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32.これは夢か?
しおりを挟むそれから1ヶ月間。
事態はレオが思っていたより、大きく動いた。
「だいじょうぶです!レオ様!
戦わなくなって、レオ様は王になれますから!」
オリビアがにっこりと笑ってレオに言った言葉は本当だった。
オリビアの訴えと手紙。
大陸移動医療団の手助け。
ジョシュアによるフローレンスの悪行の証拠。
そして、死んだはずのメイドの登場。
これらは、城の人間だけでなく国民全体に知れ渡り、レオの無実とフローレンスの悪行を知らしめることとなった。
元々オリビアが所属していた大陸移動医療団は、国民から大きく支持を集めていた。
彼らが支持するレオを、国民が信用するのは当然のことであったのだ。また、カルク国王は死の淵から息を吹き返えし、レオの心強い味方となってくれたのだ。
「レオ様!!」
「皇太子!!」
国民はそれまでの噂をすっかり忘れ、レオを慕うようになる。
街を歩けば、レオは国民の笑顔と共に名前を呼ばれるようになっていた。
「なぁ、オリビア。これは夢か?」
オリビアと手を繋いで街を歩くレオはそう尋ねた。
「いいえ。レオ様。
全部本当のことです!」
◇◇◇
1ヶ月後には、レオとフローレンスの権力は逆転していた。
「フローレンス、サルマン。罪のないものを殺めたお前たちの罪は重い。重罪につき終身刑に処す。」
そしてついにレオはフローレンスの罪を裁くことができたのだった。
「やめなさいっ!!なぜ私がっ!!」
罪人として牢屋に送られる間、フローレンスは喚き続けていた。
「なぜ?!私は何も悪くない!!悪いのはあの恐ろしい皇太子よ!!」
今やフローレンスの言葉を信じるものは誰もいなかった。
投獄されたフローレンスとサルマンは終身刑を宣告された。
何もない牢獄の中で、一生を過ごすことになったのだ。
「なぜわたしがこんな目に合わなきゃいけないの!!」
牢屋に閉じ込められてから数日、おかしくなったフローレンスは暴れ出した。
そして、それを止めようとしたサルマンともみくちゃになり、ふたりとも命を落としてしまったという。
◇◇◇
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