
BGM止
溶明。
エドワード
「ギャリー。」
ギャリー
「エドワード。何かわかったか?」
エドワード
「うん…。
見えて感じたものを言うよ?
階段があって、2階に誰かいた。
あれは…君の家か?ギャリー。」
少しの間。
ギャリー
「ああ。
そうか。あそこは…俺の家だったのか。
どおりで良く知ってて懐かしさを感じたわけだ。」
エドワード
「人影は誰だったんだろう。
なんだかギャリーによく似たシルエットだったような…」
ギャリー
「そうだな。エドワード。協力ありがとう。」
エドワード
「え?」
ギャリー
「今日はもう消灯時間になるから
俺は…シャワーでも浴びてくるよ。」
上手にはけるギャリー
エドワード
「ギャリー?どこに行くんだギャリー…!」
暗転。
椅子並び変える。机をセット。
溶明。
紅茶を飲んでるエドワード。
上手から私服のマチルダ、ルーシー登場。
マチルダ
「エドワード。」
エドワード
「マチルダ。ルーシー。」
マチルダ
「こんな隠れ家みたいなカフェに一人?ギャリーは?」
エドワード
「ロンドンに帰るって。ついさっき見送ったよ。」
マチルダ
「え?今からロンドンに?門限の時間考えたら正味滞在時間2時間もないじゃない!…何しに?」
エドワード
「うん…。来週のハーフタイムまで待つように言ったんだけど
どうしても確認したいことがあるって聞かなくって…」
ルーシー
「実家で何かあったんか?
…はっ!
まさかギャリーはあっしに、おかんお手製のガーキンピクルスを食べさせる約束を律儀に守ろうとして!?そんなん、いつでもええのに!!
じゃあ、あいつ、ガーキンもついてったんかな?見ないけど。」
エドワード
「いや、見送った時はギャリー一人だけだったから、
多分、そのあたりに…」
マチルダ
「あら、あの子とギャリーは一心同体なんだから離れるわけないわ!
あの子とギャリーはずっと昔から一緒に育った仲だったんだから。当然でしょ?
エドワード
「え。」
ルーシー
「え?」
間。
マチルダ
「…え?
もしかして、また私だけ能力で見えてたの?あの二人は…兄弟だよ。」
エドワード
「兄弟…。そういうことか。」
マチルダ
「エドワード。あなたも何か見えたの?」
エドワード
「うーん、今から行って、門限まで間に合うかな。」
マチルダ、エドワード、上手にはける。
ルーシー
「ちょお、お二人さんだけで話進めないで!
あっしにも教えて!そんで置いてかないで~」
上手にはける。
暗転。
机と椅子を片付ける。
2階のパーティションの裏のセット作る。
明転。
上手から私服のギャリー登場。
ギャリー
「おふくろ。帰ったぞ。」
下手からジャージ姿のアン登場。
アン
「ええ!?ギャリー!?
あれ!?ハーフタイムって来週じゃなかったっけ?
もう全然部屋の中掃除してないのよ~!見ないで~!」
下手にはけるアン。
ギャリー
「すまん。おふくろ。掃除なら来週手伝ってやるから、今日は…」
照明青。
2階パーティションに灯り。
男性シルエット。
ノイズ
「いいのかい?思い出したら全て失うかもしれないよ。」(放送)
ギャリー
「…大丈夫だ。俺が決めたんだ。決してなくさないと。」
ノイズ
「そうか。さよなら。ギャリー・カッター。」
2階パーティションに灯り消える。
溶明。
2階にあがるギャリー。
パーティションをどける。
子供部屋のような置物の中にガーキンのぬいぐるみ。
そっと拾い上げる。
下手からアン登場。
1階から話しかける。
アン
「ギャリー?あなた…2階にあがっても、もう大丈夫なの?」
ギャリー
「おふくろ。ここは…誰の部屋だ?」
アン
「ギャリー。ほんとに忘れちゃったの?
ここにいたのはテッドよ。テッドはあなたの双子の弟。」
ギャリー
「弟?」
アン
「テッドは…もう…
死んじゃったのよ。ギャリー…」
ギャリー、2階からおりて上手に走り出す。
アン
「ギャリー!」
暗転。風の効果音。
2階の置物片付ける。
アン下手にはける。
効果音フェードアウト。
下手から、ギャリー(ガーキン兼任)
地元校クランシーグラマーの制服を着て登場。
中央サス。
ギャリー(ガーキン兼任)
「そう。テッドは俺の弟だ。
テッドは勉強もテニスもなんでもできて
カッコよくて友達も多くて…
きっと、俺にとって、自慢の…弟。
それに比べて俺は…
勉強もテニスもなんにもできなくて
友達もいなくて…
(少し間。)
テッドと俺は
同じ日に生まれた双子の兄弟なのに
同じ場所で同じように育ったはずなのに
似てるのは顔ばっかりで、
どうしてこんなにも違いがあるのだろう。
どうして俺はテッドと比べてこんなに…カッコ悪いんだろうな。」
溶明。
上手から、テッド(ギャリー兼任)
進学校パトニ―の制服を着て登場。
テッド(ギャリー兼任)
「ギャリー。
そこで何してる」
ギャリー(ガーキン兼任)
「別に。何でもない!
こっちに来るな!」
テッド(ギャリー兼任)
「顔を見せろ」
ギャリー(ガーキン兼任)
「ちょ…
やめろ!」
バチンと静電気の効果音。
ギャリー(ガーキン兼任)
「ほら。
だからやめろって言ったのに。」
テッド(ギャリー兼任)
「こんなのちょっと強めの静電気だろ?おまえは生まれつき静電気をため込みやすい体質なだけだ。そう珍しいことでもないだろう。それより、顔がはれてるじゃないか。誰にやられた?」
ギャリー(ガーキン兼任)
「あいつら…俺の静電気がうざったいって…
おふくろには言うなよ?
俺は別に…大丈夫だから」
上手からA登場。
A
「テッド!この前は勉強教えてくれてありがとう!
君って勉強ができるだけじゃなくて教え方もすごく上手いんだね!
また今度の試験もよろしく頼むよ!」
下手に向かいAはける。ギャリー(ガーキン兼任)、Aに見つからないように避ける。
上手からB登場。
B
「ああ、テッド!
ちょうどおまえに会いたかったんだよ!
いつも荷物持ってくれてありがとうな(大量の荷物を持ってる)」
テッド(ギャリー兼任)
「またそんなに荷物を持って…」
B
「ああ、これは違うんだ。
いつも荷物を持ってくれてるお礼をあげようと思って!
ほら!最近のゲームで人気のあるキャラクターなんだろう?
テッドが好きだろうと思って上海で買ったんだよ~」
テッド(ギャリー兼任)
「いや、全然違…ありがとうございます。」
B
「いいんだよ~。またな~。」
下手に向かいBはける。
Bが去ってからギャリー(ガーキン兼任)戻ってくる。
ギャリー(ガーキン兼任)
「…なんだそれ」
テッド(ギャリー兼任)
「流行りのゲームのキャラクター?」
ギャリー(ガーキン兼任)
「いや全然違うだろ(ちょっと吹き出し気味に)」
テッド(ギャリー兼任)
「そうだな。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「そんなパチモンの人形なんか渡されて
ありがとうってなんだよ。
ちっとも欲しくないくせに。
いらないならいらないって言えばいいのに。
誰にでも愛想ふりまきやがって…」
テッド(ギャリー兼任)
「せっかくなのにそれは悪いだろう。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「ふん。」
テッド(ギャリー兼任)
「ギャリー。
(しばし間。)
これやる。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「は?」
テッド(ギャリー兼任)
「おまえ、ガキの頃このゲーム好きだったじゃないか。
というか、俺より得意だっただろう?
まぁこいつはゲームキャラクターとは全然違うけど、
でもよく見たら似てなくもないというか…
ふふっ、なんだこれ。」
ギャリー(ガーキン兼任)、テッド(ギャリー兼任)の胸ぐらをつかむ。
バチンと静電気音。ぬいぐるみを落とし座り込むテッド(ギャリー兼任)。
ギャリー(ガーキン兼任)
「なんで笑う?普段はほとんど笑わないくせにこんな時だけ白々しいんだよ。俺をかわいそうだとでも思ってんのか?
(沈黙)
はっきり言ってやる。
俺は…、
お前なんか…っ!
テッド(ギャリー兼任)
「殺してやりたいと思ってるのか?」
間。
テッド(ギャリー兼任)
「俺が…
死ねばいいと…?」
ギャリー(ガーキン兼任)
「なん…
なんでそう思う?」
テッド(ギャリー兼任)
「俺が普段笑わないのは、おまえが普段から笑わないからだ。
クソみたいな日常に嫌気がさして日々イライラしているからだ。
だけど、こんなクソみたいな日常の中でもおまえが笑うなら
俺だって笑ってやる。
反対に、
おまえがこの世界に居場所を感じず一人で泣いてる時に、
それを見た俺まで泣けば、おまえは落ちていく。奈落に。
だから俺は絶対に泣かない。
もしお前がこの俺を殺したいほど憎んだとしても
俺はおまえに絶対に殺されてやらないし、絶対に死なない。
おまえがたった一人で奈落に落ちて行かないように
自分に杭を打っててでもこの世界にとどまってやる。
俺が言いたいのはそれだけだ。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「テッド…。
おまえ…。」
テッド(ギャリー兼任)
「制服を交換しよう。
(ブレザーを脱ぐ)」
ギャリー(ガーキン兼任)
「は?
制服を交換?…何の為?
テッド(ギャリー兼任)
「俺がクランシーグラマーの生徒になっておまえのふりしておまえを殴った奴を二度とちょっかい出さないようにしばいてやる。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「いや、
そんなのすぐバレるに決まってるだろ。」
テッド(ギャリー兼任)
「それはおまえが俺と一緒に育った兄弟で
俺のことをよく知ってるからそう思うんだ。
ほら、このゲームキャラクターのぬいぐるみも
ゲームをよく知らない奴から見れば流行のゲームのキャラクターと
見分けがつかない。
だけどよく知ってる奴から見れば、『よく似たなんか』。」
テッド(ギャリー兼任)、ぬいぐるみを拾い上げ渡す。
テッド(ギャリー兼任)
「俺とおまえの違いなんて
このゲームキャラクターみたいなもんだよ。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「俺たちが…この人形と一緒?
(しばし間。)
ぶはっ!あはははは!あははは!
…はぁ。
ああ、いいぜ。(ぬいぐるみをテッドに投げて渡し、ブレザーを脱ぐ)
そしたら俺はおまえの学校にでも行って、
おまえの友達と遊んでこようかな(ブレザーを渡す。)」
テッド(ギャリー兼任)
「(ぬいぐるみを抱えながらブレザーを交換する。)ああ、頼む。俺はあんまりゲームが得意じゃないからフォローしてくれると助かるよ。」
ギャリー(ガーキン兼任)
「はは、任せとけ!
(ブレザーを羽織りながら)」
ギャリー(ガーキン兼任)、ぬいぐるみを投げるように合図を出す。
テッド(ギャリー兼任)、ぬいぐるみをパスする。
キャッチしてそのまま手を振るように下手にはける。
しばらく見つめるテッド(ギャリー兼任)。
ゆっくりブレザーを羽織り、襟を正し、上手に向かって歩こうとする。
照明赤になると同時に鉄骨の落ちる効果音。悲鳴。
C
「工事現場の鉄骨が落ちたぞ!」(放送)
D
「子供が下敷きに…!」(放送)
E
「救急車を呼べ!」(放送)
C
「学生だぞ
この制服は進学校のパトニーじゃないか」(放送)
D
「カッターさんの息子さんよ」(放送)
E
「ああ、よりによってどうして…
テッドなんだ」(放送)
照明青。
ゆっくり中央サス。
テッド(ギャリー兼任)呆然と立ち尽くし手のひらを見つめる。
下手サス。下手からガーキン登場。
切なげなオルゴール音BGM。
ガーキン
「あの日、テッドの制服を着たギャリーは不運な事故で死んだ。
そして、ギャリーの制服を着たテッドはその日からギャリー・カッターと名乗り、生まれ変わるように不思議な力を手に入れたんだ。
ねぇ。テッド。
親愛なる僕の弟。
セオドア・カッター。」
ギャリー
「ギャリー・カッター…?」
ガーキン
「そうだよ。
どうして思い出しちゃったのさ。ずっとテッドのことは忘れて君がギャリーでいてくれたら僕らは幸せだったんだよ。
ねぇ。
テッド…。
君が思い出しちゃったら僕は一体なに?
触ったら静電気がパチパチする誰からも必要とされないパチモンの変な人形なんてもう消えちゃって当然なのかな?ねぇテッド…?」
中央へ移動しながら。
うなだれる。
ギャリー
「俺が知ってるギャリーは、静電気に悩まされて常にイライラしてて短気で生意気で強がりでホントは情けなくて意気地がなくて甘ったれで…
おまえが消してしまいたいギャリーなのかもしれないが
それが俺の知ってるギャリーだ。」
ガーキン
「そうだよ。それがテッドから見たギャリーさ。
でも、そんなギャリーは最初からいなかったんだ。
虚勢をはって、強がりばかりの弱虫なギャリーも
それを全て見てきた非の打ちどころのない優秀な弟のテッドも。
いたのは強くて賢くていつも毅然としたカッコいいギャリーだけなんだ。
だって、そうじゃなかったら、僕は…僕の人生は…ただ、やられっぱなしでやり返すことも誰を見返すことも何もできなかったクソみたいな人生じゃないか。こどものおもちゃみたいに加減を知らない強者に振り回されて遊ばれるだけもてあそばれて簡単にこわれてしまう痛くて弱くて脆い世界だ。不運だったの一言で片づけないでおくれよ。」
膝から崩れおちるように座り込む。
ギャリー
「あの時…『よりによって、どうしてテッドなんだ』と、誰かが叫んだ時、おまえの憎しみや悲しみの感情が一度に俺の中に入ってきたのを感じた。
この世界がこのまま壊れてしまうなら、俺はテッドを殺してもいい。
おまえが俺に叩きつけたもの…ギャリーの想いは俺が全部引き受けてやる。俺がテッドも、昔のギャリーも全部忘れて新しいギャリー・カッターになれば何も失わなくてすむと…
そう思ってたよ。」
中央へ移動しながら。
ガーキンを見下ろす。
ガーキン
「ああ、そうさ。
わかるだろう?
テッド、
テッド、おまえが…
おまえが死ねばいいんだ。
言ったじゃないか。
僕が居場所を感じずに一人落ちていかないように自分に杭を打っててでもとどまってやるって。お願いだよ。どうかこのまま強く賢く偉大な魔法使いに生まれ変わったギャリー・カッターを消さないでおくれよ…!」
すがりつくように。
ギャリー
「でもそれは違う。
俺たちは二人だ。
産まれた時からずっとそれぞれの目でお互いを見続けていた。
その記憶を捨てるなんて俺にはできない。
だから俺は決めた。
『全て』なくさない。
弱いギャリーも。
この世界も。
それを見続けてきた俺自身も。
苦しみも悲しみもすべておまえ自身だ。一方的な仕打ちをやり返すこともせず耐えてきたのはおふくろを悲しませないための優しさだろ。
俺も決して手放さない。
だからおまえも絶対失くすな。
これまでこの世界で生きてきた証を。
おまえはおまえだ。」
ガーキン
「テッド…」
ギャリー
「言っただろう。
俺は死なないし、殺されてもやらないって。
おまえはそのままでいいんだ。
そのまま…
ギャリーの残りカスとして生きろ。」
BGM止。
溶明。
ギャリー
「あ、間違えた。訂正する。カスじゃなくて…ごみ?」
ガーキン
「いやいや訂正するところそこじゃないから。」
ギャリー
「まぁ、とにかく自分で選んだ残りカス人生を受け入れろ。」
ガーキン
「残りカス人生言うなぁ!」
ギャリー
「俺がギャリーを失わないため、テッド…セオドア・カッターの名を捨てると決めたことに変わりはない。
俺はこれからもギャリー・カッターとして生きていく。
残ったおまえと一緒に。」
手を差し伸べる。
ガーキン
「え…じゃあ、僕は…」
ギャリー
「どんな形でも、おまえが消えてしまわなくて良かった。」
ガーキン
「(感極まって)ギャリー!!」
抱き着く。雷の効果音。
ガーキン
「いたああい!!
ああでも前の僕がこの力を持ってても、ちょっと強めな静電気をためるだけのしょっぱい人生だったけど文武両道で非の打ち所がない完璧で究極のギャリー完全体になった君がもつことで偉大で崇高な魔法使いになれたんだから感謝してよね!?(のたうち回りながら)」
ギャリー
「おふくろは…
俺が本当はテッドだと知ってて、
あの部屋を片付けなかったんだな。
ちゃんとこうなった事情を説明しないと…」
ガーキン
「え~?じゃあ僕の存在にも気づいてたってことぉ?」
ギャリー
「いやさすがにおまえがギャリーの残りカスとまでは気づかないだろうがおふくろならカスでもなんでも喜んでくれるさ。」
ガーキン
「も~!カスカスって好きでこんな体になったんじゃないやい!
最後の力を振り絞って能力を君に明け渡しながらテッドとの優しい思い出を思い浮かべてたらこんなふうに…」
会話しながら上手にはける。
暗転。
風の効果音。2階にエドワード、ルーシー、マチルダスタンバイ。
効果音フェードアウト。
下手からメイドの服のアン登場。
下手サス。
アン
「ギャリー!!お帰りなさい!!」
上手から私服のギャリー、ガーキン登場。
上手サス。
ギャリー
「あ…おふくろ。ちょっと話が…」
アン
「見て見て!
ギャリーのお友だちが来てくれて
部屋を掃除してくれたのよ!ほら!」
2階サス。
2階にエドワード、ルーシー、マチルダ。
はたきや雑巾を持ってる。
陽気なBGM。溶明。
エドワード
「あ、お邪魔してます~」
ギャリー
「何やってんだおまえら」
エドワード
「いや、近所の人に聞き込みでここに連れてきてもらったのはいいんだけどあまりの家の汚さに…」
ルーシー
「もう学校の門限まにあわないで~?」
マチルダ
「ねぇギャリー!
みんなで一緒に帰って、みんなで先生に怒られましょう。
それでそのあとは、ギャリーの話を聞かせてほしいな。
ギャリーとギャリーの大事な家族の話。」
ルーシー
「あ、ガーキン!あんたやっぱりギャリーについてきたんやな?
はっ、そや!あっし、ママさんのガーキン・ピクルスご馳走になるってギャリーと約束したんやった!男に二言はないで~?」
アン
「え?そうだったの?ぜひ食べてって~
お茶もお菓子も用意するからゆっくりしましょう~?」
マチルダ
「賛成~」
ガーキン
「わーい、お茶お茶~!
ママはやっぱり最高のママだよ~!」
ルーシー、マチルダ、エドワード2階から降りてくる。
ギャリー
「おい待て。エドワード。
なんだか一件落着なエンディングモードだが、結局のところどうして俺が魔法学科の特待生として招待されたのかわからないままじゃないか。」
エドワード
「あ~、まぁそれは後半戦のお楽しみってことでいいんじゃないかな?」
ギャリー
「後半戦だと!?ゲームでもあるまいし、まだ続くのか?」
エドワード
「さぁ、ティーブレイク、ティーブレイク。」
アン、ルーシー、マチルダ、エドワード、下手にはけていく。
ギャリー
「あ、待て!
(追いかけたあとに気づいたように後ずさる)
ああ。(観客に向かって)
あんたたちも長いこと座ってて疲れただろうから休憩してくるといい。
どうやらこの物語はここで一旦終わりのようだ。
最後まで見てくれてどうもありがとう。
それでまた俺たちのその後が気になったら探してみてくれ。
俺はギャリー・カッター。
ボウルズ・グリーンのギャリー・カッターと覚えてくれ。」
ガーキン
「俺はギャリー・カッター。(モノマネ)
ちっちっちっ、俺「たち」ね!
じゃあね~!」
ギャリー、ガーキン下手にはける。
BGM音量大。
幕。
ED。
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