【完結】最愛の人が寝取られたので復讐することにします。~罠にはまったのは貴方のほうですよ?旦那様~

五月ふう

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7.気づかなかったでしょ?

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「ラーニャを守るためだ。罠にはまったのは、お前たちのほうだ。」

戦意を喪失したレンビードはあっさりとステフに捉えられて、手錠をかけられた。レンビードは信じられない、といった表情でステフを見ている。

「同僚に老人のふりをしてもらってたの。気づかなかったでしょ?私は笑いをこらえるのに、必死だったけど。」
「言うなっ。俺だって恥ずかしかったんだっ。」
「その割にはノリノリじゃなかった?」
「…ちょっと楽しかったのは否定しない。」

ステフは肩をすくめた。青い瞳に柔らかいブラウンの髪。整った鼻筋に、白い肌。見るからにモテそうな好青年である。

「どうして…?」
「レンビードとメルが私を殺そうとしているってわかっていたけれど、証拠がなかったから。」
「証拠…。」
「そう。現行犯で、私が殺されそうなところを捕まえればいいと思ったの。誰も見ていない飛行船の上だもの。私を殺す絶好の機会…そう思ったでしょう?」

ラーニャは寂しそうに笑った。それから、胸のポケットに入れていた笛を取り出して、おもむろに吹いた。

ピーーーーー‼

飛行船に笛の音が鳴り響く。
「必要なかったけれど…私もっと準備していたのよ。」

笛の音を聞いて、武装したクサーズ国の騎士たちが部屋にやってきた。その数、なんと10人である。

「ラーニャ、ステフッ!大丈夫かー!」
「って、もう終わってるじゃないか。」
「そりゃ、ラーニャとステフだから、そう負けないだろ。」
「ラーニャ!顔に傷ついてるぞっ!急いで治療だ!」

騎士たちは口々に言った。皆、二番隊の仲間たちである。本当は、ラーニャ一人で決着をつけるつもりではあったのだが、それを心配した仲間たちが助けてくれることになったのだ。特に、この飛行船を貸してくれた上司…第2王子は、面白がってこの作戦を練ってくれた。

『なんで僕だけ飛行船に乗れないんだよー‼僕が作戦を練ったのにー!』
『あなたは王子なのですから、そんな危険な状況に巻き込めるわけないでしょう!』

この飛行船にも乗りたいと駄々をこねる第二皇子を必死で止め、この計画が始まったのであった。

手錠をつけられ、騎士たちに囲まれたメルとレンビードはがっくりとうなだれ、何も言わなくなった。クサーズ国の法律に照らすと、おそらくラーニャもレンビードも長い間牢屋から出ることはかなわないだろう。もしかしたら一生、牢屋の外に出ることはかなわないかもしれない。

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