【完結】他に好きな人ができたから婚約破棄すると言われました。〜お嬢様は天才魔法使いの"好き"に気づけない〜

五月ふう

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10 恋人じゃなくても側にいたいから

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公園の芝生の上。
ミィナ(過去)と私は
並んで座っていた。

「私の父はね、
 未だに私が、
 魔法を使えるようになると
 信じているのよ。」

私はミィナ(過去)に言った。

「素敵だね。」

ミィナ(過去)はぽつりとつぶやく。
貴方もそうでしょう?

「私も心のどこかで
 まだ自分はできる。

 魔法が使えるようになるって
 信じているんだ。」

自分を信じなければ
私はライトにすがってしまう。

私はミィナ(過去)に問いかけた。

「ミィナは信じていないの?」

「私は、、、。」

ミィナ(過去)は言葉に詰まった。

私は言葉を重ねる。

「ミィナのお父さんは?
 友達は?

 貴方のことを信じてないの?」

信じてくれているじゃん。
思い出してよ。

ミィナ(過去)は困った顔で笑った。

「信じたら、なんでも物事が
 うまくいくわけじゃないよ?」

私は言葉に詰まった。
あまりにも、その通りすぎる。

結局ミィナ(過去)も私も
魔法を使えるようには
なっていないわけで。

ミィナ(過去)はぼんやりと空を見上げた。

「もう、全部諦めようと思っているんだ。
 自分に期待するのはもうやめる。」

ミィナ(過去)は
晴れやかな顔で笑った。

「諦めようとしているのは、それだけ?」

だめ。
お願いここで諦めないで。ミィナ。

このまま流されてしまったら、
貴方の一番大切な学園を失ってしまうよ。

「ねえ、ミミ、
 さっきから何が言いたいの?」

ミィナ(過去)はあきれた顔で
私に尋ねた。

ここで不審がられたら、
終わりだ。

「ううん、なんでもない。
 それよりさ、デザートでも食べない?」

アイスクリーム屋さんを指さして
私は言った。

もう、こんな時は甘いものでしょ!

「いいね!!」

ほら、私って単純。
もう笑顔じゃん。

   ◇◇◇



「好きな人の話、してもいい?」

アイスクリームをなめながら
私はミィナ(過去)に言った。

「いいよ。」

自分で言うのもなんだけど、
初めて会った奴の話をこんなに聞いてくれる。

ミィナ(過去)、偉いなぁって思う。

「私ね、ずっと昔に振られたのに
 実はいまだに好きな人がいるの。」

ミィナ(過去)はじっと私を見た。

「本当にミミって私に似てるね。
 詳しく教えて?」

それは7年前。
私がまだ、学生だった頃の話。

「私ね、幼馴染のある人に
 好意を伝える手紙を渡そうとしたの。」

まぁ、アイザイアに
告白しようとしたわけなんだけどね。

「うんうん。」

「でもねぇ、
 私こわくなっちゃって、
 自分では渡せなかったの。」

アイザイアにラブレターを渡そうと
向かっているときに
ソフィアに会ってしまった。

「結局、友達に
 そのラブレターを渡してもらったんだ。」

ソフィアがアイザイアに
渡してくれるって言うから、
そのまま預けた。

「結果はどうだったの?」

「ダメだった。
 もう全く。

 そのタイミングで、
 その人に彼女ができてしまって
 しばらく疎遠になったんだ。」

私がアイザイアにラブレターを渡した次の日。

学校に行くと
ソフィアとアイザイアが付き合っているという
噂が流れていた。

「残念、だったね、、、。」

ミィナ(過去)は同情するように言った。

「私、後悔してるんだ。」

あの時、どんな結果になったとしても
ちゃんと自分で伝えるべきだった。

そしたら、
こんなにも、
引きずらないで済んだかもしれないのに。

「でも、直接言わなかったからこそ
 失わなかったものもあるよ。」

ミィナ(過去)は俯いたまま言った。

「手に入らないのに、
 傍にいたって
 悲しくなるだけじゃん。」

ソフィアとアイザイアが一緒にいるのを
ただ見ているだけなのに?

「恋人じゃなくても 
 傍にいる方法はあるよ。」

ミィナ(過去)は言う。

「それじゃ、嫌なの。
 分からない?」

ミィナ(過去)は首を振った。

「私は、後悔なんてしないわ。
 ミミ。

 私にも、
 ミミと同じようにずっと好きな人がいたよ。

 だけど、その人は
 私じゃない他のだれかを好きなの。」

「だとしても、、、!」

私は何とかミィナ(過去)の言葉を
さえぎろうと試みる。

「私は、他の
 私を好きだと言ってくれる人と
 結婚するの。

 後悔なんて、しないよ。」

ミィナ(過去)は立ち上がった。

「私、約束があるから、
 ここでお別れよ。ミミ。」

「待って!」

ミィナ(過去)は小さく首を振った。

そこに現れたのは

「久しぶり。ミィナ。」

ソフィアだった。


   ◇◇◇

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