【完結】妊娠した愛妾の暗殺を疑われたのは、心優しき正妃様でした。〜さよなら陛下。貴方の事を愛していた私はもういないの〜

五月ふう

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70.正妃様と最後の言葉

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 激しい痛みがアリスの体を襲った。騎士の剣は、アリスの腹部を貫いていた。

 -----ああ、私は……。

 ひどい耳鳴りがする。腹部から血が流れだしている。

「アリス!!」

 ルーカスの叫び声が聞こえた。

 -----大切な人‥‥…ねえ、あなたを置いていきたくないのに……。

 アリスを刺した兵士は、アルバートによって捕らえられた。捕らえられた騎士はかっと目を見開き、口元には狂気的な笑みを浮かべている。その兵士は間違いなくフィリップスの部下だ。

 -----フィリップス……すべて貴方の差し金ね‥‥…!

 朦朧とする意識の中で、アリスは自分に言い聞かせる。

 ーーーー倒れてはいけないわ。レオナルドに伝えなくちゃ。

 全身を襲う痛みに耐え、アリスは立っていた。村人たちは何が起こっているのかわからず、呆然としている。

 アリスは体を引きずって、レオナルドに近づいた。

「アリス、違うんだ……僕は……。」

 泣きそうな顔で、レオナルドがアリスを見つめる。

「わかっているわ、大丈夫よ、レオナルド……。」

 あの騎士はレオナルドを殺そうとした。あの騎士がレオナルドの命令で動いたわけではないのは明らかだ。だが、一瞬のできごとに、人々は全てがレオナルドの仕業だと疑ってしまうかもしれない。

 ーーーーそれだけは……避けなくちゃ……。

 アリスは最後の力を振り絞って、村人たちを振り返り叫んだ。

 「みんな!国王レオナルドは私たちの希望よ!
  国王レオナルドを信じて!
  国王レオナルドと一緒に橋を渡るの!
  大丈夫!何も恐れることはないわ!」

  そう叫んで倒れ込んだアリスをルーカスが抱き止める。

 「ルーカス……私……。」
 
  金髪に黒い瞳。全てを失った私を助けてくれた大好きな人。その人の顔が、苦痛で歪んでいる。

 「医者だ!!医者を呼べ!!アリスを助けてくれ!」

 アリスを抱きしめて、必死で叫ぶルーカスの頬に手を伸ばす。

 -----泣かないで、笑って、ルーカス。

 「ルーカス……。」

 「だいじょうぶだ…‥今…助けるからアリス…!」

 -----私、貴方に会えてよかった。貴方が私の重荷を取り去って、幸せをくれたの。

 「愛しているわ……ルーカス……。」

 そう言って、アリスは目を閉じた。
   
 「俺も愛している‥‥だから…行かないでくれ!アリス!!」

 
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