【完結】他に好きな人ができたから婚約破棄すると言われました。〜お嬢様は天才魔法使いの"好き"に気づけない〜

五月ふう

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8 いまさら嫉妬したって無駄だ

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「ほら、来たぞ。」

大男アイザイアは
小さくむこうを指さした。

「何が?」

「10日前のミィナとライトだよ。
 俺たちは10日前にタイムトラベルしたんだ。」

なるほど、
確かに10日なら私はライトと婚約していないし
魔法契約書に署名する前のはずだ。

「サクッと説得して
 過去の私にライトと別れさせればいいのね?」

事情を話せば、
過去の私もわかってくれるはず。

「そう簡単には、行かないだろうな。」

「大丈夫だって!」

アイザイアは目を細めた。

「じゃあ聞くけど、
 ミィナはタイムトラベルの魔法があることを
 知っていたか?」

「それは、、、知らなかったけど、、。」

私はもじもじと手を合わせる。
本当に初歩的な魔法しか
勉強してこなかったんだよね、、、。

「あと、もう一つ大きな制限がある。
 ミィナ、自分の名前を名乗ってみろよ。」

「う、うん。
 私の名前は、、、うぐっっ。」

あれ?
自分の名前を言おうとすると、
口が回らなくなるんだけど・・・。

「私の名前はっぅぅっぐ。」

「な?自分の名前を言えないだろ。」

私はこくこくと頷いた。

「つまり俺らは、
 自分の名前を名乗れず

 見た目も全く違う状態で
 過去のミィナの説得をしないと
 いけないってことだ。」

アイザイアは深刻な顔をしている。

「まぁ、きっと大丈夫さ!」

私はにっこり笑って
アイザイアの肩をポンポンとたたいた。

「さぁ、いこうかね!!」

私は腕まくりをして立ち上がった。

「おいおい!
 なにするつもりだよ?!」

「過去の私と、友達になってくる!」

私のことは、私が一番よく知っている。
何が好きで、何が嫌いなのか。

そして、
どうしたらライトと別れさせられるのか。
私には秘策があった。

アイザイアはうんうんと頷いた。

「それが一番良い方法かもな。
 ライトには気をつけろよ。」

私はぐっと両手を握った。

「大丈夫!」

アイザイアは私の頭をポンポンとたたく。

「もうライトに惚れるなよ?」

まるで、お兄ちゃんみたいな
言い方だね。

大男アイザイアにもかなり慣れてきた。

「俺は少し、
 ソフィアの様子を探ることにするよ。」

「ソフィアが気になるの?」

「ああ。

 パドレン学園を乗っ取るなんて
 面倒な事ソフィアは思いつかないだろ。

 裏には何か大きな組織が
 関わっている気がするんだ。

 あいつを止めなきゃ。」

アイザイアは真剣なまなざしで
そう言った。

アイザイアはいつだって
ソフィアの心配をしている。

私が出会うよりずっと前に
アイザイアはソフィアと出会っていたと
ソフィアが私に教えてくれた。

「気を付けてね。」

もう、惚れるななんて手遅れだけど。

「おう。大丈夫。
 俺はソフィアより強い。」

そんなこと、知ってるよ。

「じゃあ、行ってくる!
 アイザイアもソフィアのこと
 頑張って!」

私の味方でいてね、アイザイア。
その言葉を胸の奥にしまって
私は過去の私のもとに向かった。

「気をつけろよ!」


   ◇◇◇
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