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村の朝は早く、日が昇る前に活動を始める。やることは主に朝方に出てくるモンスターの狩猟だ。
危険度が低いモンスターは朝方に出現しやすくこれが数少ない村の食い扶持である。
親方と呼ばれる村のリーダーを筆頭に4人のグループが毎朝狩猟に出かけていく。実際、俺とワトスを除くと狩りができるのは彼らだけで、他の村民は殆どがお年寄りだ。俺とワトスはこの村の出身ではないけれど村のみんなはよくしてくれている。俺はそんなこの村が大好きだった。
「桜花オキタ?」
夢心地で寝ていたところをワトスに起こされてしまった。もう起きてるよっといい布団から出る。もふもふの尻尾を振りながら台所へ消えていくワトスの後姿を見ながらおはようっと呟いた。
簡単に家事を終えて出発の準備をしていると扉をたたく音と共に親方の声が聞こえた。
「桜花居るかー、俺だ」
手に持っていたくすんだ銀色のコップを置き玄関へ向かった。
「今開けます」
そういいながら俺は玄関を開けた。目の前には狩りに出た格好そのままの親方が立っていた。
「おはよう。朝早くすまんな。」
俺はいえいえとんでもないと首を横に振りながら挨拶を返した。
「どうされたんですか?」
「クリスタルを交換しに行くんだろ? こいつも一緒に交換してきてほしくてね」
そう言って親方は小袋を投げてよこした。小袋を開けると中にはクリスタルが入っていた。
「今朝捕れた分だからそこまで量は多くないがついでだ、一緒に変えてきてくれ。ルヘルムに行くんだろ。懐かしいな。あそこはデカいから迷子になるなよ」
はははと笑うとこちらに背を向けて立ち去って行く。少し遠くからじゃあなっと言っているのが聞こえ、こちらも挨拶を返した。
家の中に入り出発の準備を続けていると、親方と話したことで実感が湧いてきた。実をいうと狩り以外で村を出る事など殆どない。前にクリスタルを交換しに村を出たときは隣村にルヘルムからの交換屋が来ていてそこで交換してもらったのでルヘルムには行けずじまいなのである。
最後の荷物をバッグに積み込み一息ついていると玄関の扉が勢いよく開いた。
「桜花ミテミテコンナニタべモノモラッチャッタ。オカチャンニハ、ホシニク、モウタンカラハ、ウワラハラミミルクノシッポ」
近所に挨拶回りに出ていたワトスが帰ってきた。何故かワトスは両手に食料を持っており、話を聞くと近所の方々がわざわざ分けてくれたらしい。ワトスはとても上機嫌にその場でクルクルと回り始めた。食料は保存がきくように加工されておりこのままでも持ち運びできるようになっていた。
「帰ってきたらきちんとお礼しないとな」
「ワトスモオレイスル!アトオミヤゲワスレズニカッテクル」
ケラケラと笑いながら貰った食料をバッグに詰め込みこれから向かうルヘルムの話で盛り上がった。
正午と言うにはまだ早すぎるくらいの時間、これからこの村を後にする二人が村の入り口に立っている。一人はどこか悲しげに村を見ており、一人はぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「暫くは戻ってこれないな」
長く村を離れるのは初めての事だし、何よりワトスと二人っきり。俺がしっかりしないとっと思っている横でワトスは呑気に意気揚々と飛び跳ねている。お気楽なものである。
改めて村の方を向き直り「行ってきます」っと呟き村を出発する。
これから彼らが向かうは貿易通行都市ルヘルム。
各大陸、地方から様々な物がこの都市に集まり、
一攫千金を夢見た商人が各地からつどい、鎬を削る。
夜になっても静まることのない人々の声。
繁栄を謳歌してるこの都市。しかし繁栄の裏には黒い影があった。
危険度が低いモンスターは朝方に出現しやすくこれが数少ない村の食い扶持である。
親方と呼ばれる村のリーダーを筆頭に4人のグループが毎朝狩猟に出かけていく。実際、俺とワトスを除くと狩りができるのは彼らだけで、他の村民は殆どがお年寄りだ。俺とワトスはこの村の出身ではないけれど村のみんなはよくしてくれている。俺はそんなこの村が大好きだった。
「桜花オキタ?」
夢心地で寝ていたところをワトスに起こされてしまった。もう起きてるよっといい布団から出る。もふもふの尻尾を振りながら台所へ消えていくワトスの後姿を見ながらおはようっと呟いた。
簡単に家事を終えて出発の準備をしていると扉をたたく音と共に親方の声が聞こえた。
「桜花居るかー、俺だ」
手に持っていたくすんだ銀色のコップを置き玄関へ向かった。
「今開けます」
そういいながら俺は玄関を開けた。目の前には狩りに出た格好そのままの親方が立っていた。
「おはよう。朝早くすまんな。」
俺はいえいえとんでもないと首を横に振りながら挨拶を返した。
「どうされたんですか?」
「クリスタルを交換しに行くんだろ? こいつも一緒に交換してきてほしくてね」
そう言って親方は小袋を投げてよこした。小袋を開けると中にはクリスタルが入っていた。
「今朝捕れた分だからそこまで量は多くないがついでだ、一緒に変えてきてくれ。ルヘルムに行くんだろ。懐かしいな。あそこはデカいから迷子になるなよ」
はははと笑うとこちらに背を向けて立ち去って行く。少し遠くからじゃあなっと言っているのが聞こえ、こちらも挨拶を返した。
家の中に入り出発の準備を続けていると、親方と話したことで実感が湧いてきた。実をいうと狩り以外で村を出る事など殆どない。前にクリスタルを交換しに村を出たときは隣村にルヘルムからの交換屋が来ていてそこで交換してもらったのでルヘルムには行けずじまいなのである。
最後の荷物をバッグに積み込み一息ついていると玄関の扉が勢いよく開いた。
「桜花ミテミテコンナニタべモノモラッチャッタ。オカチャンニハ、ホシニク、モウタンカラハ、ウワラハラミミルクノシッポ」
近所に挨拶回りに出ていたワトスが帰ってきた。何故かワトスは両手に食料を持っており、話を聞くと近所の方々がわざわざ分けてくれたらしい。ワトスはとても上機嫌にその場でクルクルと回り始めた。食料は保存がきくように加工されておりこのままでも持ち運びできるようになっていた。
「帰ってきたらきちんとお礼しないとな」
「ワトスモオレイスル!アトオミヤゲワスレズニカッテクル」
ケラケラと笑いながら貰った食料をバッグに詰め込みこれから向かうルヘルムの話で盛り上がった。
正午と言うにはまだ早すぎるくらいの時間、これからこの村を後にする二人が村の入り口に立っている。一人はどこか悲しげに村を見ており、一人はぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「暫くは戻ってこれないな」
長く村を離れるのは初めての事だし、何よりワトスと二人っきり。俺がしっかりしないとっと思っている横でワトスは呑気に意気揚々と飛び跳ねている。お気楽なものである。
改めて村の方を向き直り「行ってきます」っと呟き村を出発する。
これから彼らが向かうは貿易通行都市ルヘルム。
各大陸、地方から様々な物がこの都市に集まり、
一攫千金を夢見た商人が各地からつどい、鎬を削る。
夜になっても静まることのない人々の声。
繁栄を謳歌してるこの都市。しかし繁栄の裏には黒い影があった。
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